4 / 77
第4話○写真
しおりを挟む
私と彼は名前や見た目がなんとなく似ていた。
私が春香で彼は悠希。
二人ともメガネをかけたショートカット。
細身で身長もそんなに違わなかったので、後ろ姿で間違われたこともあった。
私が仕事にも慣れてきた頃、休憩中に変な写真を撮って見せ合うのが流行った。
カツラをかぶったところや変顔を携帯で撮ったり、旅行先で撮った写真が入ったカメラを持ってきてお互い見せ合いっこしたり……
私もいたずらでビデオを撮られたり写真も不意打ちで撮られたが、嫌がりながらもなぜか楽しかった。
ただ寝顔の写真だけは妙に恥ずかしくて、(どうしよう……)と思っていたら、
彼が 「いらないから消す」と言っていたので安心した。
彼は私が持っていたビデオ機能付きカメラが気に入ったらしく、貸して欲しいと帰りに車で家まで取りに来たことがあった。
「はい、コレ」
「サンキュー」
「落として壊さないでね~」
「あんたじゃあるまいし……」
「私は壊してません~爆発しただけだよっ。掃除もしたし……あ、あれか……」
電子レンジ事件後、私はまたやらかしてしまった。
旅行のお土産のガラス細工をみんなに渡そうとカバンから出そうとして手が滑り、袋ごとガシャンと落としてしまったのだ。
かわいらしい動物達は姿を見せる前に頭と足がもげ、恐ろしい造形になってしまった。
みんなには爆笑されたが、(あげたかったな……)と陰で落ち込んでいると、彼が持ち前の器用さで見事に接着してくれた。
(なんていいやつ~)と感動したのも束の間、以後彼は年下のくせに「あんた」「おまえ」呼ばわりで事あるごとにからかってくるようになった。
「今度の出勤日に返す……やっぱ気が向いたら返す」
「なんだそりゃ」
「家……ここなんだ……丁度通り道」
「そうなんだ……送ってくれてありがとね」
それから私達は仕事帰りに、みんなで色々な所に行くようになった。
私はそれらの出来事を忘れたくなくて日記を書き始めた。
私が春香で彼は悠希。
二人ともメガネをかけたショートカット。
細身で身長もそんなに違わなかったので、後ろ姿で間違われたこともあった。
私が仕事にも慣れてきた頃、休憩中に変な写真を撮って見せ合うのが流行った。
カツラをかぶったところや変顔を携帯で撮ったり、旅行先で撮った写真が入ったカメラを持ってきてお互い見せ合いっこしたり……
私もいたずらでビデオを撮られたり写真も不意打ちで撮られたが、嫌がりながらもなぜか楽しかった。
ただ寝顔の写真だけは妙に恥ずかしくて、(どうしよう……)と思っていたら、
彼が 「いらないから消す」と言っていたので安心した。
彼は私が持っていたビデオ機能付きカメラが気に入ったらしく、貸して欲しいと帰りに車で家まで取りに来たことがあった。
「はい、コレ」
「サンキュー」
「落として壊さないでね~」
「あんたじゃあるまいし……」
「私は壊してません~爆発しただけだよっ。掃除もしたし……あ、あれか……」
電子レンジ事件後、私はまたやらかしてしまった。
旅行のお土産のガラス細工をみんなに渡そうとカバンから出そうとして手が滑り、袋ごとガシャンと落としてしまったのだ。
かわいらしい動物達は姿を見せる前に頭と足がもげ、恐ろしい造形になってしまった。
みんなには爆笑されたが、(あげたかったな……)と陰で落ち込んでいると、彼が持ち前の器用さで見事に接着してくれた。
(なんていいやつ~)と感動したのも束の間、以後彼は年下のくせに「あんた」「おまえ」呼ばわりで事あるごとにからかってくるようになった。
「今度の出勤日に返す……やっぱ気が向いたら返す」
「なんだそりゃ」
「家……ここなんだ……丁度通り道」
「そうなんだ……送ってくれてありがとね」
それから私達は仕事帰りに、みんなで色々な所に行くようになった。
私はそれらの出来事を忘れたくなくて日記を書き始めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
15年目のホンネ ~今も愛していると言えますか?~
深冬 芽以
恋愛
交際2年、結婚15年の柚葉《ゆずは》と和輝《かずき》。
2人の子供に恵まれて、どこにでもある普通の家族の普通の毎日を過ごしていた。
愚痴は言い切れないほどあるけれど、それなりに幸せ……のはずだった。
「その時計、気に入ってるのね」
「ああ、初ボーナスで買ったから思い出深くて」
『お揃いで』ね?
夫は知らない。
私が知っていることを。
結婚指輪はしないのに、その時計はつけるのね?
私の名前は呼ばないのに、あの女の名前は呼ぶのね?
今も私を好きですか?
後悔していませんか?
私は今もあなたが好きです。
だから、ずっと、後悔しているの……。
妻になり、強くなった。
母になり、逞しくなった。
だけど、傷つかないわけじゃない。
【完結】指先が触れる距離
山田森湖
恋愛
オフィスの隣の席に座る彼女、田中美咲。
必要最低限の会話しか交わさない同僚――そのはずなのに、いつしか彼女の小さな仕草や変化に心を奪われていく。
「おはようございます」の一言、資料を受け渡すときの指先の触れ合い、ふと香るシャンプーの匂い……。
手を伸ばせば届く距離なのに、簡単には踏み込めない関係。
近いようで遠い「隣の席」から始まる、ささやかで切ないオフィスラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる