おぶわれ騎士令嬢と野生騎人~夢をあきらめて結婚しろと言われたので、溺愛してくる野生児のツガイになった

アニッキーブラッザー

文字の大きさ
6 / 16

第6話 母の提案

しおりを挟む

「ゴハン……バッテン?」
「え……あ……」
 
 だが、オレにとっては純粋な善意しかなかった。
 そのため、必要以上に悲鳴を上げてしまったことに、カノンは「しまった」と思ってしまった。

(あ、えっと……うう……どうしよう。そういえばお父さんが仕事で他国へ行くときの礼儀は、出された料理は全部食べることって言ってたなぁ……文化の違いとかあるかもしれないけど、おもてなしの誠意に対する礼儀とか……で、でも、カエルぅ……ヘビぃ……)

 どうしても拒否反応が出てしまう……が、一方でオレのちょっとションボリした表情が映り、カノンは胸がズキズキと痛みだす。

「ふっ、人間の雌には馴染みがないのね。この辺のカエルやヘビは栄養価が高く滋養強壮にも良いわよ? ま、無理する必要はないけれど」
「うぅ……いえ、た、たべますぅ! オレ、ちょうだい!」
「カノン?」

 結局、良心が勝った。
 カノンは見ただけでも嗚咽しそうになるグロテスクな串焼きをオレから受け取る。持つ手が震えて、先ほどとは違う涙が込み上げてくる。
 だが……

(ええい、ままよ! 命の恩人のおもてなしを拒絶するなんて、ブリランテ家にあらずよ!)

 カノンは目を瞑りながらも口を開け、生まれて初めてカエルに噛みついて……

「がむ、あむ、もぐ、もぐ……ん? んん?」

 一噛みめの感触で吐き出したくなるも、味を舌で感じ始めたら、様子が変わった。

「あれ? ……いけるかも……もう一口、あむ……もぐもぐ……うん。チキンと似た感じで……うん、全然いける、いや、むしろ美味しいかも……」
「カノン?」
「うん! オレ! マル! これ、マル! 美味しい!」
「ッ! マル! オイシイ! カノン!」
「うん! マル!」

 手で輪を作ってカノンが笑顔を見せると、しょんぼりしていたオレもまた嬉しそうに笑顔になった。
 その笑顔がまた眩しくて、そして照れくさくなり、気づけばカノンはカエルだけでなくヘビにまで口をつけ……

「あ、うん……ちょっと苦みがあるし、なんか鱗の感触が……うん、でもこれも美味しい! うわ、ヘビとカエルって美味しい!」
「マル! マル! カノン!」
「うん! マルを超えて、二重マルだよ!」
「ニジューマル?」
「うん。えっと、マル……もっと、マル。マルが二つ、二重マル! わかる?」
「ニジューマル! ニジューマル!」
「ぷっ、あは……あはは!」

 意味が通じて、そしてオレも嬉しそうに「二重丸」を連呼して、その様子に胸が温かくなりながら、気づけばカノンはヘビとカエルを完食していた。

「あ~、美味しかった! オレ、ありがとう!」
「ン! カノン、トモダチ! ニジューマルトモダチ!」
「うん、私もオレは二重マル友達~!」

 ただお腹が空いていたから、意外においしかったヘビとカエルに満足しただけではない。
 カノンは何となく、オレの嬉しそうな笑顔を見るだけで、胸がいっぱいになるほど自分も嬉しくなり、夢を叶えられないというつらい現実が少しずつ癒されていった。
 すると、その様子を見ていたフェンリルが……


「ふむ……ねえ、カノン」

「はい? なんですか?」

「……あなた……オレを騎獣にしてみたら? オレは人だから、騎人になるけれど」


 未だかつて聞いたこともないようなことをカノンに提案した。


「……え゛?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

結婚5年目のお飾り妻は、空のかなたに消えることにした

三崎こはく
恋愛
ラフィーナはカールトン家のお飾り妻だ。 書類上の夫であるジャンからは大量の仕事を押しつけられ、ジャンの愛人であるリリアからは見下され、つらい毎日を送っていた。 ある日、ラフィーナは森の中で傷ついたドラゴンの子どもを拾った。 屋敷に連れ帰って介抱すると、驚いたことにドラゴンは人の言葉をしゃべった。『俺の名前はギドだ!』 ギドとの出会いにより、ラフィーナの生活は少しずつ変わっていく―― ※他サイトにも掲載 ※女性向けHOT1位感謝!7/25完結しました!

事務仕事しかできない無能?いいえ、空間支配スキルです。~勇者パーティの事務員として整理整頓していたら、いつの間にか銅像が立っていました~

水月
恋愛
「在庫整理しかできない無能は不要だ」 第一王子から、晩餐会の場で婚約破棄と国外追放を告げられた公爵令嬢ユズハ。 彼女のギフト【在庫整理】は、荷物の整理しかできないハズレスキルだと蔑まれていた。 だが、彼女は知っていた。 その真価は、指定空間内のあらゆる物質の最適化であることを。 追放先で出会った要領の悪い勇者パーティに対し、ユズハは事務的に、かつ冷徹に最適化を開始する。 「勇者様、右腕の筋肉配置を効率化しました」 「魔王の心臓、少し左にずらしておきましたね」 戦場を、兵站を、さらには魔王の命までをも在庫として処理し続けた結果、彼女はいつしか魔王討伐勇者パーティの一人として、威圧感溢れる銅像にまでなってしまう。 効率を愛する事務屋令嬢は、自分を捨てた国を不良債権として切り捨て、再出発する。

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

魔力ゼロと捨てられた私を、王子がなぜか離してくれません ――無自覚聖女の王宮生活――

ムラサメ
恋愛
伯爵家で使用人同然に扱われてきた少女、エリナ。 魔力も才能もないとされ、義妹アリシアの影で静かに生きていた。 ある日、王国第一王子カイルの視察で運命が動き出す。 誰も気づかなかった“違和感”に、彼だけが目を留めて――。

死にキャラに転生したけど、仲間たちに全力で守られて溺愛されています。

藤原遊
恋愛
「死ぬはずだった運命なんて、冒険者たちが全力で覆してくれる!」 街を守るために「死ぬ役目」を覚悟した私。 だけど、未来をやり直す彼らに溺愛されて、手放してくれません――!? 街を守り「死ぬ役目」に転生したスフィア。 彼女が覚悟を決めたその時――冒険者たちが全力で守り抜くと誓った! 未来を変えるため、スフィアを何度でも守る彼らの執着は止まらない!? 「君が笑っているだけでいい。それが、俺たちのすべてだ。」 運命に抗う冒険者たちが織り成す、異世界溺愛ファンタジー!

【完結】私は聖女の代用品だったらしい

雨雲レーダー
恋愛
異世界に聖女として召喚された紗月。 元の世界に帰る方法を探してくれるというリュミナス王国の王であるアレクの言葉を信じて、聖女として頑張ろうと決意するが、ある日大学の後輩でもあった天音が真の聖女として召喚されてから全てが変わりはじめ、ついには身に覚えのない罪で荒野に置き去りにされてしまう。 絶望の中で手を差し伸べたのは、隣国グランツ帝国の冷酷な皇帝マティアスだった。 「俺のものになれ」 突然の言葉に唖然とするものの、行く場所も帰る場所もない紗月はしぶしぶ着いて行くことに。 だけど帝国での生活は意外と楽しくて、マティアスもそんなにイヤなやつじゃないのかも? 捨てられた聖女と孤高の皇帝が絆を深めていく一方で、リュミナス王国では次々と異変がおこっていた。 ・完結まで予約投稿済みです。 ・1日3回更新(7時・12時・18時)

【完結】転生したらラスボスの毒継母でした!

白雨 音
恋愛
妹シャルリーヌに裕福な辺境伯から結婚の打診があったと知り、アマンディーヌはシャルリーヌと入れ替わろうと画策する。 辺境伯からは「息子の為の白い結婚、いずれ解消する」と宣言されるが、アマンディーヌにとっても都合が良かった。「辺境伯の財で派手に遊び暮らせるなんて最高!」義理の息子など放置して遊び歩く気満々だったが、義理の息子に会った瞬間、卒倒した。 夢の中、前世で読んだ小説を思い出し、義理の息子は将来世界を破滅させようとするラスボスで、自分はその一因を作った毒継母だと知った。破滅もだが、何より自分の死の回避の為に、義理の息子を真っ当な人間に育てようと誓ったアマンディーヌの奮闘☆  異世界転生、家族愛、恋愛☆ 短めの長編(全二十一話です) 《完結しました》 お読み下さり、お気に入り、エール、いいね、ありがとうございます☆ 

公爵家の養女は静かに爪を研ぐ 〜元々私のものですので、全て返していただきます〜

しましまにゃんこ
恋愛
リヴィエール公爵家に養女として引き取られた少女、アリサ・リヴィエール。 彼女は華やかな公爵家の嫡子マリアとは対照的に、家でも学園でもひっそりと息を潜めて生きていた。 養女とは言っても、成人と同時に修道院へ入ることが決まっており、アリサに残された時間は僅かだった。 アリサはただ静かに耐えていた。 ——すべてを取り戻す、その時まで。 実は彼女こそが、前公爵が遺した真の娘であり、水の加護を持つリヴィエール公爵家の正統なる後継者だった。不当に奪い取られた地位と立場。 アリサは静かに時を待つ。 一方、王太子リュシアン・ルミエールは、傲慢な婚約者マリアに違和感を抱きつつ、公爵家に隠された不正の匂いを嗅ぎ取っていく。 やがて二人の思惑は重なり、運命の卒業パーティーが幕を開ける。 奪われた名前も、地位も、誇りも—— 元々、私のものなので。まとめて返してもらいます。 静かに爪を研いできた養女の、逆転ざまぁと溺愛ロマンス。 完結保証&毎日2話もしくは3話更新。 最終話まで予約投稿済み。

処理中です...