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5章 イズナバール迷宮編
235話 水中の戦闘
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水の中に居る──もとい、水の底に居る。
ワームだらけの42層を越え、43層の入り口に辿り着いた一行だが、
「何故に下向き……そして水?」
43層に続く通路は水中へと続いていた。
「あーもしかしてこれはアレか? 肺活量が試されるヤツ?」
ああ、なるほど、水中鍾乳洞とかそういうやつで、何メートルか潜った先に出口の空間が広がっているとか……。
「……でもなさそうですねえ」
「どうしたジン、何か見つけたのか?」
「いや、なんというかまあ……魔道士で知覚を飛ばせる方はいませんか? いたら水の向こうを見て欲しいんですが」
俺の言葉にシュナ、カレンとサビーナ、それにルフトのパーティのリーヴァル、だったか? ウサ耳獣人の魔道士(♂)──くそぅ!──が各々の方法で知覚領域を飛ばし、
「──見えない?」
「おい、”遠視”が弾かれるぞ!?」
やっぱり俺だけじゃなかったか。
どうもこの水、魔力への干渉力が強すぎるみたいで”領域”や”擬似千里眼”を発動しても強烈な光が映るだけで先を見ることが出来ない。つまり普通の水じゃないという訳で、イヤな予感しかしない。
鑑定したら案の定、
魔化水──魔素を飽和限界まで取り込んだ純水。
飲めば魔力を回復させる事ができ、また、魔化水内で発動した魔法は通常の数倍の威力を発揮する。
魔化水の中では、地上で生活する生物でも呼吸が可能。
そういうエリアですか、そうですか……。
「どうやら、43層は水中エリアみたいですねえ……しかもかなりの危険エリア」
鑑定結果を伝えると、悲喜こもごもの表情がそれぞれの顔に浮かび上がる。
俺はとりあえず背嚢から空の壺を取り出し魔化水をくみ上げて封をする。出来る事なら地上に戻っても効果が持続してくれる事を願うばかりだ。
「ジン、セコいですね」
「失礼な、ここにあっても宝の持ち腐れなんだから持ち帰っても問題ないだろ。外に持ち出しても効能が持続するかどうか、検証も兼ねてるんだよ」
別に商売をするつもりは無いが、ある程度持続するようならギルドに呼びかけて、上層・中層の探索者たちに使わせて生存率を上げることも可能だろう。そんな俺の優しさが諸兄各位におかれましては何故分からないのか?
とはいえ、水中エリアを進むのになんの対策もいらないというのはまあ、ありがたいと言えるか。衣服や荷物がずぶぬれになるのでその方面の対策は必要になるのだが……今回の探索はこの階層で一旦終了だな、こりゃ。
──────────────
──────────────
水深30メートルの海底? 湖底? を進むジン達。
ヒカリゴケだろうか、天井から差し込む光は透明度の高い水中の底まで届き、もしこれが自然の中、もしくは海底遺跡の類などであれば、みな一様に感動していただろう。
だが、あいにく迷宮内に用意された水の階層は殺風景で、石畳の上を徒歩で移動しながら、点在する岩山が時折視界に映る程度の代わり映えのしない風景をただただ歩く、精神的には苦痛といえる。
呼吸できるのに水中! フワフワとした足取りにはしゃいだのは過去の話、会話が届かずジェスチャーのみでの意思疎通では探索スピードも遅くなり、次第にテンションも下がる。何より、魔化水を吸い込みグッショリと濡れた衣服の不快さはどうしようもない。
(パンツの中までグッショリだよ……)
(次に来る時は防水対策が急務だな……)
(魔道鎧のインナーはヴリトラの外皮と翼膜を使用しているから水の浸透が無くて快適ですよ、ジンのそれもそうなのでは?)
(ちょっとジン! ボクだけ仲間外れ!?)
