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初夜*
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ユーグは宣言通り還俗して、公爵に叙爵された。アニエスは公爵夫人としてこれから生活していくこととなる。
「――やっと、一緒になれましたね」
披露宴を終えて公爵家へ帰ってきて、湯浴みを済ませて、ようやく寝室で二人きりになれると、ユーグはしみじみとした口調で呟いた。
「そうね。なんだかすごく久しぶりだわ」
お互いやることが多すぎてあまり会えなかった。手紙のやり取りや結婚式の打ち合わせなどで顔合わせはしていたが、神殿で過ごしていた時間を思えば、実に寂しさを募らせる触れ合いだった。
「貴女と会えない日々を思って、毎日胸が苦しくてたまりませんでした……」
ユーグは寝台に腰かけているアニエスを引き寄せると、存在を確かめるように抱きしめてきた。
「もう大げさなんだから……」
と言いつつ、アニエスも同じ気持ちだったので彼の大きな背中に腕を回した。
「あなたのお母様、泣いて喜んでいらっしゃったわね」
ユーグの母親は息子が無事に生きて帰ってきたことに、そして好きな人と結婚して家庭を築いていける未来に、夢みたいだと何度も目を潤ませていた。彼女のこれまでの心情を思うと、アニエスももらい泣きしてしまった。
「何もかも貴女のおかげです」
ユーグはアニエスの髪に額を押し当てながら、囁くように言った。
「貴女のおかげで私は地獄へ堕ちることなく、こちらの世界に未練を残して生き延びることができた。貴女が迎えに来てくれたから。好きだと言ってくれたから……」
抱擁を解き、頬へ手を添えて、彼はどこか泣きそうな表情で微笑んだ。
「これから一生、死ぬまで貴女へ愛を捧げることを誓います」
「……もう。大げさなのよ」
「アニエス。貴女の言葉も、聴かせてください」
唇をなぞられ、アニエスは頬が熱くなる。
「教会で、誓ったじゃない」
「あれは神への誓いです。今度は私に誓うんです」
同じようなものじゃないか、と思ったがユーグの焦がれるような眼差しにアニエスは負けた。
「わたくしも、一生あなただけを愛することを誓います」
「アニエス……」
感極まった様子でユーグは唇を重ねてきた。指先が頬をくすぐり、美しい金色の瞳が自分だけを見ているのを見てアニエスは自然と笑みを浮かべていた。
「好きよ、ユーグ」
「姫様」
「もう姫じゃないでしょう?」
「あ、すみません。つい」
のわりには名前で呼ぶ時もある。たぶん、気持ちが昂った時とか……。
「アニエス? 顔が赤いです」
「き、気のせいよ」
「本当ですか」
彼は熱い頬に唇を押し当て、ちゅっと音を立てた。くすぐったそうに彼女が首を竦めれば、目元や額にも次々と口づけを落としていく。
「ふふっ、くすぐったいわ、ユーグ……んっ」
耳朶に触れられた時、今までと違った声が出てしまう。
「ユーグ。そこ、だめ……」
「どこですか……」
わざとすっとぼけた様子でユーグはアニエスの耳の輪郭を指でなぞり、もう反対の耳朶は食むように嬲ってきた。
「アニエス……」
「んっ……」
低くて、熱を持った声で囁かれ、アニエスはびくりと震えてしまう。寝台に乗り上げる形で逃げようとするが、そうするとユーグに体重をかけられて、いつの間にか押し倒される体勢が出来上がっていた。
目が合って、どちらともなく口づけする。くちゅくちゅと鳴る水音にゆっくりと懐かしい感じが呼び起こされる。ふっと口を離すと、互いに言葉もなく見つめ合って、先ほどよりも激しく口を吸い合った。
「んぅ、ふ……」
