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第六章 ダンジョン編
第95話 とんでもないメンバーと罠
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ダンジョン3の頂上である第1層にいるA組(ワイルド・レオ+トウマ)の4人は順路の坂道を下った。順路の降り口では木々が下に見えていたが周りはもう林の中といった感じだ。
チナは周りを見渡しトウマに話しかけた。
「モンスター出たらトウマが倒すにゃ。
ボクのメイン武器は弓にゃ。矢は30本しかないからあまり使いたくないのにゃ」
「分かりました」
チナは弓が得意なのか。
腰にぶら下げてる猫の手みたいなグローブが気になったけど。
肉球ついてるし、モフモフだし、それじゃモンスターは倒せないよな?
アクセサリーってやつ? 猫好き過ぎでしょ。
お、さっそくスライム発見!
トウマは素早くスライムを倒した。
「おー、やるね~」
「ヒュー、ヒューにゃ!」
いつもロッカに先越されるから急いじゃった。
お、レオの足元に近づくスライム発見!
「レオ、左下!」
すると、レオは武器を使うことなくスライムを踏みつけた。
スライムが霧散していく・・・。
「は? そんなんでスライム倒せるの?」
「核を潰せばいいだけだろ? 堅いわけでもねーし」
「レオってスライムの核の位置分かるの?」
「勘に決まってるだろ」
おいおい、いきなり常識を覆された気分だ。
でも今のでハッキリしたことがある。
核と魔石は別物だということだ。
レオは核を踏み潰したみたいだけど、魔石は別の所に落ちた。
聞いてはいたけど今ので確信できたな。
そのあとトウマはレオのマネをして見つけたスライムを踏みつけてみた。だが倒せない。スライムは動くし襲ってくる。踏みつけるのも簡単じゃない。
トウマはスライムの攻撃をかわしつつ違う場所を踏みつけた。倒せない。もう手当たり次第踏みつけた。これでもかってくらい。小さなパキッという音が鳴ったあと、スライムは霧散していった。
「倒せたー!」
「斬ったほうが早くね?」
御もっとも。
「なんでレオはあんな簡単に踏みつけられたの?」
「そりゃ、威嚇して一瞬動きを止めたところをドンとな」
あー、レオがスライム踏みつける前に鳥たちがバサバサ飛んでったな。
あれ威嚇したんだ。
てか相手が動き止めるほどの威嚇って何だよ。人間技じゃねーだろ。
特殊個体? 人外?
レオはそういう領域に踏み込んでいるんだ。
いつかレオと肩を並べられるくらい強くなりたいな~。
トウマはクルーロの武器にも興味を示した。クルーロは普通の1スロットの剣を腰にしている。
多分、あれ三等級の剣だよな?
博士と契約してるんだし、クルーロの剣はメイン武器じゃない?
前を歩きだしたから気づいたけど腰裏に着けてる武器が気になる。
長さ的にかなり短いからロッド?
クルーロが振り返った。
「トウマ、これ気になる?」
え、俺の視線を感じたの?
そんなにジッと見てたのか~。
「それロッドですか?」
クルーロは武器を鞘から抜いて見せてくれた。
それは棒というより大きい釘のような先の尖った武器だった。
「ロッドと言われればロッドだね。俺命名、『ヴェアリアスロッド』。
これ一本で真魔玉【赤】、【青】、【緑】を交換可能にしたロッドさ。
因みに俺専用武器だから他にはない一品物だよ。
トウマが怪我したら俺が癒してあ・げ・る」
クルーロが言うと気持ち悪いんですけど。
「【緑】は癒しのロッドと変わらない効果だけど、【赤】と【青】は少し違う効果かな。ま、通常は一緒と思っていい」
「へー、一本のロッドで3種使えるんだ。そっちのほうがいいですね」
「俺考案の武器だから他のやつがこれを活かすのは難しいかもな~。
俺は博士の構想を超えたのさ。何しろ天・才だからな。
実際作ったのは博士だけどね、あはは。
これを使えるようになるとしたらバンが一番近いかな~。
ま、手強いモンスターでも出たら見せてあ・げ・る」
そのためて言うやつ流行ってんの?
天才とか何かロッカみたいなこと言ってるし。
突然、チナが騒ぎ出した。
「あー! 猫ちゃん発見にゃ! かわいい~、くない!
