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スラム編
大人のパンツ
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畑を耕すまでたった一日で終わらせることが出来た。僕としてはまだまだ作業は続けられそうだったが、マリアの命令で農作業は一旦解散となった。僕の体を労ってくれるなんて、マリアは本当にお優しい。
孤児院の子供たちが帰路についたので、僕も帰ろうとするとマリアに呼び止められた。なぜか、顔を赤らめている。どうやら体調がまだ万全ではないみたいだ。僕が無理を言ったばかりに……。
「シスター。本当にごめんなさい。僕が無理に……」
「いいえ。いいんです。ロラン君も男の子ですものね。興味をもってしまうことは仕方のないこと。気持ちはわかります」
マリアの心はなぜ、こうも温かいのだろう。僕は言葉では皆のためと言って畑を始めたけど、実は農業に興味があったのだ。それを言わずに理解してくれるとは。しかし、マリアはもう少し自分を大切にしたほうがいいと思う。そのうち、本当に病気になってしまう。僕がちょっとでも労ってあげないと。こういう時は師匠なら……
「シスターはお疲れですよね? マッサージでもしましょうか? 僕、結構上手なんですよ。お尻とかふとももとか」
「お尻⁉ 太もも⁉ ロラン君は下半身が好きなんですね……結構大人な嗜好をお持ちなんですね……じゃない。いけません!! 子供が大人をからかうものではありませんよ。神から天罰が降りてしまいますからね」
どうやらマリアに怒られてしまったようだ。確かに子供程度の力で大人が喜ぶほどのマッサージを施すのは難しい。本気でやるなら、ちゃんと技術を学んでこい。きっとマリアはそう言っているに違いない。マッサージに対するマリアの情熱は熱いようだ。これからは適当なことは言えないな……。
「そういえば、ベッドにこんな物が落ちていましたよ。シスターの物ではないかと思うんですけど」
差し出したのは、握っていた下着だ。仄かな温かみ……は感じないけど、なんとなく脱ぎたて感があるパンツだ。柄は真っ白だ。刺繍が入っていて、結構高そうな感じがする。
「どうして、ロラン君が失くしたと思っていたそれを? まさか、寝ている間に? ロラン君は大人の階段を登ってしまったのですか?」
マリアは何を言っているんだ? 流石に分からなくなってきたぞ。大人になれば、分かるのだろうか? 差し出したパンツをマリアは何故か受け取ろうとしない。ずっと思案顔だ。
「シスター?」
「大丈夫です。それはあなたに差し上げます。それで高ぶる気を静めてください」
パンツで? どういう事だ? 高ぶる……そういえば、魔法を使った後に高ぶりを感じた。その時にこのパンツを使う? 分からない。むしろ、気が高ぶりそうな気が。いや、待て。もしかしたら、本当に意味があるものかもしれない。とりあえず、師匠に聞いてみよう。
「ありがたく貰います」
「本当に受け取っちゃうんですね。いや、いいです。どうぞ、ご自由にお使い下さい」
パンツという使い途が分からない物をもらったけど、マリアの僕の体を心配している気持ちは痛いほど伝わった。マリアもご自愛を……。
思ったよりも疲労を感じながら帰路につく。今日の出来事は収穫が多かった。やっぱり、本だけで分かったつもりでも、実際にやってみると分からなかったことが見つかってしまうものだな。師匠は魔法を教えてやれないと言ったのも頷けるな。
「師匠、ただ今戻りました。って相変わらず寝ているのか」
日課の酒瓶を拾って、いつものように家の裏に片付けに行く。部屋に戻ると珍しく師匠が目を覚ましていた。
「師匠。実は今日……」
「あんなに飲むんじゃなかった……気持ち悪い。ロラン。朝食は軽めね」
毎度のことだけど、もう夕方だからね。そもそも師匠は朝ゴハン食べているの見たことがないよ。もう訂正するのも面倒だから、すぐに料理の支度をする。魔力切れをしても、体に異変は無さそうだな。
「師匠。実は僕、魔力切れで倒れちゃったんですよ」
そういうと師匠は汁を一斉に吹き出した。僕が汁まみれになっている眼の前で急に立ち上がり、詰め寄ってきた。
「本当か⁉ 大丈夫なのか? 体になにか異常はないか?」
初めて見る師匠の剣幕にたじろいでしまったが、体には特に異常はないので素直に話すといつもの師匠の表情に戻っていた。常にっていうのは酔っぱらいの表情ね。
「それはあれだ。厳密には魔力切れとは違うな」
師匠の話では、魔力切れとは言葉の通り、体にある魔力が枯渇してしまうことだ。魔力を持っている人間は、生命維持にも魔力が使われているらしい。つまり魔力が切れるのは空気を吸っていないのと同じような状態のようだ。最悪、死ぬ場合があるというはそういうことらしい。
じゃあ、僕の場合は?
