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しおりを挟む「ねぇ、エリー、思うんだけどさ…マリオット、あいつって、次期公爵に指名されたの?」
「んー、その様な話は私は聞いたことが無いけれども…もしかしたら、あちらの家の中ではすでに公言なされたのかも知れないわね…」
サーラとエリザベスはお互いに目をパンパンに晴らした顔をしながらお茶を飲んでいた
「え?それっておかしくない?エリー婚約者だったのに知らないの?」
「婚約者、と言えどまだ私はメイア家の娘ですもの」
「ご長男を差し置いて、あれが跡取りねぇ~…?」
「ふふふっ、サーラ言ってはいけないわ…ふっ」
「何よ、エリーだって笑ってるじゃない」
「だって!ふふふふふ…!」
マリオットはお世辞にも賢いとは言い難い。その為、次期公爵に内定してると言われれば…
崖を落ちるが如く衰退しそうだ。
サーラは常々なぜ、アタシのエリーがあんなアホと婚約なんかっ!
と、自室で枕を殴打しまくっていた
「まぁ、ですが、ご長兄のパトリック様は、なにぶんお体がお強くないそうですし…もしかしたら、あり得るかも知れないわ」
「ふぅん……?ま、私なら絶対辞めとくね。あんなアホに家督継がせるなら有能な親戚か、旦那なんかとらずにそこら辺の丁度良い男と子供こさえて1人でやるわ。」
サーラはぺろりと舌を出しながら指で卑猥な仕草をした
「まあ!サーラそれはダメよ!後継者を1人で育てるだなんて!ぷっ!あはははは」
サーラは、エリザベスからどんな相談をされても良いようにそれなりに男女問わず恋愛と言うものをしてみたりした。知識が付き、色々とエリザベスにお年頃の相談をしてもらえた時は、ものすごい幸福感だった。
残念な事に、お相手の事を好きではあったがエリザベスより好きになることは出来なかった。その為、お別れしてしまったが…唯一有難い円満破局で、皆今でも交流がある。
お陰で年頃になった今では、メイア家の面々にバレないようにこっそりエリザベスに卑猥な小説など横流ししている。
「それにしても、ホント下らないよね、お貴族様の噂話は!」
「やっぱり、噂になっているのね?」
「ええ。そうね、あいつら全員暇なのよ。絶対!!下働きで使ってあげようかな?どう思う?エリー」
「サーラ!ふふふふふ」
「もー!エリー笑いすぎぃ!ホントだって!下級貴族で、領地も良くも悪くもない、最悪領地無いようなビッミョーな家ばっかだもん!ほんっとやんなっちゃう!」
「と言うことは、あまり家に影響が出なさそうかしら…」
エリザベスが塞ぎ込んでいた1番の原因が、メイア公爵家に傷を、迷惑を掛けてしまう、ということだった。
「んー、今のところは無いと思うよ!上級貴族と、下級貴族の関わりあんまり無いし、影響力そんなないと思う。やっだ!このお茶菓子おいしっ」
「…良かった。ふふっ、サーラあまり食べるとお夕食食べれなくなるわよ?」
「知らないの?甘いものはベツバラなのよ~」
ほっとした表情をし、窓を眺めたエリザベス
お菓子に夢中なフリをしていたサーラはチラリと盗み見た。
(………エリー………)
「あっ、そう言えば、あなた今日ドレスの製作で来たんでしょう?」
ジトリとサーラを見る、クリーム色の優しい瞳。
その瞳は光の加減で、緑にも、青にも、暗いところでは灰色に見える不思議な、美しい瞳だ
キラキラと輝くその目をサーラは好きだ
「終わったわよ?アーーっと言うまにね。ほんっと、エリーのパパったら、エリー大好きよね」
「お父様?今日はお父様の衣装は無かった筈よね?」
「もー、後ろでドレス見てるふりして、行ったり来たり、行ったり来たり。挙げ句に咳払いしてアピールスゴかったんだもん!」
「お父様ったら!ふふふ」
この親子も、かなり前まではギクシャクしていた。
エリザベスはメイア家の待望の女の子。特に当主のガブリエルが望んで居た。
