170 / 231
5章 イズナバール迷宮編
234話 ルフト
しおりを挟む
「ゲギョッ!!」
ザスッ──!!
40層で手に入れた三叉槍を水平に突き出すと、自分に向かって飛び掛って来た生まれたてのグラトニーの子供は、口に突き入れられた穂先を尻から出し、お手本のような串刺しの姿を俺に見せる。
クルン────フォン!!
ブチャアッ!!
そして槍を90度捻り、剣に付いた血糊を払うように槍を振りぬく。
遠心力で外へと離される子蛙は逆向きにも付いている三叉の刃で縦に両断され地面に叩きつけられる──しまった、せっかくの肉が……。
「……ウム」
新しい武器を体に馴染ませるため、地上では幾度と無く振り回し型をなぞりはしたが、やはり実践に勝るものはない、小物とはいえ敵の身体を貫き命を奪う、この通過儀礼なくして武器との一体感は手に入ることは無い。
オーガの上半身が短槍の様に扱っていたこの槍──標準的なトライデントと違い、方天戟のように後方にも剣身が伸び、全てが刃となっている──は、人間族には不釣合いな大きさだが蜥蜴人である俺には実に丁度よいサイズだ。
そもそも蜥蜴人に釣り合う槍を作ってくれる職人は少ない、獣人種で槍を好んで使う種族は少いからだ。
そこへゆくとこの槍は、まるで俺の為にあつらえた様にしっくりと馴染む。
蜥蜴人の中でも大柄の部類に入る260センチの身体とのバランス、握りこむ柄の太さ、構えた時に太い尻尾が存在する我等の、他の種族とは違う重心の位置まで考慮された重量バランス、全てが素晴らしい。
この槍は我が将来の相棒となるだろう、この出会いをくれたイズナバール迷宮には感謝しか無いな。
「ゲゴオッ!!」
「遅い──むっ?」
左から飛び掛る子蛙に向かって背面からの逆薙ぎを仕掛けるが、
グニュウ
刃は通らず子蛙は「グエエ」と潰れた鳴き声を上げながら弾き飛ばされる。そして
「キャアアアアアア!!」
……すまぬシュナ殿……イヤ、本当にすまない。
なるほど、剣では分が悪いとはこういう事か、表面を覆うの油が斬撃の効果を弱めるため、矢や槍のような武器で先ず傷を作り、そこから傷口を広げなければなかなか倒せんと言う訳だな。
ならば俺の槍が一番の適任という事か、ジンが散々俺にむかって体力を温存しろと言っていた訳が理解できた。
「ジンよ! アレはどう戦えばいいのだ!?」
「ルフトさんが体験したとおり、アレを相手に斬撃は有効じゃありません。いや、体重が軽い分子蛙には通用しないかと。ただ、サイズが小さいのでそいつ等は他のメンバーに任せてルフトさんは文字通り一番槍をあのデカブツにお願いします」
「それだけで勝てるのか?」
「一度キズをつける事が出来ればその傷口を広げる事は難しくありません。なのでルフトさんはとにかく傷口を増やしてください、傷口を広げる役はゲンマさん達に任せます」
ふむ、なんとも的確な助言だな……。
「それから、表面の油は切り傷を塞ぐ効果があるので攻撃は間をおかないように!」
「詳しいな!」
「詳しくなんかありませんよ、ソイツにあったのはこれで3度目です。出来れば2度とゴメンですけどね!!」
ジンよ、その若さでAランクモンスター、しかもこんな珍しい相手に今まで2度遭遇しているというのはどんな人生なのだ……?
普段なら上手く誤魔化すところを真正直に答えている、よほどコイツが生理的に嫌いなのだろう、見るからに美味しそうな相手なのだが……シュナ殿や他の女性陣も悲鳴を上げている所を見ると、人間族はカエルが怖いのだろうか? そんな話は聞いた事無いが。
まあよい、
「了解した! ゲンマ殿、穴は俺が開けるので広げるのはそちらにお任せする。オルバもガリュウも頼んだぞ!!」
「「応──!!」」
俺はゲンマ殿と、パーティメンバーの剣士と斧使いを率いて親のグラトニーに突撃を敢行する。
──その時、俺の身体の表面に当たっていた毒の霧の感触が消えた。
グラトニーの周囲に強風と言うほどではないが風が渦巻いているのを見ると、誰かが風属性の魔法を唱えてくれたのだろう、ありがたい。
「参る──!!」
正面から突っ込む俺に向かってグラトニーがその大口を開け、舌を伸ばしてくる。
ビョウ──!!
