18 / 25
狂気は時に人を救う
17.【お薬の時間だ!!狂ったお医者さんの!!お大死にッ☆】
しおりを挟む
僕はある陸上選手に憧れた
30年前
豊代 竜司 7歳に起立性調節障害が発覚した
自律神経の異常により循環器系の調節が上手くいかなくなり、立ちくらみや長時間の起立が不可能となる障害
気づいたきっかけは単純、学校での授業開始の挨拶にて立ち上がった際、急な目眩で倒れた
同障害者の中でも謙虚に症状が出ていた豊代は小学校に通うことを断念し、自室での安静な日々を強いられていた
まだまだ活発な小学生であった豊代は外に出たくてうずうずしていたが、なんとなく自分の状態を自覚している豊代は窓ガラスから外で遊ぶ同い年くらいの子供を眺めることしかできなかった
しかし、そんな生活を送って2年が経ったある日、テレビで星を見た
それはスポーツ大会の生映像のようで活性な実況の声がテレビ越しに聞こえる
『さぁ遠藤選手!スタートを詰まることなく切った!!他の追随から超されることを許さない!!2位との大差をつけて!!ゴォォオル!』
ある選手がゴールテープを切った
「おぉ、、すげぇ」
感銘を受ける豊代は生中継のカメラがその選手を映す度に目で追う
「かっこいいな、、」
だが、心の中で彼は思った
でも、、僕はあんな風にはなれないんだろうな…
これからも一生、みんなの行けるところに行けなくて、、あんなかっこいい人には…
諦めだ
自分はテレビの中の人物にはどう足掻いてもなり得ぬ存在なのだと、幼き頃に自覚したのだ、
その選手がインタビューを受けた
『僕がここまで来れたのは僕だけの力じゃなくて、監督や家族、なによりも僕の健康状態や怪我の手当をしてくれた医療班のおかげもあると思うのでその人たちに届ける気持ちで走りました』
その言葉に豊代は感動した
その、、いりょうはん…?って人になればあの人みたいな人たちと一緒に居れるのかな、、
豊代の始まりはここだった
家の中にいながらも、見つけた夢に向かって踏み出す時だ
豊代はテレビで見たあの人物について親に聞いたり、本を読むなどして知った
遠藤 新次郎
世界的な大会での出場経験もあり、当時の日本の星だった
しかし、その輝かしい星も一度は挫折しかけた
脚の負傷による、苦しいリハビリに耐える時期もあったようだ
復帰してからも、また怪我をしてしまうのではないかという不信感から全力を出し切れていなかったようだ
それを支えたのが医療班だった
逐一、脚の状態を確認し、異常ないことやもうそう簡単に負傷することがないことを遠藤に真剣に伝え、遠藤をここまで引っ張り戻してきたのだと
そして、脚の負傷から回復して初めての大会で優勝したのがあの豊代の見た大会だったのだ
豊代はそんな偉大な選手の横に立つため、勉強に励むと同時に遠藤選手を追い続けた
その励みが実り、豊代が医大に入学した頃
豊代は衝撃の記事を目にした
遠藤 新次郎 現役38歳 陸上選手を引退!!
急な報道で世間もかなり滾った
38歳というのはかなり長い選手生命を終わりにしたということだ
それでも豊代は落ち込むことなく前に進んだ
憧れはいなくなってしまったが、目指す夢は変わらない!遠藤選手のような選手を支援し、心の支えになる
そんな存在になる!!
だが、物事はそう簡単に進むものではない
医大での留年が続いていた現在から7年前の話
「なんで!!なんでだ!!」
大学6年生にして30歳になった豊代は行き詰まった
5年間の留年が彼の精神を幼き頃に戻す
やっぱり、、無理なのか、、こんな僕じゃ、、病弱な僕じゃ、、あんな大きなところには、、行けないのか……!!
