公爵令嬢の婚約破棄

meeero

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サーラは怒っていた。

一週間振りに、メイア家にドレス製作の為では有るけどエリザベスと会えると喜んで居たのに…

今年18になるサーラは、メイア公爵家の末娘エリザベスと同い年で元々メイア家に古くから家の商いを懇意にして貰っていた為平民では有るけれど、幼なじみである。

そんな彼女がサーラは大好きで…最近は忙しく、大変な中でも週に一度でも、少しの時間でも…と、僅かな時間を見つけ会いに来るのだ。
それなのに、ここ一週間、変な話で持ちきりになっているではないか。

(もしも…もしも、婚約破棄がホントにあったとしても…なんでこんなにも噂になってるのよっ!)

ヤキモキしながらこの1週間を過ごした。
本当ならば、仕事も、全てを放り出して直ぐにでもエリザベスの元へと駆けつけたかった。それを堪えたのは、エリザベスがサーラが全てを放り出した、と知ったら怒るからだ。

「エリザベスさま、エリザベスお嬢様、開けて!」

サーラはエリザベスの私室の前まで来て、ドアをノックした

「……………サーラ…あぁ、今日だったのね…」


やつれたエリザベスがそっとドアを開けた。

「エリー!!!あぁっ!やつれてるっ!」

「…………そう…」

どこかぼんやりと、空を見つめるエリザベスにサーラは悲しくなった

「エリー…何があったの…?」

「………………聞いたのでしょう…?」

「聞いたよ。でも、私はエリーの言葉で聞きたいの。エリーが今、どんな思いなのか…悲しみも、喜びも2人で分かとう…エリー、知ってるでしょ?アタシは、どんなことがあってもエリーの味方なの。エリーがそうしてくれたようにね。」

「サーラ……」

エリザベスの瞳から、大粒の涙が溢れた。

「やだ!ももも、もちろんエリーが喋りたくなったらでいいの!むっ、無理に聞きたいわけじゃないのっ!ね?泣かないで、エリィ~」

ぎゅと抱き締め、自分まで泣くサーラ。
サーラはエリザベスの涙に弱い。エリザベスは、サーラにとって女神様で、憧れ、愛情、尊敬、全てを掛けても守りたい存在なのだ。

幼い頃、平民ではお金がある為嫌煙され、貴族には平民の癖にと邪険にされ
貴族にも、平民にも何処にも馴染めなかったサーラは1人孤独に泣いていた。
そんなサーラを唯一、友達として接してくれたのがエリザベスだ
メイア家のお抱え商人で、たまたま風邪を引き寂しい思いをしているだろう、と父がメイア家に仕事に赴いた時サーラをエリザベスと引き合わせた
「イグイット、あなたの子どもさん?ふふっ、可愛いこね!わたくしは、エリザベス。あなたは?」
サーラは父の背に隠れていたのに、エリザベスはベッドに横になりながら微笑んでくれた
なんて可憐で、美しいのか、幼心にサーラは魅了された。
父の仕事が終わるまで、サーラとエリザベスは一緒に居た。邪険にされると思ったのに、エリザベスはそんなことしなかった。エリザベスと仲良くなりたかったサーラはいっぱい、いっぱい喋った。
エリザベスが、平民の子はどの様に遊ぶのかがしりたいと言った為、サーラには友達が居ないので、窓の外で遊んでいた子達の様子を自分の事のように話したりした。
その話に、エリザベスは喜んでくれた。
その後からはメイア家に連れて行って貰えるたびサーラと会うたびに、エリザベスから笑顔で話し掛けてくれるようになった。サーラは涙が出るほど嬉しかったのだ。

