私はどうすればいいのか誰か教えてほしい

アニッキーブラッザー

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――優しくて……私たちを……姫や貴族としての肩書ではなく……一人の普通の女として……そうやって接してくれるから……と……


 姫様も私の知らない間に成長されている。
 それもこれも、全てはあの男と出会ってから……そう思えば想うほど、あの男がやはり腹立たしい。
 だが一方で姫様の仰られることも間違っていなかった。
 確かにあの男は、優しいというのは認めてやろう。
 そして、何よりも私たちをただの普通の女の子扱いする。
 それはすなわち、姫だから、貴族だからという特別扱いもしなければ、媚もしない。
 等身大の私たちという一人の人間を見てくれる。
 それは上流階級で常に権力やら欲におぼれた薄汚れた大人たちや七光りのバカ息子や娘たちと接する機会の多かった私たちにはありえなかったこと。
 そして、私は気付いてしまった。

 姫様は確かに初恋で、一目惚れだったかもしれない。

 しかし、今はそれは切っ掛けにすぎなかったのだ。

 姫様はあの男と過ごし、あの男に惚れ直したのだ。


――姫様は……あの男を……本気でお慕いされているのですね……


 その時、同性である私でも見惚れてしまうほどキラキラと輝き美しく微笑む姫様。長年常にお傍に仕えさせていただいた私ですら初めて見る、「恋に憧れる女の子」から「恋する女」のお顔をされていた。
 ならばもう、私は何も言うまい。
 不服ではあるが、姫様にこれほどの表情と覚悟をさせるのだ。
 私もあの男と姫様の恋を応援しよう。
 
――おい、貴様! 今度のテスト……失敗したら落第であろう? そんなことは私が許さぬ! お忙しい姫様に代わり、私がみっちり貴様をしごいてやる!


 そしてそれ以降、私は姫様を幸せにするため、あの男が姫様にふさわしくなるようにしようと誓った。
 どうしてもついて離れない「身分の差」という壁。
 二人が想い合ってさえいれば何も心配いらない……などというロマンティックな御伽噺のような物語はあり得ない。
 必ずぶつかるその壁に負けぬよう、私もできる限りの協力をすることにした。
 勉強の指導も行った。
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