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第二章
逃走
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「なあ、どうしたらいい!? どこかに避難通路のようなものは無いのか!?」
医務室を出てから、ロインは叫んだ。それは、ボクとシロに聞いている。でもボクは、そんな場所知らない。知ってるとすれば、シロの方だ。
「僕の知ってる所は、大体教えた。……でも、もしかしてあそこなら」
「どこだ、案内してくれ! もうここで隠れるのは無理だ!」
シロが、先頭を走った。ボクも一緒に走りたかったけど、まだ足が動かない。足のケガのせいもあったけど、足がすくんじゃってることの方が大きかった。
後ろから、沢山の足音が聞こえる。うめき声も、ぬるぬるした音も。ボクは怖くて、ずっとロインの背中で、隠れてた。
「こっち!」
するとシロは、十字路を右に曲がった。当然ロインもそれに続いて、右に曲がる。
その道は、ボクは来たことがなかった。天井のランプが、真っ赤に光ってて。何か、異様な雰囲気。
「なっ、行き止まりだぞ!?」
でも、すぐに行き止まりになった。もうこれ以上、進む道は無かった。
「ちょっと待って! 確か、この辺に……」
シロは、行き止まりの壁に触った。ペタペタと壁を触って、何かを探しているようで。……すると、壁の一部が外れた。
中には機械がいっぱいあって、シロはその中に手を突っ込んだ。中でも何かをしてるみたいで、ガチャガチャという音がしていた。
「う、来たぞ!! 時間を稼ぐ!」
……後ろから、アイツらが迫っている。触手を、こっちに伸ばしてきてる。
ロインはボクを地面に下ろして、長めのナイフを取り出した。そして絵本の中の騎士みたいに、触手を切り落としていく。
「ううん、配線がごっちゃになってる! もう、直してって言ったのに!」
シロは、まだ時間がかかりそうだった。ロインも、そう長くはもちそうにない。……ボクも、何かでお手伝いしなきゃ。
「――ちょっと、何をしてるんだ!? 下がってろ!」
ボクは地面を這いずって、ロインの前に出た。腕をロインが掴んだけど、振り払った。
そのすぐ後、触手がボクを捕まえた。お腹にぐるっと巻き付いてきて、その次には、首に巻き付いた。
「っ……」
獲物を見つけたアイツらは、釣りみたいにボクを引っ張って。自分たちの元に引き寄せた。そして、ボクの上に、……のしかかった。
「……っ、……う……!」
顔中に、アイツの液体が落ちてくる。目の前で、沢山の触手が暴れてる。
触手には、穴があった。小さな口のようだった。口の奥から、また白いのが垂れてきて……。それを、ボクのほっぺにこすりつけてきた。
笑ってる。何人ものアイツが、笑ってる。楽しんでるみたいに。……今、わかった。……アイツらは、コイツらは……。あの、大人たちだ。
理由はわからない。でも、元はあの大人たちで。何かがあって、こんな化け物になったんだ。……でも、何も変わっちゃいない。化け物になってもコイツらは、ボクを、虐めてくる。ボクらを、苦しめてくる。
怖い。でも、これくらいしかない。ロインはともかく、シロを助けるには。シロだけでも、逃げるには。……ボクが、囮になれば。
『ビシャアッ』
……。暖かかい。きっとコイツが、顔にかけたんだ。きっとこれから、また口に出されて。……それで。
でも、おかしいな。いつもみたいに、変な匂いがしない。むしろ、鉄臭いような。だから気になって、……目を開けた。
「――え」
「うおらああああッ!!!」
それは、血だった。ボクの顔にかかっていたのは、コイツから流れてた、血だった。
ロインが、暴れていた。コイツらの頭を、ナイフで切り刻んで。バラバラにしていた。
「……どう、して?」
「動くな! そのままジッとしてろ!!」
するとロインは、ボクに巻き付いていた触手を叩き切って。ボクを抱きかかえる。
「開いた! 急いで!」