俺は右に倒れこむように身体を倒し、巨大な舌を回避する。
回避行動のおかげで50度以上傾いた今の体勢、そのまま地面に倒れこみ、回転しながら再び起き上がるというのが普通だが、あいにく蜥蜴人の俺はその普通をする必要は無い。
太い尻尾を3本目の足として扱い、右足と同時に踏ん張らせて傾いた身体を戻す。
長い舌を口内に戻したグラトニー、再度同じ攻撃をしようにもアレにはどうしても溜めが必要になる、俺は、舌を戻した反動で仰け反り無防備に晒された白い腹に三叉槍を突き入れた!!
ゾブ────ザシュ!!
「ゲゴオオオオオ!!」
左右の返し部分を含めて1メートル近くある穂先を中ほどまで埋めると、柄を広く持ってそのまま押し切る様に槍を水平にずらし、傷口を広げる。
そして、悲鳴を上げるグラトニーから飛び退くように離れると、そこへ後ろから突っ込んで来た3人が傷口へ向かって殺到する。
「────!?」
目の前に信じられない光景が映る。
横方向に圧し開いたおかげで2メートル近く裂けた傷口が、ゲンマ殿たちが着く頃には1メートルまで傷口が小さくなっている。
ジンが言っていたのはコレか、だとしても速過ぎるだろう?
改めてAランクモンスターの異常性に驚愕した俺は、不用意にもヤツから視線を外してしまうという致命的なミスを犯してしまった。
その報いか、俺の目の前には大きな舌が迫ってくる。今からでは、そしてこの姿勢では到底避けられない。
「ク──」
ここまでか? 俺はここで終わるのか!?
────バチン!!
「──────?」
その瞬間が来ることを予想し目を閉じていた俺は、何時まで経っても届かない攻撃に目を開けると、
「不用意ですよ」
キマイラ戦で見せた狼牙棒を手にしたリオンが、それを舌に巻きつかせる事で、寸での所で俺を救う。
リオンはそこから起用に狼牙棒を振り回し、巻きつけた舌を更にきつく巻きつけ、
「これで舌は封じました。緩めるために力を抜こうにも腹部の激痛がそれを許さないでしょう、今のうちに早く」
「感謝する!!」
俺はグラトニーの斜め後ろに回りこむと、その場で腰を落とし槍の穂先を下げる。
アレの回復力を考えれば新たに傷を作っても意味は無い、3人は前面の傷口を広げてはいるが、斬撃でついた傷は直りが早い、イヤ、3人の技量が高いからこそ傷口が綺麗で、その分治りも早いのだろう。高ランク冒険者でしか太刀打ちできない敵が、高ランクゆえの技の冴えが仇になるとは笑えぬ話だ。
ならばいっそ、回復不能の一撃をもってヤツを仕留めてくれる!!
グッ──
膝を落とし、尻尾をバネのように縮めながら石畳に付け、
(狙うはキサマの脳!)
俺は下半身のバネをフルに使い、ヤツの後頭部を目がけて矢のように跳び上がる!!
グリン──
しかしグラトニーは、俺の殺気に反応したのか腹の痛みを堪えながら、それでも俺に向き直る──
「──甘い」
キサマの向きなど関係無い、俺の飛び込む方向にソレがあるのなら、万難を排して突き進むのみ!
「──槍技、渦旋撃!!」
ゴウッ──!!