ユーグの熱い息が首筋にかかり、アニエスは顔を背ける。触れている身体が熱くて、でも離れないでというようにユーグの腕や背中を撫でて、掴んでいた。
「可愛いです、姫様……」
「もう姫じゃ、んっ……」
またユーグが耳を食んできたので、アニエスは横に身体を捻った。隣に倒れ込んできたユーグに腰を引き寄せられ、逃げないようにぎゅっと後ろから抱きしめられる。
「降嫁なされても、姫様は私にとってずっと姫様です……」
彼の唇は金色の髪に触れ、露わになった白いうなじへと吸いついてくる。
「ん……んっ……」
掌がアニエスの乳房を包み込み、柔らかさを堪能するように大胆に揉んでくる。夜着のリボンがいつの間にか解かれ、隙間から悪戯な手を差し込まれて、シュミーズをさらにかいくぐって直接肌へと触れられると、アニエスはさらに熱い息を吐いて身体を丸めた。
そんな彼女をさらに苛めるように人差し指が円を描くように乳輪をなぞり、ぷっくりと勃ってきた蕾を時折意地悪く指の先でつま弾いてくる。
「や……ぁっ、ぁん……」
「アニエス……動かないで……」
動いていない。動いたとしても、ユーグのせいだと言いたかったが、口を開こうとする度に狙いすましたように蕾を押しつぶしたり、摘まんで引っ張ろうとするから、変な声ばかり出してしまう。
「もっと聴かせて、アニエス……」
(いやよ。そんなの……)
目をぎゅっと瞑って何とか快感に耐えようとするアニエスの姿にユーグがさらにぎゅっと抱きしめてきて「かわいい……」と呟いた。頬がカッと熱くなって、首を横に振って否定すれば、くすりと笑われて、また耳に息を吹きかけたり、胸の飾りを弄ってくる。
「はぁ……ふぅ……ん、んっ……」
アニエスは必死に呼吸しながら、自然と太股を擦り合わせ、夜着の裾を捲り上げて、優美な曲線を描いた白い脚を露わにしていた。それはひどく煽情的な姿で、ユーグの手を引き寄せるように中へと潜り込ませていた。
「はぁ……ぁ……だめ、そこは、ぁんっ……」
付け根の部分をなぞられ、びくりと震える。目をぱっと開いてとっさにユーグの方を見れば、彼は肘をついてアニエスの顔を見下ろしていた。
「姫様。どうか私を見てください」
「い、いやよ……」
「どうして」
「恥ずかしいもの……」
今更であるのだが、どうもユーグに懇切丁寧にお願いされると理性が戻ってきて、拒否してしまう。
「アニエス。貴女の顔が見たい……」
しかし彼の願いに逆らえないのも事実であったので、結局真っ赤になった顔を好きな人に見せてしまうのだった。照れ隠しからどこか怒ったように見上げるアニエスの顔を、ユーグは幸せそうに見つめた。
「可愛いです。姫様。言葉にできないくらい、とても」
彼からすれば、もはやどんな最悪な表情をしていようが、それが自分の顔である限り可愛いと言うのではないかとアニエスは口づけを受けながら思う。
「んっ、んんっ」
ユーグはアニエスの唇を塞いだまま、すでにしっとりと濡れていた蜜口に触れてきた。花唇をまずは優しく撫でて、その後、指を一本つぷりと入れてくる。腹側を引っ掻く形にして、中を震わせるように振動を与えてくる。痛みもなく、奥からじんわりと熱が生まれては溜まっていく。気持ちがいい。でももどかしい。
「んぅ、んっ、んんっ……」
声を上げそうになるけれど口が塞がれていて、それはいいけれど苦しくて、涙目になってユーグを睨めば、彼は催促されたとでも勘違いしたのか、さらに愛おしそうに舌を絡めてくる。
上も下も淫靡な水音を鳴らせて、アニエスはおかしくなりそうだった。苦しいのに気持ちがよくて……。
(ぁっ、だめ……もう、わたくし……)
「んんっ――」
舌を吸われながら、アニエスは果ててしまった。びくびく震える彼女をうっとりとした眼差しでユーグは見つめてくる。彼女は達した疲労感からくたりと寝台に身体を沈めて、実にしどけない様子で、ユーグを黙って見つめ返した。
