崩壊した世界からの脱出 -ボクたちはセックスしか知らない-

空倉霰

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第四章

倉庫

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 ボクはシロの言う通り、別の通路を進んだ。今まで進んできた所よりも、少し幅が広くて。地面や床が、鉄とかで出来た厳重な道。
 歩く度に、足の裏が冷たくて。でも時々、ぬるっとして。そしてどうしてぬるっとしたのか、足元を見てみると。そこには首の無い誰かの死体が、転がっていた。ボクは、その人の血を踏んでいた。
「……」
 きっと、ついさっきまで生きていたんだろう。まだ血が暖かいし、水気がある。
 でも不思議と、そこまでの恐怖は感じなかった。あの意味の分からない化け物と違って、これはすごくわかりやすい。もう、死んでいる。ただそれだけだったから。
「……そこに、入ろう」
 さらにしばらく進むと、シロが近くの扉を指さした。だからボクは、その扉をゆっくりと開けた。
 どうやらここは、倉庫になっているようで。よくわからないけど、色々な道具や、荷物や、機械がある。奥にはコンテナや鉄の箱とかが山積みになっていて、隠れられそうな場所が沢山あった。
「シロ、座れる……?」
 ボクは部屋の奥に進んで、大きなコンテナの裏にシロを座らせた。シロは息苦しそうにしてて、布から血が漏れ出している。
「布、足さなきゃ……」
 そしてボクが、またお洋服を破ろうとすると。シロがボクの腕を掴んだ。
「駄目だよ。それ以上は、もったいないから」
「でもそれじゃあ、シロが……」
「ありがとう。その気持ちだけで、十分だよ」
 ……シロは、笑顔だ。その笑顔が、少し、ボクには悲しくて。
「それより、僕は僕で探してみるから……。クロは食べ物を探してみたらどうかな。倉庫だから、色々あるかも」
 その言葉で、ボクは前のことを思い出した。……あれから、食欲がわかない。あの後から、何も食べていなかった。
 でも、またお腹が鳴ったらいけないので。ボクは何かを食べておこうと思った。とりあえず、お腹に入れる形で。
「じゃあ、ちょっと探してみるね。……一人で、大丈夫?」
「うん、大丈夫。……よかったら僕の分もお願い」
「わかった」
 そうしてボクは、シロと別れて。薄暗い倉庫を探し回った。壁についてる、緑色の淡い光を頼りに。箱の中とか、コンテナの中とか。……よく、見えなかったけど。
 そこでボクは、とある一つのことに気が付いた。それは、何が食べられるのかわからないということ。ボクが食べたことのあるのは、シチューとパンくらい。だからそれ以外の何が”食べ物”なのか、判別がつかなかった。
 これはどうだろう。箱の中にいっぱい入ってた。丸っこくて、小さい。それに、何か文字が書いてある。カタカナで、”カンパン”って。取ってのようなものがついてるけど……。きっと、食べられないんだろう。だってこれ、鉄の匂いがするから。
 こっちはどうだろう。さっきのとは違って、柔らかい。ぷにぷにしてる。でも、なんだろう。……”レト……ルト”? ああ、やっぱりだめだ。意味が分からない。何か、他にないだろうか。せめて食べられそうな、匂いがするもの。
『ガタッ』
 ! ……、音がした。部屋の、奥の方で。今シロは、ボクとは逆方向の所に居るから。シロじゃない。
 思わずボクは、声をあげそうになったけど。必死に自分の口を押えた。そして、尻餅をつきながら、後ずさりをした。
『ガコッパキパキッ』
 ……、聞いたことない音がする。何の音だろう。
『あぐっ……、はぐっ……』
 ――、声?
『……いそ……きゃ……』
 化け物も、喋るのだろうか。よくわからないけど、何か言葉のようなものが、うっすらと聞こえる。
 その時だった。ボクは後ずさりをする中で、床に転がっていた何かに、ぶつかってしまった。
『カランッカラカラカラ……』
『ひっ!?』
 ……それは、ボクの声じゃなかった。ボクも驚いていたけど、何とか喉の奥で、押しとどめていたから。
 それに、今の。なんだか人間の、声だったような気がする。……もしかして、ボクら以外にも、誰かが?
『うう……うう……』
 小さな声。なんだか、怖がっているような気がして。……だからボクは、ゆっくりと、声のする方に近づいて……。暗がりを、覗いてみた。
「……。……君は、誰?」
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