22 / 37
12 甘やかす一人旅とアップルパイ
しおりを挟む
週に一回のペースで更新した。
京一郎に感謝の気持ちを込めて、誕生日のバラの花を投稿したり、週末には、名古屋ならではの喫茶店のモーニングを食べに行った。
京一郎に見せるための投稿だったが、フォロワーが少しずつ増えていき、写真や文章を意識するようになった。
メールは使えないので、京一郎が空いている時間に電話をかけてくるようになった。
その電話で投稿について話したり、アドバイスをもらったりした。
特に、写真につける文章は、細かく指導が入り、その後のフォロワーの数が格段に増えた。
顔出しはしていなかったが、気分を変えたくて美容院に行き、一つにまとめていた髪を、ショートボブにした。
そして、仕事帰りにジムに通い、マシンで走るのを日課にした。
「気合い入ってるね、美香」
るみが、バン、と背中を叩いた。
「続くといいんだけど。今まで何一つ続いたことないから」
三日坊主が自慢になるくらい、続いたためしがない。
「楽しければ続くんじゃない? 大したものね。美香にあんな才能があるなんて」
「SNSのこと? 才能じゃないよ。あれは、京一郎さんのおかげ」
「やっぱり恋の力は偉大ね」
ニヤニヤしている。
「恋とかじゃないって~」
「認めちゃいなさいよ、いい加減に」
「違いますぅ。でも、充実しているのは確か」
大したことないと思っていた日々が、楽しくなってきた。
つき合っているわけじゃない。
それでも、支えてくれている人がいる。
それだけで、心が満たされる。
11月、初めて1泊の一人旅に出た。
軽井沢へ。
(これが自由なんだ)
どこへいくのも、何を食べるのも、自分で決められる。
(その代わりに、センスが問われそう)
自分がいいと思ったものを写真に撮り、投稿していく。
京一郎がいなかったら、こんなこと、やることもなかっただろう。
定番の観光スポットにしか行かないが、投稿するために頭を使い、のんびりするつもりが、その日の投稿を終えるとぐったりと疲れてしまった。
それでも温泉に浸かって、ホッとし、ご馳走を食べ、頑張っている自分を甘やかす。
「ん~~、最高~~」
日常から離れて、自然に触れて、その土地にしかないものに出会う。
格別に高級なホテルに泊まらなくても、至福の時間だった。
(これ、絶対病みつきになる)
京一郎や優美も、この醍醐味を日常的に味わっているのだ。
なんだか、仲間入りしたようで嬉しくなった。
少しずつ、近づいている気がしてくる。
次の日も、たくさん歩いたが、ジム通いで、体力がついてきたようで、思ったほど足も痛くならずに乗り切れた。
最後に、アップルパイを食べに行った。
サクサクのパイ生地の中は、シャキシャキのリンゴだ。
「美味しい~~」
この感動を忘れないうちに下書きに書いておく。
帰りの電車の中で、仕上げて、アップした。
この旅行で、フォロワーがまた増えて、もうすぐ500に届きそうだった。
京一郎に感謝の気持ちを込めて、誕生日のバラの花を投稿したり、週末には、名古屋ならではの喫茶店のモーニングを食べに行った。
京一郎に見せるための投稿だったが、フォロワーが少しずつ増えていき、写真や文章を意識するようになった。
メールは使えないので、京一郎が空いている時間に電話をかけてくるようになった。
その電話で投稿について話したり、アドバイスをもらったりした。
特に、写真につける文章は、細かく指導が入り、その後のフォロワーの数が格段に増えた。
顔出しはしていなかったが、気分を変えたくて美容院に行き、一つにまとめていた髪を、ショートボブにした。
そして、仕事帰りにジムに通い、マシンで走るのを日課にした。
「気合い入ってるね、美香」
るみが、バン、と背中を叩いた。
「続くといいんだけど。今まで何一つ続いたことないから」
三日坊主が自慢になるくらい、続いたためしがない。
「楽しければ続くんじゃない? 大したものね。美香にあんな才能があるなんて」
「SNSのこと? 才能じゃないよ。あれは、京一郎さんのおかげ」
「やっぱり恋の力は偉大ね」
ニヤニヤしている。
「恋とかじゃないって~」
「認めちゃいなさいよ、いい加減に」
「違いますぅ。でも、充実しているのは確か」
大したことないと思っていた日々が、楽しくなってきた。
つき合っているわけじゃない。
それでも、支えてくれている人がいる。
それだけで、心が満たされる。
11月、初めて1泊の一人旅に出た。
軽井沢へ。
(これが自由なんだ)
どこへいくのも、何を食べるのも、自分で決められる。
(その代わりに、センスが問われそう)
自分がいいと思ったものを写真に撮り、投稿していく。
京一郎がいなかったら、こんなこと、やることもなかっただろう。
定番の観光スポットにしか行かないが、投稿するために頭を使い、のんびりするつもりが、その日の投稿を終えるとぐったりと疲れてしまった。
それでも温泉に浸かって、ホッとし、ご馳走を食べ、頑張っている自分を甘やかす。
「ん~~、最高~~」
日常から離れて、自然に触れて、その土地にしかないものに出会う。
格別に高級なホテルに泊まらなくても、至福の時間だった。
(これ、絶対病みつきになる)
京一郎や優美も、この醍醐味を日常的に味わっているのだ。
なんだか、仲間入りしたようで嬉しくなった。
少しずつ、近づいている気がしてくる。
次の日も、たくさん歩いたが、ジム通いで、体力がついてきたようで、思ったほど足も痛くならずに乗り切れた。
最後に、アップルパイを食べに行った。
サクサクのパイ生地の中は、シャキシャキのリンゴだ。
「美味しい~~」
この感動を忘れないうちに下書きに書いておく。
帰りの電車の中で、仕上げて、アップした。
この旅行で、フォロワーがまた増えて、もうすぐ500に届きそうだった。
0
あなたにおすすめの小説
妹の身代わりだった私に「本命は君だ」――王宮前で王子に抱き潰され、溺愛がバレました。~私が虐げられるきっかけになった少年が、私と王子を結び付
唯崎りいち
恋愛
妹の身代わりとして王子とデートすることになった私。でも王子の本命は最初から私で――。長年虐げられ、地味でみすぼらしい私が、王子の愛と溺愛に包まれ、ついに幸せを掴む甘々ラブファンタジー。妹や家族との誤解、影武者の存在も絡み、ハラハラと胸キュンが止まらない物語。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる