Infinity night

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見つけてくれなかった普通じゃないところ

7.【蘇るトラウマ!!全力DV拷問パンチ!!】

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夫と出会ったのは高校生の時、、

廊下で私の愚痴を言っている2人の同級生がいた

「倉宮ってキモくね~」

「あーわかるぅ この前とか先輩にチョコあげて媚び売ってたらしいよぉ~」

「またかよ 可愛こぶってんじゃねぇよ」


あー聞こえてるよその愚痴…
教室の端っこだからって聞こえないと思ったら大間違いなんだよ…

私は高校時代、陰口を叩かれていた
陰口と言っても、愚痴は聞こえていたし慣れていたから嫌な気持ちにはならなかった

でも、このまま友達がいないまま卒業するのは味気ないし、悲しい

そんなことを考えていた時、、

陰口を言っている女子にわざとらしくぶつかって紙の資料を床にばらまいた男子生徒がいた

「あ、すいません!」

その後輩らしき男子生徒は床に落ちた資料を手で集める
それを驚いた表情で見る同級生

資料を集め終えて立ち上がった男子生徒は再度、礼をして謝った

「あ、いいよいいよ」と返す同級生にその男子生徒は行った

「あーあなたって思ったより心が広いんですね」

「は?」

私も思った「は?」と

「いやぁ陰口なんてやってるから心狭いんじゃないかと思ってかしこまっちゃいました」

あー馬鹿だこの後輩
そんなのスルーすればいい事なのに何やってんだろ

「はあ?」

「心が広いようなので伝えておきます」

見事な笑顔だった

「人のこと下げないと上に立てないのは哀れですね」

煽るような表情だった
同級生は再び「はぁ!?」と大きな声を上げたが、周囲の視線が集まったためすぐに口を閉じた

「じゃ、しつれーしまーす」

男子生徒がそこから歩き出した時、教室の窓越しに笑顔でこちらに頭を下げてきた

私は不思議に礼を返した

それが夫と初めてのアイコンタクト

男子なのに私より少し高いくらいの小柄だった

その後、私と同じ部活に入部してきた時、彼が1年であり、1個下であることがわかった

名前は島田 博しまだ ひろ

島田は私を気にしてか部活の時も同級生ではなく私のそばにいた
部活だけじゃない、昼休みもわざわざ1階上の私の教室に私を呼びに来たし、なんにも言ってないのにジュース奢ってきた

さすがに少し不満になった私は聞いた

「なんで私にばっか着いてくんの」

彼の返しは今でも忘れない

「興味があるからですかね~」

心の中で思った
それは、うん、なんていうか、勘違いされるよ

「倉宮先輩が本当に陰口を言われるようなひどい性格をした人物なのか」

人間観察が好きなんだろうなと純粋に思った

「いや、クラスで陰キャかましてるだけなんだけど ちょっと変わったことするとすぐなんか言われるんだよね」

そう話すと少しガッカリそうな顔をした

「へーちょっと残念です」

うわ失礼な奴だ と思う心を抑えて聞き返す

「なんでよ」

「どこにでもいる普通の人間と分かったからです」

「なに?今まで普通じゃないと思ってたの」

「え、はい」

ごめん、さすがに引いたよ島田
そこで肯定したら先輩への態度がなってないよ

「じゃあ僕が先輩の普通じゃないところを見つけて魅せます」

もうなんかストーカーみたいじゃん

「や、やめて 普通のままでいいから」

それからというものこちらに顔を出す頻度を上げてきた

もうクラスでは彼氏なんじゃないかと思われるくらいに教室に来やがる

でも、島田と話す時間は嫌いじゃなかった

卒業までひとりぼっちな訳じゃなくなったし、彼のする話は面白い
小中学生の時も人間関係はそこまで深くはなかったから心の底から信頼できるのは彼が初めてだった

卒業が迫った

高3の3学期にふと感じた

あー楽しいな
でももう終わっちゃうんだ
何となく選んだ大学に行ってまた1人になってそれに慣れて、、

やだな

初めて強くそう思った
陰口を叩かれていた時にも思わなかった
という感情が込み上げてきた

それと同時に唐突に考え始めた

なんで私って島田のことめんどくさいとか思ったことないんだろ

島田は何度も何度も私の前に姿を現してはおしゃべりして私の普通じゃないところを見つけようとしてくる

普通なら嫌がるはずだし、自分の普通じゃないところなんてプライバシーすぎて見つけられるのを拒むはずなのに、、

考えているとなぜか顔が熱くなって、頭がふわふわしてきた

え、嘘、、私まさか、、

考えるのをやめた
なにかに気づけば私じゃなくなってしまうのではないかと思ったから

島田とも少し距離を置こうとも考えた
けど、どうしても気になることがあった

1月の中旬
私はその気になったことを仮卒寸前で島田に聞いた

「私の普通じゃないところ見つかった?」

その話に移した瞬間、頭の中はほぼ真っ白になった
気を抜けば顔は真っ赤になってしまいそうなほどにその質問の答えに緊張していた

この時には私は決めていた

私の普通じゃないところを見出してくれてるなら告白しよう…

そう強く気を入れて覚悟を持った

その質問に彼が答えた

「いや見つけられていません」

私の中で何かが割れた
ガラスのようにパリンと破片となった

あーこれは失望だ
覚悟して聞いてみたし、ずっと傍にいた島田なら私の普通じゃない私でも知らないところを見つけてくれると思ってた
だから、その解答に失念したんだ

でも何かが込み上げてきて溢れ出ようとしている

私は正面にいる彼から視線を下におろした
目の前がぼやけてアスファルトの地面が濁る

こんなことになるなら変な覚悟してくるんじゃなかった…

そんな後悔で心が染められて自分を頭の中で責めた

正面の彼が口を開いた

「だから…」

私は濁った視界をそのままに彼の方へ向き直した

「見つけ出せるまで、、いや、見つけ出してからもずっと一緒にいてくれませんか」

え、、

思考が止まった
彼が何を言っているのか後悔に染まった私の脳では解釈することができなかった

ただ自分が赤面していることはすぐにわかった
私は両手で顔を隠した

ふぁ~~~~~~っ!

