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第1話 恋人と
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――物には何でも神様が宿るので、物は大切にしろというのが子供の頃から言われてきたこと。その言葉が真実だと知ったのは、本当に神様が目の前に現れてからだった。
高校一年生の十五歳、八百万(やおよろず)神人(かみひと)は、一見したらどこにでも居る少年だった。
容姿も特段目を引くものではなく、童顔で子供っぽいと思われることは多々ある。
身長は中学一年生ぐらいだと思われるぐらい小柄な部類に入る。
特に整っているわけではない両親譲りの黒髪は、長すぎず短すぎず。
勉強だって飛びぬけて得意分野があるわけでもなく、スポーツで秀でた才能があるわけでもない。
彼はそれぐらいの、どこまでも平凡な少年だった。
そんな彼が少し人と違うところがあれば、三つ挙げられる。
一つ目は、彼の実家が『リサイクルショップ』で『壊れた物も修理します』という店をやっているため、幼い頃から両親の手伝い等をしているうちに、手先が人より器用になった。
二つ目は、その手先の器用さと偶然の出会いから、彼女持ちというリア充の身分となった。
三つ目は、実家の職業ゆえにか「神様」に感謝されて、最近色々な神様と出会い―――
「ふふ、今日も遅くまで一緒に喋ってしまったわね。それに、こうやって送ってくれて、本当に感謝しているわ」
既に日も落ち始め、普通の高校生であればとっくに下校時間を過ぎている中、薄暗い夜道を回りが羨むほどキラキラの幸せオーラを発している一組のカップルが居た。
「う、うん、でも、いくら委員長が護身術やってても、夜は危ないから」
「ええ、しっかり送ってくれるかしら? 私のナイト様。それと、次に委員長って言ったら、ぶん投げ……怒るわ♪」
「なな、投げるって言った! 投げるって! わ、分かったよ~……愛全(あいぜん)さん……」
「……あ゛っ? ねぇ、ゴラ……名字?」
「ああ、ち、違うよ、その……や……弥美(やみ)さん……」
「ええ、正解よ、神人くん。交際して一ヶ月も経つなのだから、早く慣れなさい」
ニッコリと微笑みながら、指一本一本を絡める恋人繋ぎを強要してくるのは、神人の人生初めての恋人である、愛全(あいぜん)弥美(やみ)。
本来、平凡な神人とは普通の学校生活では関わることがないほどの異次元の存在。
ありきたりな言葉を並べるなら、とりあえず容姿端麗才色兼備マドンナ令嬢と浮かび上がる。
身長は普通だが、神人よりも高い。
流れる美しく輝く金色の髪は、通り過ぎる誰もが一度は振り向くほど目につく。
そんな愛全が神人と付き合うようになったのは、大変ベタな理由。
高校入学直後の休日の日、お嬢様たちのお茶会があるということで、愛全が和服で外を出歩いていた時、露出魔が愛全の目の前に突然現れ、その時、偶然その場を神人が通りかかって愛全を守ろうとしたのがきっかけである。
身を挺して自分を守った神人。そして、その際に、愛全の鼻緒が切れたが、それを神人が難なく直してあげたら、もう、その後は早かった。
翌朝の教室で愛全が挨拶と同時にクラスメートの前でいきなり告白して、その勢いに流されて神人が頷いてしまったことで、高校に入学して間もなくカップル成立となった。
以降は、四六時中このような感じで、全校生徒が羨むラブラブ度を炸裂させているのだが……
(まあ、本来ならすごい贅沢だし、俺も弥美さんと一緒ですごい嬉しいけど……)
しかし、神人には二つだけ悩みがあった。
「あのさ、弥美さん、明日からのゴールデンウイークの旅行だけど……みんなと行くやつだけど……」
「ええ、男女四対四でメンバーは確定したわ。ちなみに、部屋割りだけど、男子男子男子、女子女子女子、私と君にしたわ」
「な、なんで! ちょ、すごい当たり前みたいに言ったけど!」
「あら、別に構わないでしょ? みんなの了承はもらったわ。君は私の恋人なのだから、何も問題はないでしょう? せっかく、君を独り占めできるのだから、この機は逃さないわ。避妊具は私が用意するわ。いい? 私が用意するから。大事なことなので二回言ったわ」
「ふぇっ!? ひ、避妊具って……そ、そういう……アレ?」
「アレよ」
そう、一つ目は弥美自身のことである。
「それとも何? 嫌なの? ……殺されたいの? その時はあなたを殺して私も死ぬわ」
「う……ううん、嫌じゃないよ。うれしーよ……だから、物騒なこと言わないでよ~」
弥美は自分には勿体なさすぎるほどの超高スペックな自慢の彼女。
「ふふふふ、それでいいのよ。お願いだから、私をヴァージンのまま自殺させないでね?」
「あっ、弥美さん『は』初めて……」
「あ゛? 私……『は』?」
