白色のダリア

ななしの

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違和感

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◆◆◆
東京の忙しく歩く人達の間を、九条はコーヒー片手に歩いていた。
昨日も遅くまで客を取っていたから寝不足だった。
普段はあまり飲まないが、今日は眠気覚ましになればと気休めに買ってみた。
今のところ効果は感じられていない。

相変わらずこの辺りは人が多くて、色々な音に溢れている。
その煩わしさに懐かしさを覚えつつ、目的地であるカフェまで向かった。

ここのカフェは、今日遊ぶ約束をしている小鳥遊 椛とよく待ち合わせ場所に使っているお店だ。
彼に会うのは冬休みの時以来だった。
あの時は、このカフェの目の前の広場でやっていたイルミネーションが綺麗だったっけ。


「あ、当麻!久しぶり!」

「久しぶり。元気そうだね」


お店の中に入ると、すぐに椛の姿を見つけた。
相変わらずの丸っこい目にふわふわの栗毛。
女の子に間違えられることもあるくらい中性的な見た目をしている。
中学生の頃からの付き合いである椛は、俺にとって大きな存在で、唯一何よりも優先する子だ。


「当麻はいつもの?」


メニュー表をこっちに見えるようにしながら小首をかしげる。
椛のよくやる仕草だ。
ここでは紅茶を頼むのが俺の定番で、今日もそれを頼む。
椛は甘いものが好きで、ココアを注文した。
どうやらこのお店の甘いもの系のドリンクを制覇するつもりらしい。

(…そういやちかちゃんもココア飲むよな)

この前ちかちゃんと話した時のことを思い出す。
未だにあの時の、あの子の決意に満ちた表情が頭にしつこく残ったままだ。


「ねえねえ、もしかしてなんかお疲れ?」


届いたココアを飲みながら椛が心配そうに覗いてきた。
ハッとして、安心させようと笑顔を向ける。


「疲れてはないよ。ちょっと寝不足なだけで」

「バイトだったの?」

「そう」


ちゃんとしたバイトじゃなくて体売ってるんだけどね、と心の中で呟く。
もちろん椛はこの事を知らない。


「無理しないで今日午後集合でも良かったのに」

「なるべく長く椛と居たいじゃん」


そう言うとほんのりと頬が染まった。
照れた顔が可愛い。


「この後水族館でも行こっか」

「ふふ、デートみたい」


嬉しそうにする椛に笑みを返す。
同時に、いつしか頭の中に入り込んでいたちかちゃんを振り払った。
そうだ、椛のことだけを考えるんだ。
俺にとってこの子が一番なんだから。
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