僕の場合は一時的な魔力切れというものらしい。言葉が面倒だけど、そういう風に説明されるようだ。ここで例え話の方が分かりやすい。体の魔力が井戸としたら、井戸から汲む桶の大きさが出力とする。井戸が枯れることが魔力切れで、桶の中が空っぽになるのが一時的な魔力切れというらしい。
桶の水は汲めば満たされるから、体に異変が生じることはないがショックだけは生じるから気絶したり、眠気が生じたりするみたいだ。
ちなみに、一時的な魔力切れを起こさないためには、練り込んだ魔力を全放出しないことみたいだ。少し残しておけば、一時的な魔力切れが起きない。それに魔力が残っていれば、すぐに補充されることになる。そのタイムラグは前に放った魔力量と補充される魔力量によって異なるみたいだ。まぁ、魔法の連発は現実的には難しいようだ。
久しぶりに師匠の魔法の講義を聞けて満足だ。それともう一つ、聞いておかなければならないことがある。
「師匠。このパンツなんですけど」
師匠はやけに興味深げにパンツを凝視してくる。
「それは私のではないな。どこで拾ってきたんだ? 一応言っておくが、私はちょっとショックを受けているぞ。下着ドロは女の敵だ。お前がそこまで落ちぶれてしまったとは……なんと情けないことか」
僕の方がショックだよ。そんな風に見られていたなんて。
「違いますよ。これはシスターの……」
「まぁ分からんでもないが……一言私に相談してくれれば、脱ぎたてくらいすぐにくれたものを」
「いや、いらないですよ」
「何⁉ 私よりシスターの方がいいっていうのか!! ますますショックだ。性根だけでなく、目も腐っていようとは。こうなったら、秘薬の点眼薬を作らねば……たしか、材料は……」
「いやいやいや。話を聞いてくれませんか?」
僕は事情を説明すると、師匠の笑い声が炸裂した。
「私は信じていたよ。ただちょっとな、斜め上すぎて想像も出来なかったな。パンツをあげるバカがこの世にいるとはな。よほど好かれているんだな」
「好かれてるんじゃないですよ。シスターは魔法の秘術を教えてくれている気がするんです。このパンツが精神を集中させる、何か意味のあるもののはずなんです。そうでなければ、シスターが僕にくれるわけないんです」
「精神を集中か……なるほど。ならば、今晩でも試してみるといい。いいか? このパンツを握り、シスターを思い浮かべるんだ? 出来そうか?」
それくらいは簡単だ。だが、そんなことをすれば……。
「その先は言わなくても分かるな。シスターがこれを託したのは、そのためだ。悶々とした気を晴らすために使えそうだろ? シスターもなかなかやるな。どれ、私のも提供しよう。そちらのほうが何かと捗るだろ?」
「いや、いらないです」
その晩は師匠からの説教で寝ることが出来なかった。もちろん、パンツも使わず仕舞いで封印されることになった。そして、マリアへの見方が少しずつ変わることになった。心優しいマリアから思春期の子供に優しいマリアへ。パンツはもう受け取らないようにしよう。
ちなみに、しばらくの間私室に師匠のパンツが脱ぎ捨てられていた。
孤児院の子供たちが帰路についたので、僕も帰ろうとするとマリアに呼び止められた。なぜか、顔を赤らめている。どうやら体調がまだ万全ではないみたいだ。僕が無理を言ったばかりに……。
「シスター。本当にごめんなさい。僕が無理に……」
「いいえ。いいんです。ロラン君も男の子ですものね。興味をもってしまうことは仕方のないこと。気持ちはわかります」
マリアの心はなぜ、こうも温かいのだろう。僕は言葉では皆のためと言って畑を始めたけど、実は農業に興味があったのだ。それを言わずに理解してくれるとは。しかし、マリアはもう少し自分を大切にしたほうがいいと思う。そのうち、本当に病気になってしまう。僕がちょっとでも労ってあげないと。こういう時は師匠なら……
