ジュエリー戦士Shining Guardians

岩下穂乃香

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第29話目指せ優勝！愛華と希実のマラソン大会

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「ホーフー！お前はなぜ戦士の攻撃をかわすだけで逃げてきてしまうのだ。心の輝きだって、昨日は100人分しか奪えてないじゃないか。もっと積極的に攻撃を仕掛けて、早く戦士たちを倒すのだ！そしてこの俺に早く実体を取り戻させる手助けをしろ！心の輝きをあと2200人分奪ってくるのだ」
大魔王のくどい叱責に耐え、ホーフーは再び出撃していった。

　秋も深まり、冬の気配が近づき始める時期になった。松見中学校では11月下旬のマラソン大会に向けて練習が始まる。女子は3キロで1・２年生は基本全員参加、３年生は自由参加のようだ。
「3年生自由参加ですけど、優美さんは参加するんですか？」
4人で帰りが一緒になったとき、愛華は優美さんに聞く。優美さんは、
「参加しないわ。去年も一昨年も参加してみたかったけど、お母さんに長距離走ることを心配されて参加させてもらえなかったの。多分、今年も無理だと思うわ。一度参加してみたかったけど、今年もみんなの応援には行くから愛華ちゃんも希実ちゃんも夢ちゃんも頑張ってね」
と言う。そんな優美さんの言葉に夢ちゃんが気まずそうな顔になり、
「ごめん、私もマラソン大会参加しないんだ。その日、どうしても1日外せない仕事が入ってて…」
と言ってくる。愛華は
「私、短距離は別に大丈夫なんだけど長距離ってあんまり得意じゃないんだよね。私も夢ちゃんみたいにどうしてもそっちを優先させないといけないような用事できないかな…」
とぼやく。愛華の言葉に希実は
「愛華、一緒に2人で頑張ろうよ。夢ちゃんも仕事がなければ走りたかったかもしれないし。優美さんだって応援に来てくれるって言っているんだから」
と元気づけるように言う。愛華は、
「そうだよね。ごめん私、希実と一緒に頑張るから。長距離あんまり得意じゃないけど、一生懸命走って完走するよ」
と明るく言った。

　練習をたくさんこなし、ついにマラソン大会の日がやって来る。会場である河川敷のコースには多くの1・2年生が集まり、近くには応援に来た親や3年生の先輩たちの姿がたくさんある。愛華は希実と一緒に多くの1・2年生と一緒にスタートラインに立つ。号砲が鳴り、愛華は走り始める。希実は愛華を先導するように先頭を駆け抜けていく。愛華は希実についていこうと必死に走り続けた。1.5キロくらい過ぎた頃だろうか、後ろから聞こえる悲鳴に愛華は後ろを振り返る。するとホーフーが走っている生徒から心の輝きを奪っているのが確認できた。希実もそれに気づいたようで愛華のところにやって来る。応援席の方から優美さんもやって来た。
「希実、優美さん、変身しよう。」
愛華の言葉に希実と優美さんは頷き、コンパクトをかまえる。
「ルビーパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「トパーズパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「サファイアパワーチャージ、シャイニング・フォルティッシモ」
「炎と愛の戦士、シャイニールビー」
「光と希望の戦士、シャイニートパーズ」
「水と誠実の戦士、シャイニーサファイア」
ルビーたちをホーフーの出したメガトイフルが襲いかかって来る。しかし、アメジストがいないためシャイニング・アローの技を使うことはできない。
「トパーズ、サファイア、このままじゃメガトイフルを倒せないよ。どうしよう…」
ルビーはメガトイフルの攻撃をトパーズとサファイアと一緒に止めながら、2人に聞く。
「夢ちゃんは1日仕事だって言っていたし、今から呼ぶのは難しいよね」
トパーズがルビーに言う。ルビーはトパーズとサファイアに
「体育祭の時みたいにプリンセスを呼ぶのも手だけど、プリンセスが今どこにいるか分からないし…」
と言う。するとクォーツが目の前に突然現れて、
「プリンセスならここにいるクク」
と言って、タブレット端末のようなものを出してきた。画面が光り、まばゆい光と共にプリンセスが現れる。
「ピンチの時は助け合うことが大切、お母様が良く言っていました。少しですけど、私の力を差し上げましょう。これでメガトイフルを倒せるはずです」
プリンセスの力がシャイニング・アローに込められ、ルビーたちが
「シャイニング・フレア」
と唱えると、メガトイフルは倒された。ホーフーはいつの間にかいなくなっていた。
「プリンセス、ありがとうございました。クォーツも助けてくれてありがとう。最近姿見せていなかったけど、どこ行っていたの？」
愛華が変身を解除してプリンセスとクォーツに言うと、クォーツは
「プリンセスが前に使っていた宝石の力を高めるためのアイテムが見つかったから、その中で一緒に練習に付き合っていたクク」
と答える。愛華は続けてクォーツに
「アイテムって、そのタブレットみたいなの？」
と聞くと、
「タブレットっていうのがよく分からないクク。けど、これが見つかったから今度こそ戦士たちとプリンセスの力でドンケル王国を倒すことができると思うクク」
と自信たっぷりな声で言った。クォーツのそんな様子に愛華も希実や優美さん、夢ちゃんと協力し、プリンセスとももっと力を合わせていきたいと思った。

　しばらくして、心の輝きを奪われた人々は目を覚まし始めたが安全面を考慮してマラソン大会は中止になってしまった。希実は残念そうな表情をする。
「希実、2年生になったら再挑戦しよう。私、もっと一緒に練習頑張るから」
愛華は希実に言う。希実は
「そうだね。今回中止なのは残念だけどまた頑張ればいいよね」
と少し元気を取り戻したように言った。

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