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第九章
特別病棟
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ボクはマカ先生の後をついて行った。そこは、医務室よりももっと奥で。だんだんと変な雰囲気になっていくのがわかった。
……嫌な空気だ。換気扇は回ってるみたいだけど。それよりも、もっと。心の奥に、べったりと来るような。
通路がたくさん汚れてる。錆とかもだけど、何より細かく血が飛び散ってて。もう黒く変色しているものや、まだ真っ赤な真新しいものもあった。
それに……。マカ先生の、コツコツという足音に加えて。どこからか、声が聞こえる。ボクはそれが何の声なのか、すぐにわかった。昔は、よく聞いてたから。
「あらあら、大きな悲鳴だわ~~~。足でも切っちゃったのかしらあ???」
「いえ、拘束してますのでそれは……。多分……ないと、思いますけど……」
「今度抜歯でもしようかしらねえ~~~~??? あの子たち、す~ぐ噛んじゃうからあ~~~」
……。なんとなく、想像がついてきた。マカ先生が、どこに向かっているのか。……というより……そこに、”どんな人”が居るのか。
悲鳴が大きくなっていく。もうこの通路の奥に、悲鳴を上げてる人がいることは明白だった。だから、身体の震えが止まらなくて。怖くなって。
……それでも、必死について行った。お仕事だったから。ボクに出来るのなら、やらないといけなかったから。
「……ここです。今、鍵を開けますね」
通路を進み切ると、そこには大きくて頑丈な扉があった。監視カメラや、壁に銃なんかもあって。明らかに、他の場所とは違っていた。
助手のお医者さんは、扉に鍵を差し込んだ。それで、カードキーも通して。目の形も、確認させて。それらの確認が終わると、ようやく扉が開いた。とても大きな、警告音を響かせて――。
「アゴアァァァアッッ!!」
「っ……!?」
誰かが、飛び出してきた。誰かが、こっちに向かって。中から、出てきていた。
全身、包帯まみれで。包帯から、血が溢れてて。……おぞましい悲鳴をあげながら、近づいてくる。
「ゴアッ!?」
「ああ~~~らら、駄目よォ~~~。あなたはまだ、ビョーニンなんだからァァ~~~!!!」
でもそれをマカ先生が止めた。……左手で、その人の顔をわしづかみにしたかと思うと。その人を壁に叩きつけた。
「ジョシュ君、縛っちゃってエェ~~~!!! きつく、きつくうウ~~!!」
「は、はい!」
その人が地面に倒れると、その隙に助手の人がロープを取り出した。それで、その人をぐるぐる巻きにして。身動きをとれなくした。
「フウーーーッッ! フウーーーッッ!」
その人はうめき声をあげてる。というより、理性を失ってるみたいだった。もう人間の言葉みたいなのは聞こえなくて。……ボクは、その人を。あの触手の化け物と重ね合わせていた。
「あはっ……! その顔、いいわあ……!! 憎しみを、絶望を孕んだ、とってもセクシーな顔……!!! ……あんまり、セクシーなもんで……」
「ゴバッッ!?」
「虐めたく、なっちゃうじゃないの……!!!!」
……マカ先生が、靴で。その人のあそこを踏んづけた。……先生の靴は、かかとの所が尖ってて。見るだけでも、明らかに痛そうで。
「ゴガッッグァッッ……!」
「どうしてあげようかしら……?? あなたのお口に、アタシのを突っ込んで……?? 窒息死、なんてのもいいわよねえええ????」
……。怖い。その人も、そうなんだけど。……今のマカ先生は、とても怖い顔をしていた。
目が、ぐるぐるしているような。それでも、ほっぺが赤くて。よだれが、あふれてて。……どうして、しまったんだろう。
「……せ、先生。それよりも、早く……」
