崩壊した世界からの脱出 -ボクたちはセックスしか知らない-

空倉霰

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第十七章

Past heritage

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 メアが向かったのは、とある一隻の船だった。船底に大きな穴が開いていたから、瓦礫を使ってよじ登って、中に入り込んだ。
 どうやらそこは貨物室になっているみたいで、色んなコンテナとかがあった。もちろんそのほとんどが荒らされてたから、中身が残っているのなんてほとんど無かったけど。
「あった。コイツね」
 でもその中のうち、一つだけ綺麗なままのコンテナがあった。年月の風化によるものを除けば、目立った傷もなく。開けられた形跡もない。
 メアはそのコンテナに近づいて、何かのボタンを押していく。するとコンテナの一部が変形して、ちょっとしたタッチパネルみたいなものが出てきた。
『ユーザーを認識しています。しばらくお待ちください』
 メアがタッチパネルに手を乗せると、コンテナから機械音声が響く。そしてしばらくすると、コンテナが大きく揺れ出して。突然バカって開いた。
「うわっ」
 思わずボクはビックリして、壁に抱きつく。でもメアは驚いていなくて、コンテナの中に入っていって。何かを探しているみたいだった。
「あった、コレね。でもまだ使えるかしら」
「――何? これ」
 ボクはこっそりコンテナの中に入って、メアの探していた物を見てみる。……それは一言で言えば、とてもゴツい”銃”みたいな。
 でもこれは重すぎる。きっと普通の人じゃ持てないくらい大きい。よくわからないけど、もっと大きな人間が使う感じの。
「これは旧時代のミニガンよ。本来はパワードスーツ込みで使用するものだけど、私たちなら扱えるわ」
「扱えるって、こんなのどうすんだよ」
「決まってんでしょ。迎え撃つのよ。ここにはこういう軍事関係の密輸品が溢れているから、物資には困んないわ」
「危険過ぎる。わざわざそんなもの使う必要はないだろ」
 そうしているうちに、二人は言い争いを始めてしまった。こういうことは何度も起こっているから、本気じゃないっていうのはわかるけど。
 どちらかと言えばボクは、これを使いたくない。きっとこれがあれば、何人もの人を殺せるから。
 ボクを追ってくるのは嫌だけど、死んでほしいわけじゃない。ボクとは関係の無い場所で生きていてほしい。それだけなのに。
「――ほら、来たわ」
 その時だった。突然どこからか、小さなウイーンっていう音が聞こえてくる。ボクたちは息を殺しつつ、壁の隙間から外を覗いてみると。そこには小さな機械みたいなのが空を飛んでいた。
「偵察用ドローンね。長距離用のものだから性能は低いけど、カメラに見られたら終わりよ」
「……壊せば位置がバレる。見つからないうちに、とっとと行こう」
 結局そのまま、メアは幾つかの物資を持っていくことにしたみたいで。ボクたちは飲み込めないまま、それの持ち運びを手伝った。
 船同士の陰に隠れて、ドローンをやり過ごす。そうして安全になるまでを待っていると、夜になってしまって。今日はここで眠ることになった。
「……お腹、空くね」
「うん。ここで足止めされるとは思ってなかったし、困ったな」
 食べ物の調達は、いつも交代制でやっていた。三日前がボクで、二日前はシロ。そして昨日はメアだった。だから今日はボクなんだけど、この状況じゃ。
「アタシに任せて。心当たりがあるわ」
「心当たり?」
「ここらには詳しいの。抜け道も知ってる。じゃあ、待ってて」
 メアはそう言うと、ボクたちの言葉も聞かずに行ってしまう。……なんだか少し申し訳ない。本当ならボクが行くべきなのに。
「……」
 でも本音では、嬉しさが勝っていた。その嬉しさが隠せなくて、どうしようもなくて。ボクとシロは、手を重ね合わせる。
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