うわっ、爪猫にゃ。ここで会ったが百年目! 同胞の敵!
闘技場ではガマンしてたけど許さないにゃー!」
「あ~、始まっちゃった」
「フン、猫が絡むとチナはああなる」
ああなるって。
爪猫? どこ?
あ、あんな遠くの木の上にいる。よく見つけられたな。
すぐさまチナは矢を持つ右の手甲に3本の矢をセットした。
凹凹凹してる手甲だと思ってたけどああして使うのか。
チナはもう一本矢を取り出して弓を構えた。
「にゃ、にゃ、にゃ、にゃー!」
矢の四連射! チナの矢の持ち替え速度はやたらと速い。矢を放つとすぐに右の手甲から左の指二本で矢を挟み次の矢をつがえて放っていた。
放った矢は遠くの木の上にいる爪猫の頭、首、胸、腹に突き刺さったようだ。
爪猫は霧散していった・・・。
「成敗にゃ!」
「速射四連?! しかもあんな遠くを正確に射抜くなんて、凄い!」
「そんなことないにゃ~。あのくらいなら誰でもできるにゃ~」
「いや、できないですって」
「トウマ、ボクの矢の回収を許すにゃ」
俺が回収してくんのかよ! ま、いいけど。
もしかして俺、とんでもないメンバーと同行してる?
◇◇
トウマはチナが放った4本の矢と爪猫の魔石を回収して皆の所に戻る途中、宝箱を発見した。周囲はひらけていて、まるでこの宝箱を見つけて下さいと言ってるような置き方だ。
「皆さん、あそこに宝箱見つけましたよ!」
皆がトウマの元に集まって来たが誰も宝箱には近づこうとしない。
「あの宝箱、なんかあからさまで怪しくないか?」
「ボク、罠があると思うにゃ」
「他のダンジョンの宝箱って罠あったんですか?」
「一つは宝箱開けた瞬間に上から網が落ちてきたにゃ。
ボクたち全員絡めとられて網から抜け出すの大変だったにゃ」
「あと、宝箱からバネ付きのグローブパンチが飛び出してきたのもあったね。
レオが食らったやつ。あれは笑った!
それと食料が入れてあったのか開けた瞬間に悪臭を放った宝箱。
腐るもん入れんなよ!って感じ。
太古の迷宮の罠じゃないから死ぬようなことはないよ」
「運営のイタズラがこざかしいんだ」
罠にかかったことがある三人はかなり用心深くなっているようだ。
第1層だから上は空だもんな。上に網は無し。
暗くもないから糸で罠が動くような仕掛けなら気づけるはず。
宝箱は開けてみないと分からないし、どうする?
「トウマ、お前見つけたんだから行けよ」
「俺?」
死ぬような罠じゃないって話だし、開けてみるか。
トウマは宝箱が置いてある場所に向かった。
"ズボッ!"
トウマは宝箱に到達する前に身体半分くらい埋まる落とし穴に落ちた。
うん。あり得たね。ここ岩盤じゃなくて土がある大地だし。
昔を思い出すわ~、大人版だな。
「あはは、罠は落とし穴だったか~! トウマ君ご苦労!」
"ズボッ!"
クルーロもトウマの隣で落とし穴に落ちた。
「こっちにもあったのか! くそっ!」
「バカか、宝箱の正面から行くから引っかかるんだよ」
"ズボッ!"
レオも宝箱の横側から行ったのに落とし穴に落ちた。
「レオ、誰がバカだって?」
「うっ」
「ふふーん。ボクが生き残ったにゃ」
チナはトウマとクルーロの間を悠々と歩いて通り過ぎて行った。
"ズボッ!"
宝箱を目前にチナも落とし穴に落ちた。
『・・・』
「どんだけ掘ってんだよ!」
まんまと全員罠の落とし穴にはまった訳だが、これだけ罠をしかけるくらいだ。さぞ、いいお宝が入っているのだろう。
落とし穴を抜け出した一同は警戒しつつも宝箱を開けてみた。鍵はかかっていない。宝箱の中には銅を丸く潰して10の穴が空いているだけの粒銭。10エーペルが入っていた。
「これだけ?」
「そりゃないわ~」
「宝箱にいい物なんて入ってないにゃ。ボクはもう二度と開けないにゃ!」
「次からオレたちは近づかずトウマに全部開けさせよう」
「え~、俺もイヤだよ。順番にしようよ」
宝箱を見つけたら罠があっても開けてみたくなる。
そういうもんだよね?
