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一章 村からの脱出
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沸き起る苛立ちを飲み込むように笑顔を作る。 そして大袈裟なほどに喜んで見せた。
「わぁ……! こんなにたくさんあったら安心ですね!」
喜ぶ私に満足そうに頷くオババだったが、私が持っている大きなパンに気がつくと、探るような微笑みを浮かべる。
「……その荷物――パン屋で買ったのかい?」
「あー……これはなんと言いますか……お試し品、らしいです」
「――魔物よけと同じような、世話になった感謝の印ってやつかね?」
「あー……そんな感じかと?」
「……他にもなにかもらったのかい?」
さりげなさを装ってはいるが、目をギラギラさせていて完全に探られている。
――別に隠さなくても良いか。 どうせどいつもこいつも、冤罪ふっかけて奴隷にしようとしてるヤツらなわけだし……
「――餞別代わりに……支度金っていうんですかね? なにかと物入りだから、って」
「――あー支度金ねぇ? なるほどなるほど……」
オババの顔が一瞬大きく歪む、しかしすぐに笑顔を取り繕うと、懐から財布を取り出してその中からチャラリと何枚か掴むと、素早く私の荷物にねじ込ませた。
「えっ⁉︎ あの……?」
「いいから、いいから! 子供が変な遠慮なんてするもんじゃないよ! 取っておきなさい。 あって困るもんでもないんだから」
「ぁ、えっと――ありがとうございます」
「はいはい。 じゃあね、気をつけていくんだよ」
「はい!」
立ち去るオババを少し見送ってから、帰路に着く。
念のため、お金をもらって嬉しいなー! という演技もしておく。
――こっちがなにかに気がついている、なんて疑われたら、決行日を前倒しされてしまうかもしれない。
こっちだって急に日にち決められて、準備なんか終わってないんだよ!
――日にち決められて……? あれ? 出ていくのは3日後の、たぶん朝、だよね? じゃあ『金がない⁉︎ 泥棒だ! 犯人はあいつ等だ!』って言いがかりをつけられるのはいつ? 『犯罪者め! 奴隷になって罪を償え!』って吊し上げられるのは?
……なんで足の悪いオババまでが、急いで私にものを渡そうとしたの?
もしかして仕掛けられるのが明日だから……?
そんな不安に追いたてられるように、パンやお金を抱きしめながら小屋へと走った。 急がなきゃ。 明日の朝には出発しないと間に合わないかもしれない……!
◇
「え……2本も?」
「うん……」
呆然とたずねかえした私に、ウィリムはバツが悪そうに頷く。
その手には真新しい大きなナタと、包丁ぐらいの大きさで、獲物のさばく時に使う解体用ナイフが握られていた。
「なんか、今までちゃんと頑張った褒美だって……返してくる?」
不安そうな声に、私は慌ててナイフから目を引き剥がすとウィリムの顔を見て笑顔を作った。
「わぁ……! こんなにたくさんあったら安心ですね!」
喜ぶ私に満足そうに頷くオババだったが、私が持っている大きなパンに気がつくと、探るような微笑みを浮かべる。
「……その荷物――パン屋で買ったのかい?」
「あー……これはなんと言いますか……お試し品、らしいです」
「――魔物よけと同じような、世話になった感謝の印ってやつかね?」
「あー……そんな感じかと?」
「……他にもなにかもらったのかい?」
さりげなさを装ってはいるが、目をギラギラさせていて完全に探られている。
――別に隠さなくても良いか。 どうせどいつもこいつも、冤罪ふっかけて奴隷にしようとしてるヤツらなわけだし……
「――餞別代わりに……支度金っていうんですかね? なにかと物入りだから、って」
「――あー支度金ねぇ? なるほどなるほど……」
オババの顔が一瞬大きく歪む、しかしすぐに笑顔を取り繕うと、懐から財布を取り出してその中からチャラリと何枚か掴むと、素早く私の荷物にねじ込ませた。
「えっ⁉︎ あの……?」
「いいから、いいから! 子供が変な遠慮なんてするもんじゃないよ! 取っておきなさい。 あって困るもんでもないんだから」
「ぁ、えっと――ありがとうございます」
「はいはい。 じゃあね、気をつけていくんだよ」
「はい!」
立ち去るオババを少し見送ってから、帰路に着く。
念のため、お金をもらって嬉しいなー! という演技もしておく。
――こっちがなにかに気がついている、なんて疑われたら、決行日を前倒しされてしまうかもしれない。
こっちだって急に日にち決められて、準備なんか終わってないんだよ!
――日にち決められて……? あれ? 出ていくのは3日後の、たぶん朝、だよね? じゃあ『金がない⁉︎ 泥棒だ! 犯人はあいつ等だ!』って言いがかりをつけられるのはいつ? 『犯罪者め! 奴隷になって罪を償え!』って吊し上げられるのは?
……なんで足の悪いオババまでが、急いで私にものを渡そうとしたの?
もしかして仕掛けられるのが明日だから……?
そんな不安に追いたてられるように、パンやお金を抱きしめながら小屋へと走った。 急がなきゃ。 明日の朝には出発しないと間に合わないかもしれない……!
◇
「え……2本も?」
「うん……」
呆然とたずねかえした私に、ウィリムはバツが悪そうに頷く。
その手には真新しい大きなナタと、包丁ぐらいの大きさで、獲物のさばく時に使う解体用ナイフが握られていた。
「なんか、今までちゃんと頑張った褒美だって……返してくる?」
不安そうな声に、私は慌ててナイフから目を引き剥がすとウィリムの顔を見て笑顔を作った。
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