親には見放された、同級生はもう社会人だ
彼の頼る場所はなかった
もういいや、、なるようになれ、、
夢も憧れも投げ捨てた豊代は途方へと虚無に昏れる
そんな豊代に魔の手が伸びた
「ちょっとキミ」
大学の広場で知らないスーツを着た男に話しかけられた
「なんですか」
「他の学生より老けてるね どうしたんだい?」
「ただの留年ですよ」
豊代は顔を上げることなくこたえる
「そっかー 人生辛そうだね」
辛いのかさえ、わかんないな
「そうですね」
「ならそんなキミに素晴らしい提案をしよう」
その男がスーツの胸ポケットから取り出したのは名刺だった
「わたくし こういう者です」
それを受け取った豊代が内容を確認する
市島連合 仲介人
片桐 哲人
「僕たち、今、求めてる人材がいてね 20歳以上の医学知識豊富な人なんだけど」
「そんなの僕じゃなくても、、」
「だから提案なんだって」
「なるほど、、」
「率直に言うと うちの科学班になってくんないかな」
まさかの招待だった
詳細はシンプルで医大を退学してその市島連合の科学班のリーダーとして雇われるというもの
まずまず、市島連合とは何なのか、犯罪や事故で身元が不明になったり、親を亡くした子供を保護して家族同然の環境の享受や保護施設まで連れていく活動をしている裏社会の連合らしい
すぐにわかった
あまり関わるべき人たちじゃない
だが、何もかも見失っていた豊代にとってその闇は光に見えたのだ
「やります」
市島連合に科学班として入った豊代はそこから裏の人間として医大で得た知識を使った
保護した子供に健康的な生活を送らせるための栄養管理
連合が依頼を受け、殺害が決まった人物に使う毒物の創作
負傷した連合の人物の治療
善とされることから悪とされることまでも行った
違法薬物にハマったのもこれが原因だった
毒物の研究の実験で最も簡単な方法は自身に投与することである
しかし、成功していればその毒物で死ぬため、それの解毒薬も作る
それでも科学班の中にも人を殺せるような毒物を自分の身に含むのは気が引けるものが多かったため、豊代は奇行に走った
人を殺せる毒物を自身に投与するという異常行動をとるために彼は違法薬物で気を狂わせたのだ
実験のために事前にコカインを摂取して気を狂わせ、その勢いで毒物を摂取する
結果が分かった時点で解毒薬を摂取して何事もなかったことにする
しかし、これもリスキーだ
解毒薬が作用しなかった場合、豊代は死ぬことになる
その不安が科学班の人々から浮かぶ頃には豊代はコカインと毒物の虜になっていた
「解毒薬が効かなかったらどうするかって? そんなのどーでもいい、俺が死ぬだけだし、死んでもみんなが俺の代わりしてくれるだろ?」
異常人のできあがりだ
一人称も僕から俺に変わり、環境と薬物が彼を変えていることは明らかだった
そんな非人道生活が続いた2年後、、つまり、現在から5年前、、
豊代を連合へと誘った男 片桐 が豊代の再び現れた
「あ、片桐さん どーしたんすかー」
「竜司くーん 久しぶり~ 一緒に飯行かね?」
豊代は誘われるままに夕食を一緒にした
居酒屋で煙の立つ音と大人たちが汚い声をあげる中で豊代と片桐は2人で向かい合って座っていた
「話があるんだ」
片桐がビールを飲み干してから話を始める
「市島連合 潰さないか?」
「え、、」
何を言っているのか分からなかった
連合を潰す…?なんでだ…
「お前も含め、ほとんどの部下が市島の顔を知らない」
連合内でもトップである市島と会うことができるのは極わずかな人材だけだった
「あのジジィは自分のことを信頼、尊敬している奴らにしか姿を見せねぇ 俺が知ってるだけでも副長の 亜久里 だけだ」
「それは知ってます リーダーはかなり警戒心の強い御方だと、、」
俺は副長でさえ、会ったことないんだけど、、
「そんなリーダーに不信感を抱くメンバーが増えてんだ」
分からないこともない、、自分の姿を見せないリーダーなど信頼に値しないという価値観の人間はいくらでもいるだろう
「だからそんな奴らを集めて反乱を起こせば、上が取れんのじゃねぇかなぁと」
待ってくれ…つまりそれって…
「リーダーを殺そうということですか?」
「いやぁ違う 市島を殺したところで市島の信者が俺たちを追い詰めに来るだけだ だからそいつらを全員殺す」
リーダーに不信感を持つメンバーを集めて反乱を起こす、、その際にリーダーを慕っているメンバーを皆殺しにして実質上のトップを手に入れようってことか…
「それで俺は何をすればいいんですか」
「俺がある方法で市島を慕っているメンバーを1ヶ所に集める その時にその部屋に人を殺せる毒ガス的なやつを巻いて欲しいんだ」
「そのある方法とは? 」
「それはお前からのYESを得てから教えてやるよ」
俺が、、メンバーを殺す毒を作る、、そんなこと、、
そうやって下を向いた途端、片桐から前髪を掴まれ、頭を上げさせられる
「なぁ豊代」
滞るような眼圧だ
「お前をどん底から救ったのは誰だ」
「それは、、」
声が震えた
「それは、片桐さんです、、」
「だよなぁ!!」
大きな声で反射的に目と口を閉じる
