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21、慣れない感情
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昔、まだ幼少期の頃である。クライヴは気に入らないことがあって、泣いたことがあった。小さい頃なら誰もが一度は経験したことであり、子どものいる家庭なら見慣れた光景だったと思う。
しかしクライヴの両親は、そんな息子の姿に眉を顰めた。
生まれた時から世話は乳母に一任しており、普段息子に接する時間がかなり少なかったゆえ、いっそう珍しさと不快さが強まった結果だろう。
「ハーフォード家の男児ならば、みっともない姿を晒すな」
感情を律して、早く大人になることを物心ついた時には求められていた。身体はまだ子どもだったのに。
だがクライヴは特に反発心を起こさず、子どもゆえに素直な感性で両親の教えに従った。
ヨランダとの婚約が決まった時も、何の疑問も抱かなかった。親が勧める相手と結婚することは、周りも同じだったから。
たとえ本当に好きな相手がいても、愛人にするのが普通だった。クライヴは面倒だったので、作ろうという気も起こらなかったが。
もともと人についての興味もあまりなかった。
「本当にごめんなさい、クライヴ」
だからヨランダが王太子に見初められ、婚約を解消する流れになっても、特に傷つくこともなかった。彼女は申し訳なさそうな顔を――婚約者がいるのに愛を求められる自分の境遇にどこか酔ったようにも見えながら、謝ってくれたというのに。
我ながら薄情な人間であるが、別に辛くもなかったのが真実であった。
貴族として育った環境もだが、自分はもともと淡白な方なのだろう。
次の婚約者がヨランダの従妹の――メイドである女性と駆け落ちした男の娘だと聞かされても、あまり驚きはしなかった。
王族だけでなく、公爵家との縁も結んでおきたい。そのために利用できるものは利用するというダウニング伯爵の性格からすれば、むしろ納得できる相手と言えた。
「そんな結婚、おやめなさいよ」
伯爵の欲深い執着心に嫌悪感を抱き、違う相手を勧める者も親族の中にはいたが、今回のことは王家や伯爵家にも貸しを作っておく良い機会になるかもしれないという意見もあり、結局当の本人であるクライヴが特に反対する意思を見せなかったので、結婚相手はセシリアに決定した。
「は、初めまして」
セシリアは、出会った時からずっと、怯えたような、不安そうな目をしていた。本人は上手く隠して、伯爵たちが望む姿――ヨランダのような令嬢を精いっぱい演じていたのかもしれないが、クライヴには小動物が震えているようにしか見えなかった。
自信のなさは、身に纏う雰囲気から伝わってくる。
でもそれも仕方がない。彼女はそれまで田舎の片隅で暮らしていた。いきなり貴族の男と結婚しろと言われて、戸惑わない方がおかしい。
いや、玉の輿を狙うような人間ならば、もっと図々しかったかもしれない。媚を売って、自分の機嫌を取ろうとしただろう。
そう考えると、やはりセシリアはこの結婚に意欲的ではないのだと思い、不憫な娘だと同情する気持ちが湧いた。
しかし、結婚の話を取りやめることはしなかった。
それはセシリアを連れてきた伯爵が認めないだろうし、クライヴの親族も何だかんだ文句を言いつつ、セシリアと結婚することを望んでいたからだ。
事は順調に進んでいき、セシリアとの結婚式の日が近づいていく。
その間、クライヴは何度かセシリアと会う機会があって言葉を交わしたが、彼女は常に緊張しており、沈黙が落ちるとすぐに伯爵が割り込んできたので、彼女がどういう人となりなのか、彼女自身から知ることは叶わなかった。
「セシリアは少し自信がない子ですが、努力家な娘です」
代わりに彼女のことを教えてくれたのは、伯爵の妻であるイライザであった。
彼女はセシリアに厳しく接しながらも、慣れない環境に必死で適応しようとしているセシリアに情を抱いたようだ。
「クライヴ様。どうぞあの子をよろしくお願いいたします」
深々と頭を下げる姿はまるで実の母親のように見えた。
