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狂気は時に人を救う
14.師匠
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黒木の死亡報告30分前
22:45 7号室
亜久里の部屋で本人がベッドに座っているところ、目の前の戸からノック音が聞こえた
「鍵は空いている入れ」
ガチャリと音を立てて開いたドアから現れたのは三鷹だった
「やっときたか 会議が終わってから1時間以上経ってるつーのに」
ニヒルな笑みで相手を眺める
「ごめんなさい…」
館に来る前の調子の良さを全く感じさせない、覇気のない声だ
「はぁ… 立ち話は疲れるだろそこの椅子に座れよ」
言われるがままに三鷹は木製の椅子に腰掛けて俯き気味に亜久里と体を向かい合わせる
三鷹がここに来たのは亜久里が会議の時に言ったあのことについてだ
「じゃあ話そうか お前が大好きだったクソジジィの真の顔を」
亜久里が静かに自身と市島の話を始める
20年前
あるニュースがSNSを騒がせた
これは当時のネット民たちの反応である
「福岡でやばい事件あったって?」
「え、なにそれ私知らなーい」
「なんか中学生が家族殺して逃げてるんだってな」
「うわwなにそれw反抗期こじらせすぎだろw」
「さすが福岡 治安おわってんなー」
「博多、中央、小倉以外はそんな悪ないて」
「その博多で起きてんだよ」
「私その子と同じ中学かも!!」
「その根拠はどこにぃ?」
「もう1ヶ月くらい学校来てない女の子がいる」
「どいつだよそれw顔出せ顔」
無断ではられた制服を着た女子中学生の写真
「え、かわいくね」
「親殺してんだぞどこがだよw」
「顔に決まってんじゃん」
「中学生にしては胸が(((」
「きーも死ね」
「え、何歳」
「12~ もうすぐ13になるんじゃね」
「中1じゃーん まだ入学して半年とかだろw」
「学校の教育方針が問題なのでは?w」
「殺されてる家族に問題があったんだろw」
「だからって1歳の弟まで殺す?」
「うーわ無下ねーなー」
「てか、この制服あの学校じゃーん どこに住んでるか予想できるのでは?」
「逃げてんだから場所の特定は無理だろwww」
「つってもただの中坊だろ?しかも半年前まで小学生の」
「確かに どう遠く見積っても県外に行けないか」
「とりあえず人殺しは早く死ね!」
「タイトルつけるなら"福岡県在住の女子中学生 家族殺し"だな!」
美川 未夢 12歳にして逃亡生活が始まる
「はぁ…はぁ…はぁ…」
浅い息を吐きながらどこかも分からない街の歩道を弱々しく歩いていた
体もノミだらけになり、着ている服はほつれが目立つ
散歩中の犬に気づかれると必要以上に吠えられる始末
そんな少女に誰も近づくわけもなく、すれ違う大人は彼女を避ける
子連れの親は子供にその姿を見せまいと子供の両目を手で塞ぐ
美川は永久の孤独を味わい続けていた
ゴミ溜まりの残飯を漁り、到底、人が食べられるものでない廃棄された食物や他人の吐瀉物が冷えて固まったものを貪る
時には、路地裏にチラつくネズミやトカゲを生きたまま喰う
水分は自分の汗や捨てられた雑巾から絞った汚水、水溜まり、公衆トイレの水道水で摂取する
彼女にとってそれは大したことではなかった
循環中の警察に見つかるのが最も彼女が苦手とすることだった
ろくに無い体力を振り絞って自分よりも体力も力もある大人から逃げ切らなくてはならない
そんな地獄が続いていたある日、彼女は力尽きた
誰もが眠りについた真夜中、誰も寄り付かないであろう静かな通りで彼女は気を失い、倒れた
「大丈夫かい?キミ」
起きたのは翌日の朝だった
聞きなれない声で目が覚めた
顔を上げるとそこには警察官が2人いた
「……!」
美川はそこからすぐに逃げ出そうと立ち上がろうとするが、力が入らずまた、すぐにこけてしまう
警察官が気づいた
「この子…!逃亡中の女子中学生!」
警察官が美川を捕らえようと手を伸ばした瞬間、その手を伸ばした警察官が捕らえる寸前で動きが止まった
警察官の背後に立った誰かが警察官を背中をサバイバルナイフで刺している
その誰かがそれを抜くと、もう1人の警察官がそいつを捕らえようとかかるが呆気なく喉を切断される
背中を刺された警察官はまだ死んでおらず、苦しそうにそいつに拳銃を向けたが、そいつはその力の入っていない警察官の手を払って拳銃を手放させ、自分の手中に収め、相手の額に銃口を着ける
「ま…!待t… バァン!!