チナは周りを見渡しトウマに話しかけた。
「モンスター出たらトウマが倒すにゃ。
ボクのメイン武器は弓にゃ。矢は30本しかないからあまり使いたくないのにゃ」
「分かりました」
チナは弓が得意なのか。
腰にぶら下げてる猫の手みたいなグローブが気になったけど。
肉球ついてるし、モフモフだし、それじゃモンスターは倒せないよな?
アクセサリーってやつ? 猫好き過ぎでしょ。
お、さっそくスライム発見!
トウマは素早くスライムを倒した。
「おー、やるね~」
「ヒュー、ヒューにゃ!」
いつもロッカに先越されるから急いじゃった。
お、レオの足元に近づくスライム発見!
「レオ、左下!」
すると、レオは武器を使うことなくスライムを踏みつけた。
スライムが霧散していく・・・。
「は? そんなんでスライム倒せるの?」
「核を潰せばいいだけだろ? 堅いわけでもねーし」
「レオってスライムの核の位置分かるの?」
「勘に決まってるだろ」
おいおい、いきなり常識を覆された気分だ。
でも今のでハッキリしたことがある。
核と魔石は別物だということだ。
レオは核を踏み潰したみたいだけど、魔石は別の所に落ちた。
聞いてはいたけど今ので確信できたな。
そのあとトウマはレオのマネをして見つけたスライムを踏みつけてみた。だが倒せない。スライムは動くし襲ってくる。踏みつけるのも簡単じゃない。
トウマはスライムの攻撃をかわしつつ違う場所を踏みつけた。倒せない。もう手当たり次第踏みつけた。これでもかってくらい。小さなパキッという音が鳴ったあと、スライムは霧散していった。
「倒せたー!」
「斬ったほうが早くね?」
御もっとも。
「なんでレオはあんな簡単に踏みつけられたの?」
「そりゃ、威嚇して一瞬動きを止めたところをドンとな」
あー、レオがスライム踏みつける前に鳥たちがバサバサ飛んでったな。
あれ威嚇したんだ。
てか相手が動き止めるほどの威嚇って何だよ。人間技じゃねーだろ。
特殊個体? 人外?
レオはそういう領域に踏み込んでいるんだ。
いつかレオと肩を並べられるくらい強くなりたいな~。
トウマはクルーロの武器にも興味を示した。クルーロは普通の1スロットの剣を腰にしている。
多分、あれ三等級の剣だよな?
博士と契約してるんだし、クルーロの剣はメイン武器じゃない?
前を歩きだしたから気づいたけど腰裏に着けてる武器が気になる。
長さ的にかなり短いからロッド?
クルーロが振り返った。
「トウマ、これ気になる?」
え、俺の視線を感じたの?
そんなにジッと見てたのか~。
「それロッドですか?」
クルーロは武器を鞘から抜いて見せてくれた。
それは棒というより大きい釘のような先の尖った武器だった。
「ロッドと言われればロッドだね。俺命名、『ヴェアリアスロッド』。
これ一本で真魔玉【赤】、【青】、【緑】を交換可能にしたロッドさ。
因みに俺専用武器だから他にはない一品物だよ。
トウマが怪我したら俺が癒してあ・げ・る」
クルーロが言うと気持ち悪いんですけど。
「【緑】は癒しのロッドと変わらない効果だけど、【赤】と【青】は少し違う効果かな。ま、通常は一緒と思っていい」
「へー、一本のロッドで3種使えるんだ。そっちのほうがいいですね」
「俺考案の武器だから他のやつがこれを活かすのは難しいかもな~。
俺は博士の構想を超えたのさ。何しろ天・才だからな。
実際作ったのは博士だけどね、あはは。
これを使えるようになるとしたらバンが一番近いかな~。
ま、手強いモンスターでも出たら見せてあ・げ・る」
そのためて言うやつ流行ってんの?
天才とか何かロッカみたいなこと言ってるし。
突然、チナが騒ぎ出した。
「あー! 猫ちゃん発見にゃ! かわいい~、くない!
うわっ、爪猫にゃ。ここで会ったが百年目! 同胞の敵!
