【短編集2】恋のかけらたち

美和優希

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「不器用なサプライズ」

5-6

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 千佳が俺を思ってマフラーを編んでくれたということが嬉しかった。

「すげえな。ありがとう」


 茶色のマフラーを首に巻いて微笑むと、千佳は恥ずかしそうにうつむいた。

 そんな彼女の姿が堪らなく可愛くて、再び俺は千佳を軽く抱き寄せた。


「好きだよ、千佳。まずは一年間ありがとう。これからもずっと、一緒に過ごしていこうな」

「うん、ありがとう。私も好きだよ。ずっと一緒にいてね」

 千佳も望んでくれるなら、二年後も、三年後もその先も、ずっと一緒にいるつもりだ。

 俺はそんな思いをこめて、千佳をきつく抱きしめた。

 少しして身を離すと、お互いに笑い合って手を取り歩き出す。


「じゃあ、本日のメインに移ろうか! 千佳、腹は減ってる?」

「うん!」


 今回の件は完全に俺が悪かったけれど、こうして失敗を繰り返していくうちに、二人の絆は深まっていくと信じたい。


「バイト、コバちゃんと一緒なら、私も同じところでバイトしようかな……」

「もしかして妬いてくれてるの?」

「そ、そうじゃないけど……」

 真っ赤になる千佳が可愛い。そんな彼女が大好きだ。


「大丈夫、俺は千佳だけだから。千佳が思っている以上に、俺は千佳のことが好きだよ」


 繋いだ手を引っ張ると、少し驚いたように彼女が俺を見上げる。

 俺はそんな彼女にいたずらをするように頬に軽くキスを落とした。



 *END*
 
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