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第十七章
A small step.
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数時間後、朝日が出た。東からゆっくりと昇ってくる、大きな電球みたいなもの。ボクは最初にこれを見た瞬間、思わず世界が終わるのかと思ってしまったことがある。
でも気が付いてみると、今はもうこの暖かさに身をゆだねていて。恐怖みたいなのは無くなっていた。……機械の光じゃ味わえない、自然の暖かみ。ボクはこれだけでも、外に住む十分な理由があると思う。
「さあ、出発だ! 行こうクロ!」
「うん……!」
ボクたちは廃墟の屋上から、隣の建物に飛び移る。雪がクッションになってくれるから、怖くなくて。思い切り心地よくジャンプした。
楽しい。少なくとも今は、その気持ちでいっぱいだ。雪に自分たちの足跡がつくのが、息が白くなるのが。そしてこの気持ちを、共有できるのが。
ボクは太陽の登る方に向かって走っている。あの太陽の向こうに、何があるのか。それも知りたかったし、見てみたい。きっとこの世界のどこかに、希望はあるはずだから。
「あ、ねえ。アレは何かな?」
ふとボクは、建物同士の隙間からとあるモノを見つけた。それはとても高い塔で、でもなんだか脆そうで。
「ああ。あれは電波塔よ。昔はあれでテレビなんかの電波を送っていたの」
「へえー……。じゃあ、アレは?」
「あれはミサイルね。あんな地面に突き刺さったまま残ってるなんて、滅多にないわ」
最近思った。メアはボクよりも色々なことを知っている。シロも沢山のことを知っているけど、メアには敵いそうになくて。
「フン。クロ、あっちに行こう! あっちの方が景色が綺麗だから!」
そうしてボクがメアのことを考えていると、シロが止めてくる。その様子がとても嬉しいような、可愛いような。複雑な気持ち。
幸せだ。後悔が無いわけじゃないけど、やっぱりどうしても幸せで。夜になるとどうしても考え込んでしまうから、ボクはずっと朝がいい。
ボクたちは歩き続けた。お昼になってお腹が空いた頃、少し休憩して。また歩き続けた。見るもの全てが新鮮なもので溢れてて。歩けば歩くほど知らないものに出会えた。
「……あ」
そしてこれも、そのうちの一つ。外に出て見てきたものの中で、一番変で珍しかったもの。これは、まるで。あの箱舟のような。
「――宇宙船よ。まあ簡単に言ってしまえばね。かつての人類は、これでこの星から逃げようとしたの」
お墓みたいだった。すごく広い大地の上に、無数に転がる宇宙船。そしてシロはこの様子を、”船の墓場”って例えた。
沢山あった。でもそのどれもがボロボロで。横に穴が開いていたり、攻撃を受けた跡が残ってたり。何かがあったことは見るだけでわかる。
「シュバルツの箱舟は、永住可能な船として作られているわ。人類の英知を集めて作られた、最高の船。人類に残された、最後の希望……」
「まだそんなことを。忘れろよ、もうどうでもいいじゃないか」
「そうでもない。あいつらにはあの船がある。あれがある限り、奴らは私たちをどこまでも追って来られるわ。ジリ貧なのは私たちの方よ」
メアとシロは真剣な顔をしている。だから不思議だった。この状況を簡単に考えていたのは、ボクだけみたいだったから。
「対抗策が居る。この先に進むにしても、何かが必要よ。いつまでもクロの能力に頼ってはいられないわ」
「……対抗策?」
「考えがある。ちょっと、寄り道しましょ」
でも気が付いてみると、今はもうこの暖かさに身をゆだねていて。恐怖みたいなのは無くなっていた。……機械の光じゃ味わえない、自然の暖かみ。ボクはこれだけでも、外に住む十分な理由があると思う。
「さあ、出発だ! 行こうクロ!」
「うん……!」
ボクたちは廃墟の屋上から、隣の建物に飛び移る。雪がクッションになってくれるから、怖くなくて。思い切り心地よくジャンプした。
楽しい。少なくとも今は、その気持ちでいっぱいだ。雪に自分たちの足跡がつくのが、息が白くなるのが。そしてこの気持ちを、共有できるのが。
ボクは太陽の登る方に向かって走っている。あの太陽の向こうに、何があるのか。それも知りたかったし、見てみたい。きっとこの世界のどこかに、希望はあるはずだから。
「あ、ねえ。アレは何かな?」
ふとボクは、建物同士の隙間からとあるモノを見つけた。それはとても高い塔で、でもなんだか脆そうで。
「ああ。あれは電波塔よ。昔はあれでテレビなんかの電波を送っていたの」
「へえー……。じゃあ、アレは?」
「あれはミサイルね。あんな地面に突き刺さったまま残ってるなんて、滅多にないわ」
最近思った。メアはボクよりも色々なことを知っている。シロも沢山のことを知っているけど、メアには敵いそうになくて。
「フン。クロ、あっちに行こう! あっちの方が景色が綺麗だから!」
そうしてボクがメアのことを考えていると、シロが止めてくる。その様子がとても嬉しいような、可愛いような。複雑な気持ち。
幸せだ。後悔が無いわけじゃないけど、やっぱりどうしても幸せで。夜になるとどうしても考え込んでしまうから、ボクはずっと朝がいい。
ボクたちは歩き続けた。お昼になってお腹が空いた頃、少し休憩して。また歩き続けた。見るもの全てが新鮮なもので溢れてて。歩けば歩くほど知らないものに出会えた。
「……あ」
そしてこれも、そのうちの一つ。外に出て見てきたものの中で、一番変で珍しかったもの。これは、まるで。あの箱舟のような。
「――宇宙船よ。まあ簡単に言ってしまえばね。かつての人類は、これでこの星から逃げようとしたの」
お墓みたいだった。すごく広い大地の上に、無数に転がる宇宙船。そしてシロはこの様子を、”船の墓場”って例えた。
沢山あった。でもそのどれもがボロボロで。横に穴が開いていたり、攻撃を受けた跡が残ってたり。何かがあったことは見るだけでわかる。
「シュバルツの箱舟は、永住可能な船として作られているわ。人類の英知を集めて作られた、最高の船。人類に残された、最後の希望……」
「まだそんなことを。忘れろよ、もうどうでもいいじゃないか」
「そうでもない。あいつらにはあの船がある。あれがある限り、奴らは私たちをどこまでも追って来られるわ。ジリ貧なのは私たちの方よ」
メアとシロは真剣な顔をしている。だから不思議だった。この状況を簡単に考えていたのは、ボクだけみたいだったから。
「対抗策が居る。この先に進むにしても、何かが必要よ。いつまでもクロの能力に頼ってはいられないわ」
「……対抗策?」
「考えがある。ちょっと、寄り道しましょ」
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