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*第3章*
踏み外した道-和人Side-(3)
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『和人のことが好き、なんだけど』
真理恵まで、何なんだよ。
「ったく、勘弁してくれよ……」
俺にどうしろと言うんだ。
真理恵のことも、大切な存在だ。
だから、無下にはしたくない。
だけど、俺が真理恵の告白を断ったらどうなるだろう?
変に気まずくなって、それが原因で四人の関係が壊れるなんてことに、ならないだろうか?
もしそうなったら、未夢はきっと悲しむ。
それに、そんな末路をたどったら、俺が未夢をあきらめた意味がなくなる。
それなら、俺の取るべき行動はひとつしか思い浮かばなかった。
翌日の登校直後、俺は真理恵を引っ張って、第一体育館裏に連れていった。
第一体育館裏は校舎から少し死角になっていて、この時間帯はここを通る人はほとんどいないから。
「もしかして、昨日の返事、もうくれるの?」
飲み込みの早い真理恵は、こんな突然の俺の行動の理由はすぐにわかったみたいだ。
こういうところは、本当に未夢と正反対だ。
「そうだよ」
「え、和人……?」
だけど、口では上手く伝えられそうにないから、いろいろと聞かれる前に、俺は真理恵の唇を一方的に奪った。
女子にしては背の高い真理恵。
未夢は真理恵よりも十センチくらい低いから、もう少し俺が頑張ってかがまないと難しいだろうな。
真理恵にキスしながらそんなこと考えるなんて、最低だな、俺。
だけど、俺は選んだんだ。真理恵と付き合うことを。
「え、えっと、和人? これは、その、OKってことで……」
「それ以外に何だと思う?」
「やった! すごく嬉しい!」
いつもそばに居たけれど、真理恵は今までで一度も見たことのないような女らしい笑みを浮かべた。
心から喜んでいるような表情に、罪悪感からか胸がキリキリと痛んだ。
もう後戻りはできない。
俺は、真理恵と付き合うって決めたんだ。
未夢のことは正直まだ好きだけど、この気持ちは真理恵と付き合っていくうちに自然と消えていくだろう。
真理恵のことだって、今まで恋愛対象として見ていなかっただけで、好きか嫌いかと聞かれたら好きだ。だから、きっと大丈夫だろう。
そんな風に考える俺は、やっぱり最低なのだろうか……。
罪滅ぼしにはならないけど、真理恵のことを大切にしなきゃと誓ったのだった。
俺の憶測通り、俺らが付き合い始めて間もなく、健と未夢は付き合い始めた。
俺らの関係は少し変わってしまったけれど、大きく崩れることはなかった。
それからも、俺らはお互いに順調に付き合いを続けた。
特に健と未夢は日を増すにつれて恋人らしくなっていって、これで良かったんだと自分に言い聞かせた。
そして、真理恵のことを恋人として好きになろうと努力した。
クリスマスが終わって年末になっても、俺は順調に真理恵と付き合い続けていた。
「ん……っ、和人っ」
「なに? まだ足りない?」
「そうじゃなくて!」
真理恵とキスをしていたところで、俺は胸元を強く押し返される。
不思議に思って視線を落とすと、真理恵は赤く頬を染めて、少し息を切らしながら俺を睨んでいた。
何が気に入らなかったのだろうと軽く首を傾げていると、真理恵は恥ずかしそうに小さく口を開いた。
「クリスマスのときも思ったけど、最近キス、激しくない?」
「嫌だった?」
「嫌じゃないけど、そうじゃなくて……」
キスをしている間だけは、ちゃんと真理恵のことを想えているように思えて、気づけばそればっかりになっていたのかもしれない。
少し真理恵に申し訳なくなった。
さりげなく視線を逸らす真理恵の姿は、わざとなのかそうじゃないのかわからない。
いつも強気で積極的な真理恵に対しては、正直付き合う前までは男友達という感覚の方が強かった。
だけど、意外とピュアなところがあって可愛いなと思うようになっていた。
だから少しずつ真理恵のことを恋愛対象として好きになれているのだと、勘違いしていたのかもしれない。
*
年末年始、未夢の家で年を越したときのことだった。
昼間は餅つきの手伝いをした夜、俺たちは久しぶりに未夢の部屋で昔のように四人で雑魚寝で寝た。
みんなが寝静まる夜中の二時頃のことだった。俺は自分にしがみつかれる感触に、思わず目を覚ました。
暗がりの中、目を開けると、俺の身体に背後から回された二本の腕が目に入る。
端っこに寝ていた俺の隣は、健のはずだ。しかし、俺の身体に回された腕の細さから、健のものではないことは明らかだった。
真理恵以外、俺らはあまり寝相がいいわけではない。
特に健と未夢に関して言えば、俺より酷く、お世辞にも良いとは言えない。
だから、まさかと思ってふり返ったんだ。
すると、案の定暗がりの中で見えたのは、俺の背後で俺に抱きついて眠る未夢の姿だった。
真理恵まで、何なんだよ。
「ったく、勘弁してくれよ……」
俺にどうしろと言うんだ。
真理恵のことも、大切な存在だ。
だから、無下にはしたくない。
だけど、俺が真理恵の告白を断ったらどうなるだろう?