警察官の抵抗の言葉に耳を貸すこともせず、無慈悲に頭を撃ち抜いた
2人の警察官はその場に倒れ、絶命した
美川にそいつの顔が映る
かなり細身で角眼鏡をかけた茶髪の男
そう当時35歳の市島 一郎である
「やぁ家族殺し 怪我はねぇかってボロっボロじゃねえか」
今の市島から出ないであろう言葉遣いだ
美川は警戒心を強く保つ
だが、それに反して、腹が鳴った
「あ、」
市島は目が点になる
「腹減ってんのか~ おらよ」
コンビニのおにぎりを地面に投げた
美川はそれに犬のように飛びついて包みを強引に破り捨て行儀悪く喰う
「美味そうに喰うね~」
そう言って市島は背中を向けて手を振った
「じゃあな家族殺し あんま道のど真ん中でぶっ倒れんじゃねえぞー」
警察官から流れた血溜まりを踏みながらそこから立ち去ろうと歩くと後ろから抱きしめられた
「ぬおっ!」
「私に人の殺し方教えて」
「は?」
「あんたみたいに強くなればもうあんな奴らに怖がらなくて済むんでしょ 教えて」
「そんなもん教えるようなことじゃ…」
「お願い…」
服が強く握られた
美川に強い意志が宿っていることは確かだった
「はぁ…分かった分かった だが俺は明日には九州出るんだわ それでも着いてくるか」
美川はうなづいた
「お前 名前は」
「美川…未夢」
「似合わねーなー 苗字は置いといて名前は殺人鬼っぽくねぇ」
「そんなこと言われても、あのクソ親からつけられた名前だし…」
「お前、命の危機に晒された数は?」
「そんなの何回もあって覚えてない」
「じゃあギリギリを生き抜いてるってことで"刹那"って名前はどーだ」
「せつな…?」
それから美川…いや刹那は元の未夢と名を完全に捨て、市島を師匠として立たせ恐れるものをなくすために九州を出た
それから10年後、、
刹那は市島と共に裏社会の働き者として世間には知られない形で世に貢献していた
何も人を殺したり、裏金を集めているだけではない
捨て子や幼い頃に親を亡くした子供、親からどうしようもなくなって逃げ出した子を養護し、教育していた
23歳になった刹那は市島から指示を受けた
「今日、拾った子供が親を欲しがっている」
口が達者になった刹那は冷たい返答をする
「なら表と繋がってるメンバーに保護施設に送ってやればいいんじゃねえのか」
市島と刹那は市島をリーダーとした団体を作っており、そこに所属している、云わば表社会との仲介人に子供を施設に送ってやればいいというのだ
「残念だがそりゃできねんだ」
「なんでだよ」
「その子はお前と同じだからだ」
「…!」
"お前と同じ"という言葉から全てを察した
その親を欲しがっている子供は家族を何らかの理由で殺してしまったのだ
刹那は後ろ頭を掻いた
「はぁ…しゃあねぇな~ そのガキの苗字は?」
「亜久里だ 亜久里 みゆ」
「みゆ…? は?名前まで一緒なのかよ」
「これは運命だと俺は考えた だからお前に頼んでいる」
「へいへい 心配せずともやりますよ~」
その後、団体の表社会との繋がりを持っている者が刹那の苗字を亜久里として国籍に登録し直した
この時、美川 未夢 は亜久里 刹那 へと完全に変貌したのだ
「ジィヤが犯罪者だったなんて…」
話を聞いた三鷹が驚愕し、死んでいた目に変な意味で少し活力が戻った
「驚くのはまだ早い まだ私が亜久里 刹那になった話しかしてないぞ」
