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第14話 真の友
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シィーリアスは勇者フリードのパーティーのことについては省きながら、自分を育ててくれた仲間であり、先輩でもあり、慕っていた女性とのことを話した上で……
「な、なんだとぉおお!? 男女が友達になる儀式でエッチはしないのか!? つまり、僕は……先輩に嘘をつかれたと?!」
「当たり前だぁあ! ……い、いや、友という立場で、そ、その、え、え、えっち、している連中もいるかもしれんが……とにかくそれは普通ではない! って、私にこんなこと言わせるな!」
顔を真っ赤にしたクルセイナが動揺しながらも声を荒げてシィーリアスに告げる。
その衝撃の真実に、シィーリアスは呆然としてしまった。
「なんだか……とんでもないことを教わっていましたのね、シィーリアスさんは。誰ですの? そんなことを教えたイヤらしい女性は」
「び、びっくりしました……に、にしても姫様……初日に一体どういう流れでこんな方を客人として……」
流石にこればかりはフォルトも大人の女性のヲナホーも赤面してしまっている。
男に正面から笑顔で「エッチ」などと言われたのは初めてであり、正直平民が姫に対してそんなことを口にしたら打ち首になってもおかしくないのである。
「と、とにかく本当にお前は気を付けるのだ! フォルト姫は寛大に許してくださったが、こ、こんなこと、学校でもし言ったら大問題だぞ?」
「信じられない……先輩が僕に嘘をつくなんて……いや、国が違うから文化が違うだけかもしれないが……いずれにせよ、君たち含めて学園の女性と友達になる際も、エッチはしないということなのだろうか?」
「ッ~~~、いいか! 本当に気をつけるのだぞ! ま、間違っても、その、が、学園内で、え、えっち、なんて言葉を口にするのも、ま、ましてや女生徒の前で口にするのはタブーだぞ!」
激しく肩を震わせながら顔を真っ赤にしてシィーリアスに言い聞かせるクルセイナ。
(くう~、こ、この男、本当に何なのだ? 今までどういう環境で育ってきたのだ? どこの変態な淫乱女にたぶらかされたのだ? この侯爵家の令嬢たる私に、え、えっち、なんて……あ~~もう!)
そもそもクルセイナも単語の意味や内容的なものだけは知識としては知ってはいたが、自分の口から言葉にしたことも、ましてやその話題で誰かと話をするなど人生で初めてのことだった。
「いずれにせよ、この国とフォルトの国の常識とは違うのだと理解した。だが、僕もむしろ少し安心したかもしれない」
「え?」
だが、そんな落ち着きないクルセイナに対して、シィーリアスは逆に落ち着いた様子で苦笑した。
「僕は今まで先輩二人としかエッチをしたことがないんだ」
「「「ぶっ!?」」」
何の恥じらいもなくそう淡々と堂々と口にするシィーリアスの発言に三人は改めて噴いた。
だが、シィーリアスは続ける。
「先輩は二人とも僕のエッチを『すごく気持ちいい』、『すごく上手』と褒めてくれるけど、それはお世辞かもしれないし、僕に気を使っているだけだったかもしれない……フォルトもクルセイナもとても身分が高く、きっと二人とも素晴らしく豪華なエッチの経験もあるだろうと思ったから……僕のエッチで満足してもらえるか、実は不安だったこともあって……」
「「「///////////」」」
フォルト、クルセイナ、ヲナホーはそもそも経験無し。
(((豪華なエッチって何? というか、エッチと連呼するな!)))
と、もはや唖然としていた。
「で、でも、それならその……フォルト……クルセイナ……君たちに恋人も夫もいないのに僕たちはエッチをしないけど……と、友達だろうか!?」
(((迷子の子供のような顔してなんつーこと聞いているんですの(のだ)(でしょうか)!?)))