「シスターはお疲れですよね? マッサージでもしましょうか? 僕、結構上手なんですよ。お尻とかふとももとか」
「お尻⁉ 太もも⁉ ロラン君は下半身が好きなんですね……結構大人な嗜好をお持ちなんですね……じゃない。いけません!! 子供が大人をからかうものではありませんよ。神から天罰が降りてしまいますからね」
どうやらマリアに怒られてしまったようだ。確かに子供程度の力で大人が喜ぶほどのマッサージを施すのは難しい。本気でやるなら、ちゃんと技術を学んでこい。きっとマリアはそう言っているに違いない。マッサージに対するマリアの情熱は熱いようだ。これからは適当なことは言えないな……。
「そういえば、ベッドにこんな物が落ちていましたよ。シスターの物ではないかと思うんですけど」
差し出したのは、握っていた下着だ。仄かな温かみ……は感じないけど、なんとなく脱ぎたて感があるパンツだ。柄は真っ白だ。刺繍が入っていて、結構高そうな感じがする。
「どうして、ロラン君が失くしたと思っていたそれを? まさか、寝ている間に? ロラン君は大人の階段を登ってしまったのですか?」
マリアは何を言っているんだ? 流石に分からなくなってきたぞ。大人になれば、分かるのだろうか? 差し出したパンツをマリアは何故か受け取ろうとしない。ずっと思案顔だ。
「シスター?」
「大丈夫です。それはあなたに差し上げます。それで高ぶる気を静めてください」
パンツで? どういう事だ? 高ぶる……そういえば、魔法を使った後に高ぶりを感じた。その時にこのパンツを使う? 分からない。むしろ、気が高ぶりそうな気が。いや、待て。もしかしたら、本当に意味があるものかもしれない。とりあえず、師匠に聞いてみよう。
「ありがたく貰います」
「本当に受け取っちゃうんですね。いや、いいです。どうぞ、ご自由にお使い下さい」
パンツという使い途が分からない物をもらったけど、マリアの僕の体を心配している気持ちは痛いほど伝わった。マリアもご自愛を……。
思ったよりも疲労を感じながら帰路につく。今日の出来事は収穫が多かった。やっぱり、本だけで分かったつもりでも、実際にやってみると分からなかったことが見つかってしまうものだな。師匠は魔法を教えてやれないと言ったのも頷けるな。
「師匠、ただ今戻りました。って相変わらず寝ているのか」
日課の酒瓶を拾って、いつものように家の裏に片付けに行く。部屋に戻ると珍しく師匠が目を覚ましていた。
「師匠。実は今日……」
「あんなに飲むんじゃなかった……気持ち悪い。ロラン。朝食は軽めね」
毎度のことだけど、もう夕方だからね。そもそも師匠は朝ゴハン食べているの見たことがないよ。もう訂正するのも面倒だから、すぐに料理の支度をする。魔力切れをしても、体に異変は無さそうだな。
「師匠。実は僕、魔力切れで倒れちゃったんですよ」
そういうと師匠は汁を一斉に吹き出した。僕が汁まみれになっている眼の前で急に立ち上がり、詰め寄ってきた。
「本当か⁉ 大丈夫なのか? 体になにか異常はないか?」
初めて見る師匠の剣幕にたじろいでしまったが、体には特に異常はないので素直に話すといつもの師匠の表情に戻っていた。常にっていうのは酔っぱらいの表情ね。
「それはあれだ。厳密には魔力切れとは違うな」
師匠の話では、魔力切れとは言葉の通り、体にある魔力が枯渇してしまうことだ。魔力を持っている人間は、生命維持にも魔力が使われているらしい。つまり魔力が切れるのは空気を吸っていないのと同じような状態のようだ。最悪、死ぬ場合があるというはそういうことらしい。
じゃあ、僕の場合は?