だけど当の本人は無口で、それに加え、自身の兄弟は皆男ばかり4人。赤子の時は良かった。だが年を増すごとに、どう接して良いか分からず、だがカッコ良く見て欲しい、と拗らせエリザベスに怖がられていた。
「サーラは良いな…お父様とお話出来て…」
とエリーに溢されてから、サーラはガブリエルとの内緒話を全てバラした。ガブリエルとの約束など知ったことではない。
「エリー、ご当主さまに、前に言っていたあれ、これが欲しいってこっそり、奥さまに聞かれないようにお話してみて?」
「ええ!?お父様に?無理よ!」
「大丈夫、大丈夫。相談だって言って、どうしたら良いか?って相談だけするのよ?」
「……分かったわ」
自分の馬が欲しかったエリザベス。だけど、ほとんどの女性は自分の馬など持たず、男性に乗せて貰うだけ。サーラに言われたようにこっそりと相談した。
愛娘の、初めてのおねだりに嬉しさが爆発したガブリエルは、息子達に馬を買い与えた。そのついで、と、ばかりにエリザベスにも子馬を与えた。
それでは止まらず、妻エルザベートとエリザベスが楽しめる様に、と領地に広場を作りそこに犬、ネコ、ウサギ、馬、美しい花々と次々にそこへ搬入し触れ合える様にした。
サーラの家の商会もずっぽり関与して。
今ではそこは、動植物園として一般公開し(もちろん有料)、首都からも赴くほど人気のスポットになっている。名前は、エルザエリサ動植物観賞広場。当主の愛が詰まったそこは、人気のデートスポットだ。
閑話休題。
とにかく、それからサーラは、当主とどんな会話をするのか(主にエリザベスの好みや女の子が欲しがる物は何かを聞かれる)、どんな事をエリザベスに当主が求めているのか(主に甘えて欲しい、エリザベスの可愛さを表現出来る服がまだこの世に無いだの)をエリザベスに筒抜けにした。
それからエリザベスはガブリエルが可愛いお父様に見えたそうだ。
関係も、前よりずっと良くなった。
ガブリエルが言っていた、カッコ良い父の像では無いけど、ご愛嬌だろう。とサーラは思っている。
「エリー、ご当主様にカフスとか何かプレゼントする?」
「まぁ!良さそう!それでは、皆にプレゼントしたいわ!お母様には、お揃いの手袋かしら?お兄様達には何がよくって?」
「んー、ミカエル様は万年筆とか?ラファエル様は…耳飾り?」
「素敵!」
「じゃ、アタシ準備しとくね!素敵な物が最近入ったの!それをいくつか持ってくるわ」
「では、何時にしましょうかしら…」
「今回のドレスもうすぐに仕上がるから…明日でも持ってこれるわよ」
「そんなに早く!?サーラ、無理してない?良いのよ?ゆっくりでも…」
「大丈夫よ!丁度今月末まで忙しく無いの。どれも納品が終わって、また次のご注文はしばらく無いでしょうしね」
「なら…お願いしちゃおうかしら」
「もっちろん!やーん、明日楽しみ!じゃ、そろそろアタシ帰ろうかな」
ぺろりと指を舐め、サーラは席を立った
「サーラ、ありがとう。楽しかったわ」
「いいえ、何時でもエリザベス様の為にお開け致しますので!では、失礼します」
「ええでは、明日頼みました」
お互いに微笑み合い、サーラは後にした。
途中、ご家族に挨拶した時「ありがとう」とそれぞれに告げられた。
それに微笑みだけを返し、明日また仕上がったドレスを持ってくることを伝えた。
外で待たせていた馬車に乗りメイア家を後にした。
「あのクソ男…エリーを傷付けやがって…許さない。」
エリザベスは言わなかったが、一緒に居たと言う女狐も許さない。と、サーラは冷たい目をした
「ボス、お辞めくださいよ。怖いんですよ、顔。胃が痛くなりそうだっての…」
中で待っていたサーラの部下ルークがこれ見よがしに胃をさすりながら言ってきた。
「うるさいわよ」
サーラは、ボスンと横にあったクッションを投げつけた
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