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71 群れ飛ぶ甲殻獣
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異世界において、漁業は決して楽な仕事ではない。
光る石を使った新たな漁法を確立し、ようやく魚を安定して獲れるようになったかと思えば、今度は「なんだかよくわからない巨大な影」が近づいてきた。そして俺がそれに対して身構えた瞬間――
バシャァァァンッ!!
「わぷっ!?」
レイヴィアが派手に水しぶきを上げた。
「レイヴィア、お前今、盛大に溺れなかったか?」
「お、溺れてなどいません! これはですね、ええと……華麗なる緊急回避なのです!」
「何から回避したんだよ」
俺が呆れながらレイヴィアを引き上げると、海面を覆うようにして、無数の甲殻生物が羽ばたいていた。
「……なんだ、こいつら?」
それはまるで、羽を持つカブトガニの群れだった。大きさは手のひらほどで、硬そうな甲羅に包まれながら、水面を滑るように飛び回っている。そして、よく見ると彼らは小魚を次々と捕食していた。
「漁の邪魔なのです!!」
レイヴィアが珍しく真剣な顔で叫んだ。
俺もそれには同意する。せっかく魚が光る石に引き寄せられてきたというのに、その魚をこいつらが次々と食ってしまうのだ。しかも、驚くほどの速度で。
「こいつら……網で捕まえられるか?」
試しに網を投げてみたが、彼らはひらりと身を翻し、あっさりとかわした。さらに、そのまま空中に飛び上がると、再び水面へと戻ってきた。
「……ダメだな」
「なかなかの強敵ね」
セリアが腕を組みながら言う。
「こういう時こそ、氷の槍を試せばいいのでは?」
「お前、氷の槍気に入ってないか?」
「別に。ただ、あんたがどうするか見てみたいだけよ」
またそれだ。
最近のセリアは、俺の言動をやたらと気にしている節がある。以前なら「そんなもの役に立たないわよ」と冷たく突き放していたはずなのに、最近では「まあ、やってみれば?」と俺の判断を待つようになった。
――これは、もしかして、成長を見守る母親的な感覚なのではないか?
いや、それはない。ないが、少なくとも以前のように俺を馬鹿にするだけの態度ではなくなったのは確かだ。
「まあいい。やってみるか」
俺は氷を発生させる鉱石を槍の先端に装着し、甲殻獣の群れに向かって槍を投げた。
槍は空を裂き、そのまま海面へと突き刺さる。そして、瞬間、冷気が広がり、水面が薄く凍り始めた。
「よし、これなら!」
俺が氷の効果を確認しようとしたその時――
「ピギィィィ!」
突如、群れの一匹が鋭い鳴き声を上げた。そして、その声に反応するように、周囲の甲殻獣たちが一斉に飛び上がった。
「な、なんだ!?」
「これは……あまりいい流れではないです!」
レイヴィアが慌てて俺の後ろに隠れる。
甲殻獣の群れはまるで意思を持っているかのように円を描きながら飛び回り、次第にこちらを取り囲むような動きを見せ始めた。
「……やばくない?」
セリアが冷静な口調で言う。
「ああ、やばいな」
どうやら、俺は敵意を買ってしまったらしい。
甲殻獣たちは、まるで軍隊のように統率の取れた動きで旋回しながら、俺たちに向かってじりじりと距離を詰めてくる。
「わ、私を食べるのなら魚を食べなさい!」
「お前は誰も食わねえよ!」
レイヴィアは必死に水をかき分けながら後ずさるが、甲殻獣たちはその行動にはまったく興味を示さない。むしろ、こちらの動きを観察しているようにすら見える。
「ねえ、これ、共存の道を探ったほうがいいんじゃない?」
「え? 俺たち、今戦いの真っ最中じゃねえか?」
「だからこそよ。あんた、ここで甲殻獣と本格的に敵対したら、漁がもっと大変になるわよ?」
セリアの言葉に、俺ははっとした。
たしかに、漁を妨害されるのは困るが、彼らが完全な敵というわけではない。むしろ、小魚を捕食することで、魚の数を適度に調整している可能性もある。
「……つまり、こいつらがどこで、どんな風に動くのかを把握する必要があるってことか?」
「そういうこと」
セリアは満足げに頷いた。
「私はですね、最初から共存の道を考えていたのです!」
「嘘つけ、お前さっきまで逃げてただろ」
レイヴィアが得意げに胸を張るが、彼女が本気で共存を考えていたとは到底思えない。
しかし、実際問題として、甲殻獣の行動を理解することは今後の漁業にとって重要だ。
「よし、とりあえず、こいつらの好む環境を調べるところから始めよう」
俺たちは甲殻獣たちの行動パターンを観察し、共存の道を探ることにしたのだった。
俺たちは慎重に甲殻獣たちの動きを観察し、この海域の調査を進めた。
結果、彼らは特定の範囲を守るように行動し、そこには魚の卵が多く集まっていることが判明した。どうやら、彼らは単なる捕食者ではなく、生態系のバランスを保つ役割を果たしているらしい。
「……つまり、こいつらを無理に追い払うのは逆効果ってことか」
「そうみたいね」
セリアは満足げに頷きながら、小さく息を吐いた。
「これなら、うまく共存する道もありそうね」
「だな。漁の方法を工夫して、こいつらの縄張りを避けるようにすればいい」
こうして、俺たちは甲殻獣たちの行動範囲を記録し、漁との共存を図ることにしたのだった。
光る石を使った新たな漁法を確立し、ようやく魚を安定して獲れるようになったかと思えば、今度は「なんだかよくわからない巨大な影」が近づいてきた。そして俺がそれに対して身構えた瞬間――
バシャァァァンッ!!
