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*第2章*
新しい恋(1)
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残りのテスト期間は、あまり勉強に身が入らなかった。
ってか、健もなんでテスト前にあんなことを言ってくるんだって感じだ。
健の甘い囁きにぐらつく、弱い自分がいないわけではない。
だけど、私にも一応良心っていうものがあって、健が忘れさせてやるって言ってくれたところで、それに乗っかるのには抵抗がある。
和人への想いを忘れるために、健を利用してるように思えてしまうからだ。
私の心の内を知ったら、健はどう思うのだろう?
そう思ったら、やっぱり断る方が健のためだと思う。
だけど、これ以上、私たちの関係がギクシャクしてしまうのは嫌だった。
テスト期間が明けて十二月にかわっても、私は健にどう返事をすればいいかわからずにいた。
自分の部屋のローテーブルにノートの切れ端を広げて、この前黒板に書いたように私たちの関係図を書いてみる。
前回は三角で書いていたが、今回は四角形の図を見る。
こうして改めて紙に書き出してみると、健に告白されたときに思ったよりも、私たちの想いのベクトルはシンプルだった。
私の気持ちが健に向きさえすれば、全て丸く収まるんだということがわかった。
真理恵と和人、私と健。
四人の幼なじみグループの中から綺麗に二組のカップルが生まれるだなんて、本当に収まりがいい。
私たちの関係を大きく壊さないためには、今となってしまえばそれが一番最善のように思えた。
そんな風に考えていたとき、誰かが階段を上がってきたようで、私の部屋をノックした。
慌ててその紙を丸めて、履いてたハーフパンツのポケットに押し込む。
「はーい、どうぞ~」
ドアが開くと同時に目に飛び込んだのは、今頭を悩ませている原因でもある、健の姿だった。
「未夢、お疲れ~」
「お疲れ、って。どうしたの? 急に」
「や、この前の返事、まだ聞いてなかったな~って思って」
ドクンと胸が痛いくらいに音を立てた。
今日が土曜日だからって、油断していた。
私たちには、学校が休みだから今日は会うことはないっていう方程式は成り立たない。
この前の返事っていうのは、健からの告白の返事だということは言われなくてもわかってる。
まさかこんな風に健から出向いてくると思ってなくて、焦りと同時に、それだけ健を待たせていたという罪悪感に包まれる。
「あ、未夢の中で考えがまとまってないんだろうなっていうのは、なんとなくわかってるから大丈夫。俺ももっと待つべきだってのはわかってるんだけど、今の時点での未夢の気持ちが聞きたいんだ」
今の時点での、私の気持ち……?
「私、は……」
優しく私を見つめる健の瞳から逃げるように、視線をそらしてしまう。
「健に好きって言ってもらえたことは、本当に嬉しかったよ。健の提案も、私には本当にもったいないくらい」
「じゃあ」
少し明るい声を出した健に申し訳なさを感じながら、彼の言葉を遮るように伝える。
「でも、健を利用するみたいになるのは嫌なの。まるで忘れたいことを忘れるために付き合う、だなんて、やっぱり健に悪いよ」
「悪くない」
「え……?」
健は私の両肩に手を添えて、まるで私に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「それでもいいって、俺が言ってるの。むしろ、俺にそうさせてほしい」
「健……」
「そのくらい好きなんだ、未夢のこと」
なんで私だったんだろう、健が好きなのが。
なんで健じゃないんだろう、私が好きになったのが。
こんなに私のことを想ってくれる人のことを好きになれたなら、きっとこれ以上のものはないはずなのに、現実は上手く回ってくれない。
「今は俺のこと、そういう目で見てなくてもいいって言ったよね?」
「うん……」
「それでいいんだよ。俺が嫌いとか、どうしても好きになれなさそうとか、そういうんじゃないならさ」
「健……」
どうしよう……。
私を見つめる健の瞳は真剣で、だけどとても辛そうだ。
そんな辛そうな健を見ていられなかった。
ぎゅっと目を閉じれば、さっきポケットに突っ込んだ、私たちの関係を表した四角形の図が頭に浮かぶ。
私は一体、どうすればいいのだろう──。
ってか、健もなんでテスト前にあんなことを言ってくるんだって感じだ。
健の甘い囁きにぐらつく、弱い自分がいないわけではない。
だけど、私にも一応良心っていうものがあって、健が忘れさせてやるって言ってくれたところで、それに乗っかるのには抵抗がある。
和人への想いを忘れるために、健を利用してるように思えてしまうからだ。
私の心の内を知ったら、健はどう思うのだろう?