彼の言葉を理解し、頭の中で絶叫する

「はい…///」

反射的に出た返事だった

交際が始まった
私は大学に行って会える機会はそんなになかったけど、島田が高校を卒業して私と同じ大学に入学してから頻繁に話したし、一緒に出かける日も増えた

お互いが大学を卒業した
すぐに籍を入れた

私は仕事に就くことはせず専業主婦として家事をこなした
苗字が倉宮に変わった彼は大手会社に勤めてかなりいい給料を確保した

「日向美 愛してるよ」

「私も愛してる」

そうやって抱き合って、唇を重ねるは何度もしたことだ

その時にはもう私を見下ろしてしまうほどの身長差がついていた

結婚してから約2年経った頃、息子が生まれた
輝人と名付けてその子を2人で育てた

夫は仕事で輝人と関わることは少なかったけど、私は専業主婦ということもあって輝人にほぼ着ききっりだった

幸い、お金は夫の稼ぎであったから何も困ることはなかった

輝人が2歳くらいになった時から夫の忙しさは増した
帰ってくる時間も遅くなったし、帰ってからもパソコンや資料と睨み合っていた

かなり忙しそうだったから輝人が眠ったあと、夫と思い出話をしようと思ってある程度、作業を終わらせて一休みしている夫に話しかけた

「高校の時のこと覚えてる?」

「まぁなんとなくは」

「ちょっと気になったことがあってね」

「なに」

「私の普通じゃない所、見つかったかなって」

高校時代から夫が探していたものの解答が今になって気になった
あの時ほどじゃなかったけど期待した

「ごめん そんなことあったっけ」

私の思考も動きも止まった
夫はその後、部屋に戻って作業を再開していた

うん、疲れてるんでしょ
多分、てか今更そんなことどうでもいいし

私は強引に飲み込んだ

それから人生は狂った

夫の勤める会社が潰れた

原因は個人情報の大量流出による顧客の需要と信頼の急激な低下
さらに、それに伴って発生した多額の賠償金の支払いによる借金
会社に先がないと振り切った社員によるストライキと退職
責任を放棄した最高責任者の自殺

様々な要因から会社は社会的にも物理的にも破壊された

夫は自暴自棄になった

「クソが!!」

家のパソコンを含めた情報機器を破壊しつくし、資料も部屋にばら撒き、酒を酔いつぶれるまで飲み、缶をその場に投げ捨てる粗末

「あ、貴方…」

「黙れ!!」

生ビールの缶が私の額に当たった
中身のビールが髪と顔を濡らして缶はそこに落ちる

「まだ採用してくれる企業があるはずだか
また探して、」

「だから!!黙れって!!」

夫が始めて私に手を挙げた
その拳が私の腹や頭に突きつけられた

家庭内暴力は続いた
血が流れることもあり、肉離れや骨折も何度かあった

でも夫は輝人には手を出さなかった
輝人が見ているところでは私に何もしてこなかった

夫なりの配慮だったのかもしれないけど私には息子に悪いところを見せられないダメな父のように見えた

暴力を振るところも服で見えないところだけになった

そんな夫が気持ち悪くなった

私も輝人の前では普通の母として振る舞ったし、夫と仲睦まじいように見せていた

でも、私が高校時代に見た彼の好きになったところはなくなってしまった
だから、

嫌いになった


輝人が5歳になった時、無差別大量殺人事件に巻き込まれた

夫が転んだ輝人を庇って刺された
初めに浮かんだのは

助けなきゃ…

だったけど、、

助けるって誰を…夫を?
は?

服の下の傷が痛んだ

いや、助けなくていいや輝人だけ助けて、ここから逃げよう

そう考えて私は走った
輝人を抱えてそこから逃げた

走っている時も輝人は「お父さんが!!」と叫んでいたけど私はもうどうでもよかった

死ね、死んでしまえあんな奴…!
私が好きになったのはあんなクソ野郎じゃない!
豹変したあんな男…!もういらない!!

そう強い意志を持ってそこから逃げ、生き延びた


白宮が袋に包まれた日向美を殴り続けている

【蘇るトラウマ!!全力DV拷問パンチ!!】

5年間、忘れていた夫からのDVが蘇った

袋を被せたのは周りから日向美の痛々しい姿を隠すためではないことを本人は分かっていた

これは夫が自分の普通ではないところを見つけ出せなかったことを表現しているのだと




TO 04 倉宮日向美

〈罪状〉
無差別大量殺人事件にて自身の夫を見殺しにした

激痛とトラウマをぶり返させられながら罪人ヒツジの人生に最高で最適な最後をここに贈る

               By Mr.クリスマス


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