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13 攻めのクリスマスパフェ
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12月に入り、街がクリスマス色に染められる頃。
京一郎からのクリスマスプレゼントが送られてきた。
中身を開けて、これは何事かと驚き、直接渡してこないということは、クリスマスには当然、会えないということだろうと冷静に分析する。
(でも、こんなの受け取れない)
真っ赤なニットと、クロスのネックレスだ。
十字に嵌め込まれたダイヤモンドが輝いている。
高価なものに違いない。
こちらから電話することもできず、どうしたものかと悩んでいると、タイミングよく京一郎から電話がかかってきた。
届く時刻を把握しているのだろう。
「いかがですか? 気に入っていただけると嬉しいのですが」
「気に入るも何も、こんな高価なもの、受け取れません。お返しします」
京一郎が笑い出した。
「美香さん。受け取ってください。素直に受け取るものでしょう。返そうとする人は初めてですよ。それとも気に入りませんでしたか」
「いいえ、違います。こんなこと、していただく理由がわかりません」
恋人でもないのに、と言いたい気持ちを抑える。
愛を育もうと言ったくせに、あれから一度も会っていない。約束さえしていない。
「理由がないと、気持ち悪いですか」
「はい」
「では、言いますよ。そろそろ、いいのではないかと」
「何が、ですか?」
「顔出ししましょう。それを身につけて西園寺美香で、出てください」
「はああ!?」
スマホの向こうで京一郎の楽しそうな笑い声が聞こえる。
頭が真っ白になる。
「無理です、そんなの! せっかくフォロワーさん増えてきたのに、減っちゃいますよ」
「大丈夫です。僕が見たいのですよ。美香さんを。笑っている美香さんの今の姿を」
「・・・」
体がかっと熱くなった。
このニットのように、顔が赤くなっているかもしれない。
「どうですか。見せてくれますね」
嬉しさと、怖さが同時に大波となって美香を襲う。
「自撮りなんて、恥ずかしいです」
「では、カメラマンを派遣しましょうか」
「いいえ! いいです、そんなこと。インフルエンサーじゃあるまいし。やめてください」
慌てて否定した。
余計に恥ずかしい。
「そうですか?」
笑われている。
「自分で撮ります」
と、言ってしまった。
はめられているのではないかと疑う。
「では楽しみにしていますよ。プロフィールも整えておきましょう。自分でできますか?」
「やってみます」
「名前と顔以外の情報はなるべく出さずに、謎を残す感じにしましょう」
「はい。あとでアドバイスお願いします」
「それと、僕は海外に行くことになりました。クリスマスも年末年始も日本にいませんから。帰国は2月ごろになるかと」
「そう、・・・ですか」
「今、寂しいと思ってくれましたか?」
「お、思ってません」
どうせ会えないのだ。
どこにいても同じではないか。
ただ、自分と、京一郎の距離が少しも縮まっていないことがわかっただけだ。
セレブと庶民の差はあまりにも大きい。
年末年始、美香はせいぜい実家に帰るくらいしかできない。
先月は旅行に行ったから、しばらくは遠出もできない。
普通のOLなのだから。
「それは残念です。また電話しますね。日本時間に合わせますから」
「あ、ありがとうございます」
言い方が少し、冷たくなってしまった。
京一郎が、少し無言になる。
「大丈夫ですか? 元気がないようですが」
「いいえ、なんでもありません」
咄嗟に声を明るくした。
「ちょっと、不安になっただけです」
「顔出しのことですか? もし、どうしてもできないようでしたら、無理しなくていいですよ。美香さんのアカウントですから」
「はい」
顔出しするのは怖かった。
見るのは、京一郎だけじゃないのだ。
「贈り物、ありがとうございました」
まだちゃんと、お礼を言っていないことに気がついた。
「本当に、もらってしまっていいのでしょうか」
まだ心から信じられていない。
京一郎がまた笑った。
「いいと言っているでしょう。お返しなんて要りませんから。遠慮しないで」
「だって、私は・・・」
京一郎さんの、何?
