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第8話 ツガイ
しおりを挟む(あぅ、オレぇ~……そんな目で私をまた見て……でも……どうなの? 人間を騎獣? どういう登録になるの? だって、普通に男の子で……あれ? でも、オレって拾われた子供でずっと森で暮らしてたなら……戸籍もない? 戸籍もないと、それは普通に法律上では下僕と同じ扱いになっちゃって……ある意味で、『人間』の法律が適用されない? いやいや、駄目よ、そんなの! だいたい、オレを騎獣にするってことは、オレとこれからも一緒に……一緒に暮らさないと!? だって、オレは男の子だよ!? 私を好きって言ってくれた男の子と暮らすんだよ!? それにオレは世間の事を全然知らないだろうから色々と―――――――)
そして、挙げればきりがないほど、オレを騎人にした場合の問題が頭を駆け巡る。
だが、そんな中で……
(でも、オレが私の騎人に……おんぶされて? なにそれ、おぶわれ乙女騎士とか? おんぶされたまま戦ったり移動する騎士って何それ……なにそれ……そんなの……)
脳裏に浮かぶ、火竜と正面から対峙したときのこと。
――不思議。君となら……勝てる! 私たちなら勝てるよ!
――カツ! カーーーツ!
あの時感じたものは嘘ではなかった。本当に自分たちなら勝てる。何でもできるような気がした。
あの背中に背負われているだけで、カノンは本当に騎士として戦うことができた。
だから、どうする?
フェンリルの話を信じるなら、もう自分は騎士になることはできない。
しかし、オレの存在をどうにか学校や周囲や国に認めさせることができれば、自分は騎士としての道がまだできるのではないか?
このままでは、夢を諦めて実家に帰って、どこかの誰かと結婚する。
そんな人生を歩むぐらいなら……
「フェンリルさん、お願い、通訳してください! オレ!」
「?」
「もしあなたがこれからもその背に私を乗せて共に進んでくれて……その果てで、私が夢を叶えることができたら……あなたの人生をくれるのなら、私はあなたの想いに報い……あなたの嫁……あなたのツガイになる!」
いくらフェンリルが理屈をこねたところで、実際に国に戻ったら「人間を騎獣の代わりにして騎士になる? バカか?」と評されて認められるわけがないというのは、カノンにも分かっていた。
だが、どうせこのまま諦める夢ならば、そしてオレの背中に乗って感じたものを信じ、笑われようと、バカにされようと、カノンはやってやろうと決意した。
「私と一緒に来てくれない? オレ」
そう言って、カノンが手を差し出した瞬間、まだフェンリルが通訳していないというのに、オレはカノンの手を掴んで、持ち上げて、そのまままたカノンを背に乗せた。
「オレ、イク!」
「わ! ちょ、オレ!」
「カノンスキ! ニジューマルトモダチ! オレ、イク! カノン!」
自分はカノンについていくと、一切の迷いなく答えたオレに、カノンももう迷いを吹っ切った真っすぐな目で、後ろから俺の首に手を回してギュッと抱き着いた。
「うん、行こう! 相棒!」
「アイボー?」
「うーん……もういいや、ツガイ! オレ、カノン、ツガイ! マル?」
「ワァ! ニジューマル!」
そして、二人は生涯の相棒、騎士と騎人、そしてツガイになった。
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