もう言葉も出ない三人。そして三人はシィーリアスの「いやらしさのない瞳」に目を細め、「エッチに対する認識が違うのだ」と感じ取った。
つまり、シィーリアスにとってはエッチとは「いやらしさ」や「性欲」やそういったものではなく、本当に「絆を深める儀式」という認識ゆえなのだろうと。
「ま……まぁ、エッチをしないぐらい……い、いえ、『ぐらい』ではありませんわね。と、とにかく、そんなものまでしなくても、わ、ワタクシたちはもうすでにお友達ですので……何も不安に思うことはありませんわ」
「そうなのか……そう言っていただけるなら安心する。だから、僕も約束する! エッチはしないけど、君たちの友達だと! そして、友となったからには何か困ったことがあれば君たちを助けるし、裏切らない!」
「……そ、そう……ですの……あ、ありがとうございますわ」
熱の籠った宣言だが、内容が内容だけに何とも反応に困ってしまう一同だったが、とにかくこれで変なことは起こらない……と、この瞬間までは三人とも思っていたのだが……
(まったく驚きの方ですわね……エッチをしなくても裏切らない友……文章に起こすだけで頭が痛くなる言葉……ん?)
そのとき、フォルトは頭の中で……
(エッチをしなくても裏切らない友に……っということはむしろ、シィーリアスさんは……エッチさえすればもう確実に裏切らない!? 仮に今後何があっても、エッチすれば裏切らない……そういうことになりますわね。そう、やはり彼は性欲を満たすとか、いやらしい気持ちとかではなく、シィーリアスさんにとってエッチとは本当に友情の深め合いなのですわ!)
シィーリアスの純粋な友情宣言とは別に思惑が過る。
(シィーリアスさんのランクは恐らくS。ならば将来的には間違いなく帝国との争奪戦になりますわ。S以上のランクなど、世界でも数えるほど。Sランクが一人いるだけで国家の軍事力が変動するほど。しかも、シィーリアスさんはまだワタクシと同じ歳……今後も成長すれば、Sどころかして、SSランク……いえ、それどころかあの世界で唯一のSSSランクの称号を持った勇者たちにも匹敵するかもしれませんわ!)
エッチはしないで済んだ。だが、むしろここで逆にしたらどうなる?
(ワタクシのヴァージンもまた紛れもなく王国の宝であり貴重な財産ですわ。しかし、長女でもなく、お兄様もいるゆえに王位の第一継承者でないワタクシのヴァージンを天秤に懸ければ……やはりSランクの人材一人の方が値打ちはありますわ! 本来ならお父様にも相談すべきことなのでしょうが……明日以降になればシィーリアスさんへの注目度が増し、近寄る者も増える……でも、今ならば……)
こうして、その頭をフル回転させた生娘のフォルトは決意をして立ち上がり。
「いえ、やはりしますわ!」
「「「……え?」」」
もう、決めた。そうと決めれば一直線のフォルトは笑顔で……
「シィーリアスさん、ワタクシとエッチしますわ!」
「え?」
「「……はっ!!?? フォルト姫!?」」
真の友(打算)になる決断をした。
「え? フォルト、君は僕とエッチをやはりしてくれるのかい!?」
「何を申されるのです、フォルト姫!?」
「ひ、姫さま! ななな、なにをおっ!?」
フォルトの爆弾発言に大きく揺れる屋敷。
特にクルセイナとヲナホーは激しく取り乱した。
「なりません、フォルト姫! 今の姫様は我が王国でお預かりしている大切な客人でもあります! そ、その御方が、よく知らぬ男に、ましてやこの私の目の前で体を捧げられるなど、看過できるはずがありません!」
「御冗談が過ぎます、姫様! このヲナホー、命に代えてもそのようなことを許せません! 国王様もお許しになるはずがありません!」
ただでさえ自由な恋愛が許されない身分でありながら、その素性も良く分かっていない男となど、あってはならない。
クルセイナとヲナホーの発言は見過ごすわけにはいかないのだが。
「看過できない? 許せない? クルセイナさん、ヲナホー、あなたたちは誰に向かって、何の権限があって言っていますの?」
「「ッッ!??」」
その時だった。
フォルトの言葉と共に全身から重いプレッシャーが放たれて、二人は思わず言葉を失った。
「このワタクシが、この場のノリやいい加減な気持ちで、自身のヴァージンを捧げると思っていますの? このワタクシが何も考えず、何も見ず、シィーリアスさんとエッチすると思っていますの?」
決して、馬鹿でいい加減な考えから至ったものではないとフォルトは強い口調で、そして真剣な表情で二人に告げた。