ある時エリザベスに招待され、メイア家の茶会(子供だけのお遊びだが)に参加した。多くの子供たちが居たが、平民はサーラだけだった。その時、サーラは男の子達に影で虐められた。エリザベスに知られないように、なんとか何事も無かったかの様に振る舞ったが、女の子達からも陰口を叩かれた。
なんて陰湿なんだろう、とサーラは庭の隅、誰も居ないはずの場所で泣いていた。そこに、エリザベスが来たのだ。
ただ、何も言わず、泣き止むまで隣で手を握ってくれた。しばらくして
「サーラを虐めた子たちは、もうお友達じゃないわ。もう、あの子たちにサーラは会わさせないわ!」
とにっこり笑った。「どうして…?」と困惑してサーラは尋ねた
「だって、サーラは、わたくしの大事なお友達よ?当たり前じゃない!わたくしの一番のお友達は、サーラですもの!」
と、それを機にエリザベスをエリーと呼び始め、お互いに、身分関係ない存在になったのだ。サーラは、その時の、エリザベスの強さ、心の広さに崇拝に近い感情を覚えたのだ。

「サーラ、あのね、私…」

エリザベスがポロポロと泣きながら、夜会で何があったのか話してくれた。

「うん、うん、」

サーラも泣いていたが、優しく、エリザベスの涙を拭った

「そんなことがあったのね…エリーの婚約者だった人って、確か、リュンデル公爵の次男マリオットだったよね…?」

「ええ、そうよ…サーラ、様を付けなきゃ…」

エリザベスが困ったように、叱るように言う

「いいのよ!あんなくそ男!!エリーも様とか付けちゃダメよ!敬意払う必要無くない!?………はっ!!!もしかして、エリー、まだマリオットが…!?」

ぷりぷり怒ったサーラはサーッと顔を青くした

「ふふっ、いいえ、もう彼の事は…元々、上手く行っていなかったのよ。我慢していたのだけれど、最近は、少し辛くなってて…婚姻しても、さらに酷くなる未来しかみえ無かったらから、破棄でも、無くなって実はホッとしたの…そうね…マリオットなんかに様って勿体ないわね…」

エリザベスは、にやり、といたずらっ子の様に笑った。

「…!!そうよ!今誰も見てないし!……見てないよね?」

サーラは強気に言ったが、キョロキョロと部屋を見渡した。ついうっかり暴言を聞かれたら、メイドからメイド長へ話が行き、エリザベスと2人、メイド長にこってり絞られるのだ。

「ぷっ!」「ふふっ!」

どちらからともにふきだした

「「あはははは!!!」」


部屋の外でそっと話を聞いていた、メイア家の面々、当主の父と、母、兄二人、それにメイド長、執事は安心した。

「良かったわ…エリー笑って居る」

「そうだな。」

ホッと父と母は顔を見合わせた。

「サーラに1番に向かわせて良かったよ。可愛い妹があんなに落ち込んで居たから…僕は、心配で心配で…」

「そうでございますね、サーラ様はには感謝してもしたりません」

「では、そろそろ私共も、行きますか…?」

皆、微笑み合い、その場を離れることにした。

「俺もリュンデル家に敬意払うの辞めよ~っと」

それぞれが話ながら歩きだしたことろに、次兄はそう言うと口笛を吹き歩きだした。「私もそういたしましょうかしら」と母が同意

「………………………そうだな」

口数の少ない父、ガブリエルもそっと同意した。
メイア家は、誠意を大切にしている家系なのだか、今回の破棄で、現状両家で揉めた。ガブリエルが同意したことで、聞き耳を立てた執事、メイド長共に今後、メイア家は全てにおいて不躾と言われようとリュンデルに敬意を捨てることにした。

ーーエリザベスに心配を掛けまいと本人には誰も、何も言わなかったのだが、余計にエリザベスが塞ぎ込む要因となってしまって、皆で頭を抱えて居た。
そこへ、サーラが登場だ。ドレス製作もそこそこに、ウロウロとしていたガブリエルはサーラをしどろもどろとしながらエリザベスの部屋へ行くようにと言った

(サーラと、引き合わせて良かった。出来た良い友だ。)

ガブリエルは、顔が怖く、口数も少ないが、子煩悩で愛妻家だった






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