口に出す勇気がなくてのみ込んだ。
「美香さんだから、できるのですよ。思い出して。のぞみは何ですか? どうしたいんでしたっけ」
「それは・・・私は・・・」
言葉がつまって出てこない。
代わりに涙が出てきてしまった。
「私は、一人で立っていられる女になりたいです」
震える声で言った。
「美香さんなら、できますよ。焦る必要はありません」
違う。欲しい言葉は、そうじゃない。
言いたいことも、そうじゃない。
でも、それはまだ、言葉にできなかった。
「楽しんでできなければ、意味がないですからね」
「大丈夫です。やってみます」
怖くても、立ち止まってはいられないのだ。
冬のコートを新調した。
太って見えるため、暗い色のコートしか持っていなかったが、今回、桜色に近い、淡いピンクのウールコートを買ってみた。
ぶたが歩いていると言われそうだと思ったが、真っ赤なニットとよく合いそうな気がしたのだ。
それを着て、いつもよりおめかしして、名古屋の老舗ホテルへ行く。
ラウンジカフェでは、クリスマス限定のスイーツが提供されている。
お目当ては、もちろんそのスイーツ、クリスマスパフェだ。
ホテルには、カップルや家族連れ、おしゃれした女子たちがたくさんいた。
おひとり様は珍しい。
この状況で、楽しめるだろうかと心配になった。
みんな楽しそうに笑い、写真を撮りあっている。
そう、思わず笑顔になり、写真を撮りたくなる、かわいいパフェなのだ。
運ばれてきたときには、もう、人のことはどうでもよくなっていた。
食べるのがもったいない。
インカメにして、パフェと自分を入れてみるが、アングルがなかなか難しくて、パッとしない。
早くしないとアイスが溶けてしまいそうだ。
「お撮りしましょうか?」
多分、見かねたのだろう。
ホテルの女性スタッフに声をかけられた。
写真を撮ることに慣れているようだった。
その手があった。
「すみません。お願いします」
恥ずかしかったが、上手く笑顔を引き出してくれて、スプーンでアイスの部分をすくい取り、口に運ぶ仕草も含めて複数枚撮ってもらう。
被写体がまずいので、いいショットがあれば載せてみようと思っていた。
「あの、一緒に写っていただけませんか?」
おひとり様クリスマスを強調するために、写真を撮ってもらった人を入れさせてもらおうと思ったのだ。
アパートの部屋に帰って、写真を選び、キャプションを書く。
お題は、おひとりさまでも楽しむクリスマス。
60キロ台に落ちたとはいえ、まだまだぽっちゃりの美香だが、ホテルの素敵な内装と、赤のニットがよく映えて、自分でもまあまあかな、という気がした。
さすがに投稿ボタンを押す手が震え、何度もやめようと画面を消したりしていたが、京一郎に見てもらいたい気持ちが勝って、ボタンを押した。
「ああ、やっちゃったーー」
もうどうにでもなれ、とスマホを放り出して、ベットに倒れ込んだ。
ホールケーキを一気喰いしてから一年が経とうとしていた。
一人だということは変わらなかったが、全然気持ちが違った。
それは、攻めているからだ。
周りの人たちに助けられて、必死についていっているだけなのだが、自分で一歩を踏み出していると思えることで、自信が少しずつついてきてる実感があった。
京一郎からのクリスマスプレゼントが送られてきた。
中身を開けて、これは何事かと驚き、直接渡してこないということは、クリスマスには当然、会えないということだろうと冷静に分析する。
(でも、こんなの受け取れない)
真っ赤なニットと、クロスのネックレスだ。
十字に嵌め込まれたダイヤモンドが輝いている。
高価なものに違いない。
こちらから電話することもできず、どうしたものかと悩んでいると、タイミングよく京一郎から電話がかかってきた。
届く時刻を把握しているのだろう。
「いかがですか? 気に入っていただけると嬉しいのですが」
「気に入るも何も、こんな高価なもの、受け取れません。お返しします」
京一郎が笑い出した。
「美香さん。受け取ってください。素直に受け取るものでしょう。返そうとする人は初めてですよ。それとも気に入りませんでしたか」
「いいえ、違います。こんなこと、していただく理由がわかりません」
恋人でもないのに、と言いたい気持ちを抑える。
愛を育もうと言ったくせに、あれから一度も会っていない。約束さえしていない。
「理由がないと、気持ち悪いですか」
「はい」
「では、言いますよ。そろそろ、いいのではないかと」
「何が、ですか?」
「顔出ししましょう。それを身につけて西園寺美香で、出てください」
「はああ!?」
スマホの向こうで京一郎の楽しそうな笑い声が聞こえる。
頭が真っ白になる。
「無理です、そんなの! せっかくフォロワーさん増えてきたのに、減っちゃいますよ」
「大丈夫です。僕が見たいのですよ。美香さんを。笑っている美香さんの今の姿を」
「・・・」
体がかっと熱くなった。
このニットのように、顔が赤くなっているかもしれない。
「どうですか。見せてくれますね」
嬉しさと、怖さが同時に大波となって美香を襲う。
「自撮りなんて、恥ずかしいです」
「では、カメラマンを派遣しましょうか」