「え、えっと、フォルト……その、僕は別に君たちの文化に従うから、エッチしなくても友達に……」
「いいえ、シィーリアスさん。ワタクシはあなたの流儀に合わせ、あなたからの信頼を一番最初に学園で、この国で勝ち取れる友になりたいと思っていますわ」
「フォルト……そんな……き、君はそこまで強い気持ちで僕の友になってくれると……」
「ええ!」
シィーリアスは感激している。
「僕は幸せ者だ……フォルト。僕が先生たちの元から離れ……心細いと思いながらも一人で帝国に来たその初日で……最初に出会ったのが君のように心の広く優しい友だなんて……君は一日で何度僕を猛烈に感激させれば気が済むのだ!」
「おほほほほ、だってワタクシ、シィーリアスさんのお友達ですもの♪」
しかし、フォルトの想いは完全なる打算である。
「ひ、姫様、ど、どうしてその男にそれほどまで……」
「ヲナホーは黙っていなさい。安心なさい。あなたになんの責任もありませんし、ワタクシの人を見る目を信じなさい。ワタクシがあなたを見出したときのように。そして、クルセイナさんも口出しはさせませんわ」
それほどまでに、フォルトはシィーリアスを今日一日だけで評価し、引き込むべきだと自分の考えと自分の目に絶対の自信をもって決断したのだ。
「さぁ、シィーリアスさん……ワタクシの部屋にいらしてください♡」
「君の部屋で? ああ、分かった! 僕は精いっぱい頑張るよ、フォルト!」
「ええ……ただ、ワタクシは生娘ゆえに経験ありませんので、優しくリードしていただけると嬉しいですわ」
「ああ、それなら任せてくれ! 僕が全身全霊をもって君をリードする!」
熱い言葉とともに笑顔で宣言するシィーリアス。
一方で表面こそ笑顔であるものの、フォルトは内心では……
(これも国益とワタクシの描く野望のため……唯一の救いは、シィーリアスさんがブ男ではないことですわね。ワタクシ自身、将来政略結婚などで身を差し出される場合、相手が自分の倍以上の年齢の脂ぎったブ男という可能性もありましたし、まだ……)
これをまさに一つの儀式……いや、「作業」と割り切っていた。
(ま……天井のシミでも数えてれば勝手に終わりますわ。それでSランクの怪物を引き込めれば……うふふ、いいえそれどころか、この方がワタクシの至高のボディに酔って、完全にワタクシの言いなりのペットになるかもしれませんわ♪ むしろそれならその方が―――)
しかし、フォルトはまだ何も分かっていなかった。
シィーリアスはコッチもSランク以上なのだということを。
「な、なんだとぉおお!? 男女が友達になる儀式でエッチはしないのか!? つまり、僕は……先輩に嘘をつかれたと?!」
「当たり前だぁあ! ……い、いや、友という立場で、そ、その、え、え、えっち、している連中もいるかもしれんが……とにかくそれは普通ではない! って、私にこんなこと言わせるな!」
顔を真っ赤にしたクルセイナが動揺しながらも声を荒げてシィーリアスに告げる。
その衝撃の真実に、シィーリアスは呆然としてしまった。
「なんだか……とんでもないことを教わっていましたのね、シィーリアスさんは。誰ですの? そんなことを教えたイヤらしい女性は」
「び、びっくりしました……に、にしても姫様……初日に一体どういう流れでこんな方を客人として……」
流石にこればかりはフォルトも大人の女性のヲナホーも赤面してしまっている。
男に正面から笑顔で「エッチ」などと言われたのは初めてであり、正直平民が姫に対してそんなことを口にしたら打ち首になってもおかしくないのである。
「と、とにかく本当にお前は気を付けるのだ! フォルト姫は寛大に許してくださったが、こ、こんなこと、学校でもし言ったら大問題だぞ?」
「信じられない……先輩が僕に嘘をつくなんて……いや、国が違うから文化が違うだけかもしれないが……いずれにせよ、君たち含めて学園の女性と友達になる際も、エッチはしないということなのだろうか?」
「ッ~~~、いいか! 本当に気をつけるのだぞ! ま、間違っても、その、が、学園内で、え、えっち、なんて言葉を口にするのも、ま、ましてや女生徒の前で口にするのはタブーだぞ!」
激しく肩を震わせながら顔を真っ赤にしてシィーリアスに言い聞かせるクルセイナ。
(くう~、こ、この男、本当に何なのだ? 今までどういう環境で育ってきたのだ? どこの変態な淫乱女にたぶらかされたのだ? この侯爵家の令嬢たる私に、え、えっち、なんて……あ~~もう!)