(あつい……)
中途半端に脱がされた夜着が汗で肌に纏わりついており、アニエスは呼吸が整うと起き上がって自ら服を脱ぎ始めた。するとすかさずユーグの手が伸びてきて、自分が脱がせるとばかりに手伝ってくる。
アニエスはその必死さにちょっと笑って、代わりにユーグの服を脱がせ始めた。ガウンであったので、紐を解いて腕から引き抜くだけだ。
(綺麗……)
あの神殿でも思ったが、ユーグの身体は細身のように見えて、実はよく鍛えられており、腹筋が割れていた。恐る恐る触ってみると、やはり硬い。なんだか面白いと思ってぺたぺた触っていると、ユーグに手首を掴まれ、拗ねたような目で見つめられる。
「なぁに?」
「私に集中してください」
「しているじゃない」
ユーグは不満そうに自ら服を脱いでしまう。ちなみにアニエスはいつの間にか一糸纏わぬ姿にされていた。どちらも裸になった状態で、向き合って座っていると何だかおかしい。
「まだ怒っているの?」
「いいえ、怒っていません」
本当かしら、というようにアニエスはまたユーグの身体に触れた。指先でなぞられ、ぴくぴくと震えると、なんだかもっと触っていじめたくなる。
「アニエス……」
「あなたも、わたくしに触ったわ……」
アニエスの指先は胸から下へと悪戯に下りていき、あるものが目に入るとふっと微笑んだ。
「もう、こんなに大きくなってる」
お腹に反り返るほどユーグの分身は勃ち上がっていた。
「貴女が、触るからです……」
「もっと、触ってもいい?」
ユーグは目を伏せて、はいと消え入りそうな声で答える。アニエスを気持ちよくさせる時は容赦ないというのに、自分がされる時はまるで生娘のような反応になるのは一体どういうことだろうかと疑問に思ったが、彼女は男根をそっと握り、扱き始めた。
すでに涎を垂らしていた肉棒はアニエスの掌に包まれるとさらに硬くなってびくびくと脈打つ。
(まるで生き物みたい……)
見た目はひどく凶悪な姿なのに、優しく擦ってやると、もっと撫でてというようにぴくぴく健気に竿を揺らすので、なんだか可愛く思えてきた。
「はぁ……姫様……私も、姫様のを触ってよろしいでしょうか……」
「ええ……触って」
膝立ちになり、彼が触りやすいように距離をつめる。二人は頬をすり寄せるようにして、互いの性器を気持ちよくしていく。
「姫様……気持ちいいですか……」
「ん、いいわ……はぁ、おかしくなり、ぁんっ……」
また達してしまってアニエスはユーグの身体にしなだれかかってしまう。はぁはぁと切ない息を吐きながら強く陰茎を扱き、彼に囁きかける。
「ユーグ。あなたも……あなたもいって……」
「はい、姫様。私ももう少しで……あぁ、アニエス……!」
手の中の熱塊がどくんと弾けた。びゅくびゅくと白濁が大量に掌に出される。
(こんなに……)
「す、すみません、姫様。すぐに拭きます――姫様!?」
アニエスが子種を指先で掬い取って秘所になすりつけているのを見て、ユーグはぎょっとしたようだった。
「な、何をなさっているのですか」
「だって……あなたとの子どもが欲しいもの」
だからもったいないような気がしたのだ。
ユーグはアニエスの返答に呆気にとられていたが、我に返るとすごい勢いで押し倒してきた。
「ユーグ?」
「そんなことなさらなくても、いくらでも注いであげます」
ぎらぎらとした目つきで見下ろされたかと思えば、蜜口に先ほど出したばかりとは思えない熱杭を押し当てられ、一気に捩じ込まれてくる。
「あっ……ふ、ぅ、うぅ……」
とろとろにぬかるんだ蜜洞は難なくユーグを受け止め、彼は蜜をかき混ぜるようにゆっくりと大きく腰を動かして粘ついた音を響かせた。