「まだ…なにかあるの…?」
「あぁ 今から話すことはお前にとってだけじゃなく、ここにいる奴らに関わっているかもしれねぇ 下手すりゃこのゲームの大きなものに触れる可能性が…」
亜久里がこのゲームの真相につけこもうとした瞬間、悪魔の声が室内に響いた
『MerryXmas 10番 塩崎 詩音 が1階 食堂にて 14番 黒木 渡 の死体を発見
60分以内に会議を発令し、処刑人を吊るせ』
「「……!」」
まさかの事態に2人は立ち上がった
「ちっ…おいお嬢!」
「は、はい!」
「この話の続きが聞きたかったらこの事件の解決を手伝え!ぜってぇ勝手な真似すんなよ」
「わ、わかったわ…!」
他人から殺されることを祈っていた三鷹が自身の執事のことを知るために協力的となった
2人、いや生存者全員が一斉に死体のある食堂にすぐに集まる
集合すると最上や千鶴が報告者である詩音に対してどのような状況だったのかを焦るように聞いた
詩音はそれに落ち着いて応える
「私が食堂に来て黒木さんにお話を聞いていただいていたら突然、、黒木さんが倒れて脈をとったら亡くなっていました」
そんな奇妙なことがあったものかと疑ったがこれは紛いのない事実である
静まった食堂で手を挙げたのが豊代だった
「僕と遠藤さんが詩音ちゃんが来る前に彼と話していました しかもこの場所で」
遠藤が豊代の発言に驚き、目を見開いたが、何か感じたのか視線を床に逸らした
亜久里も口を開く
「他に前の会議が終わってから黒木と話した奴はいないか」
誰も発言しない
それもそのはず、他に彼と接触した人物はいない
「アリバイがない奴も名乗り出ろよ」
アリバイもあるため名乗り出る者もいない
事実、前の会議が終わってから黒木と遠藤はずっと一緒におり、黒木を1人にしたのは遠藤と豊代が食堂から出て詩音が食堂に入ってくるまでの数秒だ
更に、最上と千雛、亜久里と三鷹は報告があるまで双方どちらかの部屋にいたため、互いに無実の供述ができる
千鶴も詩音が離れるまで詩音とともに部屋にいたため、詩音からアリバイが出せる
杉沢はカフェルームから出ておらず、そこにいることも豊代から確認が取れる
「今回は捜査も早く終わりそうだな」
亜久里視点、まだ、誰がどのような状況にあったのか把握しきれていないが、それは1人ずつ聞き込みをすればすぐに分かることだ
「とっとと終わらせるぞ 全員、嘘をつくなよ」
22:45 7号室
亜久里の部屋で本人がベッドに座っているところ、目の前の戸からノック音が聞こえた
「鍵は空いている入れ」
ガチャリと音を立てて開いたドアから現れたのは三鷹だった
「やっときたか 会議が終わってから1時間以上経ってるつーのに」
ニヒルな笑みで相手を眺める
「ごめんなさい…」
館に来る前の調子の良さを全く感じさせない、覇気のない声だ
「はぁ… 立ち話は疲れるだろそこの椅子に座れよ」
言われるがままに三鷹は木製の椅子に腰掛けて俯き気味に亜久里と体を向かい合わせる
三鷹がここに来たのは亜久里が会議の時に言ったあのことについてだ
「じゃあ話そうか お前が大好きだったクソジジィの真の顔を」
亜久里が静かに自身と市島の話を始める
20年前
あるニュースがSNSを騒がせた
これは当時のネット民たちの反応である
「福岡でやばい事件あったって?」