イライザに頼まれたこともあり、また妻となる女性だ。クライヴはセシリアを気遣い、少しずつ夫婦の仲を深めていこうと考えていた。
だがセシリアはクライヴが思う以上に、胸の内が見えない女性であった。
「奥様から身籠ったメイドに退職金をつけるよう言われました。使用人にもお優しい方なのですね」
「ハーフォード公爵家の奥方に相応しい方ですわ」
そう、家令やメイド長から報告を受けた。
まだ慣れない面はあるものの、女主人であるセシリアの評判は悪くなかった。
クライヴから見ても、セシリアの常に真面目で努力する姿は好ましく映った。
それなのにセシリア本人は不安そうで、何か悩みを抱えているようであった。それとなく困っていることはないかと訊いても、一瞬迷ったような表情をして、結局「いいえ、何も」と誤魔化すように返されてしまう。
毎回そんなやり取りが続いていくと、次第にもどかしい感情が腹の底に蓄積されていく。
セシリアが打ち明けてくれない以上、こちらも対処のしようがない。無理矢理尋ねても彼女を怖がらせてしまいそうで、距離を掴みかねていた。
(閨では、こんなに素直なのに)
子猫のようにすやすや眠る寝顔を見ながら、クライヴはそう思った。
最初はぎこちなく、硬い蕾のように花開くことを拒んでいたセシリアの身体は、ゆっくりと綻んでいき、蜜をとめどなく零して、甘えるようにクライヴを受け止めてくれるようになった。
彼女をそうしたのは自分であり、その変化を知るのもこの世で自分だけである。
そんな事実が思いのほか、クライヴの心を満たしていた。
『初々しい方ね。クライヴ様も奥様が可愛くて仕方がないでしょう?』
夜会で言われた言葉は、なぜかストンと胸に落ちた。あの時もそうだと思っていたが、今はそれ以上に自覚させられた。
でも、まだ欲しいという気持ちもあった。
(きみのことを、知りたい……)
それなのに上手くいかない。
◆
慣れない夜会続きで、セシリアは疲れているようだった。
また彼女付きのメイドであるタバサから聞いたところ、物憂げな様子で窓の外を眺めて、密かにため息を零すことがあると言う。
「恐らく、ですけれど……ご実家のことを思い出されて、お寂しいのではないでしょうか」
本当は修道院に入っていないということは、すでにこちらの調査で把握していた。
クライヴが伯爵夫人から聞いた話では、セシリアは王都へ来てからまだ一度も実家へは戻っていないそうだ。どこか気まずそうに話す夫人の様子から、恐らく伯爵が強引にセシリアを連れて来たのだろう。
久しぶりに故郷へ帰り、懐かしい景色や友人の顔を見れば、元気が出るだろうか。
クライヴはそう考え、自身の領地ではなく、セシリアの故郷で夏を過ごすことを決めた。
セシリアは驚いた様子であったが、嬉しそうでもあり、クライヴも王都の屋敷を後にするのがいつもの夏より待ち遠しく感じられた。
だがセシリアが叔母の家へ行き、さらにその帰りに幼馴染であるハンスという男と会ったことを御者から聞かされて――彼女が叔母夫妻に会った後ひどく元気がなかったこと、ハンスと親しげな様子であったことを知り、胸が騒めいた。
特にハンスとの関係がクライヴの心をかき乱し、動揺させた。
ただの幼馴染なのか。本当は男女の仲ではないのか。
婚約者であったヨランダから婚約解消を伝えられた時でさえ 何も思わなかったのに、冷静さを欠いて醜態を晒しそうになる。
セシリアに「何もなかったか?」と聞き、今までと同じ答えを返されたことが、なぜか今回はひどく気に障り、どうしても許せなかった。
(私には、教えたくないのか)
ハンスのことは知られたくない。彼との秘密にしたい。それだけ、特別な感情が彼にはあるから。
幼い頃、両親に感情を乱すなと教えられたことを思い出し、心を鎮めようとしたが無理だった。
気づけば、ハンスを屋敷へ招く手筈を整えており、どうして呼ばれたのか心当たりのある男の顔をじっと観察していた。そして、男を部屋に残したまま、隣の部屋でセシリアに甘い声を上げさせようとした。
セシリアはひどいと責めた。自分でもそう思ったが、こうも思った。
(きみだって同じだ)
自分という夫がいながら、ハンスのことを気にしている。本音を打ち明けてくれない。
眠りながら涙を流して傷ついていたというのに。
