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火恋 【水恋との対です】
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もとより
愛など信じておりません
あなたも同じでしょう?
華やかな婚礼の席
にぎわう宴も
たけなわだというのに
涼やかな声で
私の妻となる
隣国の姫はつぶやいた
返事など求めない
私だけに向けられた
冷徹なまでの物言いに
返す言葉もなく
ただ眼差しを向ければ
赤い葡萄酒の芳香に
目の縁をほんのり染める横顔
静謐とした瞳を
宴に向けたまま
優雅な細い指先が
ゴブレットの縁をたどっている
優雅な仕草に
見惚れるばかり
あなたが望まぬならば
今ならば婚姻そのものを
無効にすることは可能ですよ
私に向けられた
透きとおる青い瞳は
底が見えぬほど深く
揺らぎすらない
わたくしはあなたのもの
あなたがいつか手にする
王冠と玉座と同じですわ
それは
太陽が昇れば朝が来るのと同じ
確かな未来
とうとうと語る静けさに
なるほどと理解する
蝶よ花よと溺愛された
甘い育ちの姫ではないのだ
生まれながらの王族の娘
理解すると同時に
その高貴な魂を
私のものにしたいと
炎に似た欲を抱いた
閉ざされている訳でも
凍りついている訳でもないのに
愛を紡ぐ言葉は届かない
愛を求めぬならば
好きだと囁き続ける
思いがけない言葉だと
口惜しげに
揺れる眼差しが愛しい
想いの炎が
私の姫に燃え移るまで
好きだと囁き続ける
愛など信じておりません
あなたも同じでしょう?
華やかな婚礼の席
にぎわう宴も
たけなわだというのに
涼やかな声で
私の妻となる
隣国の姫はつぶやいた
返事など求めない
私だけに向けられた
冷徹なまでの物言いに
返す言葉もなく
ただ眼差しを向ければ
赤い葡萄酒の芳香に
目の縁をほんのり染める横顔
静謐とした瞳を
宴に向けたまま
優雅な細い指先が
ゴブレットの縁をたどっている
優雅な仕草に
見惚れるばかり
あなたが望まぬならば
今ならば婚姻そのものを
無効にすることは可能ですよ
私に向けられた
透きとおる青い瞳は
底が見えぬほど深く
揺らぎすらない
わたくしはあなたのもの
あなたがいつか手にする
王冠と玉座と同じですわ
それは
太陽が昇れば朝が来るのと同じ
確かな未来
とうとうと語る静けさに
なるほどと理解する
蝶よ花よと溺愛された
甘い育ちの姫ではないのだ
生まれながらの王族の娘
理解すると同時に
その高貴な魂を
私のものにしたいと
炎に似た欲を抱いた
閉ざされている訳でも
凍りついている訳でもないのに
愛を紡ぐ言葉は届かない
愛を求めぬならば
好きだと囁き続ける
思いがけない言葉だと
口惜しげに
揺れる眼差しが愛しい
想いの炎が
私の姫に燃え移るまで
好きだと囁き続ける
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