Infinity night

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双生の真実は末路を呼ぶ

23.二重人格

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「会議発令」

「「「…!」」」

悪魔の声が館内に響く

『10番 塩崎 詩音 によって会議が宣言された
参加者は速やかに食堂へ集まり、協議し、処刑人オオカミを吊るせ』

処刑人オオカミであり、Mr.クリスマスが不敵に微笑んだ

真実にたどり着いた柿崎が焦る

「三鷹さん!走って!!」

そう三鷹に指示し、視線を向けた瞬間

バァン…!

三鷹の頭部が銃弾によって弾け飛んだ

鮮血が背後にあったベッドと柿崎の顔にこべり付き、三鷹の右目の眼球が床に転がる

詩音が悠長に口を開いた

「1分以内に食堂に向かわかなければならない…」

会議発令後の参加者の行動についての話だ
ルール上、1分以内に食堂に集まらなかった場合、集まらなかった者が殺される
今は、その1分間の最中だ

しかし、会議開始は会議発令からすぐだ
だから、処刑人塩崎 詩音は自身の最善手を打つ

「1分以内に会議を終わらせてしまいましょう」

処刑人オオカミは高らかに宣言する

「柿崎 茜 に1票!!」

ならば柿崎のとる手もひとつ

「塩崎 詩音 に投票」

三鷹は死んだ
過半数の投票は共犯者である千鶴にかかっていた

「千鶴ちゃん!」

柿崎が共犯者に向けて言葉を放つ

「あなたが処刑人オオカミと協力してるのは知ってる!でも、それは何か脅されてるんでしょ!」

図星をつかれたように千鶴が揺れる

「妹を殺したことは許されない罪だけど!償いはこれからできるわ!ここで私とあなただけ生き残ったとしても!私はあなたを責めたりしない!!だから!!」

柿崎さんの強い言葉から誰に入れればいいかなんて分かってる…!でも…!でも…!
詩音ちゃん、いやこのゲームの運営は多分、私と林道 千秋の関係を完全に把握してる…!
ここで詩音ちゃんに入れてこの館から逃げ出せるとして…!その秘密を世間に公開されるかもしれない…
そんなの…そんなの…やだよ…殺人鬼の娘としてこれからの人生を生きるなんて…

「柿崎 茜さんに投票します」

「……!」

弱みも握られた
好いていた男も失った
信用できる妹も自分の手で殺めてしまった
これから先、千鶴が生きていくには希望が少なすぎた

【二重人格には2人分のお仕置を☆グサッとバンッ!】

1号室に現れた白宮が処刑を開始する

柿崎に飛びつき倒れた柿崎の首を左手で抑え、取り出したサバイバルナイフを右目に突き刺した

「ナァァァァア!」

「うるせぇなぁ!!」

右目に突き刺さったナイフを力強く引き抜くと大量の血液が噴き出し、白宮の顔を汚す
血の着いたナイフをそこに投げ捨て、拳銃を取り出した
銃口を額に当てる

「おつかれぇえ!!Mr.クリスマス様の勝ちだ!」

バァン!!

頭部から流れ出る血液が柿崎 茜の死を表していた



5年前

小説家 佐和木 春 が 著作 『死人の声』で大成した

それは私の高校時代からの友達だった 杉沢 遥っていう女の子で当時から小説家になると言って努力していた
商店街での大量殺人事件の裏で遥の初ヒットは火を吹いていた

高一のあの時、私も遥と同じく小説家を目指すと決めた
大人気作でヒットしたいとか、有名になってチヤホヤされたいとかそういう理由じゃなくて、ただ、世に出回る何かがあればあのかっこいい女の人に会えると思ったんだ

中学生の時に殺される直前の私を助けてくれた
亜久里 刹那 って人に、、
でも、私は大成できなくて、世の中に作者名も出ない矮小な小説家に落ち着いていた

ある日、ニュースで見た
亜久里 刹那という裏社会を牛耳った団体の副長の顔が指名手配として画面に映し出された時、私は驚いた

私より先にあなたが出ちゃいましたか…

2つのニュースが当時、熱を帯びていた

大量殺人鬼が3名逃走中であること、佐和木 春 が大作を作り上げていること

私の探している人と私の親友が世間をざわつかせ、議論させ、批判され、賛否を生み出している中、私はただ、こじんまりした人生の中で対して面白くもない大学ライフを送っている

そんな失望が私に刻まれ続けていた


遥かといっしょに大学から家までの帰り道を歩いていた時だ

「茜 今度、いっしょに良いとこのご飯いかない?」

「え、なんで」

「なんか最近、茜 暗いしいい感じに話聞けないかなーって気分転換にもなるかもだし」

私の事なんて何も分かってないのにそんなこと言って何がしたいんだろう

「いや、いいよそんな高いとこ行けるお金ないし」

「お金は私がだすよ」

金持ちアピールかよ、、やめてくれ

「いや、悪いよ」

「大丈夫!どーぜ次の新刊も売れるし、そんなの気にしたらダメだよ」

調子乗ってんのね

「あ、あはは、そうだね」

「『死人の声』が終わったら次何書こうって迷ってるとこだったし一緒に作品のこと考えよーよ」

は?ディナー中になんで売れてるあんたのサポートしなきゃなんないの

「私と話すより1人で考えた方が遥はいいもの作れると思う」

「そんなことないよ」

そんなことあるんだよ…謙遜すんなよ…

「『死人の声』も私のアイディアじゃないし、そんなことあると思う」

「2人で考えた方がもっといいもの浮かぶって!」

これ以上、いいもん書いてどうすんだよ!!
今より流行ろうとしてんのかよ!気持ち悪い!

信号が赤になる

その時、私は明確な意思を持ってその手を伸ばした

「え、、」

小さな衝撃で遥は前方に押し出された

ドンッ!!

遥が地面に手を着く前に大型トラックが遥をはね飛ばした

「バイバイ遥 あんたの名前は私がもらうね」


その日から私は佐和木 春として小説を描き始めた
でも、なんのインスピレーションも浮かんでこない

「なんで!!なんで何も浮かばないの!!私は!文才に恵まれてないの!?やだ!私だって有名になって!副長に会いたいのに!!」

万年筆を握り壊し、原稿用紙を破り捨て、自暴自棄になる

私は、、遥にはなれないの…?

そんな当たり前のことを考えて、とんでもない発想をした

そうだ…遥になろう…想像できる…私は遥の全てを知ってる…タイプも体型も初恋も…!
その文才だって…!私の記憶にはある…!

その時から私は心に 杉沢 遥 を宿した
私が私であることも忘れて、私に宿った遥は私が死んでいると思っている
私が大成したと勘違いしている

でも、これでいい、遥ならその文才で私の行きたい所まで連れて行ってくれる
だから私はその時まで息を潜めよう…


罪深き二重人格は今、ここに宿した人物とともに絶えた
我がために親友を殺し、我がために死んだ親友を利用した
その罪は許されざるものだ


TO 11 柿崎 茜

〈罪状〉
自らの大成のため親友を殺害し、殺害した親友の知能、技能を利用した

狂気に救われ、狂気で救いをもたらした狂った罪人ヒツジの人生に最高で最適な最後をここに贈る

               By Mr.クリスマス
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