「ひっ!?」
しかし、時折ゾッとするほど愛が重くなるほど、独占欲が非常に強いのである。
高校一年生の十五歳、八百万(やおよろず)神人(かみひと)は、一見したらどこにでも居る少年だった。
容姿も特段目を引くものではなく、童顔で子供っぽいと思われることは多々ある。
身長は中学一年生ぐらいだと思われるぐらい小柄な部類に入る。
特に整っているわけではない両親譲りの黒髪は、長すぎず短すぎず。
勉強だって飛びぬけて得意分野があるわけでもなく、スポーツで秀でた才能があるわけでもない。
彼はそれぐらいの、どこまでも平凡な少年だった。
そんな彼が少し人と違うところがあれば、三つ挙げられる。
一つ目は、彼の実家が『リサイクルショップ』で『壊れた物も修理します』という店をやっているため、幼い頃から両親の手伝い等をしているうちに、手先が人より器用になった。
二つ目は、その手先の器用さと偶然の出会いから、彼女持ちというリア充の身分となった。
三つ目は、実家の職業ゆえにか「神様」に感謝されて、最近色々な神様と出会い―――
「ふふ、今日も遅くまで一緒に喋ってしまったわね。それに、こうやって送ってくれて、本当に感謝しているわ」
既に日も落ち始め、普通の高校生であればとっくに下校時間を過ぎている中、薄暗い夜道を回りが羨むほどキラキラの幸せオーラを発している一組のカップルが居た。
「う、うん、でも、いくら委員長が護身術やってても、夜は危ないから」
「ええ、しっかり送ってくれるかしら? 私のナイト様。それと、次に委員長って言ったら、ぶん投げ……怒るわ♪」
「なな、投げるって言った! 投げるって! わ、分かったよ~……愛全(あいぜん)さん……」
「……あ゛っ? ねぇ、ゴラ……名字?」
「ああ、ち、違うよ、その……や……弥美(やみ)さん……」
「ええ、正解よ、神人くん。交際して一ヶ月も経つなのだから、早く慣れなさい」
ニッコリと微笑みながら、指一本一本を絡める恋人繋ぎを強要してくるのは、神人の人生初めての恋人である、愛全(あいぜん)弥美(やみ)。
本来、平凡な神人とは普通の学校生活では関わることがないほどの異次元の存在。
ありきたりな言葉を並べるなら、とりあえず容姿端麗才色兼備マドンナ令嬢と浮かび上がる。
身長は普通だが、神人よりも高い。
流れる美しく輝く金色の髪は、通り過ぎる誰もが一度は振り向くほど目につく。
そんな愛全が神人と付き合うようになったのは、大変ベタな理由。
高校入学直後の休日の日、お嬢様たちのお茶会があるということで、愛全が和服で外を出歩いていた時、露出魔が愛全の目の前に突然現れ、その時、偶然その場を神人が通りかかって愛全を守ろうとしたのがきっかけである。
身を挺して自分を守った神人。そして、その際に、愛全の鼻緒が切れたが、それを神人が難なく直してあげたら、もう、その後は早かった。
翌朝の教室で愛全が挨拶と同時にクラスメートの前でいきなり告白して、その勢いに流されて神人が頷いてしまったことで、高校に入学して間もなくカップル成立となった。
以降は、四六時中このような感じで、全校生徒が羨むラブラブ度を炸裂させているのだが……
(まあ、本来ならすごい贅沢だし、俺も弥美さんと一緒ですごい嬉しいけど……)
しかし、神人には二つだけ悩みがあった。
「あのさ、弥美さん、明日からのゴールデンウイークの旅行だけど……みんなと行くやつだけど……」
「ええ、男女四対四でメンバーは確定したわ。ちなみに、部屋割りだけど、男子男子男子、女子女子女子、私と君にしたわ」
「な、なんで! ちょ、すごい当たり前みたいに言ったけど!」
「あら、別に構わないでしょ? みんなの了承はもらったわ。君は私の恋人なのだから、何も問題はないでしょう? せっかく、君を独り占めできるのだから、この機は逃さないわ。避妊具は私が用意するわ。いい? 私が用意するから。大事なことなので二回言ったわ」
「ふぇっ!? ひ、避妊具って……そ、そういう……アレ?」
「アレよ」
そう、一つ目は弥美自身のことである。
「それとも何? 嫌なの? ……殺されたいの? その時はあなたを殺して私も死ぬわ」
「う……ううん、嫌じゃないよ。うれしーよ……だから、物騒なこと言わないでよ~」
弥美は自分には勿体なさすぎるほどの超高スペックな自慢の彼女。
「ふふふふ、それでいいのよ。お願いだから、私をヴァージンのまま自殺させないでね?」
「あっ、弥美さん『は』初めて……」
「あ゛? 私……『は』?」
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しかし、時折ゾッとするほど愛が重くなるほど、独占欲が非常に強いのである。
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