「……ああ、そうだったかしら?? じゃあ、しょーがないなああ。あなたは、今度までお預けねええ~~~????」
……そうすると、マカ先生はその人から足を離して。部屋の奥に進んだ。……助手の人も、その人を放置して。先に進んだ。
だから、その場にはボクしか居なくて。その人が、ボクを睨んだから……。ボクは、部屋の奥に逃げ込んだ。先生の元を離れたら、危険だって思ったから。
「ガァアアァアッッ! ゴゲァァァアァアッ!!」
「ギィヒイーーヒヒヒ!! ヒィィイーーーーヒヒヒ!!!!」
……でも、間違ってたかも。すぐに帰ればよかった。……部屋の奥には、全面がガラスで出来た個室みたいなのがたくさんあって。その中には、さっきみたいな状態の人が、たくさん入ってた。
「クロォ~~、離れたら駄目よォ~~??? 離れたら、レイプされちゃうわよォオオオ???? ここのクズどもは、溜まってるからァァアァ???」
……。マカ先生がどうしてこんな喋り方をするのか、少しだけわかった気がした。先生は、この人たちを治療してるから。みんなを、治してるから。……普通の精神じゃあ、きっと耐え切れないんだ。
だって、ほら。……ボクも、だけど。この助手の人も、怖がってるから。あまり個室の方を、見ないようにしてる。
「で、どこォお??? 患者は、どこなのォオオ????」
「……だ、第八病室です。そこで、暴れてまして……」
「第八……なら、あの子かァ~~!! もう、仕方ないわあ~~~!! ママのおっぱいが、恋しいのね~~~!!!」
マカ先生は、ずっと奥に進んだ。そしたら、また様子が変わってきて。ガラスの個室が無くなって、代わりに色んな扉が出てきた。
第一病室、第二病室……。壁にはそう書かれていて、患者さんの名前が書いてあるプレートもあった。
そして、第八病室。……ここの部屋から、特に大きな悲鳴が聞こえてくる。ふと、扉の下を見てみると……。隙間から、血が漏れて来ていた。
患者さんの名前は、『ニック』。……当然だけど、聞いたことはない。助手の人が、鍵を開けて……。マカ先生が、部屋の中に入った。
……嫌な空気だ。換気扇は回ってるみたいだけど。それよりも、もっと。心の奥に、べったりと来るような。
通路がたくさん汚れてる。錆とかもだけど、何より細かく血が飛び散ってて。もう黒く変色しているものや、まだ真っ赤な真新しいものもあった。
それに……。マカ先生の、コツコツという足音に加えて。どこからか、声が聞こえる。ボクはそれが何の声なのか、すぐにわかった。昔は、よく聞いてたから。
「あらあら、大きな悲鳴だわ~~~。足でも切っちゃったのかしらあ???」
「いえ、拘束してますのでそれは……。多分……ないと、思いますけど……」
「今度抜歯でもしようかしらねえ~~~~??? あの子たち、す~ぐ噛んじゃうからあ~~~」
……。なんとなく、想像がついてきた。マカ先生が、どこに向かっているのか。……というより……そこに、”どんな人”が居るのか。
悲鳴が大きくなっていく。もうこの通路の奥に、悲鳴を上げてる人がいることは明白だった。だから、身体の震えが止まらなくて。怖くなって。
……それでも、必死について行った。お仕事だったから。ボクに出来るのなら、やらないといけなかったから。
「……ここです。今、鍵を開けますね」
通路を進み切ると、そこには大きくて頑丈な扉があった。監視カメラや、壁に銃なんかもあって。明らかに、他の場所とは違っていた。
助手のお医者さんは、扉に鍵を差し込んだ。それで、カードキーも通して。目の形も、確認させて。それらの確認が終わると、ようやく扉が開いた。とても大きな、警告音を響かせて――。
「アゴアァァァアッッ!!」
「っ……!?」
誰かが、飛び出してきた。誰かが、こっちに向かって。中から、出てきていた。