(……ばらすなよリオン、せっかく黙ってたのに)
水中装備の候補として、ビキニアーマーとスク水の2択で盛り上がる馬鹿2人の頭にリオンの拳骨が落ちるころ、ゲンマのパーティが居る方向で魔法の光が輝く。
異変の合図に全員が集まると、ゲンマ達は水棲の魔物に取り囲まれる形での戦闘を強いられていた。
「────────!!」
彼等に襲い掛かる魔物はゲンマの、水中の為いつもより鈍重な剣をひらりとかわしながらその脇をすり抜け、後方の仲間の背後を狙い突撃する。そして背中を狙うその鼻先には鏃をいくつも繋げたようなギザギザの角が1本生えている。
アサルトフィッシュ F~Dランクモンスター
全長4メートルほどのサメの魔物、鼻先についている1メートルほどの鋭い角が特徴。
別名衝角鮫、鼻先の角には無数の返しがランダムな角度で付いており、一度その角に貫かれると抜く時に酷い激痛をともなうため自力で抜く事は非常に困難。
また、アサルトフィッシュも角が刺さった状態では身動きが取れない為、自由になろうと身体を回転させたり無軌道に暴れるため、傷口はズタズタに破壊されてしまう。
海流の穏やかな水域に生息するため出会うことは少ないが、船上の相手に向かって飛び込んでくることもある。
モンスターランクは地上のものと海中での討伐難易度。
突撃の名に相応しく、大型の相手に対しては隊列を組んで一斉突撃を敢行し、軍船を沈めた記録もある。
硬く鋭い角は、削り出して鏃や銛の材料にも使われる。
ズブッ──!!
鋭い角がメンバーの背中に突き刺さる直前、アサルトフィッシュの胴体に大きな槍が突き刺さる!
ルフトの投擲した三叉槍は水の抵抗を受ける事無く一直線に魔物の胴に吸い込まれ、その衝撃にアサルトフィッシュが身をよじったおかげで魔物の攻撃は不発に終わった。
すかさずゲンマは剣から手を放し槍を掴むと、豪快にそれを振り回し、仲間のアサルトフィッシュ目がけて槍から外れるそれを投擲、即座に得物を轟雷牙に持ち替え、上段に構えた剣を力強く振り下ろす。
──ブウン!!
ゲンマの振るった剣技、ゲイルスラッシュの衝撃波は水中を走り、胴に一撃を受けたものともう一体、計2体のアサルトフィッシュを両断する。
浮力を失った魔物の死体は水底に沈み、周囲には同様の死体が10体以上転んでいる。
しかし未だ彼等の頭上を優雅に泳ぐアサルトフィッシュは50体以上おり、長丁場はあまり望ましくない状態といえた。
『円陣を解いて』
『散らばる』
『こっちへ』
ジェスチャーでそれだけ伝えたジンは近くの岩山へ全員を誘導すると、岩を背にすることでヤツらの突撃を封じ、一旦休憩を取る。
近距離ならなんとか聞き取れるレベルでの会話は可能なようで、
『どうする、このままじゃ埒があかねえぞ?』
『群が大きすぎますねえ。そもそも水中で相手をする事自体が無茶なんですが……』
ゲンマの愚痴を聞きながらジンは腕組みをしたまま目を細める。迷宮生物の性格のいやらしさに脱帽の様子だった。
このままここに居れば、少なくともアイツらの攻撃は来ないが、そうなると今度は別の魔物が現れるかもしれない、そうなるとソイツを相手にする為に岩山から離れる事になり、そこをアサルトフィッシュに狙われて……充分に可能性の高い未来予想図に、ジンはため息しか出なかった。
『昔アイツを狩ってた時のやり方を見せますから、前衛の方達はよく見てて下さいな』
『そんな方法があんのか?』
『まあ、南大陸の海には結構いたんでね……』
ジンは食料担当のエルの背嚢から大きな肉の塊を取り出しそれを右手に、左手に蛮刀を持って岩から離れると、スキップをしながらその場を浮揚する。
フワフワとおぼつかない足取りのジンに、一体のアサルトフィッシュがそれを獲物と見定め突撃をかけ一直線に急降下、ジンと同じ高さの水底まで着くとそこから上体を起こしてジンに向かって弾丸のように突き進み、
ズブッ──!!