「あの時のお前を救ったのは俺の中に起きた一瞬の狂気なんだよ お前なら裏社会でもやっていけるっていう!異常な狂気なんだよ!だけどな!!お前はその狂気に救われただろ!!」
狂気に救われる
確かに当時の豊代に片桐の狂気は道を照らしてくれたものだった
「だからさぁ 今度はお前の狂気で俺を救えよ」
断れば殺される
そんな未来が見えた
だから、豊代は頷くしかなかった
「ただし、条件があります」
「なんだ」
「その毒物で皆殺しをした後、俺は裏社会から手を引きます」
「いいだろう 裏社会のことは表には出さないならその条件を飲もう」
それからすぐに反乱は始まった片桐の言うある方法で集まった市島を慕う者達を豊代の作った毒物で皆殺しにする
その光景を豊代は見ていない
ただ、苦しんで死んだことは確かだった
即死性のあるものを作ることはできなかったから
その反乱で市島連合は実質上、解体された
その後、片桐がこれからの裏社会を牛耳ることを示すための商店街での大量殺人を実行した
豊代はその計画が始まる前には条件通り、裏社会から離れていた
だが、ニュースで見た
その商店街での大量殺人が行われた直後に実行犯の何人かは捕まったと
その中に 片桐 哲人 の名前があった
あぁなんだ、結局捕まったのかあの人、、ハハッ、馬鹿だな…
【お薬の時間だ!!狂ったお医者さんの!!お大死にッ☆】
恩人の狂気に救われた豊代は自身の狂気でその恩人である片桐を狂気で救った
しかし、その狂気で自分を救ってくれた恩人は因果の果て、正義に成敗されてしまった
そう、なら豊代にもその因果は訪れる
それがここだ
かつて憧れた選手の前で惨めな姿を晒して強い幻覚の中で死ぬ
こんなにも最悪な結果はそうあったものではないだろう
"狂気で人を救う"ということは結果的に"屈辱を味わう"ことになることを恩人が捕まってから分かっていた
だからそう、狂気は"時に"人を救う
本当に、"時に" だ
狂気での救いで本当の救いを与えることは不可能である
TO 15 豊代 竜司
〈罪状〉
無差別大量殺人事件を起こした人物に協力し、多くの同胞を殺害
その後、責任を放棄するようにそこから身を離した
狂気に救われ、狂気で救いをもたらした狂った罪人の人生に最高で最適な最後をここに贈る
By Mr.クリスマス
30年前
豊代 竜司 7歳に起立性調節障害が発覚した
自律神経の異常により循環器系の調節が上手くいかなくなり、立ちくらみや長時間の起立が不可能となる障害
気づいたきっかけは単純、学校での授業開始の挨拶にて立ち上がった際、急な目眩で倒れた
同障害者の中でも謙虚に症状が出ていた豊代は小学校に通うことを断念し、自室での安静な日々を強いられていた
まだまだ活発な小学生であった豊代は外に出たくてうずうずしていたが、なんとなく自分の状態を自覚している豊代は窓ガラスから外で遊ぶ同い年くらいの子供を眺めることしかできなかった
しかし、そんな生活を送って2年が経ったある日、テレビで星を見た
それはスポーツ大会の生映像のようで活性な実況の声がテレビ越しに聞こえる
『さぁ遠藤選手!スタートを詰まることなく切った!!他の追随から超されることを許さない!!2位との大差をつけて!!ゴォォオル!』
ある選手がゴールテープを切った
「おぉ、、すげぇ」
感銘を受ける豊代は生中継のカメラがその選手を映す度に目で追う
「かっこいいな、、」
だが、心の中で彼は思った
でも、、僕はあんな風にはなれないんだろうな…
これからも一生、みんなの行けるところに行けなくて、、あんなかっこいい人には…
諦めだ
自分はテレビの中の人物にはどう足掻いてもなり得ぬ存在なのだと、幼き頃に自覚したのだ、
その選手がインタビューを受けた
『僕がここまで来れたのは僕だけの力じゃなくて、監督や家族、なによりも僕の健康状態や怪我の手当をしてくれた医療班のおかげもあると思うのでその人たちに届ける気持ちで走りました』
その言葉に豊代は感動した
その、、いりょうはん…?って人になればあの人みたいな人たちと一緒に居れるのかな、、
豊代の始まりはここだった
家の中にいながらも、見つけた夢に向かって踏み出す時だ
豊代はテレビで見たあの人物について親に聞いたり、本を読むなどして知った
遠藤 新次郎
世界的な大会での出場経験もあり、当時の日本の星だった
しかし、その輝かしい星も一度は挫折しかけた
脚の負傷による、苦しいリハビリに耐える時期もあったようだ
復帰してからも、また怪我をしてしまうのではないかという不信感から全力を出し切れていなかったようだ
それを支えたのが医療班だった
逐一、脚の状態を確認し、異常ないことやもうそう簡単に負傷することがないことを遠藤に真剣に伝え、遠藤をここまで引っ張り戻してきたのだと
そして、脚の負傷から回復して初めての大会で優勝したのがあの豊代の見た大会だったのだ
豊代はそんな偉大な選手の横に立つため、勉強に励むと同時に遠藤選手を追い続けた
その励みが実り、豊代が医大に入学した頃
豊代は衝撃の記事を目にした
遠藤 新次郎 現役38歳 陸上選手を引退!!
