聖女召還って言ったでしょ!?~なんだか愛が複雑過ぎませんかね?~

meeero

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聖女召還

よん☆神聖な空間で

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「………」

「………」

私は、逃げる事も出来ず、お兄さんは、喋ることもせず、ただひたすらに文字を追っている。

「……あの、エウレンティリカ様ってなんですか?」

無言に耐えきれなくなった私は、前を向いたまま聞いてみた。

「主神だ。」

今度は返事をくれた。あれ?無視されてたんじゃないの…?

「主神、」

「我々の信仰神の頂点におられる方だ」

「へぇ…キレイな女神様ですね」

どうやら、会話してくれるみたい…

「主神エウレンティリカは、女神などではない」

「え!?すみません…あまりにもキレイなお顔だったので…勝手に女性かと…」

「主神は、無性別だ。男にも、女にも、何者にもなれる」

なんと!この世界の神は性別無いの!?

「へぇえー!無性別…珍しいですね」

「そうか」

お兄さん、余り無駄話はしないタイプなのかな
簡潔的だけど、返事をくれる。

「何教って言うんですか?」

「………なんだ、それは。」

「え?信仰してる宗教の名前、なんて言うんですか?」

「………ふむ、……信仰に名前など無いが、」

「えっ!キリスト教とか、イスラム教とか、仏教とか…名前、無いんですか?」

「無いな。その宗教とは、何なのだ?」

お兄さんは本から顔を上げた
え、その概念無いの…?この世界。興味津々じゃない、お兄さん。

「ん、と、私も詳しくはないんですけど、神様を信仰している事自体を指すと思うんですけど…信仰してる神が違うと、教えも変わってくるので…それぞれに、私の信仰している神様は、この人です。ってわかりやすいように名前、あるんです。」

「なるほど…神毎に、教えが変わるのか」

「そうですね。」

「神は多く居るが、教えが変わることは無い。基本は皆、一緒です」

「一神教で、統一されてるんですね…じゃ、宗教戦争とか、無いんだ……」

「ちょっと待ちなさい、これを持っていなさい。」

へ、お兄さん急にビー玉、みないなの渡してきた。

「なんですか?これ。」

「良いから握り込みなさい。」

あ、はい。
私があまりに指遊びし過ぎて見てられなかったのかも…
ぎゅっと握った。そりゃもう、ぎゅっと。

「宜しい。では、宗教戦争とは何なのだろうか」

「それぞれの信仰を掛けて戦争、するんです」

「なぜなのだ」

「んー、自分たちの信仰している神様を唯一の神にするため…?かな…」

「なぜそれで、人々が争う事になるのだ?神が自分たちで争うだろう」

「え、神様、居るんですか?」

「居るだろう。神が信仰せよ、と言われたのだ。」

「なるほど…」

「それで、なぜ信仰を掛けて争うことになるのですか」

「えっと…」

あんまり、私は別の世界から来ました~とか、言わない方が良いよね…?

「あの、私の国では、様々な信仰宗教があるんですけど、そのどれも基本的には、争う事を禁じてるんです。」

「それなら、なおおかしいでは無いのだろうか?」

「そうなんですよね…でも、私の国は神様なんてきっと居ないんです。」

そう。居ないのだ。神様は。
お兄さんは、ふむ、と何か考えてる

「もしかしたら居るのかも知れないけど、誰も見たことも無いですし…心の寄り処としてだったり、正しく人生を歩む為に初めはあったんだと思います。だけど、長い時間をかけてそれが段々と大きな団体になると、色んな人が居るから、そうなると、お互いが自分たちの神が正しいのだ!我々の神こそ唯一なのだ!って…」

「さも在りなんな。」

「はい。なので何個かの宗教が、その神が生まれた所…聖地って言われてるんですけど、その土地が一緒だったことで、聖戦という大義名分で聖地をめぐった争いだったり、元は1つの信仰だったはずなのに、大きくなったことで、派閥が出来て…自分たちの都合が良いように聖書や聖典を、解釈して、己が正しいのだ、と内輪揉めを起こしたり…そうして争うんです。」

ふぅ、と息を吐いた。
お兄さんは前を向いていた。

「なるほどな。神を感じられないから、こそ、な話だな」

「そうなんです。ごく一部の人が、自分たちの人生に、自分たちの意思とは関係の無いような、奇跡としか言えないような体験をすると、まるで神と遭遇したような感覚になって、熱狂的になるんです。熱心なひとが周りにはなしたり、話を聞いて感化したり、過激な人が他者を良いように扱いたいが為にその思いを悪用したり、なんか色々複雑化しちゃうんですよね」

