異世界に転生したけど、自由気ままに生きてます!

美影

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6話

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  迷宮(ダンジョン)とは、幾多もの階層に分かれる無限の迷宮。階層が上がるにつれ、モンスターのLvが上がっていく。未だにこの迷宮がいくつあるのか不明。仮説によると、100、500、1000階層を超えるという。また、最上層はLv.100相当のモンスターがごろごろいるようだ。これはあくまでも仮説だ。真相を知るのものは誰もいない。
  
  現在は1~14階層まで突破できている。しかし、15階層のエリアボスの【タイタンズレイン】というモンスターを突破することが出来ずにいる。全長2m30cmほどの大柄な体躯に、頭に2本の鋭い角と4本の腕を備える。4本の腕にはそれぞれ武器を装備しており、HPの減少に応じて攻撃のパターンが変化したり、装備していた武器も変わってくる。HPはそれほど多くなく耐久力もそれほどないが、剛腕の腕から振り下ろされる一撃一撃の攻撃が非常に重い。何度かトッププレイヤー達が集まる攻略部隊で突破を試みたが全てのプレイヤーが戦闘不能という失敗に終わっている。例え、戦闘不能になったとしても【パンデモの街】にある【神殿】で生き返ることができる。戦闘不能によるペナルティーは大きいが。トッププレイヤーと言ってもLv.10相当の冒険者の集まりだ。それに加え【タイタンズレイン】はLv.13。これじゃ勝てない。もっとLvを上げないと。今、現在も戦闘は行われている。

  ◆◇15階層ボス部屋にて◇◆

「3番隊!ヒールはまだか!!これでは1番隊のHPが保たんぞ!」

「すいません、クラウス隊長。直ちにヒールを開始します」

「【タイタンズレイン】のHPが半分をきりました。攻撃パターンが変わります」

「「グォォォォォォォォォォォオオオオオ!!!!!」」

  【タイタンズレイン】は大きな雄叫びとともに4本の腕に装備していた短剣を捨て槍と盾に持ちかえた。

「このまま押しきるぞぉぉおお!!!」

  一斉攻撃を開始した。プレイヤー達は防御を考えず、ダメージを与えることしか考えていなかった。

「【タイタンズレイン】のHP、残りわずかです!」

「ここまでHPを減らしたのは初めてだな。よし、このまま・・・ん?なんだあれは!【タイタンズレイン】の様子がおかしいぞ!」

  【タイタンズレイン】の身体が青白く光はじめた。クラウスは何かの異変に気付き、相手の能力を解析出来るスキルを使った。すると、驚愕のことに気がついてしまったのだ。

「これはまずいぞ。ステータスが上がっている。直ちに防御系スキルを発動させろ!強力な全体攻撃が来るぞぉぉおお!!!」

  プレイヤー達は防御系スキルを発動させた。しかし間に合わず攻撃を喰らってしまった。

「くそっくそ!ここまでかよ!次こそは絶対に倒してやる・・・!!!」

  ーーーこの場にいたプレイヤー達は戦闘不能になった。

◆◇ギルドにて◇◆

    ここで俺に大きな問題が生じていた.....。
  ・・・金がない!まぁ、今に始まった問題じゃないけど。

  これではいい武器が買えず宿にと泊まることすら出来ない。  
  あっ、一つあった。それは冒険者になれば誰でも貰えるLv.1の鉄の短剣だ。でもこの武器は弱い、弱すぎるのだ。しかし、今はこれで迷宮(ダンジョン)に潜るしかほかならない。

「エマ。金がない」

「クエストでも受けたらいいじゃないですか」

「おいおい、この装備でダンジョンを潜るとか自殺行為だぞ」

「別、戦闘不能になっても生き返るんですからいいじゃないですか」

「そ、そうだな」

  生き返るって分かってても戦闘不能になりたくねえな・・・。だって、怖いじゃん?こんなただの鉄くずでしかない武器なんだよ?せめて、何かの追加効果が欲しかったよ。でも、冒険者だから行くしかないよね。

「よし!クエスト掲示板を見に行こうか!」

・・・なにこれ。ほとんど上級者向けのクエストばっかりじゃん!俺みたいな下級者向けをクエストはないの!?
  俺は掲示板にあるクエストを全て見渡した。しかし、1番簡単なクエストでもLv.3以上が対象のものしかなかった。

「これじゃ、俺なにもできないじゃん!てか、あえて聞かなかったけど、エマってLvどのくらい?」

「Lv.9ですよ」

  な、なに!?Lv.9!?なにそれ、そんなのないわー。てっきり、俺みたいな駆け出し冒険者だと思っていたのに。俺は一つため息を漏らした。

「どうしたんですか?ため息なんてついて。もしかして私がタケルよりLvが高かったからショックだったんですかぁ?」

  こちらをニヤケついた顔で見てくる。そうですよ!ショックですよ!Lvが高くて羨ましいんですよ!・・・なんて言えない。

「べ、別にそんなんじゃねぇし。ショック受けてねぇし」

「へぇー。本当ですかぁ?」

「ほ、本当だし!」

  ・・・いや、待てよ。よく考えてみればエマをクエスト連れて行けばいいじゃん!

「エマ。このLv.3以上対象の【リトルゴブリン】を5体討伐のクエストに一緒に行こうぜ!」

「別にいいですけど、全部タケル1人で倒してくださいね」

「おうよ!【リトルゴブリン】なんて俺1人で倒してやるよ!そうと決まれば1階層に出発だ!」

  その後、俺は自分の無力さに改めて気付かされるのだった。

◆◇1階層にて◇◆

 「えい!」

・・・やべ。全然攻撃が効いてないじゃん。よし、逃げよう!
俺は走った。しかし、【リトルゴブリン】も追いかけてくる。すると、俺の身体に激痛が走った。

「い、いてぇぇぇぇえええ!!!な、なにされたんだ!?」

「【リトルゴブリン】が石を投げただけですよ」

  石を投げただけ?いやいや、そんなはずないだろ!あの痛みは半端じゃなかった!HPも相当減っちゃったよね・・・ん?1も減っていない!?おかしいだろ!

ーーーユニークスキル《苦痛の加護》が解禁されましたーーー
《苦痛の加護》とは、どんな相手モンスターの物理攻撃や魔法攻撃、あらゆる攻撃を全て無効化にする。しかし、攻撃を無効化する代わりに通常の痛みの何倍もの痛みが襲ってくる。

「やったー、ユニークスキルが解禁されて嬉しい・・・って全然嬉しくねえわ!なにが加護だ!全然加護になってねぇじゃんか!」

「クスクス。タケル良かったですね!ユニークスキルが解禁されて!」

「笑ってんじゃねぇよ!そ、そんなことより助けてくれぇぇぇぇえええ!!!」

  エマの助けにより無事にクエストをクリアすることができた。
  【リトルゴブリン】5体の討伐完了。報酬1500ゴールドを獲得した。
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