「え、なにそれ私知らなーい」
「なんか中学生が家族殺して逃げてるんだってな」
「うわwなにそれw反抗期こじらせすぎだろw」
「さすが福岡 治安おわってんなー」
「博多、中央、小倉以外はそんな悪ないて」
「その博多で起きてんだよ」
「私その子と同じ中学かも!!」
「その根拠はどこにぃ?」
「もう1ヶ月くらい学校来てない女の子がいる」
「どいつだよそれw顔出せ顔」
無断ではられた制服を着た女子中学生の写真
「え、かわいくね」
「親殺してんだぞどこがだよw」
「顔に決まってんじゃん」
「中学生にしては胸が(((」
「きーも死ね」
「え、何歳」
「12~ もうすぐ13になるんじゃね」
「中1じゃーん まだ入学して半年とかだろw」
「学校の教育方針が問題なのでは?w」
「殺されてる家族に問題があったんだろw」
「だからって1歳の弟まで殺す?」
「うーわ無下ねーなー」
「てか、この制服あの学校じゃーん どこに住んでるか予想できるのでは?」
「逃げてんだから場所の特定は無理だろwww」
「つってもただの中坊だろ?しかも半年前まで小学生の」
「確かに どう遠く見積っても県外に行けないか」
「とりあえず人殺しは早く死ね!」
「タイトルつけるなら"福岡県在住の女子中学生 家族殺し"だな!」
美川 未夢 12歳にして逃亡生活が始まる
「はぁ…はぁ…はぁ…」
浅い息を吐きながらどこかも分からない街の歩道を弱々しく歩いていた
体もノミだらけになり、着ている服はほつれが目立つ
散歩中の犬に気づかれると必要以上に吠えられる始末
そんな少女に誰も近づくわけもなく、すれ違う大人は彼女を避ける
子連れの親は子供にその姿を見せまいと子供の両目を手で塞ぐ
美川は永久の孤独を味わい続けていた
ゴミ溜まりの残飯を漁り、到底、人が食べられるものでない廃棄された食物や他人の吐瀉物が冷えて固まったものを貪る
時には、路地裏にチラつくネズミやトカゲを生きたまま喰う
水分は自分の汗や捨てられた雑巾から絞った汚水、水溜まり、公衆トイレの水道水で摂取する
彼女にとってそれは大したことではなかった
循環中の警察に見つかるのが最も彼女が苦手とすることだった
ろくに無い体力を振り絞って自分よりも体力も力もある大人から逃げ切らなくてはならない
そんな地獄が続いていたある日、彼女は力尽きた
誰もが眠りについた真夜中、誰も寄り付かないであろう静かな通りで彼女は気を失い、倒れた
「大丈夫かい?キミ」
起きたのは翌日の朝だった
聞きなれない声で目が覚めた
顔を上げるとそこには警察官が2人いた
「……!」
美川はそこからすぐに逃げ出そうと立ち上がろうとするが、力が入らずまた、すぐにこけてしまう
警察官が気づいた
「この子…!逃亡中の女子中学生!」
警察官が美川を捕らえようと手を伸ばした瞬間、その手を伸ばした警察官が捕らえる寸前で動きが止まった
警察官の背後に立った誰かが警察官を背中をサバイバルナイフで刺している
その誰かがそれを抜くと、もう1人の警察官がそいつを捕らえようとかかるが呆気なく喉を切断される
背中を刺された警察官はまだ死んでおらず、苦しそうにそいつに拳銃を向けたが、そいつはその力の入っていない警察官の手を払って拳銃を手放させ、自分の手中に収め、相手の額に銃口を着ける
「ま…!待t… バァン!!
