4 / 7
3人目~高橋鷹也~
しおりを挟む
3.私の前世での夫にして現世での実兄、高橋鷹也(たかはしたかや)
「千夏ちゃん、こんばんは。そして陽花はおかえりー」
「鷹也さん、こんばんは」
「兄さん、ただいま」
私の自宅前に到着したところで、丁度家の中から兄である鷹也が出てきました。
私より十年早くこの地に生を受けた兄は、今や立派な社会人です。
こんな夕方も遅い時間にアイロンがばっちり掛かったスーツを着ているのは珍しいことで、
「兄さん、これからお仕事ですか?」
「そうなんだよねー。泊まり込みになりそうな感じ。ちょっと案件に火が付いちゃったみたいで。っと、行ってくるよ」
いってらっしゃい、と私と千夏の言葉を受けて、兄は去っていきました。
「鷹也さん、大変だねー。……それじゃ、陽花。私も行くね。また明日」
「うん、また明日ね」
私は千夏と別れて、家に入ります。
兄が不在となるのであれば、どうやら今夜はぐっすり眠れそうです。
……あの、夜がどうとかってくだりで、もしかしてちょっとえっちなこととか想像してませんか?
違いますよ?
今は、私と兄は血の繋がった兄妹です。その、どうにかなる訳なんてないじゃないですか。
そういう倫理観はきちんと持ち合わせています。
でも時々、兄が怖いって感じる時があるんですよね、お風呂上がりの私を見る目とか。
あの真面目な兄に限って、間違いがあるとかそういうことはないと信じていますので問題はないのですが。
それはともかく、前世とか夫とかいうキーワードが出てきてますが、そのあたりを少しだけ話しておきましょう。
とはいえ、実は私には前世の記憶ってのは今のところないんですよね。
今まで生きてきた十七年間の記憶が全てなんです。
いや、そりゃもうちょっと若い時分には、私には前世があってその頃に相思相愛だった運命の恋人が居て、右腕が疼いて聖印が背中に……とかそういう設定を考えていた時期はありました。
でも違うんです、それはもう卒業しました。
とは言いつつ、では私が語ろうとしているのは何かと言えば、
「姉様、お帰りなさい。兄様が今夜はお仕事でお帰りにならないそうですので、あのなんだかよくわからない前世? のお話は聞かなくて済みますね? だいたい、何で兄様と姉様が夫婦なんでしょうか。そんなの、兄様が欲望に忠実で外堀埋めて姉様と一線超える際の言い訳に使おうとしてるだけでだいたいありえないです姉様が選ぶのは兄様ではなくてこの私でなければ、だというのに兄様は何て自分勝手な、それなら私は逆に来世の話をしましょうそれでいいと思いますが姉様どう思いますか?」
「あー、ごめん、聞いてなかった。なんだっけ、月華?」
ごめん、全部聞こえてたけど、聞こえないフリさせて貰ってるよ、月華。我が妹よ。
……だって、面倒なんだもん。
「千夏ちゃん、こんばんは。そして陽花はおかえりー」
「鷹也さん、こんばんは」
「兄さん、ただいま」
私の自宅前に到着したところで、丁度家の中から兄である鷹也が出てきました。
私より十年早くこの地に生を受けた兄は、今や立派な社会人です。
こんな夕方も遅い時間にアイロンがばっちり掛かったスーツを着ているのは珍しいことで、
「兄さん、これからお仕事ですか?」
「そうなんだよねー。泊まり込みになりそうな感じ。ちょっと案件に火が付いちゃったみたいで。っと、行ってくるよ」
いってらっしゃい、と私と千夏の言葉を受けて、兄は去っていきました。
「鷹也さん、大変だねー。……それじゃ、陽花。私も行くね。また明日」
「うん、また明日ね」
私は千夏と別れて、家に入ります。
兄が不在となるのであれば、どうやら今夜はぐっすり眠れそうです。
……あの、夜がどうとかってくだりで、もしかしてちょっとえっちなこととか想像してませんか?
違いますよ?
