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*第4章*
不穏の影(2)
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「でもまぁ、無事で良かった」
瞬間、私の身体の前に回されたままだった和人の腕にほんの少しの力が加わって、本当に軽くだけど和人に一瞬抱きしめられたような気がした。
それからすぐに和人は私から身を離した。
「じゃあ、帰ろうか。送ってくよ」
「うん」
そして、和人は私の手を取って歩き出した。
和人はちょうど部活帰りだったようだ。
帰り道でもある商店街の前を通ったときに、偶然私の姿が見えたらしく、心配して来てくれたんだそうだ。
「で、何でこんな時間にこんなところに一人でいたの? 健は?」
「健は今日はバイト。ノートを切らしちゃって、ちょっと外が暗くなってきてたけど買いに出たの」
「そういや、今日か。あいつのバイト」
どういうわけか私の手は和人の手に握られていて、異様に緊張する。
昔は普通のことだったけど、少なからず私の和人を見る目が変わってしまったからだろう。
それに真理恵と和人が付き合いだしてからは、全く和人に触れることってなくなっていたから、罪悪感に似た感情も浮かび上がってくる。
「あ、あのさ、和人。手、なんだけど……」
和人もきっと昔の名残で何となく私と手を繋いでるんだろう。手を繋いでいることを指摘されて、まるでうっかりしていたとばかりの表情を浮かべた。
「え? あ……。嫌?」
「嫌じゃ、ないよ……。でも、」
「嫌じゃないならいいじゃん。たまには」
え、そういうものなの?
でも、そんな風に言われてしまったら、私から和人の手を離せなくなってしまった。
たまにはいいかもって、私も思ってしまったから。
和人の考えてることは、たまによくわからない。
この前の年越しのときだって……あ!
今は和人と二人きりだ。
今なら、あの年越しの夜のことを和人に聞いてみても良いかもしれない。
ずっと和人に聞くべきかどうか迷っていたけれど、私が最近気にしすぎておかしくなってるから、この際事実をはっきりさせてもいいのかもしれない。
「あのさ……」
「ん?」
「この前の年越しの夜のことなんだけど、和人、私に何かした?」
「え……?」
和人は、少し驚いたように目を開いて私を見る。
もしかして、聞き方がまずかったかな?
「や、和人が変なことしたとか思ってるんじゃないよ! ただあの日、私、眠りが浅かったみたいで、夢の中の出来事かそうでないのかを確認したいっていうか、何て言うか……」
ああ、もう、これじゃあ自分でも何言ってるのかわからないよ……!
だけど、和人はそんな私を見てフッと口元を緩める。
「なんだ、そういうこと。大丈夫、何もしてないから」
「え、そうなの?」
「何? 未夢は俺に何かしてほしかったの?」
私が思わず聞き返した言葉に、和人は意地悪い笑みを浮かべる。
「そういうわけじゃ、ないもん……」
さらにクククと笑う和人に、まるでからかわれているみたい。
こんなことになるなら、聞くんじゃなかった。
恥ずかしいだけじゃん……。
肌に当たる風は冷たいのに、私の顔は火照って熱い。
これも和人のせいだ。
商店街から広い国道の歩道を歩いてちょうど私と和人の会話が途切れた頃、私たちの住む住宅地へと続く細い道に入った。
いつの間にか辺りはすっかり暗くなっていて、各家の門灯や電信柱の明かりだけで照らされていた。
何となくお互いに無言になってしまったけれど、いざとなると何を話していいかわからない。
今まででも、和人と二人でいるときにお互いに何も話してない時間って絶対あったし、今までは大して気にしていなかった。
だけど、今日は無言の時間が異様に気になって仕方ない。
きっとそれは、私が和人のことを意識してるからなのだろう。
瞬間、私の身体の前に回されたままだった和人の腕にほんの少しの力が加わって、本当に軽くだけど和人に一瞬抱きしめられたような気がした。
それからすぐに和人は私から身を離した。
「じゃあ、帰ろうか。送ってくよ」
「うん」
そして、和人は私の手を取って歩き出した。
和人はちょうど部活帰りだったようだ。
帰り道でもある商店街の前を通ったときに、偶然私の姿が見えたらしく、心配して来てくれたんだそうだ。
「で、何でこんな時間にこんなところに一人でいたの? 健は?」
「健は今日はバイト。ノートを切らしちゃって、ちょっと外が暗くなってきてたけど買いに出たの」
「そういや、今日か。あいつのバイト」
どういうわけか私の手は和人の手に握られていて、異様に緊張する。
昔は普通のことだったけど、少なからず私の和人を見る目が変わってしまったからだろう。
それに真理恵と和人が付き合いだしてからは、全く和人に触れることってなくなっていたから、罪悪感に似た感情も浮かび上がってくる。
「あ、あのさ、和人。手、なんだけど……」
和人もきっと昔の名残で何となく私と手を繋いでるんだろう。手を繋いでいることを指摘されて、まるでうっかりしていたとばかりの表情を浮かべた。
「え? あ……。嫌?」
「嫌じゃ、ないよ……。でも、」
「嫌じゃないならいいじゃん。たまには」
え、そういうものなの?
でも、そんな風に言われてしまったら、私から和人の手を離せなくなってしまった。
たまにはいいかもって、私も思ってしまったから。
和人の考えてることは、たまによくわからない。
この前の年越しのときだって……あ!
今は和人と二人きりだ。
今なら、あの年越しの夜のことを和人に聞いてみても良いかもしれない。
ずっと和人に聞くべきかどうか迷っていたけれど、私が最近気にしすぎておかしくなってるから、この際事実をはっきりさせてもいいのかもしれない。
「あのさ……」
「ん?」
「この前の年越しの夜のことなんだけど、和人、私に何かした?」
「え……?」
和人は、少し驚いたように目を開いて私を見る。
もしかして、聞き方がまずかったかな?
「や、和人が変なことしたとか思ってるんじゃないよ! ただあの日、私、眠りが浅かったみたいで、夢の中の出来事かそうでないのかを確認したいっていうか、何て言うか……」
ああ、もう、これじゃあ自分でも何言ってるのかわからないよ……!
だけど、和人はそんな私を見てフッと口元を緩める。
「なんだ、そういうこと。大丈夫、何もしてないから」
「え、そうなの?」
「何? 未夢は俺に何かしてほしかったの?」
私が思わず聞き返した言葉に、和人は意地悪い笑みを浮かべる。
「そういうわけじゃ、ないもん……」
さらにクククと笑う和人に、まるでからかわれているみたい。
こんなことになるなら、聞くんじゃなかった。
恥ずかしいだけじゃん……。
肌に当たる風は冷たいのに、私の顔は火照って熱い。
これも和人のせいだ。
商店街から広い国道の歩道を歩いてちょうど私と和人の会話が途切れた頃、私たちの住む住宅地へと続く細い道に入った。
いつの間にか辺りはすっかり暗くなっていて、各家の門灯や電信柱の明かりだけで照らされていた。
何となくお互いに無言になってしまったけれど、いざとなると何を話していいかわからない。
今まででも、和人と二人でいるときにお互いに何も話してない時間って絶対あったし、今までは大して気にしていなかった。
だけど、今日は無言の時間が異様に気になって仕方ない。
きっとそれは、私が和人のことを意識してるからなのだろう。
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