そもそもクルセイナも単語の意味や内容的なものだけは知識としては知ってはいたが、自分の口から言葉にしたことも、ましてやその話題で誰かと話をするなど人生で初めてのことだった。
「いずれにせよ、この国とフォルトの国の常識とは違うのだと理解した。だが、僕もむしろ少し安心したかもしれない」
「え?」
だが、そんな落ち着きないクルセイナに対して、シィーリアスは逆に落ち着いた様子で苦笑した。
「僕は今まで先輩二人としかエッチをしたことがないんだ」
「「「ぶっ!?」」」
何の恥じらいもなくそう淡々と堂々と口にするシィーリアスの発言に三人は改めて噴いた。
だが、シィーリアスは続ける。
「先輩は二人とも僕のエッチを『すごく気持ちいい』、『すごく上手』と褒めてくれるけど、それはお世辞かもしれないし、僕に気を使っているだけだったかもしれない……フォルトもクルセイナもとても身分が高く、きっと二人とも素晴らしく豪華なエッチの経験もあるだろうと思ったから……僕のエッチで満足してもらえるか、実は不安だったこともあって……」
「「「///////////」」」
フォルト、クルセイナ、ヲナホーはそもそも経験無し。
(((豪華なエッチって何? というか、エッチと連呼するな!)))
と、もはや唖然としていた。
「で、でも、それならその……フォルト……クルセイナ……君たちに恋人も夫もいないのに僕たちはエッチをしないけど……と、友達だろうか!?」
(((迷子の子供のような顔してなんつーこと聞いているんですの(のだ)(でしょうか)!?)))
もう言葉も出ない三人。そして三人はシィーリアスの「いやらしさのない瞳」に目を細め、「エッチに対する認識が違うのだ」と感じ取った。
つまり、シィーリアスにとってはエッチとは「いやらしさ」や「性欲」やそういったものではなく、本当に「絆を深める儀式」という認識ゆえなのだろうと。
「ま……まぁ、エッチをしないぐらい……い、いえ、『ぐらい』ではありませんわね。と、とにかく、そんなものまでしなくても、わ、ワタクシたちはもうすでにお友達ですので……何も不安に思うことはありませんわ」
「そうなのか……そう言っていただけるなら安心する。だから、僕も約束する! エッチはしないけど、君たちの友達だと! そして、友となったからには何か困ったことがあれば君たちを助けるし、裏切らない!」
「……そ、そう……ですの……あ、ありがとうございますわ」
熱の籠った宣言だが、内容が内容だけに何とも反応に困ってしまう一同だったが、とにかくこれで変なことは起こらない……と、この瞬間までは三人とも思っていたのだが……
(まったく驚きの方ですわね……エッチをしなくても裏切らない友……文章に起こすだけで頭が痛くなる言葉……ん?)
そのとき、フォルトは頭の中で……
(エッチをしなくても裏切らない友に……っということはむしろ、シィーリアスさんは……エッチさえすればもう確実に裏切らない!? 仮に今後何があっても、エッチすれば裏切らない……そういうことになりますわね。そう、やはり彼は性欲を満たすとか、いやらしい気持ちとかではなく、シィーリアスさんにとってエッチとは本当に友情の深め合いなのですわ!)
シィーリアスの純粋な友情宣言とは別に思惑が過る。
(シィーリアスさんのランクは恐らくS。ならば将来的には間違いなく帝国との争奪戦になりますわ。S以上のランクなど、世界でも数えるほど。Sランクが一人いるだけで国家の軍事力が変動するほど。しかも、シィーリアスさんはまだワタクシと同じ歳……今後も成長すれば、Sどころかして、SSランク……いえ、それどころかあの世界で唯一のSSSランクの称号を持った勇者たちにも匹敵するかもしれませんわ!)
エッチはしないで済んだ。だが、むしろここで逆にしたらどうなる?