俺の手元に風が集まると、風は槍の柄とそれを握る俺の手の間に滑り込み、その竜巻の如き勢いで槍を回転させる。
握りから離れていながらそれでも槍を握る感触は存在する、そんな不思議な感覚と共にグラトニーの目玉──その先の脳天──に向かって槍を突き出すと、槍の一撃を防ごうとグラトニーは目を閉じ、油で覆われた滑る皮膚で対抗してくる。
──が、
「そんな薄い膜、ものの役に立つ物か!」
腹部や背中とは違い、目を覆う皮膚の厚さごときでは槍どころか斬撃すら防げまい。
ザシュウウウ!!
グラトニーの瞼は俺の槍が触れた瞬間周囲に千切れ飛び、硬い眼球も俺の渾身の一撃を防ぐ事かなわず──
「グエエエエエエエエ!!」
回転する穂先が脳をズタズタに引き裂いた瞬間、グラトニーは一際大きな声で哭き、仰け反るように身体を倒して絶命した。
「──ふぅ、なかなか滾る戦いだったな」
「お見事でした──」
リオンはそれだけ告げるとジンの元へ歩み寄る。
ジンとリオン、あの態度を見れば2人はどう考えても番か恋中にしか見えないのだが……どうにも違和感がある、なによりジンはリオンそっちのけで他の雌とよく話をしているし……。
「……ジン、先程あなたはまた私をあんなのと同列に見ましたね?」
「マジサーセン、リオンさん!!」
リオンは片手でジンの頭を掴んで持ち上げると、そのまま頭を締め付けている。
……ジン、怒らせるような何をしたというのだ?
そういえばジンよ、2度と会いたくないと言っていたお前の願いは叶わないと思うぞ。なにせ、戻る時にも出くわすだろうし、もう一度通るときにも待ち構えているはずだからな。
まあ俺はその都度、コレを食べる事が出来るから嬉しいのだが……。
「そういえばジン、コレは食えるのか?」
「──食べられますよ、見た目はアレですけど味は旨味が強いから姿さえ思い出さなければ……イタタタタタ、リオンさんギブギブ!!」
そうか、美味いのか。それは何よりだ──。
ザスッ──!!
40層で手に入れた三叉槍を水平に突き出すと、自分に向かって飛び掛って来た生まれたてのグラトニーの子供は、口に突き入れられた穂先を尻から出し、お手本のような串刺しの姿を俺に見せる。
クルン────フォン!!
ブチャアッ!!
そして槍を90度捻り、剣に付いた血糊を払うように槍を振りぬく。
遠心力で外へと離される子蛙は逆向きにも付いている三叉の刃で縦に両断され地面に叩きつけられる──しまった、せっかくの肉が……。
「……ウム」
新しい武器を体に馴染ませるため、地上では幾度と無く振り回し型をなぞりはしたが、やはり実践に勝るものはない、小物とはいえ敵の身体を貫き命を奪う、この通過儀礼なくして武器との一体感は手に入ることは無い。
オーガの上半身が短槍の様に扱っていたこの槍──標準的なトライデントと違い、方天戟のように後方にも剣身が伸び、全てが刃となっている──は、人間族には不釣合いな大きさだが蜥蜴人である俺には実に丁度よいサイズだ。
そもそも蜥蜴人に釣り合う槍を作ってくれる職人は少ない、獣人種で槍を好んで使う種族は少いからだ。
そこへゆくとこの槍は、まるで俺の為にあつらえた様にしっくりと馴染む。
蜥蜴人の中でも大柄の部類に入る260センチの身体とのバランス、握りこむ柄の太さ、構えた時に太い尻尾が存在する我等の、他の種族とは違う重心の位置まで考慮された重量バランス、全てが素晴らしい。
この槍は我が将来の相棒となるだろう、この出会いをくれたイズナバール迷宮には感謝しか無いな。
「ゲゴオッ!!」
「遅い──むっ?」
左から飛び掛る子蛙に向かって背面からの逆薙ぎを仕掛けるが、
グニュウ
刃は通らず子蛙は「グエエ」と潰れた鳴き声を上げながら弾き飛ばされる。そして
「キャアアアアアア!!」
