雪の匣庭

東崎 惟子@ 日曜西C24a

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安藤美雪(七月二十一日)

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七月二十一日
 襤褸切れのように犯しても、恋衣はそのことに大して嫌悪感は抱いていなかった。涙は浮かべていたものの、それはあくまで身体的苦痛に対する生理反応のようだった。犯しながら自分が誰のものなのか何度も確認させ、復唱させたが、どれも心からの言葉には思えず逆に神経を逆なでされた。徹底的に支配し、蹂躙するまで帰さないつもりだったけど、ついには私の方が先に体力を使い果たしてしまい、その夜は解放してやらざるを得なかった。
 今日はみんなで新宿に遊び行く約束をしている。恋衣を犯したいだけならば、彼女とだけ約束しておけばいいのだが、今度こそ二人――特に姫子――には恋衣は私のモノになったことを示しておかなければならない。遊び終わった帰りに、それとなく恋衣を攫うなどしてほのめかしてやらなければ気が済まなかった。
 だというのに。だというのにだ。
 あろうことか、その日、恋衣は現れなかった。今日まで一度も反抗をしたことがない月宮恋衣がである。さすがの恋衣とは言え、昨日の乱暴で心に深い傷を負ったのだろうか。ああいうのはあとからじわじわショックが蘇ることもあるから、時間差で恐怖の感覚が揺り戻されたとしても不思議ではない。まあ、それならそれで、私は彼女にとっての鮮烈なはじめてになったということだから良いのだが……。
 でもそれを姫子に見せつけられなかったのは不満に違いない。
 結局、その日は苛立ちを腹に抱えたまま、三人で服を見て帰った。帰り際に駅で渚沙が「雪が降っている」なんて不思議ちゃん発言をしたのも何となく鼻についた。だから駅前ライブしてた同級生の滝野絵里にいちゃもんつけてボコボコにした。ほんの少しだけすっきりした気がする。
 ひとまず恋衣を呼び出して躾をしなければ。
 夜、自宅で彼女にラインをするも既読がつくことはなかった。
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