全身、包帯まみれで。包帯から、血が溢れてて。……おぞましい悲鳴をあげながら、近づいてくる。
「ゴアッ!?」
「ああ~~~らら、駄目よォ~~~。あなたはまだ、ビョーニンなんだからァァ~~~!!!」
でもそれをマカ先生が止めた。……左手で、その人の顔をわしづかみにしたかと思うと。その人を壁に叩きつけた。
「ジョシュ君、縛っちゃってエェ~~~!!! きつく、きつくうウ~~!!」
「は、はい!」
その人が地面に倒れると、その隙に助手の人がロープを取り出した。それで、その人をぐるぐる巻きにして。身動きをとれなくした。
「フウーーーッッ! フウーーーッッ!」
その人はうめき声をあげてる。というより、理性を失ってるみたいだった。もう人間の言葉みたいなのは聞こえなくて。……ボクは、その人を。あの触手の化け物と重ね合わせていた。
「あはっ……! その顔、いいわあ……!! 憎しみを、絶望を孕んだ、とってもセクシーな顔……!!! ……あんまり、セクシーなもんで……」
「ゴバッッ!?」
「虐めたく、なっちゃうじゃないの……!!!!」
……マカ先生が、靴で。その人のあそこを踏んづけた。……先生の靴は、かかとの所が尖ってて。見るだけでも、明らかに痛そうで。
「ゴガッッグァッッ……!」
「どうしてあげようかしら……?? あなたのお口に、アタシのを突っ込んで……?? 窒息死、なんてのもいいわよねえええ????」
……。怖い。その人も、そうなんだけど。……今のマカ先生は、とても怖い顔をしていた。
目が、ぐるぐるしているような。それでも、ほっぺが赤くて。よだれが、あふれてて。……どうして、しまったんだろう。
「……せ、先生。それよりも、早く……」
「……ああ、そうだったかしら?? じゃあ、しょーがないなああ。あなたは、今度までお預けねええ~~~????」
……そうすると、マカ先生はその人から足を離して。部屋の奥に進んだ。……助手の人も、その人を放置して。先に進んだ。
だから、その場にはボクしか居なくて。その人が、ボクを睨んだから……。ボクは、部屋の奥に逃げ込んだ。先生の元を離れたら、危険だって思ったから。
「ガァアアァアッッ! ゴゲァァァアァアッ!!」
「ギィヒイーーヒヒヒ!! ヒィィイーーーーヒヒヒ!!!!」
……でも、間違ってたかも。すぐに帰ればよかった。……部屋の奥には、全面がガラスで出来た個室みたいなのがたくさんあって。その中には、さっきみたいな状態の人が、たくさん入ってた。
「クロォ~~、離れたら駄目よォ~~??? 離れたら、レイプされちゃうわよォオオオ???? ここのクズどもは、溜まってるからァァアァ???」
……。マカ先生がどうしてこんな喋り方をするのか、少しだけわかった気がした。先生は、この人たちを治療してるから。みんなを、治してるから。……普通の精神じゃあ、きっと耐え切れないんだ。
だって、ほら。……ボクも、だけど。この助手の人も、怖がってるから。あまり個室の方を、見ないようにしてる。
「で、どこォお??? 患者は、どこなのォオオ????」
「……だ、第八病室です。そこで、暴れてまして……」
「第八……なら、あの子かァ~~!! もう、仕方ないわあ~~~!! ママのおっぱいが、恋しいのね~~~!!!」
マカ先生は、ずっと奥に進んだ。そしたら、また様子が変わってきて。ガラスの個室が無くなって、代わりに色んな扉が出てきた。
第一病室、第二病室……。壁にはそう書かれていて、患者さんの名前が書いてあるプレートもあった。
そして、第八病室。……ここの部屋から、特に大きな悲鳴が聞こえてくる。ふと、扉の下を見てみると……。隙間から、血が漏れて来ていた。
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