「いいえ! いいです、そんなこと。インフルエンサーじゃあるまいし。やめてください」
慌てて否定した。
余計に恥ずかしい。
「そうですか?」
笑われている。
「自分で撮ります」
と、言ってしまった。
はめられているのではないかと疑う。
「では楽しみにしていますよ。プロフィールも整えておきましょう。自分でできますか?」
「やってみます」
「名前と顔以外の情報はなるべく出さずに、謎を残す感じにしましょう」
「はい。あとでアドバイスお願いします」
「それと、僕は海外に行くことになりました。クリスマスも年末年始も日本にいませんから。帰国は2月ごろになるかと」
「そう、・・・ですか」
「今、寂しいと思ってくれましたか?」
「お、思ってません」
どうせ会えないのだ。
どこにいても同じではないか。
ただ、自分と、京一郎の距離が少しも縮まっていないことがわかっただけだ。
セレブと庶民の差はあまりにも大きい。
年末年始、美香はせいぜい実家に帰るくらいしかできない。
先月は旅行に行ったから、しばらくは遠出もできない。
普通のOLなのだから。
「それは残念です。また電話しますね。日本時間に合わせますから」
「あ、ありがとうございます」
言い方が少し、冷たくなってしまった。
京一郎が、少し無言になる。
「大丈夫ですか? 元気がないようですが」
「いいえ、なんでもありません」
咄嗟に声を明るくした。
「ちょっと、不安になっただけです」
「顔出しのことですか? もし、どうしてもできないようでしたら、無理しなくていいですよ。美香さんのアカウントですから」
「はい」
顔出しするのは怖かった。
見るのは、京一郎だけじゃないのだ。
「贈り物、ありがとうございました」
まだちゃんと、お礼を言っていないことに気がついた。
「本当に、もらってしまっていいのでしょうか」
まだ心から信じられていない。
京一郎がまた笑った。
「いいと言っているでしょう。お返しなんて要りませんから。遠慮しないで」
「だって、私は・・・」
京一郎さんの、何?
口に出す勇気がなくてのみ込んだ。
「美香さんだから、できるのですよ。思い出して。のぞみは何ですか? どうしたいんでしたっけ」
「それは・・・私は・・・」
言葉がつまって出てこない。
代わりに涙が出てきてしまった。
「私は、一人で立っていられる女になりたいです」
震える声で言った。
「美香さんなら、できますよ。焦る必要はありません」
違う。欲しい言葉は、そうじゃない。
言いたいことも、そうじゃない。
でも、それはまだ、言葉にできなかった。
「楽しんでできなければ、意味がないですからね」
「大丈夫です。やってみます」
怖くても、立ち止まってはいられないのだ。
冬のコートを新調した。
太って見えるため、暗い色のコートしか持っていなかったが、今回、桜色に近い、淡いピンクのウールコートを買ってみた。
ぶたが歩いていると言われそうだと思ったが、真っ赤なニットとよく合いそうな気がしたのだ。
それを着て、いつもよりおめかしして、名古屋の老舗ホテルへ行く。
ラウンジカフェでは、クリスマス限定のスイーツが提供されている。
お目当ては、もちろんそのスイーツ、クリスマスパフェだ。
ホテルには、カップルや家族連れ、おしゃれした女子たちがたくさんいた。
おひとり様は珍しい。
この状況で、楽しめるだろうかと心配になった。
みんな楽しそうに笑い、写真を撮りあっている。
そう、思わず笑顔になり、写真を撮りたくなる、かわいいパフェなのだ。
運ばれてきたときには、もう、人のことはどうでもよくなっていた。
食べるのがもったいない。
インカメにして、パフェと自分を入れてみるが、アングルがなかなか難しくて、パッとしない。
早くしないとアイスが溶けてしまいそうだ。
「お撮りしましょうか?」
多分、見かねたのだろう。
ホテルの女性スタッフに声をかけられた。
写真を撮ることに慣れているようだった。
その手があった。
「すみません。お願いします」
恥ずかしかったが、上手く笑顔を引き出してくれて、スプーンでアイスの部分をすくい取り、口に運ぶ仕草も含めて複数枚撮ってもらう。
被写体がまずいので、いいショットがあれば載せてみようと思っていた。
「あの、一緒に写っていただけませんか?」
おひとり様クリスマスを強調するために、写真を撮ってもらった人を入れさせてもらおうと思ったのだ。
アパートの部屋に帰って、写真を選び、キャプションを書く。
お題は、おひとりさまでも楽しむクリスマス。
60キロ台に落ちたとはいえ、まだまだぽっちゃりの美香だが、ホテルの素敵な内装と、赤のニットがよく映えて、自分でもまあまあかな、という気がした。
さすがに投稿ボタンを押す手が震え、何度もやめようと画面を消したりしていたが、京一郎に見てもらいたい気持ちが勝って、ボタンを押した。
「ああ、やっちゃったーー」
もうどうにでもなれ、とスマホを放り出して、ベットに倒れ込んだ。
ホールケーキを一気喰いしてから一年が経とうとしていた。
一人だということは変わらなかったが、全然気持ちが違った。
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