ジンは右手を突き出し肉の塊を鋭い角に刺す。そしてそのまま手を放すとアサルトフィッシュは肉の重みで頭を垂れる。
ジンはそのまま横に回りこんで腹に蛮刀を振り下ろすが、水中で速度の鈍る剣速ではサメのザラザラした皮をキレイに切り裂く事が出来なかった。
ジンは蛮刀を逆手に持ち替えると、上下に身体を動かして角から肉を引き離そうとするサメのヒレを右手で掴み、今度は斬るのではなく腹に剣を突き入れる。
ズブリと、腹部に深く刺さった蛮刀を一気に引き下ろして腹を掻っ捌くと、ジンは右手を腹に突っ込み内臓、そして心臓を引き千切る。
──アサルトフィッシュは大量の血を水中に撒き散らしながら静かに水底に横たわると、そのまま活動を停止した。
『こんな感じで♪』
握り潰した心臓を掴んだままの、血塗れになった右手を突き出しながらジンはゲンマ達に見せ付けると、
『うわぁ……』
全員渋い顔でジンを見返す。
(解せぬ──)
一人納得しないジンだった。
ワームだらけの42層を越え、43層の入り口に辿り着いた一行だが、
「何故に下向き……そして水?」
43層に続く通路は水中へと続いていた。
「あーもしかしてこれはアレか? 肺活量が試されるヤツ?」
ああ、なるほど、水中鍾乳洞とかそういうやつで、何メートルか潜った先に出口の空間が広がっているとか……。
「……でもなさそうですねえ」
「どうしたジン、何か見つけたのか?」
「いや、なんというかまあ……魔道士で知覚を飛ばせる方はいませんか? いたら水の向こうを見て欲しいんですが」
俺の言葉にシュナ、カレンとサビーナ、それにルフトのパーティのリーヴァル、だったか? ウサ耳獣人の魔道士(♂)──くそぅ!──が各々の方法で知覚領域を飛ばし、
「──見えない?」
「おい、”遠視”が弾かれるぞ!?」
やっぱり俺だけじゃなかったか。
どうもこの水、魔力への干渉力が強すぎるみたいで”領域”や”擬似千里眼”を発動しても強烈な光が映るだけで先を見ることが出来ない。つまり普通の水じゃないという訳で、イヤな予感しかしない。
鑑定したら案の定、
魔化水──魔素を飽和限界まで取り込んだ純水。
飲めば魔力を回復させる事ができ、また、魔化水内で発動した魔法は通常の数倍の威力を発揮する。
魔化水の中では、地上で生活する生物でも呼吸が可能。
そういうエリアですか、そうですか……。
「どうやら、43層は水中エリアみたいですねえ……しかもかなりの危険エリア」
鑑定結果を伝えると、悲喜こもごもの表情がそれぞれの顔に浮かび上がる。
俺はとりあえず背嚢から空の壺を取り出し魔化水をくみ上げて封をする。出来る事なら地上に戻っても効果が持続してくれる事を願うばかりだ。
「ジン、セコいですね」
「失礼な、ここにあっても宝の持ち腐れなんだから持ち帰っても問題ないだろ。外に持ち出しても効能が持続するかどうか、検証も兼ねてるんだよ」
別に商売をするつもりは無いが、ある程度持続するようならギルドに呼びかけて、上層・中層の探索者たちに使わせて生存率を上げることも可能だろう。そんな俺の優しさが諸兄各位におかれましては何故分からないのか?
とはいえ、水中エリアを進むのになんの対策もいらないというのはまあ、ありがたいと言えるか。衣服や荷物がずぶぬれになるのでその方面の対策は必要になるのだが……今回の探索はこの階層で一旦終了だな、こりゃ。
──────────────
──────────────
水深30メートルの海底? 湖底? を進むジン達。
ヒカリゴケだろうか、天井から差し込む光は透明度の高い水中の底まで届き、もしこれが自然の中、もしくは海底遺跡の類などであれば、みな一様に感動していただろう。
だが、あいにく迷宮内に用意された水の階層は殺風景で、石畳の上を徒歩で移動しながら、点在する岩山が時折視界に映る程度の代わり映えのしない風景をただただ歩く、精神的には苦痛といえる。
呼吸できるのに水中! フワフワとした足取りにはしゃいだのは過去の話、会話が届かずジェスチャーのみでの意思疎通では探索スピードも遅くなり、次第にテンションも下がる。何より、魔化水を吸い込みグッショリと濡れた衣服の不快さはどうしようもない。
(パンツの中までグッショリだよ……)
(次に来る時は防水対策が急務だな……)
(魔道鎧のインナーはヴリトラの外皮と翼膜を使用しているから水の浸透が無くて快適ですよ、ジンのそれもそうなのでは?)
(ちょっとジン! ボクだけ仲間外れ!?)
(……ばらすなよリオン、せっかく黙ってたのに)
水中装備の候補として、ビキニアーマーとスク水の2択で盛り上がる馬鹿2人の頭にリオンの拳骨が落ちるころ、ゲンマのパーティが居る方向で魔法の光が輝く。
異変の合図に全員が集まると、ゲンマ達は水棲の魔物に取り囲まれる形での戦闘を強いられていた。
「────────!!」
彼等に襲い掛かる魔物はゲンマの、水中の為いつもより鈍重な剣をひらりとかわしながらその脇をすり抜け、後方の仲間の背後を狙い突撃する。そして背中を狙うその鼻先には鏃をいくつも繋げたようなギザギザの角が1本生えている。
アサルトフィッシュ F~Dランクモンスター
全長4メートルほどのサメの魔物、鼻先についている1メートルほどの鋭い角が特徴。
別名衝角鮫、鼻先の角には無数の返しがランダムな角度で付いており、一度その角に貫かれると抜く時に酷い激痛をともなうため自力で抜く事は非常に困難。
また、アサルトフィッシュも角が刺さった状態では身動きが取れない為、自由になろうと身体を回転させたり無軌道に暴れるため、傷口はズタズタに破壊されてしまう。
海流の穏やかな水域に生息するため出会うことは少ないが、船上の相手に向かって飛び込んでくることもある。
モンスターランクは地上のものと海中での討伐難易度。
突撃の名に相応しく、大型の相手に対しては隊列を組んで一斉突撃を敢行し、軍船を沈めた記録もある。
硬く鋭い角は、削り出して鏃や銛の材料にも使われる。
ズブッ──!!