「ぁ、ん……さっき、あんなに出したのに……」
「はぁ、ずっと、我慢していましたから……いくらでも出せます……」
「あっ、やっ、そこ、やぁぁん……」
「姫様は、ここがいいんですよね……」
アニエスの弱いところはすべて覚えているとユーグは実に的確に攻めてくる。アニエスは翻弄され、はしたない声をひっきりなしに上げてしまう。
「はぁ、本当はっ、初夜ですから、もっと丁寧に、慈しむようにやろうと思っていたんです。でも、貴女があんなこと、なさるからっ……」
「あっ、あんっ、はげしっ」
だんだんとユーグも興奮してきたのか、腰をがつがつと動かしてくる。ぱんぱんと肌がぶつかり合い、剛直で媚肉を抉られ、ぐちゅっぶちゅっと蜜があふれてはねっとりとかき回される音が鳴り響く。
ぐっと体重を乗せられ、彼の鍛えられた胸板でアニエスの豊かな胸が押しつぶされ、蕾がくりくりと可愛がられると、それもまた強烈な快感となった。
「ふぅっ、あっ、だめっ、もう、あんっ」
「はぁっ、アニエス、好きですっ、一生、貴女だけっ」
「あっ、あああっ――……」
自分も、と答えたかったが、アニエスは追いつめられて、高みへ昇った。ユーグも呻き声を上げて、中へどくどくと子種を注いだ。
(ユーグ……)
彼には恥ずかしくて言えないが、アニエスはこの瞬間が好きだった。彼のものになった気がして、彼と深く繋がれたのだと実感できて、胸がいっぱいになって、子宮の奥が切なく疼いて……。
「ぁ……また……」
「アニエス……私の子を、産んでくれるのでしょう?」
「ええ……でも、もう、ぁん……」
「はぁ、何度でも、注いであげます。貴女が孕むまでずっと――」
アニエスはもう十分だと言いたかったけれど、結局ユーグの熱に負けて、それから何度も精を受けるのだった。
あの聖王と謳われた彼はどこへいってしまったのだろうかと思わなくもなかったが、自分を愛しているからこそ変わってくれたのだと思えば、やはり悪い気はしなかったのだ。
「――やっと、一緒になれましたね」
披露宴を終えて公爵家へ帰ってきて、湯浴みを済ませて、ようやく寝室で二人きりになれると、ユーグはしみじみとした口調で呟いた。
「そうね。なんだかすごく久しぶりだわ」
お互いやることが多すぎてあまり会えなかった。手紙のやり取りや結婚式の打ち合わせなどで顔合わせはしていたが、神殿で過ごしていた時間を思えば、実に寂しさを募らせる触れ合いだった。
「貴女と会えない日々を思って、毎日胸が苦しくてたまりませんでした……」
ユーグは寝台に腰かけているアニエスを引き寄せると、存在を確かめるように抱きしめてきた。
「もう大げさなんだから……」
と言いつつ、アニエスも同じ気持ちだったので彼の大きな背中に腕を回した。
「あなたのお母様、泣いて喜んでいらっしゃったわね」
ユーグの母親は息子が無事に生きて帰ってきたことに、そして好きな人と結婚して家庭を築いていける未来に、夢みたいだと何度も目を潤ませていた。彼女のこれまでの心情を思うと、アニエスももらい泣きしてしまった。
「何もかも貴女のおかげです」
ユーグはアニエスの髪に額を押し当てながら、囁くように言った。
「貴女のおかげで私は地獄へ堕ちることなく、こちらの世界に未練を残して生き延びることができた。貴女が迎えに来てくれたから。好きだと言ってくれたから……」
抱擁を解き、頬へ手を添えて、彼はどこか泣きそうな表情で微笑んだ。
「これから一生、死ぬまで貴女へ愛を捧げることを誓います」
「……もう。大げさなのよ」
「アニエス。貴女の言葉も、聴かせてください」
唇をなぞられ、アニエスは頬が熱くなる。
「教会で、誓ったじゃない」
「あれは神への誓いです。今度は私に誓うんです」
