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第6話 母の提案
しおりを挟む「ゴハン……バッテン?」
「え……あ……」
だが、オレにとっては純粋な善意しかなかった。
そのため、必要以上に悲鳴を上げてしまったことに、カノンは「しまった」と思ってしまった。
(あ、えっと……うう……どうしよう。そういえばお父さんが仕事で他国へ行くときの礼儀は、出された料理は全部食べることって言ってたなぁ……文化の違いとかあるかもしれないけど、おもてなしの誠意に対する礼儀とか……で、でも、カエルぅ……ヘビぃ……)
どうしても拒否反応が出てしまう……が、一方でオレのちょっとションボリした表情が映り、カノンは胸がズキズキと痛みだす。
「ふっ、人間の雌には馴染みがないのね。この辺のカエルやヘビは栄養価が高く滋養強壮にも良いわよ? ま、無理する必要はないけれど」
「うぅ……いえ、た、たべますぅ! オレ、ちょうだい!」
「カノン?」
結局、良心が勝った。
カノンは見ただけでも嗚咽しそうになるグロテスクな串焼きをオレから受け取る。持つ手が震えて、先ほどとは違う涙が込み上げてくる。
だが……
(ええい、ままよ! 命の恩人のおもてなしを拒絶するなんて、ブリランテ家にあらずよ!)
カノンは目を瞑りながらも口を開け、生まれて初めてカエルに噛みついて……
「がむ、あむ、もぐ、もぐ……ん? んん?」
一噛みめの感触で吐き出したくなるも、味を舌で感じ始めたら、様子が変わった。
「あれ? ……いけるかも……もう一口、あむ……もぐもぐ……うん。チキンと似た感じで……うん、全然いける、いや、むしろ美味しいかも……」
「カノン?」
「うん! オレ! マル! これ、マル! 美味しい!」
「ッ! マル! オイシイ! カノン!」
「うん! マル!」
手で輪を作ってカノンが笑顔を見せると、しょんぼりしていたオレもまた嬉しそうに笑顔になった。
その笑顔がまた眩しくて、そして照れくさくなり、気づけばカノンはカエルだけでなくヘビにまで口をつけ……
「あ、うん……ちょっと苦みがあるし、なんか鱗の感触が……うん、でもこれも美味しい! うわ、ヘビとカエルって美味しい!」
「マル! マル! カノン!」
「うん! マルを超えて、二重マルだよ!」
「ニジューマル?」
「うん。えっと、マル……もっと、マル。マルが二つ、二重マル! わかる?」
「ニジューマル! ニジューマル!」
「ぷっ、あは……あはは!」
意味が通じて、そしてオレも嬉しそうに「二重丸」を連呼して、その様子に胸が温かくなりながら、気づけばカノンはヘビとカエルを完食していた。
「あ~、美味しかった! オレ、ありがとう!」
「ン! カノン、トモダチ! ニジューマルトモダチ!」
「うん、私もオレは二重マル友達~!」
ただお腹が空いていたから、意外においしかったヘビとカエルに満足しただけではない。
カノンは何となく、オレの嬉しそうな笑顔を見るだけで、胸がいっぱいになるほど自分も嬉しくなり、夢を叶えられないというつらい現実が少しずつ癒されていった。
すると、その様子を見ていたフェンリルが……
「ふむ……ねえ、カノン」
「はい? なんですか?」
「……あなた……オレを騎獣にしてみたら? オレは人だから、騎人になるけれど」
未だかつて聞いたこともないようなことをカノンに提案した。
「……え゛?」
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