警察官の抵抗の言葉に耳を貸すこともせず、無慈悲に頭を撃ち抜いた
2人の警察官はその場に倒れ、絶命した
美川にそいつの顔が映る
かなり細身で角眼鏡をかけた茶髪の男
そう当時35歳の市島 一郎である
「やぁ家族殺し 怪我はねぇかってボロっボロじゃねえか」
今の市島から出ないであろう言葉遣いだ
美川は警戒心を強く保つ
だが、それに反して、腹が鳴った
「あ、」
市島は目が点になる
「腹減ってんのか~ おらよ」
コンビニのおにぎりを地面に投げた
美川はそれに犬のように飛びついて包みを強引に破り捨て行儀悪く喰う
「美味そうに喰うね~」
そう言って市島は背中を向けて手を振った
「じゃあな家族殺し あんま道のど真ん中でぶっ倒れんじゃねえぞー」
警察官から流れた血溜まりを踏みながらそこから立ち去ろうと歩くと後ろから抱きしめられた
「ぬおっ!」
「私に人の殺し方教えて」
「は?」
「あんたみたいに強くなればもうあんな奴らに怖がらなくて済むんでしょ 教えて」
「そんなもん教えるようなことじゃ…」
「お願い…」
服が強く握られた
美川に強い意志が宿っていることは確かだった
「はぁ…分かった分かった だが俺は明日には九州出るんだわ それでも着いてくるか」
美川はうなづいた
「お前 名前は」
「美川…未夢」
「似合わねーなー 苗字は置いといて名前は殺人鬼っぽくねぇ」
「そんなこと言われても、あのクソ親からつけられた名前だし…」
「お前、命の危機に晒された数は?」
「そんなの何回もあって覚えてない」
「じゃあギリギリを生き抜いてるってことで"刹那"って名前はどーだ」
「せつな…?」
それから美川…いや刹那は元の未夢と名を完全に捨て、市島を師匠として立たせ恐れるものをなくすために九州を出た
それから10年後、、
刹那は市島と共に裏社会の働き者として世間には知られない形で世に貢献していた
何も人を殺したり、裏金を集めているだけではない
捨て子や幼い頃に親を亡くした子供、親からどうしようもなくなって逃げ出した子を養護し、教育していた
23歳になった刹那は市島から指示を受けた
「今日、拾った子供が親を欲しがっている」
口が達者になった刹那は冷たい返答をする
「なら表と繋がってるメンバーに保護施設に送ってやればいいんじゃねえのか」
市島と刹那は市島をリーダーとした団体を作っており、そこに所属している、云わば表社会との仲介人に子供を施設に送ってやればいいというのだ
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「なんでだよ」
「その子はお前と同じだからだ」
「…!」
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その親を欲しがっている子供は家族を何らかの理由で殺してしまったのだ
刹那は後ろ頭を掻いた
「はぁ…しゃあねぇな~ そのガキの苗字は?」
「亜久里だ 亜久里 みゆ」
「みゆ…? は?名前まで一緒なのかよ」
「これは運命だと俺は考えた だからお前に頼んでいる」
「へいへい 心配せずともやりますよ~」
その後、団体の表社会との繋がりを持っている者が刹那の苗字を亜久里として国籍に登録し直した
この時、美川 未夢 は亜久里 刹那 へと完全に変貌したのだ
「ジィヤが犯罪者だったなんて…」
話を聞いた三鷹が驚愕し、死んでいた目に変な意味で少し活力が戻った
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「まだ…なにかあるの…?」
「あぁ 今から話すことはお前にとってだけじゃなく、ここにいる奴らに関わっているかもしれねぇ 下手すりゃこのゲームの大きなものに触れる可能性が…」
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60分以内に会議を発令し、処刑人を吊るせ』
「「……!」」
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「ちっ…おいお嬢!」
「は、はい!」
「この話の続きが聞きたかったらこの事件の解決を手伝え!ぜってぇ勝手な真似すんなよ」
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他人から殺されることを祈っていた三鷹が自身の執事のことを知るために協力的となった
2人、いや生存者全員が一斉に死体のある食堂にすぐに集まる
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詩音はそれに落ち着いて応える
「私が食堂に来て黒木さんにお話を聞いていただいていたら突然、、黒木さんが倒れて脈をとったら亡くなっていました」
そんな奇妙なことがあったものかと疑ったがこれは紛いのない事実である
静まった食堂で手を挙げたのが豊代だった
「僕と遠藤さんが詩音ちゃんが来る前に彼と話していました しかもこの場所で」
遠藤が豊代の発言に驚き、目を見開いたが、何か感じたのか視線を床に逸らした
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「他に前の会議が終わってから黒木と話した奴はいないか」
誰も発言しない
それもそのはず、他に彼と接触した人物はいない
「アリバイがない奴も名乗り出ろよ」
アリバイもあるため名乗り出る者もいない
事実、前の会議が終わってから黒木と遠藤はずっと一緒におり、黒木を1人にしたのは遠藤と豊代が食堂から出て詩音が食堂に入ってくるまでの数秒だ
更に、最上と千雛、亜久里と三鷹は報告があるまで双方どちらかの部屋にいたため、互いに無実の供述ができる
千鶴も詩音が離れるまで詩音とともに部屋にいたため、詩音からアリバイが出せる
杉沢はカフェルームから出ておらず、そこにいることも豊代から確認が取れる
「今回は捜査も早く終わりそうだな」
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