「わぷっ!?」
レイヴィアが派手に水しぶきを上げた。
「レイヴィア、お前今、盛大に溺れなかったか?」
「お、溺れてなどいません! これはですね、ええと……華麗なる緊急回避なのです!」
「何から回避したんだよ」
俺が呆れながらレイヴィアを引き上げると、海面を覆うようにして、無数の甲殻生物が羽ばたいていた。
「……なんだ、こいつら?」
それはまるで、羽を持つカブトガニの群れだった。大きさは手のひらほどで、硬そうな甲羅に包まれながら、水面を滑るように飛び回っている。そして、よく見ると彼らは小魚を次々と捕食していた。
「漁の邪魔なのです!!」
レイヴィアが珍しく真剣な顔で叫んだ。
俺もそれには同意する。せっかく魚が光る石に引き寄せられてきたというのに、その魚をこいつらが次々と食ってしまうのだ。しかも、驚くほどの速度で。
「こいつら……網で捕まえられるか?」
試しに網を投げてみたが、彼らはひらりと身を翻し、あっさりとかわした。さらに、そのまま空中に飛び上がると、再び水面へと戻ってきた。
「……ダメだな」
「なかなかの強敵ね」
セリアが腕を組みながら言う。
「こういう時こそ、氷の槍を試せばいいのでは?」
「お前、氷の槍気に入ってないか?」
「別に。ただ、あんたがどうするか見てみたいだけよ」
またそれだ。
最近のセリアは、俺の言動をやたらと気にしている節がある。以前なら「そんなもの役に立たないわよ」と冷たく突き放していたはずなのに、最近では「まあ、やってみれば?」と俺の判断を待つようになった。
――これは、もしかして、成長を見守る母親的な感覚なのではないか?
いや、それはない。ないが、少なくとも以前のように俺を馬鹿にするだけの態度ではなくなったのは確かだ。
「まあいい。やってみるか」
俺は氷を発生させる鉱石を槍の先端に装着し、甲殻獣の群れに向かって槍を投げた。
槍は空を裂き、そのまま海面へと突き刺さる。そして、瞬間、冷気が広がり、水面が薄く凍り始めた。
「よし、これなら!」
俺が氷の効果を確認しようとしたその時――
「ピギィィィ!」
突如、群れの一匹が鋭い鳴き声を上げた。そして、その声に反応するように、周囲の甲殻獣たちが一斉に飛び上がった。
「な、なんだ!?」
「これは……あまりいい流れではないです!」
レイヴィアが慌てて俺の後ろに隠れる。
甲殻獣の群れはまるで意思を持っているかのように円を描きながら飛び回り、次第にこちらを取り囲むような動きを見せ始めた。
「……やばくない?」
セリアが冷静な口調で言う。
「ああ、やばいな」
どうやら、俺は敵意を買ってしまったらしい。
甲殻獣たちは、まるで軍隊のように統率の取れた動きで旋回しながら、俺たちに向かってじりじりと距離を詰めてくる。
「わ、私を食べるのなら魚を食べなさい!」
「お前は誰も食わねえよ!」
レイヴィアは必死に水をかき分けながら後ずさるが、甲殻獣たちはその行動にはまったく興味を示さない。むしろ、こちらの動きを観察しているようにすら見える。
「ねえ、これ、共存の道を探ったほうがいいんじゃない?」
「え? 俺たち、今戦いの真っ最中じゃねえか?」
「だからこそよ。あんた、ここで甲殻獣と本格的に敵対したら、漁がもっと大変になるわよ?」
セリアの言葉に、俺ははっとした。
たしかに、漁を妨害されるのは困るが、彼らが完全な敵というわけではない。むしろ、小魚を捕食することで、魚の数を適度に調整している可能性もある。
「……つまり、こいつらがどこで、どんな風に動くのかを把握する必要があるってことか?」
「そういうこと」
セリアは満足げに頷いた。
「私はですね、最初から共存の道を考えていたのです!」
「嘘つけ、お前さっきまで逃げてただろ」
レイヴィアが得意げに胸を張るが、彼女が本気で共存を考えていたとは到底思えない。
しかし、実際問題として、甲殻獣の行動を理解することは今後の漁業にとって重要だ。
「よし、とりあえず、こいつらの好む環境を調べるところから始めよう」
俺たちは甲殻獣たちの行動パターンを観察し、共存の道を探ることにしたのだった。
俺たちは慎重に甲殻獣たちの動きを観察し、この海域の調査を進めた。
結果、彼らは特定の範囲を守るように行動し、そこには魚の卵が多く集まっていることが判明した。どうやら、彼らは単なる捕食者ではなく、生態系のバランスを保つ役割を果たしているらしい。
「……つまり、こいつらを無理に追い払うのは逆効果ってことか」
「そうみたいね」
セリアは満足げに頷きながら、小さく息を吐いた。
「これなら、うまく共存する道もありそうね」
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