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本編
14.夫婦になるよ※
フィニスは一度帰ったと思ったらすぐにまた出掛けてしまって、結局夜遅くに帰ってきた。
これまで食事をフィニス任せにしていたツケが回って夕食に大苦戦したので今後はちゃんと自分で食べられるようになろうと反省した僕は、
今日はフィニスが居ないからと久しぶりにメイドさん達にお風呂に入れてもらって、髪の手入れまでしてもらった所で「かなり…ダメ人間、では…!?」と自覚したのだった。
ちなみに香油はお肌をしっとりさせる為に塗っていて、誰も僕を食べないことは理解している。日々成長である。
「というわけで、なんでも自分で出来るようになろうと決意しました。」
「素晴らしい向上心。流石は俺の妻だ。」
「夜も一人で寝るところから始めようと!」
「それは完全に間違ってるな。」
「あれっ?」
ベッドの上でリトルくんを抱きながら今日の報告をしていた僕の決意はあっさりと却下された。
お風呂を済ませてラフな服になったフィニスはびっくりしてる僕の頭を撫でて目の前に座ってくつろいでいる。
「夫婦は共に寝るものだからな。」
「でも、今日みたいにお仕事が忙しくて帰れない日があったら、僕が眠れなくなってしまいますよ」
「…絶対に毎日一緒に寝るから。」
フィニスはリトルくんをそっと取り上げ、ベッドの端に置いた。物にも優しい旦那様だ。
そして代わりに自分の頭を収めてきた。リトルくんみたいに抱けってことだろうか。
「あーーーー…これだ…」
「今日はとても疲れたみたいですね。よしよし」
僕のお腹に顔を埋めて深呼吸するからちょっと生ぬるい。でも疲れているフィニスに優しくしてあげなければ。
リトルくんを抱くように、フィニスの頭も抱き締めてなでなでしてあげると「最高だ…」と小さく唸った。気に入ってくれてなによりである。
「ルミエル、明日は一緒にお出かけしよう。今日頑張っていたからご褒美を買いに」
「そんなに頻繁にご褒美をくれなくて大丈夫ですよ。僕はちゃんと留守番も出来ます」
「俺が愛しい妻に何かしたいんだ…」
お腹に顔をぐりぐりされてちょっとくすぐったい。
リトルくんを買ってもらったばかりだし、贅沢は敵だし。
「うーん…お買い物より、僕は早く夫婦になりたいです。フィニスの言う、心も身体も繋がった夫婦に。…まだ、だめですか?」
「……」
フィニスが夜な夜な僕のおしりの穴をマッサージしていたと聞いて、どうしてそんな事をするのかと問い詰めたことがある。
そしたら夫婦は心だけじゃなくて身体も繋がるんだって。本当は結婚式を行ったその日の夜に、初夜っていう儀式をするんだって。
僕は誓いのキスも後日だし、初夜もまだだし…いくら政略結婚とはいえ知らないことが多すぎる。
何も知らない僕でも大丈夫なようにフィニスは準備してくれているんだ。申し訳ないなぁ。
僕のお腹に顔を埋めていたフィニスが真下を向いてしまった。当たり前だけどそこは僕のお股だ。
ふー、と生温かくて湿った息がお股に吹き込まれてゾクゾクして鳥肌が立つ。
「俺も我慢しているんだ。でもルミエルを傷付けたくない。…あんまり煽るな」
「…ごめんなさい」
こればっかりは、謝るしかない。
「謝る事では…」と顔を上げたフィニスが目を見開いて静止した。 その体勢は首が疲れちゃうよ。
やっぱりリトルくんよりフィニスの瞳の方が綺麗だなぁ。光を集めてキラキラして、羨ましい。それに綺麗な顔を撫でるのは少し背徳的だね。
「…だってね、もう今はフィニスの事を考えただけで、おしりがムズムズするんです。」
僕は少しくらい痛い思いしても平気だし、フィニスは過保護かもって思うんだ。
だから早く、欲しいなぁって。
「ご褒美、フィニスがいいです。フィニスがぜーんぶ欲しいです」
「…ルミエル」
「僕、贅沢ですか?」
「いや……やはり俺の妻は最高だ」
「へへ」
行ってきますの時もだったし、今日は僕から誓ってばかりですね。
いつもと違って僕より下にあるフィニスの唇にキスをした。僕はフィニスを信じてるし、死ぬまで愛すよって気持ちを込めて。
「ちがう、全然ちがうぅ…!」
おかしい。こんなのおかしい。フィニスは本当に僕のおしりの穴をどうしちゃったの!?
前にいじられた時は違和感くらいしか感じてなかったのに!