……すまぬシュナ殿……イヤ、本当にすまない。
なるほど、剣では分が悪いとはこういう事か、表面を覆うの油が斬撃の効果を弱めるため、矢や槍のような武器で先ず傷を作り、そこから傷口を広げなければなかなか倒せんと言う訳だな。
ならば俺の槍が一番の適任という事か、ジンが散々俺にむかって体力を温存しろと言っていた訳が理解できた。
「ジンよ! アレはどう戦えばいいのだ!?」
「ルフトさんが体験したとおり、アレを相手に斬撃は有効じゃありません。いや、体重が軽い分子蛙には通用しないかと。ただ、サイズが小さいのでそいつ等は他のメンバーに任せてルフトさんは文字通り一番槍をあのデカブツにお願いします」
「それだけで勝てるのか?」
「一度キズをつける事が出来ればその傷口を広げる事は難しくありません。なのでルフトさんはとにかく傷口を増やしてください、傷口を広げる役はゲンマさん達に任せます」
ふむ、なんとも的確な助言だな……。
「それから、表面の油は切り傷を塞ぐ効果があるので攻撃は間をおかないように!」
「詳しいな!」
「詳しくなんかありませんよ、ソイツにあったのはこれで3度目です。出来れば2度とゴメンですけどね!!」
ジンよ、その若さでAランクモンスター、しかもこんな珍しい相手に今まで2度遭遇しているというのはどんな人生なのだ……?
普段なら上手く誤魔化すところを真正直に答えている、よほどコイツが生理的に嫌いなのだろう、見るからに美味しそうな相手なのだが……シュナ殿や他の女性陣も悲鳴を上げている所を見ると、人間族はカエルが怖いのだろうか? そんな話は聞いた事無いが。
まあよい、
「了解した! ゲンマ殿、穴は俺が開けるので広げるのはそちらにお任せする。オルバもガリュウも頼んだぞ!!」
「「応──!!」」
俺はゲンマ殿と、パーティメンバーの剣士と斧使いを率いて親のグラトニーに突撃を敢行する。
──その時、俺の身体の表面に当たっていた毒の霧の感触が消えた。
グラトニーの周囲に強風と言うほどではないが風が渦巻いているのを見ると、誰かが風属性の魔法を唱えてくれたのだろう、ありがたい。
「参る──!!」
正面から突っ込む俺に向かってグラトニーがその大口を開け、舌を伸ばしてくる。
ビョウ──!!
俺は右に倒れこむように身体を倒し、巨大な舌を回避する。
回避行動のおかげで50度以上傾いた今の体勢、そのまま地面に倒れこみ、回転しながら再び起き上がるというのが普通だが、あいにく蜥蜴人の俺はその普通をする必要は無い。
太い尻尾を3本目の足として扱い、右足と同時に踏ん張らせて傾いた身体を戻す。
長い舌を口内に戻したグラトニー、再度同じ攻撃をしようにもアレにはどうしても溜めが必要になる、俺は、舌を戻した反動で仰け反り無防備に晒された白い腹に三叉槍を突き入れた!!
ゾブ────ザシュ!!
「ゲゴオオオオオ!!」
左右の返し部分を含めて1メートル近くある穂先を中ほどまで埋めると、柄を広く持ってそのまま押し切る様に槍を水平にずらし、傷口を広げる。
そして、悲鳴を上げるグラトニーから飛び退くように離れると、そこへ後ろから突っ込んで来た3人が傷口へ向かって殺到する。
「────!?」
目の前に信じられない光景が映る。
横方向に圧し開いたおかげで2メートル近く裂けた傷口が、ゲンマ殿たちが着く頃には1メートルまで傷口が小さくなっている。
ジンが言っていたのはコレか、だとしても速過ぎるだろう?
改めてAランクモンスターの異常性に驚愕した俺は、不用意にもヤツから視線を外してしまうという致命的なミスを犯してしまった。
その報いか、俺の目の前には大きな舌が迫ってくる。今からでは、そしてこの姿勢では到底避けられない。
「ク──」
ここまでか? 俺はここで終わるのか!?
────バチン!!