同じようなものじゃないか、と思ったがユーグの焦がれるような眼差しにアニエスは負けた。
「わたくしも、一生あなただけを愛することを誓います」
「アニエス……」
感極まった様子でユーグは唇を重ねてきた。指先が頬をくすぐり、美しい金色の瞳が自分だけを見ているのを見てアニエスは自然と笑みを浮かべていた。
「好きよ、ユーグ」
「姫様」
「もう姫じゃないでしょう?」
「あ、すみません。つい」
のわりには名前で呼ぶ時もある。たぶん、気持ちが昂った時とか……。
「アニエス? 顔が赤いです」
「き、気のせいよ」
「本当ですか」
彼は熱い頬に唇を押し当て、ちゅっと音を立てた。くすぐったそうに彼女が首を竦めれば、目元や額にも次々と口づけを落としていく。
「ふふっ、くすぐったいわ、ユーグ……んっ」
耳朶に触れられた時、今までと違った声が出てしまう。
「ユーグ。そこ、だめ……」
「どこですか……」
わざとすっとぼけた様子でユーグはアニエスの耳の輪郭を指でなぞり、もう反対の耳朶は食むように嬲ってきた。
「アニエス……」
「んっ……」
低くて、熱を持った声で囁かれ、アニエスはびくりと震えてしまう。寝台に乗り上げる形で逃げようとするが、そうするとユーグに体重をかけられて、いつの間にか押し倒される体勢が出来上がっていた。
目が合って、どちらともなく口づけする。くちゅくちゅと鳴る水音にゆっくりと懐かしい感じが呼び起こされる。ふっと口を離すと、互いに言葉もなく見つめ合って、先ほどよりも激しく口を吸い合った。
「んぅ、ふ……」
ユーグの熱い息が首筋にかかり、アニエスは顔を背ける。触れている身体が熱くて、でも離れないでというようにユーグの腕や背中を撫でて、掴んでいた。
「可愛いです、姫様……」
「もう姫じゃ、んっ……」
またユーグが耳を食んできたので、アニエスは横に身体を捻った。隣に倒れ込んできたユーグに腰を引き寄せられ、逃げないようにぎゅっと後ろから抱きしめられる。
「降嫁なされても、姫様は私にとってずっと姫様です……」
彼の唇は金色の髪に触れ、露わになった白いうなじへと吸いついてくる。
「ん……んっ……」
掌がアニエスの乳房を包み込み、柔らかさを堪能するように大胆に揉んでくる。夜着のリボンがいつの間にか解かれ、隙間から悪戯な手を差し込まれて、シュミーズをさらにかいくぐって直接肌へと触れられると、アニエスはさらに熱い息を吐いて身体を丸めた。
そんな彼女をさらに苛めるように人差し指が円を描くように乳輪をなぞり、ぷっくりと勃ってきた蕾を時折意地悪く指の先でつま弾いてくる。
「や……ぁっ、ぁん……」
「アニエス……動かないで……」
動いていない。動いたとしても、ユーグのせいだと言いたかったが、口を開こうとする度に狙いすましたように蕾を押しつぶしたり、摘まんで引っ張ろうとするから、変な声ばかり出してしまう。
「もっと聴かせて、アニエス……」
(いやよ。そんなの……)
目をぎゅっと瞑って何とか快感に耐えようとするアニエスの姿にユーグがさらにぎゅっと抱きしめてきて「かわいい……」と呟いた。頬がカッと熱くなって、首を横に振って否定すれば、くすりと笑われて、また耳に息を吹きかけたり、胸の飾りを弄ってくる。
「はぁ……ふぅ……ん、んっ……」
アニエスは必死に呼吸しながら、自然と太股を擦り合わせ、夜着の裾を捲り上げて、優美な曲線を描いた白い脚を露わにしていた。それはひどく煽情的な姿で、ユーグの手を引き寄せるように中へと潜り込ませていた。
「はぁ……ぁ……だめ、そこは、ぁんっ……」
付け根の部分をなぞられ、びくりと震える。目をぱっと開いてとっさにユーグの方を見れば、彼は肘をついてアニエスの顔を見下ろしていた。
「姫様。どうか私を見てください」