そう思ったら、やっぱり断る方が健のためだと思う。
だけど、これ以上、私たちの関係がギクシャクしてしまうのは嫌だった。
テスト期間が明けて十二月にかわっても、私は健にどう返事をすればいいかわからずにいた。
自分の部屋のローテーブルにノートの切れ端を広げて、この前黒板に書いたように私たちの関係図を書いてみる。
前回は三角で書いていたが、今回は四角形の図を見る。
こうして改めて紙に書き出してみると、健に告白されたときに思ったよりも、私たちの想いのベクトルはシンプルだった。
私の気持ちが健に向きさえすれば、全て丸く収まるんだということがわかった。
真理恵と和人、私と健。
四人の幼なじみグループの中から綺麗に二組のカップルが生まれるだなんて、本当に収まりがいい。
私たちの関係を大きく壊さないためには、今となってしまえばそれが一番最善のように思えた。
そんな風に考えていたとき、誰かが階段を上がってきたようで、私の部屋をノックした。
慌ててその紙を丸めて、履いてたハーフパンツのポケットに押し込む。
「はーい、どうぞ~」
ドアが開くと同時に目に飛び込んだのは、今頭を悩ませている原因でもある、健の姿だった。
「未夢、お疲れ~」
「お疲れ、って。どうしたの? 急に」
「や、この前の返事、まだ聞いてなかったな~って思って」
ドクンと胸が痛いくらいに音を立てた。
今日が土曜日だからって、油断していた。
私たちには、学校が休みだから今日は会うことはないっていう方程式は成り立たない。
この前の返事っていうのは、健からの告白の返事だということは言われなくてもわかってる。
まさかこんな風に健から出向いてくると思ってなくて、焦りと同時に、それだけ健を待たせていたという罪悪感に包まれる。
「あ、未夢の中で考えがまとまってないんだろうなっていうのは、なんとなくわかってるから大丈夫。俺ももっと待つべきだってのはわかってるんだけど、今の時点での未夢の気持ちが聞きたいんだ」
今の時点での、私の気持ち……?
「私、は……」
優しく私を見つめる健の瞳から逃げるように、視線をそらしてしまう。
「健に好きって言ってもらえたことは、本当に嬉しかったよ。健の提案も、私には本当にもったいないくらい」
「じゃあ」
少し明るい声を出した健に申し訳なさを感じながら、彼の言葉を遮るように伝える。
「でも、健を利用するみたいになるのは嫌なの。まるで忘れたいことを忘れるために付き合う、だなんて、やっぱり健に悪いよ」
「悪くない」
「え……?」
健は私の両肩に手を添えて、まるで私に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「それでもいいって、俺が言ってるの。むしろ、俺にそうさせてほしい」
「健……」
「そのくらい好きなんだ、未夢のこと」
なんで私だったんだろう、健が好きなのが。
なんで健じゃないんだろう、私が好きになったのが。
こんなに私のことを想ってくれる人のことを好きになれたなら、きっとこれ以上のものはないはずなのに、現実は上手く回ってくれない。
「今は俺のこと、そういう目で見てなくてもいいって言ったよね?」
「うん……」
「それでいいんだよ。俺が嫌いとか、どうしても好きになれなさそうとか、そういうんじゃないならさ」
「健……」
どうしよう……。
私を見つめる健の瞳は真剣で、だけどとても辛そうだ。
そんな辛そうな健を見ていられなかった。
ぎゅっと目を閉じれば、さっきポケットに突っ込んだ、私たちの関係を表した四角形の図が頭に浮かぶ。
私は一体、どうすればいいのだろう──。
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