急な報道で世間もかなり滾った
38歳というのはかなり長い選手生命を終わりにしたということだ
それでも豊代は落ち込むことなく前に進んだ
憧れはいなくなってしまったが、目指す夢は変わらない!遠藤選手のような選手を支援し、心の支えになる
そんな存在になる!!
だが、物事はそう簡単に進むものではない
医大での留年が続いていた現在から7年前の話
「なんで!!なんでだ!!」
大学6年生にして30歳になった豊代は行き詰まった
5年間の留年が彼の精神を幼き頃に戻す
やっぱり、、無理なのか、、こんな僕じゃ、、病弱な僕じゃ、、あんな大きなところには、、行けないのか……!!
親には見放された、同級生はもう社会人だ
彼の頼る場所はなかった
もういいや、、なるようになれ、、
夢も憧れも投げ捨てた豊代は途方へと虚無に昏れる
そんな豊代に魔の手が伸びた
「ちょっとキミ」
大学の広場で知らないスーツを着た男に話しかけられた
「なんですか」
「他の学生より老けてるね どうしたんだい?」
「ただの留年ですよ」
豊代は顔を上げることなくこたえる
「そっかー 人生辛そうだね」
辛いのかさえ、わかんないな
「そうですね」
「ならそんなキミに素晴らしい提案をしよう」
その男がスーツの胸ポケットから取り出したのは名刺だった
「わたくし こういう者です」
それを受け取った豊代が内容を確認する
市島連合 仲介人
片桐 哲人
「僕たち、今、求めてる人材がいてね 20歳以上の医学知識豊富な人なんだけど」
「そんなの僕じゃなくても、、」
「だから提案なんだって」
「なるほど、、」
「率直に言うと うちの科学班になってくんないかな」
まさかの招待だった
詳細はシンプルで医大を退学してその市島連合の科学班のリーダーとして雇われるというもの
まずまず、市島連合とは何なのか、犯罪や事故で身元が不明になったり、親を亡くした子供を保護して家族同然の環境の享受や保護施設まで連れていく活動をしている裏社会の連合らしい
すぐにわかった
あまり関わるべき人たちじゃない
だが、何もかも見失っていた豊代にとってその闇は光に見えたのだ
「やります」
市島連合に科学班として入った豊代はそこから裏の人間として医大で得た知識を使った
保護した子供に健康的な生活を送らせるための栄養管理
連合が依頼を受け、殺害が決まった人物に使う毒物の創作
負傷した連合の人物の治療
善とされることから悪とされることまでも行った
違法薬物にハマったのもこれが原因だった
毒物の研究の実験で最も簡単な方法は自身に投与することである
しかし、成功していればその毒物で死ぬため、それの解毒薬も作る
それでも科学班の中にも人を殺せるような毒物を自分の身に含むのは気が引けるものが多かったため、豊代は奇行に走った
人を殺せる毒物を自身に投与するという異常行動をとるために彼は違法薬物で気を狂わせたのだ
実験のために事前にコカインを摂取して気を狂わせ、その勢いで毒物を摂取する
結果が分かった時点で解毒薬を摂取して何事もなかったことにする
しかし、これもリスキーだ
解毒薬が作用しなかった場合、豊代は死ぬことになる
その不安が科学班の人々から浮かぶ頃には豊代はコカインと毒物の虜になっていた
「解毒薬が効かなかったらどうするかって? そんなのどーでもいい、俺が死ぬだけだし、死んでもみんなが俺の代わりしてくれるだろ?」
異常人のできあがりだ
一人称も僕から俺に変わり、環境と薬物が彼を変えていることは明らかだった
そんな非人道生活が続いた2年後、、つまり、現在から5年前、、
豊代を連合へと誘った男 片桐 が豊代の再び現れた
「あ、片桐さん どーしたんすかー」
「竜司くーん 久しぶり~ 一緒に飯行かね?」
豊代は誘われるままに夕食を一緒にした
居酒屋で煙の立つ音と大人たちが汚い声をあげる中で豊代と片桐は2人で向かい合って座っていた
「話があるんだ」
片桐がビールを飲み干してから話を始める
「市島連合 潰さないか?」
「え、、」
何を言っているのか分からなかった
連合を潰す…?なんでだ…
「お前も含め、ほとんどの部下が市島の顔を知らない」
