目覚めた世界で光の眷属の次代盟主とかいう超絶美人に迫られているのだが!?

九條 連

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第2章

俺は死んじまっただ?(7)

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「我の力が不安定であることを、エルディラントは長らく気に病んでいた。我の未熟さゆえだといくら説明しても、自分のせいだとみずからを責めつづけていた。そんなことは、決してないのに」
「あの、ちょっといいか?」
 話の腰を折るのもどうかと思ったが、思いきって声をあげた。

「話を中断させて悪いんだが、あんたの言う『力』っていうのは、最初に言ってた、光の眷属とかに関係する特殊能力のことだよな? 泉に落ちた俺を助け出して乾かしたり、倒れて意識を失ってる状態のところを、この屋敷に運んでベッドに寝かせたり、みたいな」
「まあ、それも一部ではあるが」
 答えたあとで、ふっと寂しげな微笑を浮かべた。

「そなた、本当にエルディラントではないのだな。むろん、わかっていたことだが、あらためてそんな質問をされると思い知らされる」
「あ、ごめん。なるべく早く、この躰の本当の持ち主に返したいとは思ってるんだけど」
 バツの悪さをおぼえながら謝罪すると、銀髪美人は力なくかぶりを振った。

「もとはと言えば、我が発端だったのだ。我が不甲斐ないせいでエルディラントを苦しめ、このようなことになってしまった。巻き添えにしてしまったそなたにも、申し訳ないと思っている」
「いや、俺はべつに……」

 気がついたらこうなってたし、もとの自分のこともわかってないんで、巻きこまれた認識はまるでないというのが正直なところだけども。

「俺があんたの恋人の立場だったら、あんたのせいだなんて思わないと思うぞ? って、なんにもわかってない俺が、こんなこと言うのも無責任だけどさ」
「いいや、エルディラントも、いつもそう言ってくれていた」

 言ったあとで、そなたは優しいなと泣きそうな顔で笑った。そんないじらしい姿を見せられれば、どうにかしてやりたいと思ってしまう。神様相手にこんなことを思うこと自体、おこがましいのかもしれないが。

「俺になにができるかわからないけど、でも、できることがあるなら協力するからさ。本当の俺の躰と記憶を取り戻して、あんたの恋人にもこの躰をちゃんと返す。だからそのために、必要な情報を教えてほしい」
 真剣に頼みこむと、少し驚いた顔をした銀髪美人はすぐに表情をあらためて、大きく頷いた。
「わかった。我もそなたとエルディラントのために、できるかぎりのことをする」
 固い決意とともに、この世界のことについて丁寧に解説してくれた。


 すなわち、この世界は人界と天界に別れていること。俺のいた世界でも宗教的にそういった分類は存在していたが、実際にあるのは人界――というか地上だけで、天国やら地獄はあくまで空想の産物だった。だがこの世界では、天界は実在しているし、そこに棲まう人々も存在していた。それが『神』と呼ばれるものだった。
 人界に住む人間は、聞いたかぎりだと、俺のいた世界の人類と変わらない。寿命も外見も能力も、地球上に生息している、いわゆるホモ・サピエンスと同種ということで間違いないだろう。その一方で、あきらかに人類とは一線を画しているのが天界の住人たちだった。

 天界は、光と闇、ふたつの領域に分かれているという。
 それぞれの属性に応じた種属が自分たちの領域を守っており、その中から長として選ばれた者同士が、婚姻を結ぶ決まりになっている。それによって光と闇の調和が保たれ、天界と人界を含む世界の均衡が保たれるのだそうだ。
 天界に住まう人々は、生まれながらに己の属性に応じた能力を有していて、その寿命は八〇〇年前後と長命であるという。それが、彼らが『神』と呼ばれる所以ゆえんにも繋がっていた。
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