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「クリスマス・ロマンス」
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お腹がいっぱいになったら、和哉の予約してくれていた部屋へと移動した。
部屋に足を踏み入れ、ドアが閉まる音にいやに緊張が走る。
だって、和哉と一緒に夜を過ごすだなんて、久しぶりなんだもん……。
だけど、部屋の中を見渡して、私の意識は部屋の奥の壁一面に広がる大きな窓の外の煌めきに奪われた。
思わずその窓に駆け寄って、一面に広がる夜の街を見下ろす。
「……すごい」
建物に装飾されたネオン、街の街灯、街路樹の電飾が、キラキラと輝く。
近くの大通りは車のランプが左右に行き来し、人がまばらに歩いているのも見えた。
「気に入った?」
和哉が私を包み込むように、後ろから抱きしめる。
「うん。本当に、ありがと……」
和哉を見上げながらそう言うも、言い終える前に塞がれる唇。
触れるだけの、少し長めのキスをして唇を離す。
「ずっと、こうしたかった」
そして、私を抱きしめる和哉の腕の強さが一層強まる。
「私もだよ」
私も和哉の腕に手を添えて、身を寄せ合う。
しばらくそうして、そっと和哉から身を離す。
「そうそう、クリスマスプレゼント」
渡せず仕舞いになってしまわないうちに、と傍に置きっぱなしになっていた私の鞄から和哉へのクリスマスプレゼントを取り出して手渡す。
「はい、メリークリスマス! 気に入ってくれるといいけど」
「俺に!? うわぁーっ、ありがとな!」
なんだろう? と和哉は丁寧にラッピングを開ける。
中から出てきたのは、私が和哉と会えない時間、和哉を想って編んだ紺色の手袋だ。
「え!? これ、莉子が編んだの!?」
えへへと私が笑うと、和哉はガバッと私に抱き着いてくる。
「すっげぇ嬉しい。本当に、ありがとな」
「ちょっ、和哉……っ、苦しいってば……」
あまりにきつく抱きしめられて、苦し紛れにそう言うと、和哉はごめんごめんと笑いながら私を離してくれた。
そして、和哉は急に表情を引き締めると、少し緊張した面持ちで鞄から小さな箱を取り出した。
「受け取ってもらえるか、分からないけど……」
「……え!?」
私の両手にちょこんと乗せられたのは、小さなピンクの箱。
私が和哉を見上げると、開けてみて、と小さく和哉が言う。
丁寧にリボンをほどいて、そっと箱を開ける。
箱の真ん中にちょん、と顔を覗かせていたのは、夜景の明かりを反射してキラキラと輝く、可愛らしいリング。
私が再び和哉を見上げると、和哉は照れ臭そうに笑う。
「今の仕事片付き次第、こっちに戻れることになったんだ」
「え!? ほんと、に……?」
「ああ。予定では来年の春頃、こっちに戻れると思う」
「うん」
嬉しさで、鼻先がツンとする感覚とともに、視界が潤む。
強がり言ってても、やっぱりずっと離れ離れで寂しかったんだもん……。
「でな、莉子さえ良かったらなんだけど……」
ふわりと私の頬に和哉の手が触れる。
その手は、微かに震えていた。
次の瞬間、和哉の口から紡がれた言葉に、胸が震える。
「結婚しよう、俺ら……」
和哉は、真剣な瞳で私を捉える。
私の目からは、堪えていた涙が一気に溢れ出た。
「……莉子?」
驚いたような、少し不安そうな和哉の声。
私は、頬に添えられた和哉の手を両手で取り、口を開いた。
「……嬉しい、の。あり、がとう、和哉……」
和哉は私の返事に安心したような笑みを浮かべると、私をぎゅうっと強く抱きしめる。
私も和哉を抱きしめ返して、強く強く抱き合った。
まだしばらくは離れ離れの日は続くけど、今を乗り越えれば、その先は一緒に居られるんだね……。
