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後日譚・海に浮かぶ月を見る
そのじゅういち 白くて黒い
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頼りなく揺れる波の不規則な感覚に、ロザリンデは意識を取り戻しつつあった。
それでもまだ半分は夢の中であり、誘拐され袋詰めされたまま運ばれている。
薬剤や毒には体を慣らしているので、誘拐犯たちが思うより覚醒が早いのだろう。
攫われる理由については、ありすぎてわからない。
なにしろロザリンデは海洋王国ドラクルの第一王女で、つい先日までフラメル国の正妃でもあったからだ。
海路の確立。交易の利潤拡大。人為的な脅威の排除。
様々な思惑を微笑みで隠し、国と国を結ぶ。
それがロザリンデに与えられた役割で、齢15にして40歳年上の国王の元へと第二の正妃として嫁いだ王女としての使命だった。
小娘と侮られぬように、相手に付け入る隙を与えぬように、ましてや身の内にドロドロと黒い闇を飼っていることなどおくびにも出さぬように心がける。
美しい翼を広げ湖に舞い降りた白鳥のように、純粋に愛されなくてはならない。
思惑通りに、優美でたおやかな肢体と穏やかで柔和な美貌は白鳥のようだと国王陛下に愛でられたが、ロザリンデよりも年上の義息たちの負の感情をあおることになった。
故人である第一正妃が国内の高位貴族であったから、海洋王国との繋がりを持つ子が世継ぎとして最優先される可能性を恐れたのだ。
ドラクルの魔女と侮蔑する単純さに、それがお前たちの望みなら叶えて差し上げるわと内心ほくそ笑みながら、頼りない風情で悲しげに目を伏せた日もある。
もとより子を成さぬ契約を結び離縁が前提の婚姻であるから、国王も欲をかかずお飾りのまま愛でれば良かったのに、可能性という宝石の魅力には抗えなかったのだろう。
避妊薬の使用で表向きは整合性を持たせたが、海運利潤に関してロザリンデの祖国に有利なものを引き出せた。
最後には愛を口にするに至るから、恥じらう振りをして嘲笑を隠すのも大変だった。
それはそれで祖国にとって新たな利益の可能性を生んだので、黒い笑みを隠し、優美な白鳥の仕草で受け入れた。
それなのに。
―――おいたわしい、ロザリンデ様。
初夜の後、同郷の若い治癒師がそう言って泣くものだから、ふと、自らも人間であったことを思い出した。
醜く見苦しい在り方が自分自身だから、おいたわしいという言葉を激しく憎悪したが、同時に枯渇していた情愛が湧きあがり、この男が欲しいと思った。
王族ほど不自由な生き物はいない。
その身に与えられた特権を享受しながら、個としてはゴミ屑以下である。
ましてやロザリンデは、見てくれこそ美しいが、ただの怪物だ。
御伽噺の悪魔の娘のように、白い鳥の皮をまとい欺く黒鳥の娘と同じなのだ。
それでも稀に、本性を隠す息苦しさは感じる。
自らの醜悪さに辟易しながら、窒息して溺死しかけた時。
まっすぐな瞳が見苦しい表層を透かし、心の奥底に眠る宝石を見つけた時のように微笑むのだから、たちが悪い。
醜いおのれの本性ごと認め受け入れ、あなたの在り方は美しくて愛しいと告げてくる相手を知ってしまえば、手放せるわけがない。
ニィと唇が弧を描き、嘲笑を形作る。
どれほど傷ついても、ロザリンデ自身にまで傷つけられても、想いを止められないのだから、恋とは本当に愚かで恐ろしいものだ。
全てをしくみ、思い通りに誘導していると知っているはずでも、ダンテはダンテのまま変わらない。
真っすぐで慈愛に満ちた、純粋な愛情に裏打ちされた献身の輝き。
国からの資金提供は豊潤なのだから、意地を張らず手を付ければ良いだけで、ごっこ遊びの不自由さなど気にしなければ良いのに、生真面目な男は身を粉にしてロザリンデに尽くし、勝手に傷ついて、哀れにも許しを請う。
痛々しいすべてに、ゾクゾクするほどの愛を感じる。
彼の眼差しを独占するためだけに、ロザリンデは祖国からの要望も受け入れているとも知らないで、なんて哀れで愛しい男なのか。
もう二度と、ロザリンデはダンテを手放せない。
次の夫として、表面だけは清廉で美しい、醜悪で見苦しい怪物を見つけるだけだ。
フラメル国で6年過ごしても、嫁いだ国には何の情もわかなかった。
そもそも白鳥に見えたからと言って、芯から白い生き物だと信じる王が愚かなのだ。
そして、最後の最後で国王故人を欺いて、思い通りに得た母国への土産も身の内にある。いっそ流れてしまえと思うときもあるのに、存外丈夫で生き強い。