子どもじみた理屈でむしゃくしゃして、苛立ちがいつまで経っても消えない。それでいて物寂しいような、胸苦しさに襲われる。
こんな気持ちになるのは、生まれて初めてだった。
しかしクライヴの両親は、そんな息子の姿に眉を顰めた。
生まれた時から世話は乳母に一任しており、普段息子に接する時間がかなり少なかったゆえ、いっそう珍しさと不快さが強まった結果だろう。
「ハーフォード家の男児ならば、みっともない姿を晒すな」
感情を律して、早く大人になることを物心ついた時には求められていた。身体はまだ子どもだったのに。
だがクライヴは特に反発心を起こさず、子どもゆえに素直な感性で両親の教えに従った。
ヨランダとの婚約が決まった時も、何の疑問も抱かなかった。親が勧める相手と結婚することは、周りも同じだったから。
たとえ本当に好きな相手がいても、愛人にするのが普通だった。クライヴは面倒だったので、作ろうという気も起こらなかったが。
もともと人についての興味もあまりなかった。
「本当にごめんなさい、クライヴ」
だからヨランダが王太子に見初められ、婚約を解消する流れになっても、特に傷つくこともなかった。彼女は申し訳なさそうな顔を――婚約者がいるのに愛を求められる自分の境遇にどこか酔ったようにも見えながら、謝ってくれたというのに。
我ながら薄情な人間であるが、別に辛くもなかったのが真実であった。
貴族として育った環境もだが、自分はもともと淡白な方なのだろう。
次の婚約者がヨランダの従妹の――メイドである女性と駆け落ちした男の娘だと聞かされても、あまり驚きはしなかった。
王族だけでなく、公爵家との縁も結んでおきたい。そのために利用できるものは利用するというダウニング伯爵の性格からすれば、むしろ納得できる相手と言えた。
「そんな結婚、おやめなさいよ」
伯爵の欲深い執着心に嫌悪感を抱き、違う相手を勧める者も親族の中にはいたが、今回のことは王家や伯爵家にも貸しを作っておく良い機会になるかもしれないという意見もあり、結局当の本人であるクライヴが特に反対する意思を見せなかったので、結婚相手はセシリアに決定した。
「は、初めまして」
セシリアは、出会った時からずっと、怯えたような、不安そうな目をしていた。本人は上手く隠して、伯爵たちが望む姿――ヨランダのような令嬢を精いっぱい演じていたのかもしれないが、クライヴには小動物が震えているようにしか見えなかった。
自信のなさは、身に纏う雰囲気から伝わってくる。
でもそれも仕方がない。彼女はそれまで田舎の片隅で暮らしていた。いきなり貴族の男と結婚しろと言われて、戸惑わない方がおかしい。
いや、玉の輿を狙うような人間ならば、もっと図々しかったかもしれない。媚を売って、自分の機嫌を取ろうとしただろう。
そう考えると、やはりセシリアはこの結婚に意欲的ではないのだと思い、不憫な娘だと同情する気持ちが湧いた。
しかし、結婚の話を取りやめることはしなかった。
それはセシリアを連れてきた伯爵が認めないだろうし、クライヴの親族も何だかんだ文句を言いつつ、セシリアと結婚することを望んでいたからだ。
事は順調に進んでいき、セシリアとの結婚式の日が近づいていく。
その間、クライヴは何度かセシリアと会う機会があって言葉を交わしたが、彼女は常に緊張しており、沈黙が落ちるとすぐに伯爵が割り込んできたので、彼女がどういう人となりなのか、彼女自身から知ることは叶わなかった。
「セシリアは少し自信がない子ですが、努力家な娘です」
代わりに彼女のことを教えてくれたのは、伯爵の妻であるイライザであった。
彼女はセシリアに厳しく接しながらも、慣れない環境に必死で適応しようとしているセシリアに情を抱いたようだ。
「クライヴ様。どうぞあの子をよろしくお願いいたします」
深々と頭を下げる姿はまるで実の母親のように見えた。
イライザに頼まれたこともあり、また妻となる女性だ。クライヴはセシリアを気遣い、少しずつ夫婦の仲を深めていこうと考えていた。
だがセシリアはクライヴが思う以上に、胸の内が見えない女性であった。
「奥様から身籠ったメイドに退職金をつけるよう言われました。使用人にもお優しい方なのですね」
「ハーフォード公爵家の奥方に相応しい方ですわ」
そう、家令やメイド長から報告を受けた。
まだ慣れない面はあるものの、女主人であるセシリアの評判は悪くなかった。
クライヴから見ても、セシリアの常に真面目で努力する姿は好ましく映った。
それなのにセシリア本人は不安そうで、何か悩みを抱えているようであった。それとなく困っていることはないかと訊いても、一瞬迷ったような表情をして、結局「いいえ、何も」と誤魔化すように返されてしまう。
毎回そんなやり取りが続いていくと、次第にもどかしい感情が腹の底に蓄積されていく。
セシリアが打ち明けてくれない以上、こちらも対処のしようがない。無理矢理尋ねても彼女を怖がらせてしまいそうで、距離を掴みかねていた。
(閨では、こんなに素直なのに)
子猫のようにすやすや眠る寝顔を見ながら、クライヴはそう思った。
最初はぎこちなく、硬い蕾のように花開くことを拒んでいたセシリアの身体は、ゆっくりと綻んでいき、蜜をとめどなく零して、甘えるようにクライヴを受け止めてくれるようになった。
彼女をそうしたのは自分であり、その変化を知るのもこの世で自分だけである。
そんな事実が思いのほか、クライヴの心を満たしていた。
『初々しい方ね。クライヴ様も奥様が可愛くて仕方がないでしょう?』
夜会で言われた言葉は、なぜかストンと胸に落ちた。あの時もそうだと思っていたが、今はそれ以上に自覚させられた。
でも、まだ欲しいという気持ちもあった。
(きみのことを、知りたい……)
それなのに上手くいかない。
◆
慣れない夜会続きで、セシリアは疲れているようだった。
また彼女付きのメイドであるタバサから聞いたところ、物憂げな様子で窓の外を眺めて、密かにため息を零すことがあると言う。
「恐らく、ですけれど……ご実家のことを思い出されて、お寂しいのではないでしょうか」
本当は修道院に入っていないということは、すでにこちらの調査で把握していた。
クライヴが伯爵夫人から聞いた話では、セシリアは王都へ来てからまだ一度も実家へは戻っていないそうだ。どこか気まずそうに話す夫人の様子から、恐らく伯爵が強引にセシリアを連れて来たのだろう。
久しぶりに故郷へ帰り、懐かしい景色や友人の顔を見れば、元気が出るだろうか。
クライヴはそう考え、自身の領地ではなく、セシリアの故郷で夏を過ごすことを決めた。
セシリアは驚いた様子であったが、嬉しそうでもあり、クライヴも王都の屋敷を後にするのがいつもの夏より待ち遠しく感じられた。
だがセシリアが叔母の家へ行き、さらにその帰りに幼馴染であるハンスという男と会ったことを御者から聞かされて――彼女が叔母夫妻に会った後ひどく元気がなかったこと、ハンスと親しげな様子であったことを知り、胸が騒めいた。
特にハンスとの関係がクライヴの心をかき乱し、動揺させた。
ただの幼馴染なのか。本当は男女の仲ではないのか。
婚約者であったヨランダから婚約解消を伝えられた時でさえ 何も思わなかったのに、冷静さを欠いて醜態を晒しそうになる。
セシリアに「何もなかったか?」と聞き、今までと同じ答えを返されたことが、なぜか今回はひどく気に障り、どうしても許せなかった。
(私には、教えたくないのか)
ハンスのことは知られたくない。彼との秘密にしたい。それだけ、特別な感情が彼にはあるから。
幼い頃、両親に感情を乱すなと教えられたことを思い出し、心を鎮めようとしたが無理だった。
気づけば、ハンスを屋敷へ招く手筈を整えており、どうして呼ばれたのか心当たりのある男の顔をじっと観察していた。そして、男を部屋に残したまま、隣の部屋でセシリアに甘い声を上げさせようとした。
セシリアはひどいと責めた。自分でもそう思ったが、こうも思った。
(きみだって同じだ)
自分という夫がいながら、ハンスのことを気にしている。本音を打ち明けてくれない。
眠りながら涙を流して傷ついていたというのに。
子どもじみた理屈でむしゃくしゃして、苛立ちがいつまで経っても消えない。それでいて物寂しいような、胸苦しさに襲われる。
こんな気持ちになるのは、生まれて初めてだった。
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