買われた平民娘は公爵様の甘い檻に囚われる

りつ

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1、誓い

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「――誓いますか」

 神父の問いかけに、純白のドレスを纏った小柄な少女――セシリアの意識が浮上する。夫婦の愛を確かめる誓いの言葉は、半分もセシリアの耳に入っていなかった。

 ひどく緊張していたためでもあり、未だ実感が湧かなかったからでもある。

(ただの平民であったわたしが、高貴な血筋を引いた公爵様と結婚するなんて……)

 どうか今からでも、この結婚は間違いであると誰かに言ってほしい。これはただの長い夢だったのだと、目を覚まさせてほしい。

 しかし、セシリアの願いは何一つ叶えられることなく、静寂とじっと注がれる視線が逃げ場のない現実を突きつける。とにかく早く返答しなければと、必死に声が震えないようお腹に力を込め、「誓います」と口にした。

 それは結局、囁くような小さな声になってしまったが、誰も気にしなかった。まるで自分の意思はそこに必要ないと言われているようで、セシリアは俯いてしまいたくなる。

「では、誓いの口づけを」

 現実を受け止めきれないセシリアを置き去りにして、神父が厳かな声で先を促す。

 細く長い指がヴェールを持ち上げる。アイスブルーのような冷たい瞳に、端正な顔立ちがセシリアの焦げ茶色の目に映った。ゆっくりとその顔が近づいてきて、逃げるように彼女は目を閉じた。

「お二人は夫婦となられました。おめでとうございます」

 祝福する神父の声がいっそ突き放したように聞こえ、セシリアは泣きたいような、途方に暮れた気持ちになった。

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