(ワタクシのヴァージンもまた紛れもなく王国の宝であり貴重な財産ですわ。しかし、長女でもなく、お兄様もいるゆえに王位の第一継承者でないワタクシのヴァージンを天秤に懸ければ……やはりSランクの人材一人の方が値打ちはありますわ! 本来ならお父様にも相談すべきことなのでしょうが……明日以降になればシィーリアスさんへの注目度が増し、近寄る者も増える……でも、今ならば……)
こうして、その頭をフル回転させた生娘のフォルトは決意をして立ち上がり。
「いえ、やはりしますわ!」
「「「……え?」」」
もう、決めた。そうと決めれば一直線のフォルトは笑顔で……
「シィーリアスさん、ワタクシとエッチしますわ!」
「え?」
「「……はっ!!?? フォルト姫!?」」
真の友(打算)になる決断をした。
「え? フォルト、君は僕とエッチをやはりしてくれるのかい!?」
「何を申されるのです、フォルト姫!?」
「ひ、姫さま! ななな、なにをおっ!?」
フォルトの爆弾発言に大きく揺れる屋敷。
特にクルセイナとヲナホーは激しく取り乱した。
「なりません、フォルト姫! 今の姫様は我が王国でお預かりしている大切な客人でもあります! そ、その御方が、よく知らぬ男に、ましてやこの私の目の前で体を捧げられるなど、看過できるはずがありません!」
「御冗談が過ぎます、姫様! このヲナホー、命に代えてもそのようなことを許せません! 国王様もお許しになるはずがありません!」
ただでさえ自由な恋愛が許されない身分でありながら、その素性も良く分かっていない男となど、あってはならない。
クルセイナとヲナホーの発言は見過ごすわけにはいかないのだが。
「看過できない? 許せない? クルセイナさん、ヲナホー、あなたたちは誰に向かって、何の権限があって言っていますの?」
「「ッッ!??」」
その時だった。
フォルトの言葉と共に全身から重いプレッシャーが放たれて、二人は思わず言葉を失った。
「このワタクシが、この場のノリやいい加減な気持ちで、自身のヴァージンを捧げると思っていますの? このワタクシが何も考えず、何も見ず、シィーリアスさんとエッチすると思っていますの?」
決して、馬鹿でいい加減な考えから至ったものではないとフォルトは強い口調で、そして真剣な表情で二人に告げた。
「え、えっと、フォルト……その、僕は別に君たちの文化に従うから、エッチしなくても友達に……」
「いいえ、シィーリアスさん。ワタクシはあなたの流儀に合わせ、あなたからの信頼を一番最初に学園で、この国で勝ち取れる友になりたいと思っていますわ」
「フォルト……そんな……き、君はそこまで強い気持ちで僕の友になってくれると……」
「ええ!」
シィーリアスは感激している。
「僕は幸せ者だ……フォルト。僕が先生たちの元から離れ……心細いと思いながらも一人で帝国に来たその初日で……最初に出会ったのが君のように心の広く優しい友だなんて……君は一日で何度僕を猛烈に感激させれば気が済むのだ!」
「おほほほほ、だってワタクシ、シィーリアスさんのお友達ですもの♪」
しかし、フォルトの想いは完全なる打算である。
「ひ、姫様、ど、どうしてその男にそれほどまで……」
「ヲナホーは黙っていなさい。安心なさい。あなたになんの責任もありませんし、ワタクシの人を見る目を信じなさい。ワタクシがあなたを見出したときのように。そして、クルセイナさんも口出しはさせませんわ」
それほどまでに、フォルトはシィーリアスを今日一日だけで評価し、引き込むべきだと自分の考えと自分の目に絶対の自信をもって決断したのだ。
「さぁ、シィーリアスさん……ワタクシの部屋にいらしてください♡」
「君の部屋で? ああ、分かった! 僕は精いっぱい頑張るよ、フォルト!」
「ええ……ただ、ワタクシは生娘ゆえに経験ありませんので、優しくリードしていただけると嬉しいですわ」
「ああ、それなら任せてくれ! 僕が全身全霊をもって君をリードする!」
熱い言葉とともに笑顔で宣言するシィーリアス。
一方で表面こそ笑顔であるものの、フォルトは内心では……
(これも国益とワタクシの描く野望のため……唯一の救いは、シィーリアスさんがブ男ではないことですわね。ワタクシ自身、将来政略結婚などで身を差し出される場合、相手が自分の倍以上の年齢の脂ぎったブ男という可能性もありましたし、まだ……)
これをまさに一つの儀式……いや、「作業」と割り切っていた。
(ま……天井のシミでも数えてれば勝手に終わりますわ。それでSランクの怪物を引き込めれば……うふふ、いいえそれどころか、この方がワタクシの至高のボディに酔って、完全にワタクシの言いなりのペットになるかもしれませんわ♪ むしろそれならその方が―――)
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