連合内でもトップである市島と会うことができるのは極わずかな人材だけだった
「あのジジィは自分のことを信頼、尊敬している奴らにしか姿を見せねぇ 俺が知ってるだけでも副長の 亜久里 だけだ」
「それは知ってます リーダーはかなり警戒心の強い御方だと、、」
俺は副長でさえ、会ったことないんだけど、、
「そんなリーダーに不信感を抱くメンバーが増えてんだ」
分からないこともない、、自分の姿を見せないリーダーなど信頼に値しないという価値観の人間はいくらでもいるだろう
「だからそんな奴らを集めて反乱を起こせば、上が取れんのじゃねぇかなぁと」
待ってくれ…つまりそれって…
「リーダーを殺そうということですか?」
「いやぁ違う 市島を殺したところで市島の信者が俺たちを追い詰めに来るだけだ だからそいつらを全員殺す」
リーダーに不信感を持つメンバーを集めて反乱を起こす、、その際にリーダーを慕っているメンバーを皆殺しにして実質上のトップを手に入れようってことか…
「それで俺は何をすればいいんですか」
「俺がある方法で市島を慕っているメンバーを1ヶ所に集める その時にその部屋に人を殺せる毒ガス的なやつを巻いて欲しいんだ」
「そのある方法とは? 」
「それはお前からのYESを得てから教えてやるよ」
俺が、、メンバーを殺す毒を作る、、そんなこと、、
そうやって下を向いた途端、片桐から前髪を掴まれ、頭を上げさせられる
「なぁ豊代」
滞るような眼圧だ
「お前をどん底から救ったのは誰だ」
「それは、、」
声が震えた
「それは、片桐さんです、、」
「だよなぁ!!」
大きな声で反射的に目と口を閉じる
「あの時のお前を救ったのは俺の中に起きた一瞬の狂気なんだよ お前なら裏社会でもやっていけるっていう!異常な狂気なんだよ!だけどな!!お前はその狂気に救われただろ!!」
狂気に救われる
確かに当時の豊代に片桐の狂気は道を照らしてくれたものだった
「だからさぁ 今度はお前の狂気で俺を救えよ」
断れば殺される
そんな未来が見えた
だから、豊代は頷くしかなかった
「ただし、条件があります」
「なんだ」
「その毒物で皆殺しをした後、俺は裏社会から手を引きます」
「いいだろう 裏社会のことは表には出さないならその条件を飲もう」
それからすぐに反乱は始まった片桐の言うある方法で集まった市島を慕う者達を豊代の作った毒物で皆殺しにする
その光景を豊代は見ていない
ただ、苦しんで死んだことは確かだった
即死性のあるものを作ることはできなかったから
その反乱で市島連合は実質上、解体された
その後、片桐がこれからの裏社会を牛耳ることを示すための商店街での大量殺人を実行した
豊代はその計画が始まる前には条件通り、裏社会から離れていた
だが、ニュースで見た
その商店街での大量殺人が行われた直後に実行犯の何人かは捕まったと
その中に 片桐 哲人 の名前があった
あぁなんだ、結局捕まったのかあの人、、ハハッ、馬鹿だな…
【お薬の時間だ!!狂ったお医者さんの!!お大死にッ☆】
恩人の狂気に救われた豊代は自身の狂気でその恩人である片桐を狂気で救った
しかし、その狂気で自分を救ってくれた恩人は因果の果て、正義に成敗されてしまった
そう、なら豊代にもその因果は訪れる
それがここだ
かつて憧れた選手の前で惨めな姿を晒して強い幻覚の中で死ぬ
こんなにも最悪な結果はそうあったものではないだろう
"狂気で人を救う"ということは結果的に"屈辱を味わう"ことになることを恩人が捕まってから分かっていた
だからそう、狂気は"時に"人を救う
本当に、"時に" だ
狂気での救いで本当の救いを与えることは不可能である
TO 15 豊代 竜司
〈罪状〉
無差別大量殺人事件を起こした人物に協力し、多くの同胞を殺害
その後、責任を放棄するようにそこから身を離した
狂気に救われ、狂気で救いをもたらした狂った罪人の人生に最高で最適な最後をここに贈る
By Mr.クリスマス
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる