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72 街道の整備
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俺たちは慎重に甲殻獣たちの動きを観察し、この海域の調査を進めた。
結果、彼らは特定の範囲を守るように行動し、そこには魚の卵が多く集まっていることが判明した。どうやら、彼らは単なる捕食者ではなく、生態系のバランスを保つ役割を果たしているらしい。
「……つまり、こいつらを無理に追い払うのは逆効果ってことか」
「そうみたいね」
セリアは満足げに頷きながら、小さく息を吐いた。
「これなら、うまく共存する道もありそうね」
「だな。漁の方法を工夫して、こいつらの縄張りを避けるようにすればいい」
こうして、俺たちは甲殻獣たちの行動範囲を記録し、漁との共存を図ることにしたのだった。
異世界において道というものは、我々が思う以上に偉大なる存在である。
文明の血管であり、経済の動脈であり、ひいては「この道を通ると幸せになれるらしい」とかいう適当な伝承が生まれ、どこかの誰かが「縁結びの聖地」などと勝手に看板を立てるに至る可能性すら秘めている。
かつて歴史上の偉人たちは、道を築き、国を繋ぎ、文化を運んだ。それはローマ帝国もそうだったし、戦国時代の武将たちもそうだったし、近所のスーパーの特売日とて例外ではない。我々は道なしには生きていけないのだ。
さて、そんな偉そうなことを語りつつも、俺が歩いているこの異世界の道は、泥と石が適当に散らばっただけの「未開のクソ田舎ロード」である。歩けば足を取られ、走れば躓き、馬車に乗れば三半規管が限界を迎える。まさに地獄の道。
「だから! 道を整備するんだ!」
俺は叫んだ。俺は正しい。俺は文明の道標であり、歴史の拓く者であり、転んでばかりの男である!
「ふーん」
隣で、六本足ウサギ(仮)から進化した獣人少女・ルナが退屈そうに耳をぴくぴくさせていた。
「お前な、もうちょっと興味を持てよ。これは文明の躍進なんだぞ」
「ふーん」
「ええい、貴様は『ふーん』しか言えんのか!?」
「別に? だって、そんなのルナに関係ないし」
ルナはつまらなそうに地面に落ちた小石を蹴る。
「ルナたちウサギ族はね、道なんて気にしないの。ぴょんぴょん跳ねればいいし、穴掘ればすぐ帰れるし」
「それはお前がウサギ基準で生きてるからだ!」
「ルナはウサギだもん」
「じゃあ、なんで二足歩行してるんだ!?」
「うーん……なんとなく?」
ルナは首を傾げ、しっぽをふわふわと揺らした。
──ダメだ、このウサギ、進化したというのに根本的な思考回路は変わっていない。
俺は大きく息を吐き、改めて前を見据えた。この荒れ果てた道が、近い未来、整然とした石畳の街道へと変貌を遂げるのだ。そう、きっと。たぶん。できれば。
「よし! まずは石を並べるぞ!」
俺は気合を入れ、転がる石のひとつを持ち上げ──
ガコッ
──躓いた。
ドシャァァン!!
「……ぷっ」
俺が盛大に顔面を強打するやいなや、ルナは口元を押さえながら肩を震わせていた。
「お前……笑ったな?」
「ち、ちがうよ! ルナは、ただちょっと、えっと……ぷふっ」
コロコロコロ……
俺が持っていた石が転がる。その先には、地面に転がる「何か」があった。
「ん?」
俺は訝しげに目を細める。
そこには、一人の男がうつ伏せになって倒れていた。
──漂流者か?
「おーい! 大丈夫か!」
俺は駆け寄り、男の肩を揺する。
「……ぅ……」
男はかすかに唸る。やせ細った体、ぼろぼろの服。異世界に飛ばされ、流れ着いた者なのかもしれない。
「……俺は……職人……道を作る……」
俺は目を見開いた。
──なんと! こいつはまさに、今俺たちが必要としていた人材ではないか!?
「お前、道を作れるのか!?」
「……作ってた……かつては……」
俺はルナと顔を見合わせる。
「……こいつ、即採用だな」
「ふーん」
「だからその『ふーん』はやめろ!」
漂流者──道職人の男は、予想以上に有能だった。
「まず、石をただ並べるんじゃなく、基礎を固めることが大事だ。でこぼこした地面のままじゃ、すぐ崩れる」
「なるほど」
「石の組み方にも法則がある。大小の石を交互に配置して、隙間を詰めるんだ」
「なるほどなるほど」
「あと、石灰を混ぜると……」
「なるほどなるほどなるほ……ちょっと待て、情報が多い!」
道職人の男は熱心に道づくりについて語り、俺はついていくのがやっとだった。だが、確かに理に適っている。彼の知識を活かせば、俺たちはより頑丈な道を作ることができるだろう。
そして──
ついに、異世界初の「本格的な石畳の街道」が完成した。
「おおおおお!!」
村の住民たちが歓声を上げる。
「これで、ついに快適な移動ができる!」
俺は感慨深く、しっかりと舗装された道を踏みしめる。すると、横からルナが呟いた。
「……これ、ほんとに必要だった?」
「お前な!! 文明の進歩にケチをつけるな!」
「ルナは、ぴょんぴょん跳ねればいいだけだから」
「俺たちはウサギじゃないんだよ!」
まったく、このウサギ娘は……。
しかし、道職人の男はさらに重要な提案をしてきた。
「せっかく道を作ったんだ。街道沿いに宿場町を作らねえか?」
宿場町。
つまり、休憩所や宿屋を建て、商人たちの利用を促す。これにより、交易がさらに活発になるという計画だ。
「……面白い!」
こうして、俺たちは街道の整備だけでなく、新たな村の発展計画へと乗り出すことになったのだった。
「……まあ、悪くないかもね」
お、ついに興味を持ち始めたか?
「でも、ルナはぴょんぴょんするけど」
やっぱりダメだ、このウサギ。
結果、彼らは特定の範囲を守るように行動し、そこには魚の卵が多く集まっていることが判明した。どうやら、彼らは単なる捕食者ではなく、生態系のバランスを保つ役割を果たしているらしい。
「……つまり、こいつらを無理に追い払うのは逆効果ってことか」
「そうみたいね」
セリアは満足げに頷きながら、小さく息を吐いた。
「これなら、うまく共存する道もありそうね」
「だな。漁の方法を工夫して、こいつらの縄張りを避けるようにすればいい」
こうして、俺たちは甲殻獣たちの行動範囲を記録し、漁との共存を図ることにしたのだった。
異世界において道というものは、我々が思う以上に偉大なる存在である。
文明の血管であり、経済の動脈であり、ひいては「この道を通ると幸せになれるらしい」とかいう適当な伝承が生まれ、どこかの誰かが「縁結びの聖地」などと勝手に看板を立てるに至る可能性すら秘めている。
かつて歴史上の偉人たちは、道を築き、国を繋ぎ、文化を運んだ。それはローマ帝国もそうだったし、戦国時代の武将たちもそうだったし、近所のスーパーの特売日とて例外ではない。我々は道なしには生きていけないのだ。
さて、そんな偉そうなことを語りつつも、俺が歩いているこの異世界の道は、泥と石が適当に散らばっただけの「未開のクソ田舎ロード」である。歩けば足を取られ、走れば躓き、馬車に乗れば三半規管が限界を迎える。まさに地獄の道。
「だから! 道を整備するんだ!」
俺は叫んだ。俺は正しい。俺は文明の道標であり、歴史の拓く者であり、転んでばかりの男である!
「ふーん」
隣で、六本足ウサギ(仮)から進化した獣人少女・ルナが退屈そうに耳をぴくぴくさせていた。
「お前な、もうちょっと興味を持てよ。これは文明の躍進なんだぞ」
「ふーん」
「ええい、貴様は『ふーん』しか言えんのか!?」
「別に? だって、そんなのルナに関係ないし」
ルナはつまらなそうに地面に落ちた小石を蹴る。
「ルナたちウサギ族はね、道なんて気にしないの。ぴょんぴょん跳ねればいいし、穴掘ればすぐ帰れるし」
「それはお前がウサギ基準で生きてるからだ!」
「ルナはウサギだもん」
「じゃあ、なんで二足歩行してるんだ!?」
「うーん……なんとなく?」
ルナは首を傾げ、しっぽをふわふわと揺らした。
──ダメだ、このウサギ、進化したというのに根本的な思考回路は変わっていない。
俺は大きく息を吐き、改めて前を見据えた。この荒れ果てた道が、近い未来、整然とした石畳の街道へと変貌を遂げるのだ。そう、きっと。たぶん。できれば。
「よし! まずは石を並べるぞ!」
俺は気合を入れ、転がる石のひとつを持ち上げ──
ガコッ
──躓いた。
ドシャァァン!!
「……ぷっ」
俺が盛大に顔面を強打するやいなや、ルナは口元を押さえながら肩を震わせていた。
「お前……笑ったな?」
「ち、ちがうよ! ルナは、ただちょっと、えっと……ぷふっ」
コロコロコロ……
俺が持っていた石が転がる。その先には、地面に転がる「何か」があった。
「ん?」
俺は訝しげに目を細める。
そこには、一人の男がうつ伏せになって倒れていた。
──漂流者か?
「おーい! 大丈夫か!」
俺は駆け寄り、男の肩を揺する。
「……ぅ……」
男はかすかに唸る。やせ細った体、ぼろぼろの服。異世界に飛ばされ、流れ着いた者なのかもしれない。
「……俺は……職人……道を作る……」
俺は目を見開いた。
──なんと! こいつはまさに、今俺たちが必要としていた人材ではないか!?
「お前、道を作れるのか!?」
「……作ってた……かつては……」
俺はルナと顔を見合わせる。
「……こいつ、即採用だな」
「ふーん」
「だからその『ふーん』はやめろ!」
漂流者──道職人の男は、予想以上に有能だった。
「まず、石をただ並べるんじゃなく、基礎を固めることが大事だ。でこぼこした地面のままじゃ、すぐ崩れる」
「なるほど」
「石の組み方にも法則がある。大小の石を交互に配置して、隙間を詰めるんだ」
「なるほどなるほど」
「あと、石灰を混ぜると……」
「なるほどなるほどなるほ……ちょっと待て、情報が多い!」
道職人の男は熱心に道づくりについて語り、俺はついていくのがやっとだった。だが、確かに理に適っている。彼の知識を活かせば、俺たちはより頑丈な道を作ることができるだろう。
そして──
ついに、異世界初の「本格的な石畳の街道」が完成した。
「おおおおお!!」
村の住民たちが歓声を上げる。
「これで、ついに快適な移動ができる!」
俺は感慨深く、しっかりと舗装された道を踏みしめる。すると、横からルナが呟いた。
「……これ、ほんとに必要だった?」
「お前な!! 文明の進歩にケチをつけるな!」
「ルナは、ぴょんぴょん跳ねればいいだけだから」
「俺たちはウサギじゃないんだよ!」
まったく、このウサギ娘は……。
しかし、道職人の男はさらに重要な提案をしてきた。
「せっかく道を作ったんだ。街道沿いに宿場町を作らねえか?」
宿場町。
つまり、休憩所や宿屋を建て、商人たちの利用を促す。これにより、交易がさらに活発になるという計画だ。
「……面白い!」
こうして、俺たちは街道の整備だけでなく、新たな村の発展計画へと乗り出すことになったのだった。
「……まあ、悪くないかもね」
お、ついに興味を持ち始めたか?
「でも、ルナはぴょんぴょんするけど」
やっぱりダメだ、このウサギ。
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