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1章 嵐
5 体が覚えている
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道場に右京はいた。
休憩しているのか、取り巻きの者たちと道場の隅で遠慮なく大声でしゃべっている。
目立つといえば、これほど目立っている一団もない。
景司はなぜかムカムカしてきた。
身分のせいもあるだろうが、周りの者はみな、右京たちに遠慮している。
あの優しくしてくれた青年も(名前がわからなくてごめん)、右京を見て、景司から離れた。
これでは、友達もできない。
こんなことなら学問所にはいない方が絶対にいい。
少しでも寂しいと思った自分が恥ずかしかった。
「おう、景三郎、もういいのか」
右京が見つけて声をかけてきた。
景司は聞こえていたが、わざと無視して竹刀を取りに行った。
道場に来たからには、稽古しなければならない。
ここは、景三郎の体に、存分にさせてやるつもりだった。
剣術が好きなのがわかるのだ。
「竹刀は使えるのか? やり方まで忘れていないだろうな」
「それは、やってみなければわからない」
右京を睨むようにして言った。
「ほお」
右京が竹刀を持って、近づいてきた。
ニヤリと片頬をゆがめている。
「じゃあ、試してやる」
いきなり竹刀を上段から振り下ろしてきた。
面だ。
体が動き、右京の竹刀をガッチリ受け止めた。
「忘れていないようだな」
右京の笑いが大きくなる。
双方、相手の剣を払って、間合いを開けた。
気合の声と共に、激しい打ち合いが始まった。
正直、景司が一番驚いていた。
体が動くって気持ちがいい、と感動している。
打ち合ううちに、右京の方が年嵩だけあって、腕は上らしいことがわかった。
こないだのことがあるからか、少し手加減していると感じた。
「思い出したか?」
無理をしないように、早々に稽古をやめ、水場で汗を拭いていると、右京が寄ってきて小声で聞いてきた。
景司が、遠慮もせずに双肌ぬぎになると、どこからともなくため息が聞こえ、視線が集まった。
注目の的だ。
景三郎は、恥ずかしがらないんだな、と景司は、自分でそうしながらも感嘆する。
道場での動きは、すべてにおいて、景三郎の体に任せている。
コソコソしない。
右京に対しても、態度を変えない。
なよなよしたところがなく、どちらかというと、豪快で男らしい。
それが、景三郎なのだ。
右京の意地悪やいじめにも屈しない強さがある。
ずっとそうしてきたから、過去を知らない景司も、右京に対して、安心してぶつかっていけるのだ。
「いや、思い出せないんだけど、体が覚えているから・・・」
「ふうん。体がねえ・・・」
といやらしい目を向けてきて、景司は内心慌てた。
変なことを言ってしまったか。
「いい加減におれのものになれ。その体に、おれのことを覚えさせてやる」
と、抱き寄せてきた。
「いらんわ!」
口付けてくる右京の顔を押しやった。
休憩しているのか、取り巻きの者たちと道場の隅で遠慮なく大声でしゃべっている。
目立つといえば、これほど目立っている一団もない。
景司はなぜかムカムカしてきた。
身分のせいもあるだろうが、周りの者はみな、右京たちに遠慮している。
あの優しくしてくれた青年も(名前がわからなくてごめん)、右京を見て、景司から離れた。
これでは、友達もできない。
こんなことなら学問所にはいない方が絶対にいい。
少しでも寂しいと思った自分が恥ずかしかった。
「おう、景三郎、もういいのか」
右京が見つけて声をかけてきた。
景司は聞こえていたが、わざと無視して竹刀を取りに行った。
道場に来たからには、稽古しなければならない。
ここは、景三郎の体に、存分にさせてやるつもりだった。
剣術が好きなのがわかるのだ。
「竹刀は使えるのか? やり方まで忘れていないだろうな」
「それは、やってみなければわからない」
右京を睨むようにして言った。
「ほお」
右京が竹刀を持って、近づいてきた。
ニヤリと片頬をゆがめている。
「じゃあ、試してやる」
いきなり竹刀を上段から振り下ろしてきた。
面だ。
体が動き、右京の竹刀をガッチリ受け止めた。
「忘れていないようだな」
右京の笑いが大きくなる。
双方、相手の剣を払って、間合いを開けた。
気合の声と共に、激しい打ち合いが始まった。
正直、景司が一番驚いていた。
体が動くって気持ちがいい、と感動している。
打ち合ううちに、右京の方が年嵩だけあって、腕は上らしいことがわかった。
こないだのことがあるからか、少し手加減していると感じた。
「思い出したか?」
無理をしないように、早々に稽古をやめ、水場で汗を拭いていると、右京が寄ってきて小声で聞いてきた。
景司が、遠慮もせずに双肌ぬぎになると、どこからともなくため息が聞こえ、視線が集まった。
注目の的だ。
景三郎は、恥ずかしがらないんだな、と景司は、自分でそうしながらも感嘆する。
道場での動きは、すべてにおいて、景三郎の体に任せている。
コソコソしない。
右京に対しても、態度を変えない。
なよなよしたところがなく、どちらかというと、豪快で男らしい。
それが、景三郎なのだ。
右京の意地悪やいじめにも屈しない強さがある。
ずっとそうしてきたから、過去を知らない景司も、右京に対して、安心してぶつかっていけるのだ。
「いや、思い出せないんだけど、体が覚えているから・・・」
「ふうん。体がねえ・・・」
といやらしい目を向けてきて、景司は内心慌てた。
変なことを言ってしまったか。
「いい加減におれのものになれ。その体に、おれのことを覚えさせてやる」
と、抱き寄せてきた。
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