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第5話 カノンの血筋
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「トモダチ! カノン♪」
火をつけて何か作業をしているオレは鼻歌交じりでご機嫌だった。
その傍では、カノンとフェンリルが向き合い……
「ほう……騎乗できる騎獣を探しに来たと……なるほど」
「ええ。馬、獣、竜、色々と試したんですが……どの子も私を嫌がったり、言うことを聞かずに暴れたり……」
森の中で腰を降ろして、自分がここに居る経緯をフェンリルに話すカノン。
すると、フェンリルは納得したように頷いた。
「たぶん。あなたの血統の問題かもね……」
「えっと……それはどういう……」
「両親、いえ、それよりも前の世代……もっと昔かも……どういう血筋か分かる?」
フェンリルに言われてカノンが首を傾げ……
「私の先祖といえば……言い伝えというか嘘か本当かは分からないですけど、かつてご先祖様は獣魔王を倒したビーストスレイヤーだったとかって話は―――」
「なるほど、それね。貴方の血筋は本来、獣を従えるのではなく、狩り取る一族……それを騎獣たちは本能で理解して拒絶しているのよ。私もあなたがオレと無関係なら不快に感じるだろうし、さっきの火竜もそれであなたを襲ったのかもしれないしね」
「は!? え、いえいえいえ! それって本当かどうかも分からない百年以上も大昔の話ですよ!? それに、私のお父さんもお母さんもお姉ちゃんも妹も馬に乗ったりするんですよ?」
「なら、隔世遺伝なのか、その血筋があなたにだけ何故か色濃く継がれたのかもね……」
「そ、そんな!?」
そんなバカな話があるのかと否定したい一方で、神聖な存在であるフェンリル直々に言われたことでその言葉に非常に説得力と重みを感じてしまい、カノンはショックで顔を青ざめてしまった。
「じゃあ、私……騎士になる夢は……」
「体質的に無理ね。私もなんだかあなたを背に乗せると考えると嫌だし、そもそもオレ以外の人間を背に乗せることなんてないもの。普通に歩兵とかで我慢するしかないわね」
突き付けられた残酷な真実。
才能であれば努力で克服することができる。
自分のやり方になにか不備があるのであれば、それを改善しようと思える。
しかし、体質や血筋による遺伝的な問題というものはどうしようもない。
それはもはや努力でどうにかなる世界ではなかった。
「ひっぐ……う……う」
気づけば、カノンはその場で涙を流していた。
力が足りないのではない。生まれた時からどうしようもなかった。
そんなことを知ったしまったらどうしようもない。
克服できない欠点の所為で、ずっと憧れて目指していた夢をあきらめるということに、カノンは堪えられなかった。
「カノン! カノン! カノン! イタイ? カノン!」
「あっ、オレ……」
「カノン……」
「うん、なんでも……ない……だいじょう……ぶ。まる、だから……」
「カノン! マル? バッテン! バッテン!」
「……はは……ごめんね、心配させて」
突然泣き出したカノンに慌ててオレが駆け寄って覗き込んでくる。
カノンが心配ないと言おうとしても、どうしても涙があふれ、オレは「大丈夫じゃない」と気が気じゃない様子。
「カノン! ゴハン! カノン! ゴハン!」
「え?」
と、そこでカノンがお腹を空かせて泣いているのではないかと思ったのか、オレがあるものをカノンに突き出した。
それは……
「くれるの? うわ、何かな~いい匂いでおいしそ――――」
ヘビとカエルが一緒の串で突き刺さった姿焼きであった。
「ふぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!??」
「?」
お嬢様であるカノンは、そこまではまだ経験したこともなく、ヘビやカエルといったものに苦手意識もあったので、思わず悲鳴を上げて後ずさりしてしまった。
火をつけて何か作業をしているオレは鼻歌交じりでご機嫌だった。
その傍では、カノンとフェンリルが向き合い……
「ほう……騎乗できる騎獣を探しに来たと……なるほど」
「ええ。馬、獣、竜、色々と試したんですが……どの子も私を嫌がったり、言うことを聞かずに暴れたり……」
森の中で腰を降ろして、自分がここに居る経緯をフェンリルに話すカノン。
すると、フェンリルは納得したように頷いた。
「たぶん。あなたの血統の問題かもね……」
「えっと……それはどういう……」
「両親、いえ、それよりも前の世代……もっと昔かも……どういう血筋か分かる?」
フェンリルに言われてカノンが首を傾げ……
「私の先祖といえば……言い伝えというか嘘か本当かは分からないですけど、かつてご先祖様は獣魔王を倒したビーストスレイヤーだったとかって話は―――」
「なるほど、それね。貴方の血筋は本来、獣を従えるのではなく、狩り取る一族……それを騎獣たちは本能で理解して拒絶しているのよ。私もあなたがオレと無関係なら不快に感じるだろうし、さっきの火竜もそれであなたを襲ったのかもしれないしね」
「は!? え、いえいえいえ! それって本当かどうかも分からない百年以上も大昔の話ですよ!? それに、私のお父さんもお母さんもお姉ちゃんも妹も馬に乗ったりするんですよ?」
「なら、隔世遺伝なのか、その血筋があなたにだけ何故か色濃く継がれたのかもね……」
「そ、そんな!?」
そんなバカな話があるのかと否定したい一方で、神聖な存在であるフェンリル直々に言われたことでその言葉に非常に説得力と重みを感じてしまい、カノンはショックで顔を青ざめてしまった。
「じゃあ、私……騎士になる夢は……」
「体質的に無理ね。私もなんだかあなたを背に乗せると考えると嫌だし、そもそもオレ以外の人間を背に乗せることなんてないもの。普通に歩兵とかで我慢するしかないわね」
突き付けられた残酷な真実。
才能であれば努力で克服することができる。
自分のやり方になにか不備があるのであれば、それを改善しようと思える。
しかし、体質や血筋による遺伝的な問題というものはどうしようもない。
それはもはや努力でどうにかなる世界ではなかった。
「ひっぐ……う……う」
気づけば、カノンはその場で涙を流していた。
力が足りないのではない。生まれた時からどうしようもなかった。
そんなことを知ったしまったらどうしようもない。
克服できない欠点の所為で、ずっと憧れて目指していた夢をあきらめるということに、カノンは堪えられなかった。
「カノン! カノン! カノン! イタイ? カノン!」
「あっ、オレ……」
「カノン……」
「うん、なんでも……ない……だいじょう……ぶ。まる、だから……」
「カノン! マル? バッテン! バッテン!」
「……はは……ごめんね、心配させて」
突然泣き出したカノンに慌ててオレが駆け寄って覗き込んでくる。
カノンが心配ないと言おうとしても、どうしても涙があふれ、オレは「大丈夫じゃない」と気が気じゃない様子。
「カノン! ゴハン! カノン! ゴハン!」
「え?」
と、そこでカノンがお腹を空かせて泣いているのではないかと思ったのか、オレがあるものをカノンに突き出した。
それは……
「くれるの? うわ、何かな~いい匂いでおいしそ――――」
ヘビとカエルが一緒の串で突き刺さった姿焼きであった。
「ふぁあああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!!??」
「?」
お嬢様であるカノンは、そこまではまだ経験したこともなく、ヘビやカエルといったものに苦手意識もあったので、思わず悲鳴を上げて後ずさりしてしまった。
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