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第十四章
I hate you
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ボクはマスターと一緒に、シェルターの中へと戻った。地下のトンネルみたいなのを通ったんだけど、そこはあまり記憶になくて。
ふと気が付くと、ボクはマスターのお部屋に居た。そこでマスターと一緒にしばらく過ごしたんだけど、なぜか幸せじゃなかった。
何かこう、よくわからなかった。何かが変だった。マスターに見つめられるたびに、寒気がして。マスターに触られるたびに、ねばついた感情で頭がいっぱいになった。
でもそれよりも嫌だったのは、やっぱり自分だった。自分が気持ち悪かった。……きっと、マスターのことも。それと同じ理由だ。
「それじゃあ、おやすみ。クロ」
マスターのお部屋で、ボクは先に眠ることになった。マスターはまだお仕事があるらしいから、眠らない。
前はここのベッドが好きだった。マスターの香りがするここが、とても幸せだった。なのにどうしてだろう。今はここよりも、床に座っているほうがいい。
暗い部屋の中で、ボクは座りながら考え続けていた。これからどうしたらいいんだろうって。これからどうやって、みんなと接していけばいいのかって。それを考え続けていた。
「そんなの、君には無理だよ」
すると、どこからか声が聞こえてきた。
「マスターのことを悪く言う奴は、皆死んじゃえばいいんだ」
誰だろう。どこかで聞いたことがあるような声。
「ねえ、代わってよ。ボクなら君より、上手くできるんだ」
「代わる……?」
ボクは顔を上げて、部屋の隅っこを見てみた。……誰かが居る。でも暗くてよく見えない。
「お願い。代わって。……ボクだって、君なんだ。君が嫌なら、ボクがやるよ」
ボクは黙っていた。いいよ、って答えるでもなく。嫌だ、って言うでもなく。ただ黙っていた。
「……君ばっかり、ずるいよ。ボクだって、ボクだって……」
するとその子は立ち上がって、ボクにゆっくりと近づいてきた。とても静かな足音が、妙に不気味で。
「マスターを悪く言う奴は、死んじゃえばいいんだ。だから、だから……」
その子はボクの首に、手を添えた。それでそのまま、力を入れて来て。ボクは押し倒された。
状況がわかんなかった。これは夢なのかって思ったけど、苦しかったから多分違ってて。ボクは息が出来なくなっていった。
「嫌いだ。君なんて、大嫌いだ」
ボクは頬をぶたれた。手のひらで思い切り、バチンって。それで声を上げる前に、今度は殴られた。
皮膚の上から痛みが沈んできて、骨まで辿り着いてくる。何度も何度も殴られて、どんどん深くなってくる。
「だ、誰なの……?」
「うるさい。うるさい、うるさい」
答えてくれなかった。ただ無心に、ボクを痛めつけてくる。
……不思議だった。こんなに殴られてるのに、嫌じゃない。なんていうか、こう……。……当然のことだと感じていた。
「……ごめん、なさい……」
嫌だった。マスターのことを悪く思うなんて、自分でも信じられなかった。
だからもう、どうしようも出来なくて。こんな思いを抱えたまま生きるなんて、辛かった。ならいっそ、死んだ方がいいんじゃないかって。
「ボクが、代わりになるんだ。ボクが、クロになるんだ。……ボクが……」
「そこまでだ」
ふと気が付くと、ボクはマスターのお部屋に居た。そこでマスターと一緒にしばらく過ごしたんだけど、なぜか幸せじゃなかった。
何かこう、よくわからなかった。何かが変だった。マスターに見つめられるたびに、寒気がして。マスターに触られるたびに、ねばついた感情で頭がいっぱいになった。
でもそれよりも嫌だったのは、やっぱり自分だった。自分が気持ち悪かった。……きっと、マスターのことも。それと同じ理由だ。
「それじゃあ、おやすみ。クロ」
マスターのお部屋で、ボクは先に眠ることになった。マスターはまだお仕事があるらしいから、眠らない。
前はここのベッドが好きだった。マスターの香りがするここが、とても幸せだった。なのにどうしてだろう。今はここよりも、床に座っているほうがいい。
暗い部屋の中で、ボクは座りながら考え続けていた。これからどうしたらいいんだろうって。これからどうやって、みんなと接していけばいいのかって。それを考え続けていた。
「そんなの、君には無理だよ」
すると、どこからか声が聞こえてきた。
「マスターのことを悪く言う奴は、皆死んじゃえばいいんだ」
誰だろう。どこかで聞いたことがあるような声。
「ねえ、代わってよ。ボクなら君より、上手くできるんだ」
「代わる……?」
ボクは顔を上げて、部屋の隅っこを見てみた。……誰かが居る。でも暗くてよく見えない。
「お願い。代わって。……ボクだって、君なんだ。君が嫌なら、ボクがやるよ」
ボクは黙っていた。いいよ、って答えるでもなく。嫌だ、って言うでもなく。ただ黙っていた。
「……君ばっかり、ずるいよ。ボクだって、ボクだって……」
するとその子は立ち上がって、ボクにゆっくりと近づいてきた。とても静かな足音が、妙に不気味で。
「マスターを悪く言う奴は、死んじゃえばいいんだ。だから、だから……」
その子はボクの首に、手を添えた。それでそのまま、力を入れて来て。ボクは押し倒された。
状況がわかんなかった。これは夢なのかって思ったけど、苦しかったから多分違ってて。ボクは息が出来なくなっていった。
「嫌いだ。君なんて、大嫌いだ」
ボクは頬をぶたれた。手のひらで思い切り、バチンって。それで声を上げる前に、今度は殴られた。
皮膚の上から痛みが沈んできて、骨まで辿り着いてくる。何度も何度も殴られて、どんどん深くなってくる。
「だ、誰なの……?」
「うるさい。うるさい、うるさい」
答えてくれなかった。ただ無心に、ボクを痛めつけてくる。
……不思議だった。こんなに殴られてるのに、嫌じゃない。なんていうか、こう……。……当然のことだと感じていた。
「……ごめん、なさい……」
嫌だった。マスターのことを悪く思うなんて、自分でも信じられなかった。
だからもう、どうしようも出来なくて。こんな思いを抱えたまま生きるなんて、辛かった。ならいっそ、死んだ方がいいんじゃないかって。
「ボクが、代わりになるんだ。ボクが、クロになるんだ。……ボクが……」
「そこまでだ」
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