「い、いやよ……」
「どうして」
「恥ずかしいもの……」
今更であるのだが、どうもユーグに懇切丁寧にお願いされると理性が戻ってきて、拒否してしまう。
「アニエス。貴女の顔が見たい……」
しかし彼の願いに逆らえないのも事実であったので、結局真っ赤になった顔を好きな人に見せてしまうのだった。照れ隠しからどこか怒ったように見上げるアニエスの顔を、ユーグは幸せそうに見つめた。
「可愛いです。姫様。言葉にできないくらい、とても」
彼からすれば、もはやどんな最悪な表情をしていようが、それが自分の顔である限り可愛いと言うのではないかとアニエスは口づけを受けながら思う。
「んっ、んんっ」
ユーグはアニエスの唇を塞いだまま、すでにしっとりと濡れていた蜜口に触れてきた。花唇をまずは優しく撫でて、その後、指を一本つぷりと入れてくる。腹側を引っ掻く形にして、中を震わせるように振動を与えてくる。痛みもなく、奥からじんわりと熱が生まれては溜まっていく。気持ちがいい。でももどかしい。
「んぅ、んっ、んんっ……」
声を上げそうになるけれど口が塞がれていて、それはいいけれど苦しくて、涙目になってユーグを睨めば、彼は催促されたとでも勘違いしたのか、さらに愛おしそうに舌を絡めてくる。
上も下も淫靡な水音を鳴らせて、アニエスはおかしくなりそうだった。苦しいのに気持ちがよくて……。
(ぁっ、だめ……もう、わたくし……)
「んんっ――」
舌を吸われながら、アニエスは果ててしまった。びくびく震える彼女をうっとりとした眼差しでユーグは見つめてくる。彼女は達した疲労感からくたりと寝台に身体を沈めて、実にしどけない様子で、ユーグを黙って見つめ返した。
(あつい……)
中途半端に脱がされた夜着が汗で肌に纏わりついており、アニエスは呼吸が整うと起き上がって自ら服を脱ぎ始めた。するとすかさずユーグの手が伸びてきて、自分が脱がせるとばかりに手伝ってくる。
アニエスはその必死さにちょっと笑って、代わりにユーグの服を脱がせ始めた。ガウンであったので、紐を解いて腕から引き抜くだけだ。
(綺麗……)
あの神殿でも思ったが、ユーグの身体は細身のように見えて、実はよく鍛えられており、腹筋が割れていた。恐る恐る触ってみると、やはり硬い。なんだか面白いと思ってぺたぺた触っていると、ユーグに手首を掴まれ、拗ねたような目で見つめられる。
「なぁに?」
「私に集中してください」
「しているじゃない」
ユーグは不満そうに自ら服を脱いでしまう。ちなみにアニエスはいつの間にか一糸纏わぬ姿にされていた。どちらも裸になった状態で、向き合って座っていると何だかおかしい。
「まだ怒っているの?」
「いいえ、怒っていません」
本当かしら、というようにアニエスはまたユーグの身体に触れた。指先でなぞられ、ぴくぴくと震えると、なんだかもっと触っていじめたくなる。
「アニエス……」
「あなたも、わたくしに触ったわ……」
アニエスの指先は胸から下へと悪戯に下りていき、あるものが目に入るとふっと微笑んだ。
「もう、こんなに大きくなってる」
お腹に反り返るほどユーグの分身は勃ち上がっていた。
「貴女が、触るからです……」
「もっと、触ってもいい?」
ユーグは目を伏せて、はいと消え入りそうな声で答える。アニエスを気持ちよくさせる時は容赦ないというのに、自分がされる時はまるで生娘のような反応になるのは一体どういうことだろうかと疑問に思ったが、彼女は男根をそっと握り、扱き始めた。
すでに涎を垂らしていた肉棒はアニエスの掌に包まれるとさらに硬くなってびくびくと脈打つ。
(まるで生き物みたい……)
見た目はひどく凶悪な姿なのに、優しく擦ってやると、もっと撫でてというようにぴくぴく健気に竿を揺らすので、なんだか可愛く思えてきた。