するとシロが、後ろで叫んで。ロインはそっちに向かって走った。その間のボクは、やっぱり何もできなくて。……ただ、運ばれていた。
医務室を出てから、ロインは叫んだ。それは、ボクとシロに聞いている。でもボクは、そんな場所知らない。知ってるとすれば、シロの方だ。
「僕の知ってる所は、大体教えた。……でも、もしかしてあそこなら」
「どこだ、案内してくれ! もうここで隠れるのは無理だ!」
シロが、先頭を走った。ボクも一緒に走りたかったけど、まだ足が動かない。足のケガのせいもあったけど、足がすくんじゃってることの方が大きかった。
後ろから、沢山の足音が聞こえる。うめき声も、ぬるぬるした音も。ボクは怖くて、ずっとロインの背中で、隠れてた。
「こっち!」
するとシロは、十字路を右に曲がった。当然ロインもそれに続いて、右に曲がる。
その道は、ボクは来たことがなかった。天井のランプが、真っ赤に光ってて。何か、異様な雰囲気。
「なっ、行き止まりだぞ!?」
でも、すぐに行き止まりになった。もうこれ以上、進む道は無かった。
「ちょっと待って! 確か、この辺に……」
シロは、行き止まりの壁に触った。ペタペタと壁を触って、何かを探しているようで。……すると、壁の一部が外れた。
中には機械がいっぱいあって、シロはその中に手を突っ込んだ。中でも何かをしてるみたいで、ガチャガチャという音がしていた。
「う、来たぞ!! 時間を稼ぐ!」
……後ろから、アイツらが迫っている。触手を、こっちに伸ばしてきてる。
ロインはボクを地面に下ろして、長めのナイフを取り出した。そして絵本の中の騎士みたいに、触手を切り落としていく。
「ううん、配線がごっちゃになってる! もう、直してって言ったのに!」
シロは、まだ時間がかかりそうだった。ロインも、そう長くはもちそうにない。……ボクも、何かでお手伝いしなきゃ。
「――ちょっと、何をしてるんだ!? 下がってろ!」
ボクは地面を這いずって、ロインの前に出た。腕をロインが掴んだけど、振り払った。
そのすぐ後、触手がボクを捕まえた。お腹にぐるっと巻き付いてきて、その次には、首に巻き付いた。
「っ……」
獲物を見つけたアイツらは、釣りみたいにボクを引っ張って。自分たちの元に引き寄せた。そして、ボクの上に、……のしかかった。
「……っ、……う……!」
顔中に、アイツの液体が落ちてくる。目の前で、沢山の触手が暴れてる。
触手には、穴があった。小さな口のようだった。口の奥から、また白いのが垂れてきて……。それを、ボクのほっぺにこすりつけてきた。
笑ってる。何人ものアイツが、笑ってる。楽しんでるみたいに。……今、わかった。……アイツらは、コイツらは……。あの、大人たちだ。
理由はわからない。でも、元はあの大人たちで。何かがあって、こんな化け物になったんだ。……でも、何も変わっちゃいない。化け物になってもコイツらは、ボクを、虐めてくる。ボクらを、苦しめてくる。
怖い。でも、これくらいしかない。ロインはともかく、シロを助けるには。シロだけでも、逃げるには。……ボクが、囮になれば。
『ビシャアッ』
……。暖かかい。きっとコイツが、顔にかけたんだ。きっとこれから、また口に出されて。……それで。
でも、おかしいな。いつもみたいに、変な匂いがしない。むしろ、鉄臭いような。だから気になって、……目を開けた。
「――え」
「うおらああああッ!!!」
それは、血だった。ボクの顔にかかっていたのは、コイツから流れてた、血だった。
ロインが、暴れていた。コイツらの頭を、ナイフで切り刻んで。バラバラにしていた。
「……どう、して?」
「動くな! そのままジッとしてろ!!」
するとロインは、ボクに巻き付いていた触手を叩き切って。ボクを抱きかかえる。
「開いた! 急いで!」
するとシロが、後ろで叫んで。ロインはそっちに向かって走った。その間のボクは、やっぱり何もできなくて。……ただ、運ばれていた。
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