僕の場合は一時的な魔力切れというものらしい。言葉が面倒だけど、そういう風に説明されるようだ。ここで例え話の方が分かりやすい。体の魔力が井戸としたら、井戸から汲む桶の大きさが出力とする。井戸が枯れることが魔力切れで、桶の中が空っぽになるのが一時的な魔力切れというらしい。
桶の水は汲めば満たされるから、体に異変が生じることはないがショックだけは生じるから気絶したり、眠気が生じたりするみたいだ。
ちなみに、一時的な魔力切れを起こさないためには、練り込んだ魔力を全放出しないことみたいだ。少し残しておけば、一時的な魔力切れが起きない。それに魔力が残っていれば、すぐに補充されることになる。そのタイムラグは前に放った魔力量と補充される魔力量によって異なるみたいだ。まぁ、魔法の連発は現実的には難しいようだ。
久しぶりに師匠の魔法の講義を聞けて満足だ。それともう一つ、聞いておかなければならないことがある。
「師匠。このパンツなんですけど」
師匠はやけに興味深げにパンツを凝視してくる。
「それは私のではないな。どこで拾ってきたんだ? 一応言っておくが、私はちょっとショックを受けているぞ。下着ドロは女の敵だ。お前がそこまで落ちぶれてしまったとは……なんと情けないことか」
僕の方がショックだよ。そんな風に見られていたなんて。
「違いますよ。これはシスターの……」
「まぁ分からんでもないが……一言私に相談してくれれば、脱ぎたてくらいすぐにくれたものを」
「いや、いらないですよ」
「何⁉ 私よりシスターの方がいいっていうのか!! ますますショックだ。性根だけでなく、目も腐っていようとは。こうなったら、秘薬の点眼薬を作らねば……たしか、材料は……」
「いやいやいや。話を聞いてくれませんか?」
僕は事情を説明すると、師匠の笑い声が炸裂した。
「私は信じていたよ。ただちょっとな、斜め上すぎて想像も出来なかったな。パンツをあげるバカがこの世にいるとはな。よほど好かれているんだな」
「好かれてるんじゃないですよ。シスターは魔法の秘術を教えてくれている気がするんです。このパンツが精神を集中させる、何か意味のあるもののはずなんです。そうでなければ、シスターが僕にくれるわけないんです」
「精神を集中か……なるほど。ならば、今晩でも試してみるといい。いいか? このパンツを握り、シスターを思い浮かべるんだ? 出来そうか?」
それくらいは簡単だ。だが、そんなことをすれば……。
「その先は言わなくても分かるな。シスターがこれを託したのは、そのためだ。悶々とした気を晴らすために使えそうだろ? シスターもなかなかやるな。どれ、私のも提供しよう。そちらのほうが何かと捗るだろ?」
「いや、いらないです」
その晩は師匠からの説教で寝ることが出来なかった。もちろん、パンツも使わず仕舞いで封印されることになった。そして、マリアへの見方が少しずつ変わることになった。心優しいマリアから思春期の子供に優しいマリアへ。パンツはもう受け取らないようにしよう。
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