「はぁ……姫様……私も、姫様のを触ってよろしいでしょうか……」
「ええ……触って」
膝立ちになり、彼が触りやすいように距離をつめる。二人は頬をすり寄せるようにして、互いの性器を気持ちよくしていく。
「姫様……気持ちいいですか……」
「ん、いいわ……はぁ、おかしくなり、ぁんっ……」
また達してしまってアニエスはユーグの身体にしなだれかかってしまう。はぁはぁと切ない息を吐きながら強く陰茎を扱き、彼に囁きかける。
「ユーグ。あなたも……あなたもいって……」
「はい、姫様。私ももう少しで……あぁ、アニエス……!」
手の中の熱塊がどくんと弾けた。びゅくびゅくと白濁が大量に掌に出される。
(こんなに……)
「す、すみません、姫様。すぐに拭きます――姫様!?」
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「な、何をなさっているのですか」
「だって……あなたとの子どもが欲しいもの」
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ユーグはアニエスの返答に呆気にとられていたが、我に返るとすごい勢いで押し倒してきた。
「ユーグ?」
「そんなことなさらなくても、いくらでも注いであげます」
ぎらぎらとした目つきで見下ろされたかと思えば、蜜口に先ほど出したばかりとは思えない熱杭を押し当てられ、一気に捩じ込まれてくる。
「あっ……ふ、ぅ、うぅ……」
とろとろにぬかるんだ蜜洞は難なくユーグを受け止め、彼は蜜をかき混ぜるようにゆっくりと大きく腰を動かして粘ついた音を響かせた。
「ぁ、ん……さっき、あんなに出したのに……」
「はぁ、ずっと、我慢していましたから……いくらでも出せます……」
「あっ、やっ、そこ、やぁぁん……」
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「はぁ、本当はっ、初夜ですから、もっと丁寧に、慈しむようにやろうと思っていたんです。でも、貴女があんなこと、なさるからっ……」
「あっ、あんっ、はげしっ」
だんだんとユーグも興奮してきたのか、腰をがつがつと動かしてくる。ぱんぱんと肌がぶつかり合い、剛直で媚肉を抉られ、ぐちゅっぶちゅっと蜜があふれてはねっとりとかき回される音が鳴り響く。
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「ふぅっ、あっ、だめっ、もう、あんっ」
「はぁっ、アニエス、好きですっ、一生、貴女だけっ」
「あっ、あああっ――……」
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(ユーグ……)
彼には恥ずかしくて言えないが、アニエスはこの瞬間が好きだった。彼のものになった気がして、彼と深く繋がれたのだと実感できて、胸がいっぱいになって、子宮の奥が切なく疼いて……。
「ぁ……また……」
「アニエス……私の子を、産んでくれるのでしょう?」
「ええ……でも、もう、ぁん……」
「はぁ、何度でも、注いであげます。貴女が孕むまでずっと――」
アニエスはもう十分だと言いたかったけれど、結局ユーグの熱に負けて、それから何度も精を受けるのだった。
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扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
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