鋭い角がメンバーの背中に突き刺さる直前、アサルトフィッシュの胴体に大きな槍が突き刺さる!
ルフトの投擲した三叉槍は水の抵抗を受ける事無く一直線に魔物の胴に吸い込まれ、その衝撃にアサルトフィッシュが身をよじったおかげで魔物の攻撃は不発に終わった。
すかさずゲンマは剣から手を放し槍を掴むと、豪快にそれを振り回し、仲間のアサルトフィッシュ目がけて槍から外れるそれを投擲、即座に得物を轟雷牙に持ち替え、上段に構えた剣を力強く振り下ろす。
──ブウン!!
ゲンマの振るった剣技、ゲイルスラッシュの衝撃波は水中を走り、胴に一撃を受けたものともう一体、計2体のアサルトフィッシュを両断する。
浮力を失った魔物の死体は水底に沈み、周囲には同様の死体が10体以上転んでいる。
しかし未だ彼等の頭上を優雅に泳ぐアサルトフィッシュは50体以上おり、長丁場はあまり望ましくない状態といえた。
『円陣を解いて』
『散らばる』
『こっちへ』
ジェスチャーでそれだけ伝えたジンは近くの岩山へ全員を誘導すると、岩を背にすることでヤツらの突撃を封じ、一旦休憩を取る。
近距離ならなんとか聞き取れるレベルでの会話は可能なようで、
『どうする、このままじゃ埒があかねえぞ?』
『群が大きすぎますねえ。そもそも水中で相手をする事自体が無茶なんですが……』
ゲンマの愚痴を聞きながらジンは腕組みをしたまま目を細める。迷宮生物の性格のいやらしさに脱帽の様子だった。
このままここに居れば、少なくともアイツらの攻撃は来ないが、そうなると今度は別の魔物が現れるかもしれない、そうなるとソイツを相手にする為に岩山から離れる事になり、そこをアサルトフィッシュに狙われて……充分に可能性の高い未来予想図に、ジンはため息しか出なかった。
『昔アイツを狩ってた時のやり方を見せますから、前衛の方達はよく見てて下さいな』
『そんな方法があんのか?』
『まあ、南大陸の海には結構いたんでね……』
ジンは食料担当のエルの背嚢から大きな肉の塊を取り出しそれを右手に、左手に蛮刀を持って岩から離れると、スキップをしながらその場を浮揚する。
フワフワとおぼつかない足取りのジンに、一体のアサルトフィッシュがそれを獲物と見定め突撃をかけ一直線に急降下、ジンと同じ高さの水底まで着くとそこから上体を起こしてジンに向かって弾丸のように突き進み、
ズブッ──!!
ジンは右手を突き出し肉の塊を鋭い角に刺す。そしてそのまま手を放すとアサルトフィッシュは肉の重みで頭を垂れる。
ジンはそのまま横に回りこんで腹に蛮刀を振り下ろすが、水中で速度の鈍る剣速ではサメのザラザラした皮をキレイに切り裂く事が出来なかった。
ジンは蛮刀を逆手に持ち替えると、上下に身体を動かして角から肉を引き離そうとするサメのヒレを右手で掴み、今度は斬るのではなく腹に剣を突き入れる。
ズブリと、腹部に深く刺さった蛮刀を一気に引き下ろして腹を掻っ捌くと、ジンは右手を腹に突っ込み内臓、そして心臓を引き千切る。
──アサルトフィッシュは大量の血を水中に撒き散らしながら静かに水底に横たわると、そのまま活動を停止した。
『こんな感じで♪』
握り潰した心臓を掴んだままの、血塗れになった右手を突き出しながらジンはゲンマ達に見せ付けると、
『うわぁ……』
全員渋い顔でジンを見返す。
(解せぬ──)
一人納得しないジンだった。
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