「神を感じれないといささか大変な様だな」

「どこも根本は変わんないと思うんですけどね…善があって、悪があって、どのように生きていけば良いのかって。だけど、あまりにも長い時間があってしまったから、誰も最初に教えを説いた人が本当はどんな理由で、どんな意味があったのか、ってのが分からないんです。大昔の…今は使われてない言葉も多いので…だいたいは大まかに解釈はされてるけど。だから余計に都合良く解釈できちゃうんです。」

「そうなるとあなたの国の信仰は、だいぶ発展途上なのでしょう」

「どうなんでしょう…私は何も信仰していなかったので…多分そうなのかなーって、遠巻きでした。」

「…信仰していたら、あなたの所属する信仰が完璧である、と感じて居ただろう。信仰して居なかったからこそ、見えるものも在るのですよ。また逆もしかり、ですがね」

「そうなのかもしれませんね。なんで、この国に神様が居るって判るんですか?」

「神がそう作ったのだから、判って当然で在ろう。その存在を近くに感じる事もあるのだから」

「へぇ、神様との距離が近いですね」

「距離は遠い筈だ。余りこちらに降臨することは滅多に無いのだから。」

「そんな降臨までしちゃうのか…」

「待ちなさい。その様な事は滅多に無いと言ったでしょう。前回降臨されたとされているのは、確か1200年前の一回きりだ」

「たった一回でも確かに降臨なされたんですよね?多くの人が見ちゃったり?」

「そうだな」

「なら、遥かに凄いですよ。私の国は一回たりとも無いんですもん!」

「ゼロに比べたら確かにそうであるようだが…」

それから、お兄さんとなぜかべらべらと色々喋ってしまった。宗教の話から派生して、価値観の話や、倫理観、育った環境、私のこれまでの生活とか言わなくても良いものまで喋った。あと、ここに来てからの愚痴も当たり障りの無いよーに、ちょっとだけ溢した。お陰で、スッキリした。めちゃめちゃ聞き上手だし、質問にも的確で、簡潔に答えてくれる。気になった事をお互いに聞きあって、私のハチャメチャな説明でも確実にまとを得て理解してくれる。凄い頭良いんだろうな。この人…

「で、ハゲの上司がセクハラしてくるんですけど、後2年でヤツも定年で居なくなると思うと、反撃しにくかったんですよね…微妙なおさわりだったので」

「待ちなさい、セクハラとは何だ」

「あぁ、セクシャルハラスメントです。例えば、お尻触るとか、胸のサイズは?とか聞いてきたり、下心ある状態ある無しに関わらず、相手の性を不本意に侵害する様な行為?をする事。なので、相手が人権を無視し、性的に接収してきたと感じたら、セクハラと認定出来て……」

白熱した談義だったであろう。個人的には。
そんな説明をしてると、遠くで「ナスカ様ー?」と、リュンデルさんの声が聞こえた。

「やだ、リュンデルさんが探してる…私、行かないと…」

「おや、結構な時間が経って居るようだ。」

「色々、うるさくしてすみませんでした。」

「いや、大丈夫だ。私も、なかなかに楽しんだ」

いつの間にか、腰が復活していたので、さっと立った。

「あ、そうだ、コレ、お返しします」

ビー玉を返した。結局、コレ何だったんだ…

「あぁ」

久しぶりにいっぱい話せたし、静かな雰囲気もなかなか良かった…また来たいな。

「あの、ここってまた来ても大丈夫何でしょうか…」

「なぜ、私に許可を得る必要が有る。開いているときならば、好きに来れば良いではないのか?」

やっぱり、神官長って人じゃ無いのね…彼は。

「………はい。じゃあ、また来ます。」

「そうか。もう行きなさい」

「はい!じゃあ、さようなら」

私がそう言ったのに、また本に目を通しはじめて返事は帰ってこなかった。
もー!あんなに喋ったのに!最後の最後で、ツンツンですか!?

外に出るとだいぶ日が傾きかけていた。リュンデルさんが、「ご心配致しましたよ!」と合流早々に心配そうに言ってきた。私は、謝り倒して、ずっと簡易教会の中に居たことを報告した。

「お気に召したのですね?良うございました。では、またお行きになられると宜しいかと」

と、微笑んでくれた。

「はい!また行きたいです!彫刻、とってもキレイで、いつまで眺めてても飽きませんでした」


うふふ、おほほ、とリュンデルさんと2人で微笑みあっていた私は、教会のお兄さん、彼がこちらをじっと見ている事に気が付かなかった。




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