怪物を見つけさえすれば、フラメル国の王権を揺るがすものが腹の中に居るのだから、ロザリンデの身をダンテごと引き受けさせる勝算はあるのだ。
ふと、一緒にいたティアは大丈夫だろうか? と思った。
思い出せば、初めて港街ラタンフェにたどり着いた日。
ロザリンデは路上喫茶で椅子に座って、果実水を飲みながらダンテを待っていた。
治癒院に職を求めに行ったダンテと入れ違いに、建物の中からミントとその夫が出てきた。
旅慣れている二人が視線を合わせるたび、恥じらうように頬を染める少女と、その瞬間に瞳の奥底まで確かめている男の様子が、あまりに自然で目を奪われてしまった。
ロザリンデがどれほど望んでも手に入れる事の叶わない、幸福の形がそこにあった。
あの娘の純真と献身にあふれる瞳の輝きは、ダンテの持つ輝きに似ていた。
治癒の力は願いや祈りに似ているというから、同じ種類の人間なのだろう。
そのうえ白銀の髪と緑の瞳という、ロザリンデと同じ色彩を持っていたのも良かった。
ただ、治癒師らしい娘に惹かれている男は、ロザリンデと同じくまっとうに生きられない人間に違いない、と思った
ロクな男ではないわ、と一瞬侮蔑が浮かんだが、自分はそれ以上に醜い生き物だ。
高貴な者として美しくあでやかに清廉な姿は、性根とは真逆である。
表の顔が美麗であればあるほど、自分自身の心根の歪みや醜さに辟易して、見苦しい化け物であると実感する。
だから街頭で、彼らが店舗のおかみさんたちと交わす会話を漏れ聞いて、長期滞在用の宿の名を知り、ダンテを唆して同宿にしたのだ。
夢のような夫婦ごっこの間に、夢そのものである普通のお友達も一緒に愛でて慈しみたかった。
夢幻の白鳥として、つかの間の友との思い出を、一生の宝にするつもりだった。
だから、今の状況は心底から不本意だった。
最後の扉をくぐったのだろう。
ようやくロザリンデを荷物のように運ぶ足が止まった。
布袋越しに漏れ聞こえてくる言葉の訛りとその声に、攫った相手の予想がついた。
許さなくてよ、フラメル国の愚か者ども。
不意に身体が投げ出され、布袋から転げ落ちる。
手を伸ばしたら届く場所で解放されたティアの姿に、見た範囲では怪我もなく無事を確認して内心で安堵する。
怒りが燃え上がる。
腹の底から、燃えるような憎悪がわきあがる。
白く偽っていた翼が、本来の闇の色に染まる。
激しく膨らむ剣呑な激情を押し隠し、布袋から解放されたロザリンデは、普段通りに微笑んだ。
穏やかで嫋やかなその微笑みは、白鳥と呼ばれる王女にふさわしい高貴さと清廉さを漂わせていた。
それでもまだ半分は夢の中であり、誘拐され袋詰めされたまま運ばれている。
薬剤や毒には体を慣らしているので、誘拐犯たちが思うより覚醒が早いのだろう。
攫われる理由については、ありすぎてわからない。
なにしろロザリンデは海洋王国ドラクルの第一王女で、つい先日までフラメル国の正妃でもあったからだ。
海路の確立。交易の利潤拡大。人為的な脅威の排除。
様々な思惑を微笑みで隠し、国と国を結ぶ。
それがロザリンデに与えられた役割で、齢15にして40歳年上の国王の元へと第二の正妃として嫁いだ王女としての使命だった。
小娘と侮られぬように、相手に付け入る隙を与えぬように、ましてや身の内にドロドロと黒い闇を飼っていることなどおくびにも出さぬように心がける。
美しい翼を広げ湖に舞い降りた白鳥のように、純粋に愛されなくてはならない。
思惑通りに、優美でたおやかな肢体と穏やかで柔和な美貌は白鳥のようだと国王陛下に愛でられたが、ロザリンデよりも年上の義息たちの負の感情をあおることになった。
故人である第一正妃が国内の高位貴族であったから、海洋王国との繋がりを持つ子が世継ぎとして最優先される可能性を恐れたのだ。
ドラクルの魔女と侮蔑する単純さに、それがお前たちの望みなら叶えて差し上げるわと内心ほくそ笑みながら、頼りない風情で悲しげに目を伏せた日もある。
もとより子を成さぬ契約を結び離縁が前提の婚姻であるから、国王も欲をかかずお飾りのまま愛でれば良かったのに、可能性という宝石の魅力には抗えなかったのだろう。
避妊薬の使用で表向きは整合性を持たせたが、海運利潤に関してロザリンデの祖国に有利なものを引き出せた。
最後には愛を口にするに至るから、恥じらう振りをして嘲笑を隠すのも大変だった。
それはそれで祖国にとって新たな利益の可能性を生んだので、黒い笑みを隠し、優美な白鳥の仕草で受け入れた。
それなのに。
―――おいたわしい、ロザリンデ様。
初夜の後、同郷の若い治癒師がそう言って泣くものだから、ふと、自らも人間であったことを思い出した。