今は、私と兄は血の繋がった兄妹です。その、どうにかなる訳なんてないじゃないですか。
そういう倫理観はきちんと持ち合わせています。
でも時々、兄が怖いって感じる時があるんですよね、お風呂上がりの私を見る目とか。
あの真面目な兄に限って、間違いがあるとかそういうことはないと信じていますので問題はないのですが。
それはともかく、前世とか夫とかいうキーワードが出てきてますが、そのあたりを少しだけ話しておきましょう。
とはいえ、実は私には前世の記憶ってのは今のところないんですよね。
今まで生きてきた十七年間の記憶が全てなんです。
いや、そりゃもうちょっと若い時分には、私には前世があってその頃に相思相愛だった運命の恋人が居て、右腕が疼いて聖印が背中に……とかそういう設定を考えていた時期はありました。
でも違うんです、それはもう卒業しました。
とは言いつつ、では私が語ろうとしているのは何かと言えば、
「姉様、お帰りなさい。兄様が今夜はお仕事でお帰りにならないそうですので、あのなんだかよくわからない前世? のお話は聞かなくて済みますね? だいたい、何で兄様と姉様が夫婦なんでしょうか。そんなの、兄様が欲望に忠実で外堀埋めて姉様と一線超える際の言い訳に使おうとしてるだけでだいたいありえないです姉様が選ぶのは兄様ではなくてこの私でなければ、だというのに兄様は何て自分勝手な、それなら私は逆に来世の話をしましょうそれでいいと思いますが姉様どう思いますか?」
「あー、ごめん、聞いてなかった。なんだっけ、月華?」
ごめん、全部聞こえてたけど、聞こえないフリさせて貰ってるよ、月華。我が妹よ。
……だって、面倒なんだもん。
0
あなたにおすすめの小説
幼馴染の許嫁
山見月あいまゆ
恋愛
私にとって世界一かっこいい男の子は、同い年で幼馴染の高校1年、朝霧 連(あさぎり れん)だ。
彼は、私の許嫁だ。
___あの日までは
その日、私は連に私の手作りのお弁当を届けに行く時だった
連を見つけたとき、連は私が知らない女の子と一緒だった
連はモテるからいつも、周りに女の子がいるのは慣れいてたがもやもやした気持ちになった
女の子は、薄い緑色の髪、ピンク色の瞳、ピンクのフリルのついたワンピース
誰が見ても、愛らしいと思う子だった。
それに比べて、自分は濃い藍色の髪に、水色の瞳、目には大きな黒色の眼鏡
どうみても、女の子よりも女子力が低そうな黄土色の入ったお洋服
どちらが可愛いかなんて100人中100人が女の子のほうが、かわいいというだろう
「こっちを見ている人がいるよ、知り合い?」
可愛い声で連に私のことを聞いているのが聞こえる
「ああ、あれが例の許嫁、氷瀬 美鈴(こおりせ みすず)だ。」
例のってことは、前から私のことを話していたのか。
それだけでも、ショックだった。
その時、連はよしっと覚悟を決めた顔をした
「美鈴、許嫁をやめてくれないか。」
頭を殴られた感覚だった。
いや、それ以上だったかもしれない。
「結婚や恋愛は、好きな子としたいんだ。」
受け入れたくない。
けど、これが連の本心なんだ。
受け入れるしかない
一つだけ、わかったことがある
私は、連に
「許嫁、やめますっ」
選ばれなかったんだ…
八つ当たりの感覚で連に向かって、そして女の子に向かって言った。
姉の引き立て役の私は
ぴぴみ
恋愛
アリアには完璧な姉がいる。姉は美人で頭も良くてみんなに好かれてる。
「どうしたら、お姉様のようになれるの?」
「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」
姉は優しい。でもあるとき気づいて─
思い出さなければ良かったのに
田沢みん
恋愛
「お前の29歳の誕生日には絶対に帰って来るから」そう言い残して3年後、彼は私の誕生日に帰って来た。
大事なことを忘れたまま。
*本編完結済。不定期で番外編を更新中です。
彼はヒロインを選んだ——けれど最後に“愛した”のは私だった
みゅー
恋愛
前世の記憶を思い出した瞬間、悟った。
この世界では、彼は“ヒロイン”を選ぶ――わたくしではない。
けれど、運命になんて屈しない。
“選ばれなかった令嬢”として終わるくらいなら、強く生きてみせる。
……そう決めたのに。
彼が初めて追いかけてきた——「行かないでくれ!」
涙で結ばれる、運命を越えた恋の物語。
【完結】小さなマリーは僕の物
miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。
彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。
しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。
※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)
これって政略結婚じゃないんですか? ー彼が指輪をしている理由ー
小田恒子
恋愛
この度、幼馴染とお見合いを経て政略結婚する事になりました。
でも、その彼の左手薬指には、指輪が輝いてます。
もしかして、これは本当に形だけの結婚でしょうか……?
表紙はぱくたそ様のフリー素材、フォントは簡単表紙メーカー様のものを使用しております。
全年齢作品です。
ベリーズカフェ公開日 2022/09/21
アルファポリス公開日 2025/06/19
作品の無断転載はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる