ジュエリー戦士Shining Guardians

第27話 愛華が主役？初めての芸術発表会

「ホーフー、惜しかったな。後2900人分の心の輝きと、戦士の息の根を今度こそ止めるのだ！」
ホーフーは、大魔王の言葉を受け、出撃した。

　10月になり、松見中学校の芸術発表会が近づいてきた。芸術発表会は演劇部の3年生の引退公演となる会だ。脚本は部長の遥花先輩が好きなアーティストの曲に影響されて執筆した「Season」という作品が使われることになった。愛華は脚本を読み、主人公の淡い恋心と悲しい結末に感動し、キャストオーディションを受けることに決めて先輩と共にオーディションに挑む。3年生の引退公演であるため、キャストのメインは3年生の先輩方。
(どこかの役に入ってくれれば…)
愛華はそんな気持ちでオーディションの演技審査を受けた。しかし、愛華の演技を気に入った遥花先輩により、愛華は主人公の明日香役に選ばれてしまう。
「3年生の引退公演なのに1年生の私が主人公なんてやってしまって大丈夫なのでしょうか？」
オーディションが終わった後、愛華は遥花先輩に聞いてみる。
「3年生の引退公演だからって3年生が全員キャスト、1年生と2年生は全員裏方って決まっているわけじゃないでしょう？ 愛華ちゃんの演技、私がイメージしている明日香ちゃんにぴったりだったから選んだんだから、自信持って欲しいな」
遥花先輩は愛華にそう答えた。愛華は
「遥花先輩がそう言うなら、私これからの稽古や本番頑張ります」
と元気よく言い、稽古の準備を始めた。10月の終わりの本番に向けて厳しい稽古が始まったが、先輩方のダメ出しを受けながら愛華は必死に稽古に取り組む。そして本番を目前に控えた通し稽古では、愛華は先輩から多くの誉め言葉をもらい本番を安心して迎えられそうな自信をつけることができた。

　数日後、芸術発表会本番がやって来た。愛華は緊張しながら舞台袖で待機する。しかしそのとき、ホーフーが舞台に姿を現した。ホーフーは席に座っていたたくさんの生徒たちの心の輝きを奪っていく。
「愛華、変身しよう」
希実が、優美さんと夢ちゃんと一緒に舞台の方に来て、愛華に話しかけてくる。
「ルビーパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「トパーズパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「サファイアパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「アメジストパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「炎と愛の戦士、シャイニールビー」
「光と希望の戦士、シャイニートパーズ」
「水と誠実の戦士、シャイニーサファイア」
「癒しと創造の戦士、シャイニーアメジスト」
変身したルビーたちをホーフーは睨み
「お前たちの息の根を今度こそ止めてやる」
と叫んだ。ルビーはホーフーに攻撃しようとした。しかし、ホーフーはルビーの背後に瞬間移動しルビーの首を絞めてくる。ルビーの苦しそうな声に反応するようにホーフーの高笑いが聞こえる。攻撃を返すことができず、ルビーが困っていると
「トパーズ・サンダー」
「サファイア・フリージング」
「アメジスト・イマジネーション」
トパーズたちの技がホーフーに当たり、ホーフーの力が弱まった瞬間にルビーは抜け出すことに成功した。
「トパーズ、サファイア、アメジスト、ありがとう」
ルビーの言葉に3人は笑顔になり、
「さあ、今度こそホーフーに4人で攻撃しよう」
とアメジストが言った。シャイニング・アローを出し、
「シャイニング・フレア」
と技を出すが、ホーフーはいつの間にかいなくなってしまった。ルビーたちは残念に思いながら、変身を解除した。

　心の輝きを奪われた人たちも目を覚まし、芸術発表会も無事に開始された。愛華は緊張しながらも舞台に出る。同じクラスの翔太との微妙な関係、勇気を振り絞ってした明日香の翔太への告白からの悲しい結末、そして卒業、先輩たちの厳しい稽古のおかげで愛華は自分の力を精一杯出せたような気がした。発表会後、部長の遥花先輩から
「愛華ちゃん、稽古の時よりさらに輝いていた。今後の活躍、期待しているからね」
という言葉をもらい、愛華は少し自信を持つことができた。