幸せな余韻に浸りながら顔を見合わせて笑い合うと、二人寄り添ってキラキラ輝く夜景を見つめた。
部屋に足を踏み入れ、ドアが閉まる音にいやに緊張が走る。
だって、和哉と一緒に夜を過ごすだなんて、久しぶりなんだもん……。
だけど、部屋の中を見渡して、私の意識は部屋の奥の壁一面に広がる大きな窓の外の煌めきに奪われた。
思わずその窓に駆け寄って、一面に広がる夜の街を見下ろす。
「……すごい」
建物に装飾されたネオン、街の街灯、街路樹の電飾が、キラキラと輝く。
近くの大通りは車のランプが左右に行き来し、人がまばらに歩いているのも見えた。
「気に入った?」
和哉が私を包み込むように、後ろから抱きしめる。
「うん。本当に、ありがと……」
和哉を見上げながらそう言うも、言い終える前に塞がれる唇。
触れるだけの、少し長めのキスをして唇を離す。
「ずっと、こうしたかった」
そして、私を抱きしめる和哉の腕の強さが一層強まる。
「私もだよ」
私も和哉の腕に手を添えて、身を寄せ合う。
しばらくそうして、そっと和哉から身を離す。
「そうそう、クリスマスプレゼント」
渡せず仕舞いになってしまわないうちに、と傍に置きっぱなしになっていた私の鞄から和哉へのクリスマスプレゼントを取り出して手渡す。
「はい、メリークリスマス! 気に入ってくれるといいけど」
「俺に!? うわぁーっ、ありがとな!」
なんだろう? と和哉は丁寧にラッピングを開ける。
中から出てきたのは、私が和哉と会えない時間、和哉を想って編んだ紺色の手袋だ。
「え!? これ、莉子が編んだの!?」
えへへと私が笑うと、和哉はガバッと私に抱き着いてくる。
「すっげぇ嬉しい。本当に、ありがとな」
「ちょっ、和哉……っ、苦しいってば……」
あまりにきつく抱きしめられて、苦し紛れにそう言うと、和哉はごめんごめんと笑いながら私を離してくれた。
そして、和哉は急に表情を引き締めると、少し緊張した面持ちで鞄から小さな箱を取り出した。
「受け取ってもらえるか、分からないけど……」
「……え!?」
私の両手にちょこんと乗せられたのは、小さなピンクの箱。
私が和哉を見上げると、開けてみて、と小さく和哉が言う。
丁寧にリボンをほどいて、そっと箱を開ける。
箱の真ん中にちょん、と顔を覗かせていたのは、夜景の明かりを反射してキラキラと輝く、可愛らしいリング。
私が再び和哉を見上げると、和哉は照れ臭そうに笑う。
「今の仕事片付き次第、こっちに戻れることになったんだ」
「え!? ほんと、に……?」
「ああ。予定では来年の春頃、こっちに戻れると思う」
「うん」
嬉しさで、鼻先がツンとする感覚とともに、視界が潤む。
強がり言ってても、やっぱりずっと離れ離れで寂しかったんだもん……。
「でな、莉子さえ良かったらなんだけど……」
ふわりと私の頬に和哉の手が触れる。
その手は、微かに震えていた。
次の瞬間、和哉の口から紡がれた言葉に、胸が震える。
「結婚しよう、俺ら……」
和哉は、真剣な瞳で私を捉える。
私の目からは、堪えていた涙が一気に溢れ出た。
「……莉子?」
驚いたような、少し不安そうな和哉の声。
私は、頬に添えられた和哉の手を両手で取り、口を開いた。
「……嬉しい、の。あり、がとう、和哉……」
和哉は私の返事に安心したような笑みを浮かべると、私をぎゅうっと強く抱きしめる。
私も和哉を抱きしめ返して、強く強く抱き合った。
まだしばらくは離れ離れの日は続くけど、今を乗り越えれば、その先は一緒に居られるんだね……。
幸せな余韻に浸りながら顔を見合わせて笑い合うと、二人寄り添ってキラキラ輝く夜景を見つめた。
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