「──────?」
その瞬間が来ることを予想し目を閉じていた俺は、何時まで経っても届かない攻撃に目を開けると、
「不用意ですよ」
キマイラ戦で見せた狼牙棒を手にしたリオンが、それを舌に巻きつかせる事で、寸での所で俺を救う。
リオンはそこから起用に狼牙棒を振り回し、巻きつけた舌を更にきつく巻きつけ、
「これで舌は封じました。緩めるために力を抜こうにも腹部の激痛がそれを許さないでしょう、今のうちに早く」
「感謝する!!」
俺はグラトニーの斜め後ろに回りこむと、その場で腰を落とし槍の穂先を下げる。
アレの回復力を考えれば新たに傷を作っても意味は無い、3人は前面の傷口を広げてはいるが、斬撃でついた傷は直りが早い、イヤ、3人の技量が高いからこそ傷口が綺麗で、その分治りも早いのだろう。高ランク冒険者でしか太刀打ちできない敵が、高ランクゆえの技の冴えが仇になるとは笑えぬ話だ。
ならばいっそ、回復不能の一撃をもってヤツを仕留めてくれる!!
グッ──
膝を落とし、尻尾をバネのように縮めながら石畳に付け、
(狙うはキサマの脳!)
俺は下半身のバネをフルに使い、ヤツの後頭部を目がけて矢のように跳び上がる!!
グリン──
しかしグラトニーは、俺の殺気に反応したのか腹の痛みを堪えながら、それでも俺に向き直る──
「──甘い」
キサマの向きなど関係無い、俺の飛び込む方向にソレがあるのなら、万難を排して突き進むのみ!
「──槍技、渦旋撃!!」
ゴウッ──!!
俺の手元に風が集まると、風は槍の柄とそれを握る俺の手の間に滑り込み、その竜巻の如き勢いで槍を回転させる。
握りから離れていながらそれでも槍を握る感触は存在する、そんな不思議な感覚と共にグラトニーの目玉──その先の脳天──に向かって槍を突き出すと、槍の一撃を防ごうとグラトニーは目を閉じ、油で覆われた滑る皮膚で対抗してくる。
──が、
「そんな薄い膜、ものの役に立つ物か!」
腹部や背中とは違い、目を覆う皮膚の厚さごときでは槍どころか斬撃すら防げまい。
ザシュウウウ!!
グラトニーの瞼は俺の槍が触れた瞬間周囲に千切れ飛び、硬い眼球も俺の渾身の一撃を防ぐ事かなわず──
「グエエエエエエエエ!!」
回転する穂先が脳をズタズタに引き裂いた瞬間、グラトニーは一際大きな声で哭き、仰け反るように身体を倒して絶命した。
「──ふぅ、なかなか滾る戦いだったな」
「お見事でした──」
リオンはそれだけ告げるとジンの元へ歩み寄る。
ジンとリオン、あの態度を見れば2人はどう考えても番か恋中にしか見えないのだが……どうにも違和感がある、なによりジンはリオンそっちのけで他の雌とよく話をしているし……。
「……ジン、先程あなたはまた私をあんなのと同列に見ましたね?」
「マジサーセン、リオンさん!!」
リオンは片手でジンの頭を掴んで持ち上げると、そのまま頭を締め付けている。
……ジン、怒らせるような何をしたというのだ?
そういえばジンよ、2度と会いたくないと言っていたお前の願いは叶わないと思うぞ。なにせ、戻る時にも出くわすだろうし、もう一度通るときにも待ち構えているはずだからな。
まあ俺はその都度、コレを食べる事が出来るから嬉しいのだが……。
「そういえばジン、コレは食えるのか?」
「──食べられますよ、見た目はアレですけど味は旨味が強いから姿さえ思い出さなければ……イタタタタタ、リオンさんギブギブ!!」
そうか、美味いのか。それは何よりだ──。
10
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません
きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」
「正直なところ、不安を感じている」
久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー
激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。
アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。
第2幕、連載開始しました!
お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。
以下、1章のあらすじです。
アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。
表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。
常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。
それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。
サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。
しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。
盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。
アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。