崩壊した世界からの脱出 -ボクたちはセックスしか知らない-

空倉霰

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第十二章

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 次の日。俺はアレクサンダーの指示で、引っ越しの任務を進めていた。何人かの部下と、荷物を持って。新しくアジトにするための場所まで、護衛する。それが今回の仕事だった。
 改めて思うが、この施設は今どうなっているのだろう。既に辺りには、触手の化け物が普通に蔓延っている。特に今のアジトの周辺は、アジトから出るたびに襲撃されてるようなものだ。
 だから俺は、コッソリと情報収集をしている。どうもアレクサンダーのしていることは、腑に落ちない。確かにシュバルツに抗おうとはしているようだが……。
「隊長、もう勝手に整備しちゃっていいんですかね?」
「うん? ああ、いいぞ。とりあえず俺は辺りを調べてくるから、他の奴らは作業員を守れ。いいな」
「了解です」
 俺は引っ越し作業を他の奴に任せ、少し離れた場所に移動した。そして陰に隠れて、辺りに誰も居ないのを確認してから、通信機を取り出す。
「俺だ。そっちの調子はどうだ」
『おお、レオか。まあぼちぼちって所だよ。そっちこそどうだ』
 通信の相手は、ロイン。俺の頼みで、今とある場所に忍び込んでもらっている。まあ隠すこともないので明かすが、その場所とは……”シュバルツの研究室”だ。
「元気だよ。ウソだけどな……。とにかく、例の件はどうなってる」
『ああ、あの話な。アレは一番早くわかったよ。忍び込んですぐだったな』
「能書きはいいって。教えてくれ」
『あ、すまん。……お前の推測した通りだよ。今こっちには、”シロ”が居る。何事もないように、あいつの小間使いをやってるぜ』
「……。やっぱりか」
 前々から気になっていた。なので、独自に推測をしており。それが今、確信に変わった。――シロは、”一人ではない”。最低でも二人は居る。
 今現在、レジスタンスの医療機関に保護されている者。そしてロインの言う、シュバルツの元で働いている者……。矛盾している。これが同じ人間であるはずがない。
 しかし、同じ人間だ。見た目、性格、動き方。ロインの情報を聞く限り、そうとしか思えない。……これが結論付けるものは、つまり……。
「ありがとよ。大体わかってきた」
『そうなのか? 俺は全然わからんが……』
「それでいいんだよ。お前は肉体労働だ。引き続き情報を頼む」
『ああ、わかった。じゃあ切るぜ、あばよ』
 そして俺は通信を切り、とある場所を目指した。ストレス発散とばかりに、化け物をなぎ倒しながら。
 その場所とは、ロインがクロを助け出したというあの場所。実験体の管理区域だ。うまくクロから聞き出したのだが、どうにもそこでシュバルツの野郎が、色んな実験をしていたらしい。薬を打ったり、なにしたり。
 まるで牢獄。俺達以上に、自由が無い場所だった。一つ一つの牢屋には、涙の痕のようなものや。血の跡までもが残っており。……そのうちのいくつかには、白骨化した子供の死体が転がっていた。
 ここの管理は、シュバルツというよりも他の管理者に一任されている。……こう言いたくはないが、もしもシュバルツが管理していたら……。こうはなっていない。
 だが気になることがあった。その問題の管理者の姿が、どこにも見当たらない。その代わりにそこら中に、化け物が居る。見たことのない新型も居た。
 恐らくはメアが、クロを奪取するために色々やったんだろうが……。今はどうでもいい。今重要なのは、この部屋の方だ。
「……。最近は使われていないみたいだな」
 シュバルツがクロを治療していたという、例の治療室だ。診察台やら機械やら、点滴やら。明らかに普通の治療室には必要ないものまでそろっている。
 そしてその隣の部屋には、シュバルツの趣味であろう。ブティック並みに揃えられた服とかが、沢山あった。……どれもこれも、言ってしまえば女の子モノ。……やれやれ。
 俺の読みでは、恐らくここに答えがある。ここに、シロが二人居る答えがあるはずなんだ。……今のうちに確かめておかなくては、後で面倒なことになる。
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