変に気まずくなって、それが原因で四人の関係が壊れるなんてことに、ならないだろうか?
もしそうなったら、未夢はきっと悲しむ。
それに、そんな末路をたどったら、俺が未夢をあきらめた意味がなくなる。
それなら、俺の取るべき行動はひとつしか思い浮かばなかった。
翌日の登校直後、俺は真理恵を引っ張って、第一体育館裏に連れていった。
第一体育館裏は校舎から少し死角になっていて、この時間帯はここを通る人はほとんどいないから。
「もしかして、昨日の返事、もうくれるの?」
飲み込みの早い真理恵は、こんな突然の俺の行動の理由はすぐにわかったみたいだ。
こういうところは、本当に未夢と正反対だ。
「そうだよ」
「え、和人……?」
だけど、口では上手く伝えられそうにないから、いろいろと聞かれる前に、俺は真理恵の唇を一方的に奪った。
女子にしては背の高い真理恵。
未夢は真理恵よりも十センチくらい低いから、もう少し俺が頑張ってかがまないと難しいだろうな。
真理恵にキスしながらそんなこと考えるなんて、最低だな、俺。
だけど、俺は選んだんだ。真理恵と付き合うことを。
「え、えっと、和人? これは、その、OKってことで……」
「それ以外に何だと思う?」
「やった! すごく嬉しい!」
いつもそばに居たけれど、真理恵は今までで一度も見たことのないような女らしい笑みを浮かべた。
心から喜んでいるような表情に、罪悪感からか胸がキリキリと痛んだ。
もう後戻りはできない。
俺は、真理恵と付き合うって決めたんだ。
未夢のことは正直まだ好きだけど、この気持ちは真理恵と付き合っていくうちに自然と消えていくだろう。
真理恵のことだって、今まで恋愛対象として見ていなかっただけで、好きか嫌いかと聞かれたら好きだ。だから、きっと大丈夫だろう。
そんな風に考える俺は、やっぱり最低なのだろうか……。
罪滅ぼしにはならないけど、真理恵のことを大切にしなきゃと誓ったのだった。
俺の憶測通り、俺らが付き合い始めて間もなく、健と未夢は付き合い始めた。
俺らの関係は少し変わってしまったけれど、大きく崩れることはなかった。
それからも、俺らはお互いに順調に付き合いを続けた。
特に健と未夢は日を増すにつれて恋人らしくなっていって、これで良かったんだと自分に言い聞かせた。
そして、真理恵のことを恋人として好きになろうと努力した。
クリスマスが終わって年末になっても、俺は順調に真理恵と付き合い続けていた。
「ん……っ、和人っ」
「なに? まだ足りない?」
「そうじゃなくて!」
真理恵とキスをしていたところで、俺は胸元を強く押し返される。
不思議に思って視線を落とすと、真理恵は赤く頬を染めて、少し息を切らしながら俺を睨んでいた。
何が気に入らなかったのだろうと軽く首を傾げていると、真理恵は恥ずかしそうに小さく口を開いた。
「クリスマスのときも思ったけど、最近キス、激しくない?」
「嫌だった?」
「嫌じゃないけど、そうじゃなくて……」
キスをしている間だけは、ちゃんと真理恵のことを想えているように思えて、気づけばそればっかりになっていたのかもしれない。
少し真理恵に申し訳なくなった。
さりげなく視線を逸らす真理恵の姿は、わざとなのかそうじゃないのかわからない。
いつも強気で積極的な真理恵に対しては、正直付き合う前までは男友達という感覚の方が強かった。
だけど、意外とピュアなところがあって可愛いなと思うようになっていた。
だから少しずつ真理恵のことを恋愛対象として好きになれているのだと、勘違いしていたのかもしれない。
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みんなが寝静まる夜中の二時頃のことだった。俺は自分にしがみつかれる感触に、思わず目を覚ました。
暗がりの中、目を開けると、俺の身体に背後から回された二本の腕が目に入る。
端っこに寝ていた俺の隣は、健のはずだ。しかし、俺の身体に回された腕の細さから、健のものではないことは明らかだった。
真理恵以外、俺らはあまり寝相がいいわけではない。
特に健と未夢に関して言えば、俺より酷く、お世辞にも良いとは言えない。
だから、まさかと思ってふり返ったんだ。
すると、案の定暗がりの中で見えたのは、俺の背後で俺に抱きついて眠る未夢の姿だった。
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