醜く見苦しい在り方が自分自身だから、おいたわしいという言葉を激しく憎悪したが、同時に枯渇していた情愛が湧きあがり、この男が欲しいと思った。
王族ほど不自由な生き物はいない。
その身に与えられた特権を享受しながら、個としてはゴミ屑以下である。
ましてやロザリンデは、見てくれこそ美しいが、ただの怪物だ。
御伽噺の悪魔の娘のように、白い鳥の皮をまとい欺く黒鳥の娘と同じなのだ。
それでも稀に、本性を隠す息苦しさは感じる。
自らの醜悪さに辟易しながら、窒息して溺死しかけた時。
まっすぐな瞳が見苦しい表層を透かし、心の奥底に眠る宝石を見つけた時のように微笑むのだから、たちが悪い。
醜いおのれの本性ごと認め受け入れ、あなたの在り方は美しくて愛しいと告げてくる相手を知ってしまえば、手放せるわけがない。
ニィと唇が弧を描き、嘲笑を形作る。
どれほど傷ついても、ロザリンデ自身にまで傷つけられても、想いを止められないのだから、恋とは本当に愚かで恐ろしいものだ。
全てをしくみ、思い通りに誘導していると知っているはずでも、ダンテはダンテのまま変わらない。
真っすぐで慈愛に満ちた、純粋な愛情に裏打ちされた献身の輝き。
国からの資金提供は豊潤なのだから、意地を張らず手を付ければ良いだけで、ごっこ遊びの不自由さなど気にしなければ良いのに、生真面目な男は身を粉にしてロザリンデに尽くし、勝手に傷ついて、哀れにも許しを請う。
痛々しいすべてに、ゾクゾクするほどの愛を感じる。
彼の眼差しを独占するためだけに、ロザリンデは祖国からの要望も受け入れているとも知らないで、なんて哀れで愛しい男なのか。
もう二度と、ロザリンデはダンテを手放せない。
次の夫として、表面だけは清廉で美しい、醜悪で見苦しい怪物を見つけるだけだ。
フラメル国で6年過ごしても、嫁いだ国には何の情もわかなかった。
そもそも白鳥に見えたからと言って、芯から白い生き物だと信じる王が愚かなのだ。
そして、最後の最後で国王故人を欺いて、思い通りに得た母国への土産も身の内にある。いっそ流れてしまえと思うときもあるのに、存外丈夫で生き強い。
怪物を見つけさえすれば、フラメル国の王権を揺るがすものが腹の中に居るのだから、ロザリンデの身をダンテごと引き受けさせる勝算はあるのだ。
ふと、一緒にいたティアは大丈夫だろうか? と思った。
思い出せば、初めて港街ラタンフェにたどり着いた日。
ロザリンデは路上喫茶で椅子に座って、果実水を飲みながらダンテを待っていた。
治癒院に職を求めに行ったダンテと入れ違いに、建物の中からミントとその夫が出てきた。
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ロザリンデがどれほど望んでも手に入れる事の叶わない、幸福の形がそこにあった。
あの娘の純真と献身にあふれる瞳の輝きは、ダンテの持つ輝きに似ていた。
治癒の力は願いや祈りに似ているというから、同じ種類の人間なのだろう。
そのうえ白銀の髪と緑の瞳という、ロザリンデと同じ色彩を持っていたのも良かった。
ただ、治癒師らしい娘に惹かれている男は、ロザリンデと同じくまっとうに生きられない人間に違いない、と思った
ロクな男ではないわ、と一瞬侮蔑が浮かんだが、自分はそれ以上に醜い生き物だ。
高貴な者として美しくあでやかに清廉な姿は、性根とは真逆である。
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夢幻の白鳥として、つかの間の友との思い出を、一生の宝にするつもりだった。
だから、今の状況は心底から不本意だった。
最後の扉をくぐったのだろう。
ようやくロザリンデを荷物のように運ぶ足が止まった。
布袋越しに漏れ聞こえてくる言葉の訛りとその声に、攫った相手の予想がついた。
許さなくてよ、フラメル国の愚か者ども。
不意に身体が投げ出され、布袋から転げ落ちる。
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怒りが燃え上がる。
腹の底から、燃えるような憎悪がわきあがる。
白く偽っていた翼が、本来の闇の色に染まる。
激しく膨らむ剣呑な激情を押し隠し、布袋から解放されたロザリンデは、普段通りに微笑んだ。
穏やかで嫋やかなその微笑みは、白鳥と呼ばれる王女にふさわしい高貴さと清廉さを漂わせていた。
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