大量に使われた香油の匂いが漂っていて、なんだかくらくらする。
最初はフィニスのも気持ちよくしてあげようって思ってたのに、とてもじゃないけどそんな余裕がない。
大きな指に自分の内側を引っ掻かれる。それがどうしてかゾクゾクしてたまらない。
「やはり意識があるといいな…ここは?掻かれるの好きか?」
「きゃうっ!」
準備が大事って言ってたけど、絶対絶対フィニスは楽しんでる。
何回も何回も欲を吐き出して、僕の性器はついに軟らかくなってしまった。おしりをぐちゅぐちゅ掻き回されてるけど、もう香油なのか僕の出したものが音を立ててるのかわからない。
「まだ、ですかぁ」
「もう少し…あと指一本は入れたい」
「ひぃ、もうっ、前は触っちゃだめです!」
小さくなってしまった僕の性器が温かい口の中に入れられてしまった。もう何も出ないのに舌で突つかれたり吸われたり、執拗に刺激を与えられて僕の身体は跳ねっぱなしだ。
「あっ、あっ、やらぁ!」
「…よし。挿れるぞ、ルミエル」
「やぁ………はっ!くれるの?」
「快楽に溺れても即戻ってくるくらい待ってたか」
そりゃそうです。僕がどれだけ待ってたと思ってるのか。
僕の様子を見てフィニスは気が抜けたように笑った。僕、その顔も大好きだよ。
「なるべく力を抜いて、怖くなったら俺に抱きついたりしていいから」
「はい。僕はちゃんと言うこと聞けますよ」
「そうだな。俺の妻は良い子だ」
「ッ───!!」
今までの指とは違う、圧倒的物量が僕の身体を拓いていく。ぎちぎちと音がするんじゃないかってくらいの圧迫感に襲われて息が止まりそうになる。
でも力を抜いてって言われたから、深呼吸しなきゃ
「っは、はー、はー、っぅ…はぁ、はぁ」
「キッ…ツ……一旦、やめるか」
「っや、やだ!やだ!!」
「ルミエル…」
フィニスもつらそうな顔してる。きっと、ここで止めた方がいいのかもしれない。
「でも、やだ!フィニスと夫婦に、フィニスと、全部一緒になるの!っうぅ」
涙がぼろぼろ零れ落ちた。またフィニスが困ってる。贅沢は敵だ。悪魔だ。堕落の根源だ。
でも、僕は全部欲しいんだ。書面も、儀式も、誓いも、言葉も、身体も、フィニスの全部が欲しい。
どれかひとつでも零れ落ちたら、フィニスはあっという間に取られちゃうから。
だって誰よりもかっこよくて、優しくて、頼りになって、僕みたいな何も持たない孤児を愛してくれる人だもん。
「ルミエル、力を抜きなさい」
「うぅ…」
「やめないから、力を抜いて…少し痛いんだ」
「ご、ごめんなさい!」
「大丈夫だから」
「んぅ」
やっぱりフィニスは優しい。痛いって言ったのに僕を気遣ってばかりいる。ちゅ、ちゅ、って優しいキスをいっぱいくれる。
「ぁ…」
花の香りが強くなった。香油の香りだ。
ほんの少しずつフィニスが動いて、ぬるぬるとした感触に変わっていく。少しずつ気持ちよくなる。
「…ルミエル、何が怖い?」
「あぅ、なにも…」
「誓いのキスを何度しても、ルミエルは怖がっているように見えるが」
「……」
なんだ、全部バレてる。僕ってそんなにわかりやすいのかな。
「ルミエル」
「……むぅ。全部、いれてくれなきゃ教えない」
「それは困った妻だ」
「きゃうっ」
プイッとそっぽを向いたら耳を噛まれた。びっくりしたけど向き直ったらすぐにキスしてくれる。こういう事ばかりするから僕はフィニスに怒るタイミングを失うんだ。
「っあ、フィニス、お腹、ぞわぞわする」
「あぁ、もう少しだ。もう少し…」
「あっ!そこ、たいへん!まっ、て」
フィニスの指では届かない位置まで潜り込んで、貫かれた。
それは苦しくて、温かくて、気持ちよくて
「ッ…全部だ」
「ぜんぶ、はいった…?」
「入った。ほら」
「ひぅっ!」
寝転んでる僕の下半身だけを持ち上げて見せつけてきた。確かに僕とフィニスの身体がピッタリと隙間なくくっついてる。
「あ…」
「すまん、我慢ならん。一回出す」
「あぁっ!あ、あっ、ふぃにしゅっ…!」
ズンッズンッと僕のお腹の中を突かれて気持ちいいやら怖いやら、すぐにわけわかんなくなった。
気が付けば僕もフィニスも、痛いとかは感じなくなってたと思うし、肩の力もすっかり抜けていた。
身体の大きなフィニスが腰をぶつける度に僕の全身が揺れるし、時々くれるキスがなんだか甘くて夢中で舌を動かした。
「ッ──」
「あ、あぁ…奥…」
お腹の奥に、ビュクビュクって温かい熱が広がる。
汗をかいてるフィニスの顔を拭ってあげたくて手を伸ばしたら、すぐに顔が近付いてきてキスをくれた。
「フィニス…僕と、身体も夫婦になったね」
「…ずっと夫婦だ。」
「えへへ」
フィニス、やっぱり毎日我慢してたよね。だって僕のお腹がフィニスの形にぽっこり膨らんだままだもん。
「フィニス、もっともっと、たくさん欲しいです。僕、フィニスとの初夜好きになりました」
「……我儘な妻というのも、可愛いものだな」
困らせたり、我儘言ったり。僕は悪い子になってしまった。
でもなんとなく、今はまだ離れたくない。だってね
「…ねぇ、もっと誓いのキスしたいです。僕の旦那様」
これで名実共に、僕の旦那様なんだ。
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