闘技場ではガマンしてたけど許さないにゃー!」
「あ~、始まっちゃった」
「フン、猫が絡むとチナはああなる」
ああなるって。
爪猫? どこ?
あ、あんな遠くの木の上にいる。よく見つけられたな。
すぐさまチナは矢を持つ右の手甲に3本の矢をセットした。
凹凹凹してる手甲だと思ってたけどああして使うのか。
チナはもう一本矢を取り出して弓を構えた。
「にゃ、にゃ、にゃ、にゃー!」
矢の四連射! チナの矢の持ち替え速度はやたらと速い。矢を放つとすぐに右の手甲から左の指二本で矢を挟み次の矢をつがえて放っていた。
放った矢は遠くの木の上にいる爪猫の頭、首、胸、腹に突き刺さったようだ。
爪猫は霧散していった・・・。
「成敗にゃ!」
「速射四連?! しかもあんな遠くを正確に射抜くなんて、凄い!」
「そんなことないにゃ~。あのくらいなら誰でもできるにゃ~」
「いや、できないですって」
「トウマ、ボクの矢の回収を許すにゃ」
俺が回収してくんのかよ! ま、いいけど。
もしかして俺、とんでもないメンバーと同行してる?
◇◇
トウマはチナが放った4本の矢と爪猫の魔石を回収して皆の所に戻る途中、宝箱を発見した。周囲はひらけていて、まるでこの宝箱を見つけて下さいと言ってるような置き方だ。
「皆さん、あそこに宝箱見つけましたよ!」
皆がトウマの元に集まって来たが誰も宝箱には近づこうとしない。
「あの宝箱、なんかあからさまで怪しくないか?」
「ボク、罠があると思うにゃ」
「他のダンジョンの宝箱って罠あったんですか?」
「一つは宝箱開けた瞬間に上から網が落ちてきたにゃ。
ボクたち全員絡めとられて網から抜け出すの大変だったにゃ」
「あと、宝箱からバネ付きのグローブパンチが飛び出してきたのもあったね。
レオが食らったやつ。あれは笑った!
それと食料が入れてあったのか開けた瞬間に悪臭を放った宝箱。
腐るもん入れんなよ!って感じ。
太古の迷宮の罠じゃないから死ぬようなことはないよ」
「運営のイタズラがこざかしいんだ」
罠にかかったことがある三人はかなり用心深くなっているようだ。
第1層だから上は空だもんな。上に網は無し。
暗くもないから糸で罠が動くような仕掛けなら気づけるはず。
宝箱は開けてみないと分からないし、どうする?
「トウマ、お前見つけたんだから行けよ」
「俺?」
死ぬような罠じゃないって話だし、開けてみるか。
トウマは宝箱が置いてある場所に向かった。
"ズボッ!"
トウマは宝箱に到達する前に身体半分くらい埋まる落とし穴に落ちた。
うん。あり得たね。ここ岩盤じゃなくて土がある大地だし。
昔を思い出すわ~、大人版だな。
「あはは、罠は落とし穴だったか~! トウマ君ご苦労!」
"ズボッ!"
クルーロもトウマの隣で落とし穴に落ちた。
「こっちにもあったのか! くそっ!」
「バカか、宝箱の正面から行くから引っかかるんだよ」
"ズボッ!"
レオも宝箱の横側から行ったのに落とし穴に落ちた。
「レオ、誰がバカだって?」
「うっ」
「ふふーん。ボクが生き残ったにゃ」
チナはトウマとクルーロの間を悠々と歩いて通り過ぎて行った。
"ズボッ!"
宝箱を目前にチナも落とし穴に落ちた。
『・・・』
「どんだけ掘ってんだよ!」
まんまと全員罠の落とし穴にはまった訳だが、これだけ罠をしかけるくらいだ。さぞ、いいお宝が入っているのだろう。
落とし穴を抜け出した一同は警戒しつつも宝箱を開けてみた。鍵はかかっていない。宝箱の中には銅を丸く潰して10の穴が空いているだけの粒銭。10エーペルが入っていた。
「これだけ?」
「そりゃないわ~」
「宝箱にいい物なんて入ってないにゃ。ボクはもう二度と開けないにゃ!」
「次からオレたちは近づかずトウマに全部開けさせよう」
「え~、俺もイヤだよ。順番にしようよ」
宝箱を見つけたら罠があっても開けてみたくなる。
そういうもんだよね?
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