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勝負!

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バトルの日はあっという間にやってきた。
 出来る準備は全部やった。あれからもう1回村々に交易に行って少しダンジョンに細工もしといたしね。

 イエナちゃんと通信を繋ぐと同時に敵からも通信が入った。あなたはお呼びじゃないんだけど。

 「よぉ。命乞いの準備は出来たか?」
 「えぇ。命乞いを聞く準備なら出来たわ」
 「その態度もいつまで続くかな? 最後の幸せを楽しんでおけ」

 小物のセリフトップ10(当社調べ)に入る言葉を吐いて通信が切れた。本当に何がしたかったんだろ……。
 まぁいいや。手が震える。正直怖い。

 「むかつくわねあいつ……。アオバ。早くぶっつぶすわよ!」
 「マスター。私たちは全員準備が出来ています。さぁご命令を」

 ふふっ。エリー普段そんな話し方しないくせに。2人の声に元気づけられて私は1歩を踏み出す。

 画面を見ると、ついに3つのダンジョンの入口が異次元か何かの空間でつながれた。これで冒険者とかの乱入を防げるし。うちは何もしなくても心配ないけど。

 すぐにウルフ側のダンジョンから魔物が入ってくる。最初の狙いはうちのダンジョン。1階層だけ見ると弱めだから先に潰すつもりなのかな?

 敵の戦力はオーク4体とゴブリン12体。コボルトが囲んでゴブリンを減らすけど、オークにはなかなかダメージが入らない。

 コボルト達はなんとかゴブリンは全滅させてくれた。グッジョブだよみんな!

 罠を踏む役のゴブリンが消えたことでオークに罠が襲い掛かる。矢とか丸太をぶつけられてオーク達はふらふらだ。おかげで足が滑って……落とし穴にはまった。

 これだけでオーク2体を退場させた。思ったより順調で心はウキウキ。エリーも嬉しいのかマスタールーム内を飛び回ってる。ちょっと楽しそうだし今度乗せてほしいかも。

 とはいえ結局こっちのボスもやられて1階層は丸裸。そして輝くダンジョンコアが現れる。オークはニタァと笑うと破壊しようと走りかかってくる。

 「イエナちゃん。今だよ!」
 「わかったわ。いくわよ魔物たち!」
 
 私の合図とともにイエナちゃんのダンジョンから全勢力で攻め込んでいく。
 私のダンジョンはもうダンジョンコアだけ。召喚が禁止されている今回のバトルで私が何もできなくなったと思ったウルフはオークを引き返させた。

 ふぅ~危なかった。一応オークが本当に破壊しそうになったら私が割り込むつもりだったけど、なんとか相手は戻っていってくれた。ナイスタイミングだよイエナちゃん。

 向こうの方の映像を見ると、イエナちゃんは予定通り少数精鋭でつっこんでいった。うちとは真逆の戦い方だ。でもそれが今はちょうどいい。

 数でも負けてるしジワジワこっち側が押し返されていく。相手は勝ったと思い込んでるから、もう守り要員もほとんど残さずに攻め込んできた。
 1体だけうちのコアをしっかり破壊しようと来たけど、まぁいっか。

 そろそろイエナちゃんのダンジョンの1階が制圧されそう。ここだ!

 「今だよ! ゴブリン部隊進めー!」

 100匹を超えるゴブリンが一気に階段からあふれ出してくる。しかも一部は自家製の防具まで付けている。

 「こっちに来た敵1体は10匹くらいで囲んで無視! 半分でイエナちゃんのダンジョンに来た敵を挟み撃ちにして、敵のダンジョンに帰れないようにしちゃえ! 残り半分でコアを破壊するよ!」

 敵の方がモンスターはずっと強い。新人の1年の差はすっごく大きいからね。でもモンスターを倒さなくても、コアさえ壊せば私達の勝ちだ。

 イエナちゃん側に行ってた敵が大慌てで帰ろうとするけど、全力で足止めして動かさないよ。
 時間が勝負。防具付きの精鋭が敵のコア狙って全力ダッシュしていく。

 「マスター。イエナ側の味方がそろそろ全滅しますよ」
 「えっほんと!? あと少し……間に合ってぇ~」

 数十秒後。
 パァーン。クラッカーのような音がして突然敵がダンジョンから消えた。逆にコアを壊しに行ってたゴブリン達が転移されて戻ってきた。

 「エリー。これって……」
 「おめでとうございます。マスターの勝ちです」
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